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OWNERSフィアット500eのセールスパーソンに聞く

「時代の主役」としてのプライド

フィアットの『500e』は、2021年イタリアのEV(電気自動車)新車登録台数で並み居る外国勢を抑えてトップに立った。その躍進を支えているのは、全国のセールスパーソンたちである。
60年以上の歴史をもち、中部トスカーナ州に5販売拠点をもつフィアット・ディーラー「スコッティ」。そのショールームで働くアンドレア・フェリツィアーニ氏は、フィアットのセールス歴25年というベテランだ。とびきりフレンドリーなキャラクターで広い世代の常連顧客を獲得してきた彼に、販売最前線の視点で『500e』の魅力を語ってもらった。

その日、彼が働くショールームの外には、納車準備を待つ『500e』が4台並んでいた。

EVとして独特のポジショニング

Q.『500e』を見にショールームを訪れるお客さんは、他社製EVと比較しますか?
「いいえ。『500e』一択でいらっしゃいます。他社のポピュラーブランドによるEVとも、またプレミアムブランドのEVとも異なる独自のポジショニングが功を奏しています。このあたりは、フィアットが歴代の『500』で培ってきたブランドイメージの賜物です。車両の特長についても、すでによく研究していらっしゃいます。そのため成約までの時間も、他のクルマより早いですね」。

Q.EVといえば、航続距離が関心事のひとつですが。
「『500e』は満充電からの航続距離320km(注:欧州仕様WLTP複合モード)は、シティユースには十二分であると評価をいただいています」。

Q.イタリアでは『500e』に、純正のウォール型充電器がありますね?
「お客様の多くは『500e』購入を機会に、ご自宅にウォール型充電器を設置しています。それにより、帰宅後に充電するだけで、翌日生活圏で安心して使用できます。なかには太陽光発電用パネルまで設置した方もいらっしゃいます。技術に高い関心をもつ方が多いのも『500e』をお求めになる方の特徴ですね」。

「イタリアでは近年、高級リゾートホテルでゲストのために急速充電設備を導入する施設が増えているんですよ」

Q.外出先での充電については、お客様にどのように説明していますか?
「イタリアではEVの普及が加速していますが、公共の急速充電設備の拡充スピードがそれを上回っています。たとえば、フィアット・ブランドを擁するステランティス・グループは、イタリアで大手スーパーマーケットチェーンとのコラボレーションで急速充電設備を拡充しています。したがって、外出先でもチャージに困るケースは、ほとんどありません」。

Q.これまで、どのようなお客様が『500e』を購入しましたか?
「目下のところ、私のもとで『500e』をご成約いただいたお客様は、経営者など社会的地位のある方、エンジニアなど新しいテクノロジーや環境問題に関心がある方が目立ちます。
同時に、お孫さんのために購入したという高齢の方もいました。数日前に納車したお客様は、最初はご自身の会社用に購入を検討していたのですが、ご家族が気に入って、最終的にはプライベート用になっていました(笑)」。

Q.どのグレードが人気ですか?
「私のお客様に関していえば、最上級グレードを選ばれる方がほとんどです。『500e カブリオ』も人気ですよ。ただし、装備よりもゼロ・エミッション✳︎1という目標を達成することに喜びを感じている方が多いですね」。

彼が働く販売店では、試乗車も常時用意。自動車専用道路沿いだけに、良いアイキャッチ役にもなっている

歴史を分かち合う

ゼロ・エミッションの話が出たところで、フェリツィアーニ氏はこのような話も披露してくれた。

「田舎で生まれ、そこでずっと暮らしてきた、極めて素朴な地元のあるおばあちゃんの言葉なのですが・・・」と、サステナビリティといった現代のキーワードとは無縁の人が、フェリツィアーニ氏にこう語ったという。
「“石油は地球の血を、地熱(発電)は地球の息を使わせていただいているようなものよ”と言うんです。どのようなエネルギーをどう用いるにせよ、私たちはそうした視点を大切にしたいと思います」。

最後に「『500e』をセールスするよろこびは?」と聞くと、フェリツィアーニ氏は誇らしげにこう答えてくれた。
「内燃機関からEVという自動車史の大きな変革期において、主役にいることです」。
その言葉を聞いて以来、筆者は街で『500e』とすれ違うたび、フェリツィアーニ氏とともに歴史を分かち合うオーナーが、ひとり、またひとりと増えていることを実感している。

同僚のセールスパーソンと。目下フィアット500eは、ショールームのドアを開けたとき一番に目に飛び込むポジションに展示されている。

Interview & photo 大矢アキオAkio Lorenzo OYA

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