有名な「愛の小径」。その知られざる成り立ち
キアラ・トラフォッシさんは、チンクエ テッレの公認観光ガイドとして働く女性。彼女の口からは、チンクエ テッレのあまり知られていない話が次々と飛び出しました。
「チンクエ テッレは海沿いにあることから長年漁業で栄えたと多くの人が想像します。しかし、実はワインづくりの歴史のほうがはるかに長いのです」。そしてこう続けました。「Cinque terreという名前も16世紀にワインの名称としてつけられたものが始まりです」

リオ・マッジョーレとマナローラを繋ぐ遊歩道「愛の小径」。壮大な海を眺めつつ約900メートルの散歩を楽しめます。公認ガイドのキアラさん(右)、ダミアーナさん(左)、エドアルドさん(手前)。
有効な陸路が無かったため、ジェノヴァまでのワイン輸送には海路を使って、ひと月を要したといいます。「しかしジェノヴァ共和国の産品として広められたことから、地域の大きな産業となったのです」とキアラさん。
次に説明してくれたのはチンクエ テッレの象徴である、色とりどりの家について。「昔、富裕な家庭は外壁にさまざまな柄を描いていました。いっぽうで、そうした余裕がない家庭は鮮やかな色で建物を塗り、生活の喜びとしていたのです」。いっぽう今日では景観保護の観点から、壁を塗り替る際、当局によって色彩が厳密に指定されているそうです。

愛の小径の出発点であるリオ・マッジョーレからリグリア海を望んだところ。
最後はキアラさんと出会った「愛の小径」について。リオ・マッジョーレとマナローラを結ぶこの遊歩道は、チンクエ テッレを訪れる人のほとんどが訪れる定番スポットです。しかし彼女はその始まりを、こう明かしてくれました。

海に面した絶壁の上に建つマナローラ。色とりどりの家々が寄り添うように建てられています。
「1930年に鉄道トンネルが開通するまで、ふたつの村を繋ぐルートは存在しませんでした。工事の際、発破用の爆薬を運ぶため、海沿いの断崖絶壁を削って輸送路が造られました。これこそ今日の、愛の小径のはじまりなのです」
ロマンティックなネーミングの裏には、隣の村と繋がろうとする、地元の人々の悲願が隠されていたのです。
キアラさんにとって、ベッラヴィータ(美しい生活)とは? すると「家族や友人に恵まれた自分に喜びを感じること。つまり等身大の自分を楽しむことです」と答えてくれました。小径を訪れる人々に、彼女は愛する郷土を語り続けます。
“塩味”のワイン
チンクエ テッレの代表的ワイン「シャケトラ」は、陰干しブドウを熟成・蒸留してつくる甘口の食後酒。『ポッサ』は、それを手がけるリオ・マッジョーレのワイナリーのひとつです。オーナーのサムエレ=ヘイディ・ボナニーニさんは1978年生まれ。ワインの道に入ったのは二十代半ば、2004年のことでした。「家族は祖父の代にブドウづくりをしていました。しかし地域でさまざまな産業が興ったのを背景に、両親の代には一旦ワイン製造業から遠ざかりました」

チンクエ テッレの最も東に位置するリオ・マッジョーレ。
サムエレ=ヘイディさんは、長年放置されていた祖父の畑を甦らせることから始めました。しかし、その道は困難を極めました。チンクエ テッレのブドウ畑の大半は、海に向かって急傾斜した場所にあります。剪定や収穫作業は、一歩間違えば転落の危険がある細い道が頼り。他地域のブドウづくりに比べて何倍もの苦労がともなったのです。

ワイナリー『POSSAポッサ』のオーナー、サムエレ=ヘイディ・ボナニーニさん。古代からのブドウ品種を用いることにこだわり、化学肥料に頼らないワイン作りに取り組んでいます。
熟成期間も自然との対話、ときには戦いが続きます。貯蔵庫内の温度を調節するため、日によってはすかさず扉を広く開け、風をふんだんに取り入れます。「そのタイミングもワインの出来にかかわるのです」。そのような苦心を重ねても1年後、目指したクオリティに達しなかったことも。「そうした年のワインは容赦なく捨てました」

チンクエ テッレを代表する甘口のデザートワイン「Sciacchetràシャケトラ」。急勾配の斜面で栽培したブドウを陰干しにしてから作ります。
ただし、重ねた苦労は大きく報われていることが、彼の言葉からわかります。「チンクエ テッレのブドウは潮風をふんだんに浴びます。シャケトラを飲むと、甘さのあと、ほのかな塩味が口の中に残るのはそのためです。実はそれが独特の爽やかさにつながるのです」
「私は4回仕事を変えました。その中でブドウづくりは、もっともきつい仕事です。しかし、私はそこに自分の居場所を見つけました。生きてゆくことの大きな喜びを見出しているのです」。そう語るサムエレ=ヘイディさんにとって、最高の賛辞は地元のお年寄りの一言だったと振り返ります。「私のワインをひと口含んで『ああ昔、父が造っていたのと同じ味だ』と、しみじみ言ってくれたのです」

息子さんのヤコポ君がつくったワインが入った樽。
サムエレ=ヘイディさんの13歳の息子さんもワインづくりを始めています。「彼のワインは地域の小児病院を通じて販売してもらい、収益はすべて寄付しています」
そして、我が子への思いをこう熱く語りました。
「将来彼が宇宙飛行士になりたければ、なってもいい。しかしブドウづくりを通じて、たとえ苦しくても、質が高い仕事をすることの尊さを知ってほしい。それこそが美しい人生を送る鍵だと伝えたいのです」

水深52mの海中に約1年間沈めて熟成させたシャケトラも。サムエレ=ヘイディさんの新たな挑戦から生まれたワインです。
チンクエ テッレで出会った人々の語りからは、郷土を愛し、家族や友人を敬い、そして日々の生活に喜びを見出すことこそ、彼らのドルチェヴィータであることが伝わってきます。同時にそうした生き方はイタリアを愛し、人々の日常に寄り添い、シンプルでありながら毎日を彩りあるものに変えてきたフィアットと重なるのです。
3月・4月のオリジナルカレンダーは、チンクエ テッレのカラフルな家並みに溶け込むサンセットオレンジの『600e』です。493km(WLTCモード)というクラストップレベルの航続距離は、ヴァカンスの行動半径を拡大してくれます。18インチ ダイヤモンドカット アルミホイールは、まるで「おしゃれは足元から」を主張するイタリア人ファッショニスタのよう。シャケトラ・ワインがおいしい夕暮れどき、リグリア海に沈む夕陽をイメージしながらイラストをお楽しみください。
Text 大矢アキオ ロレンツォ Akio Lorenzo OYA
Coordination & Photo 大矢麻里 Mari OYA
取材協力:
Pesto Lab Baico https://www.baico5terre.net
Azienda Agricola POSSA https://possa.it

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“イタリア各地をめぐるフィアット”がテーマの2025年カレンダー。3月・4月のオリジナルカレンダーは、カラフルな家並みに溶け込むチンクエ テッレ。リグリア地方の宝石と呼ばれるリゾートです。このイラスト入りカレンダー(PC用 / スマートフォン用)はダウンロードが可能。また、イラストのみの壁紙もご用意しているので、ぜひダウンロードしてみてください!
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