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LIFESTYLE

フィアットは私の好きすぎる推し!|FIATオーナー紹介

フィアットに心惹かれてから、1年間ほど“フィアットファン”として過ごしていたという波多野(はたの)あゆみさん。その後、『500』を購入にいたった経緯やどんなところに魅力を感じているかについて自動車ライター・嶋田智之さんがお話を伺いました。   少しずつ少しずつ“好き”が膨らんでいきました 「私、もともとはまったくクルマに興味がなかったんです。免許は取っていて、仕事に行くために必要だからクルマを買うことになったときも、安いし安全そうだからこれでいいか、っていう感じで何も考えずに決めていました。なのに、『500(チンクエチェント)』に出逢ってからガラッと変わっちゃいましたね(笑)」 そう笑うのは、波多野あゆみさん。数年前まではクルマに興味がなかったというのに、現在では6年前から愛車となっているカントリーポリタンイエローの『500』にずっと心を奪われ、クルマのことも大好きになった模様。いったいなぜそうなったのか、お話を伺ってみました。     あゆみさんは昨年の7月に結婚されたとのことですが、転機はのちの旦那さんの家に遊びに行ったときに訪れました。今から7年ほど前のことでした。 「彼の家でフィアットからのDMを見て、このオニギリみたいな形をしたかわいいクルマは何だろう?って思ったのがきっかけでした。ちょうど『500』がマイナーチェンジをして新しい顔になったよっていうお知らせで、ポップコーンをイメージした白の『500』がデザインされているDMでした。そこで気がついたんです。駐車場で彼のクルマの隣りにいつも停まっているクルマ、フィアットでしょ!って(笑)。それまでクルマに興味がなかったから、まったく気にしてなかったんですね。調べてみるとチャチャチャアズールカラーの『500』であることが分かって、それからすごく『500』を意識するようになって……」   ▲波多野あゆみさん   そこで『500』いいな、って思っちゃったんですね? 「そうですね。お隣のチャチャチャアズールがすごくよかったんです。デザインと色と雰囲気の完璧なクルマがたまたま近所にいて、ハマってしまいました。私はもともとオタク気質があって(笑)。ハマったら自分がどうなるか知っていたので……」 ハマるとどうなるんですか? 「『500』が出ている雑誌や新聞を見つけたら全部買って、ちょっとでも載っているところがあったら切ってノートに貼って。ほんとハマるとやばいですよね(笑)。これはもし自分がフィアットに乗ったら大変なことになると思って、推しのことは“かわいい”“かわいい”って楽しむだけにしよう、それですませておこう、って思っていたんです。それはそれで楽しかった。1年くらいずっとファンしていて、その当時は今ほど『500』が周りで走っていなくて、出会うのがちょっと珍しい感じだったので、出かけたときにすれ違うたび彼と大騒ぎしていました」     なるほど。最初のうちは“かわいいな”と思っても、自分で乗ろうとは思ってなかったわけですね。なのに、なぜ購入する方向に……? 「少しずつ少しずつ“好き”が膨らんでしまって。私、下調べをいっぱいしていたんですよ。実際に乗っている人のブログとかを見たりして、壊れないかとか、どういう仕様なのかとか、ちゃんと走るのかとか。かわいいだけじゃやっていけないから、ちゃんとクルマとして安心して乗れるのかとか。そうしているうちに“キュン”ってする気持ちがどんどん大きくなって、いつからか自分が乗りたいって思うようになっちゃったんです。好きすぎて『500』の絵を練習しはじめたりとか。乗るからには描けなきゃ、って(笑)」     ハマったらどうなるか、の一端がわかった気がします(笑)。購入されるときはどう踏ん切りをつけていったんですか? 「買いたいという気持ちが出てきた頃からフィアット貯金をはじめました。働きはじめてまだ少しだったから貯金が少なくて、1年ぐらいして頭金が貯まった頃に勇気を出してショールームに行きました。最初はチャチャチャアズールが欲しかったんですけど、ぜんぜんなくて、だけどもう乗りたい気持ちが膨らんじゃっているから、1ヶ月もたたないうちに今のカントリーポリタンイエローの『500』に決めちゃいました。全般的に黄色のものは好きだったので」   ▲カントリーポリタンイエローカラーの『500』   最初に『500』を意識した瞬間からたった1年で、激変しましたね(笑)。購入するときに試乗もしたと思うんですけど、最初に『500』に乗ったときにはどんなふうに感じました? 「それまで普通のクルマにしか触れてこなかったので、最初はちょっと癖があってビックリしました。デュアロジックは初めてだったので。でも運転していて慣れていく感じがしたから、ちっとも嫌じゃなかったです。というか、何より乗っている時間が本当に楽しかった。ついに運転しちゃった!って緊張で手が震えちゃって。試乗のときには彼が後ろに乗っていたんですけど、そのときの様子を写真で撮られてました(笑)。彼も『乗った方がいいよ、そんなに好きなんだったら買った方がいいよ』って、押し押しでした。憧れていたクルマ、すれ違うたびに私を笑顔にさせてくれたクルマが、とうとう自分のものになるんだ、好きすぎるこの推しに私が乗ることになるんだ、って本当に嬉しい気持ちになりましたね」   次のページ:【お気に入りのカフェのドアを開けた瞬間の気持ち】 […]

DRIVING

インテリアのプロが紐解く、500eの内装デザインのロジック

この春、フィアットを代表するコンパクトカー『500(チンクエチェント)』のEVモデル『500e(チンクエチェントイー)』が日本で発表されました。新たなボディを採用し、わずかにサイズアップしたものの、かわいらしさが特徴的な外観イメージは『500』そのまま。一方でインテリアデザインは大きく様変わりしました。 今回は、昨年のインテリア特集で『500』の内装についてうかがった、デザインスタジオ『THE TRIANGLE.JP』の大田昌司(おおたまさし)さんを再びお招きし、インテリアデザイナーの視点から『500e』の魅力を語っていただきました。   『500e』のハンドルは『Nuova 500』の形!? –今回大田さんには、3種のモデルが用意されている『500e(チンクエチェントイー)』の中から、電動でソフトトップが開閉する『500e OPEN(チンクエチェントイー オープン)』を見ていただきました。屋根を全開にし、解放感に満ちた運転席に座った大田さんは、インテリアが一新されても『500(チンクエチェント)』らしさにこだわったデザインの要点を発見したと言います。   ▲大田昌司さんと『500e OPEN』   大田さん:『500e』のインテリアデザインは、既存の『500』と異なるシンプルなものになっていますね。工業製品におけるシンプルさは機能美と形状美の追求ですので、現代的な家具設計で有名なイタリアのデザイナー、ピエロ・リッソーニのポリシーである“本質的でシンプル”が、この『500e』にも当てはまるのではないでしょうか。   ▲『500e OPEN』の内装   シンプル路線への切り替えでは、ハンドルのスポークが『500』の3本から2本に変わった点が興味深いです。2本のスポークは1957年に登場した『Nuova 500』で採用されていたようですね。当時は空調もカーナビも備わっていませんでしたから、ダッシュボードは極めてシンプルだったと思います。『500e』がとことんディテールを減らしていったなら、スポークの数も減らすことがオマージュになる。『Nuova 500』をよく知っている人にすれば、これほど腑に落ちる試みはないかもしれません。     空調装置類の一体感も、違和感をなくすための細やかな仕事ぶりとして注目しました。イタリア発の『ボッテガ・ヴェネタ』が得意としたイントレチャータ(短冊切りのレザーを編み込む技法)を取り入れたインストルメントパネルの下部にエアコンの吹き出し口が備えられています。必要個所に吹き出し口を設置するとなると、周辺の各パーツが独立してしまい、構成要素が多くなります。ですが、吹き出し口がない場所も意匠を合わせて一つの曲線意匠とし、パーツを少なく見せることによりシンプルさを成り立たせています。インテリア空間でも、壁の収納できる部分とできない部分の違和感を消して一つの大きな壁に見せたいときには、目地や素材を用いてシンプルさを成立させる手法を用います。     さらに、吹き出し口の下に並んだ2列のスイッチ群も、直線基調を際立たせるデザインに貢献しています。『500』で多用されたダイヤルスイッチをプッシュボタンに改めたのも、シンプルな室内の統一に不可欠だったのではないでしょうか。   次ページ:【『Nuova 500』を受け継ぐデザインとは】 […]

LIFESTYLE

Sara WakaのイタリアブランドPICKUP! プレゼントにもぴったりな冬のトレンドアイテム3選

世界が熱視線を送る流行発信地イタリアのItブランドをご紹介する本企画。ファッションとデザインの都・ミラノで生まれ育ち、イタリアで活躍するマルチクリエイター・Sara Waka(サラ ワカ)さんをガイドに迎え、現地のリアルトレンドをお届けします。今回は、ホリデーシーズン直前! 冷え込む季節に身も心もほっこり温めてくれる、大切な人への贈り物にもおすすめのアイテムをピックアップしていただきました。     Sara Wakaが見るミラノのリアルトレンドとミラネーゼ御用達アイテム   ▲SaraWaka(Photo: Alberto Moro)   パンデミックで多くの被害者を出し、厳重なロックダウン体制が続いたイタリアでは、改めて生活の質や人生における幸せを見直すような風潮が高まりました。その結果、ファッションでは見た目や流行だけでなく、着心地や長く使える質の高さ、地球環境への配慮といった“サステナビリティ”を重視する傾向や、パンデミックで沈みかけていた気持ちを華やかにしてくれる色使いなどに対して、より一層注目が集まっています。また、“おうち時間”が増えたことにより、居心地の良さや楽しくなる空間作りに欠かせない、インテリアにもよりこだわるようになりました。 10代でファッション業界に足を踏み入れたSara Wakaは、スタイリッシュであり、個性的であることを重点にファッションアイテムを選んでいましたが、パンデミック以降は、他人からどう見られるかではなく、着心地や質、自分の気持ちを上げてくれるファッションを選ぶようになりました。 そこで今回は、ダニエル・クレイグに始まり、世界中のスターが認めた高い品質と上品さが魅力的な<Massimo alba(マッシモ・アルバ)>のストールと、ダークな色を選びがちのレザーアイテムに対して、ボルドーといった、上品な色合いかつ、差し色にもなる<Calzedonia(カルツェドニア)> のレギンスをファッションアイテムとしてセレクト。また、生粋のミラネーゼであるSara Wakaもコレクターの一人である<SELETTI(セレッティ)>から、一味違った遊び心たっぷりのティーカップをチョイス。プレゼントされた人に、ゆっくりとお茶を楽しんでもらうだけでなく、ドキドキや笑顔を届けたいという思いを込めてセレクトしました。   ファッションのアクセントになる小粋なストール   ▲〈Massimo Alba〉STOLE Cashmere/Silk/Wool printed stole: “Today is a good day”  420 € (約55000円)   007シリーズ最新作『007/ノー・タイム・トゥ・ダイ』で、ダニエル・クレイグ演じるジェームズ・ボンドが着用した衣装として、世界中から注目が集まる<Massimo Alba(マッシモ・アルバ)>。 なんと、ダニエル・クレイグ自身がプライベートでも着用している上に、彼の勧めで007の衣装に決まったそう。世界中の一流品を知り尽くしているであろう、ダニエル・クレイグお墨付きの<Massimo Alba>は、カシミヤやシルク、コーデュロイといった上質な生地を使用しながらも、フォーマルすぎない着心地の良さを追求しているイタリアのファッションブランド。メンズの他、レディース、キッズラインも展開。ミラノに拠点を置くことからも、オシャレなだけでなく上質を追求するミラネーゼ達に愛用されています。 「質が良く長く使えるものが欲しいが、スーツやコートは少し手が届かないかも……」なんてときにおすすめしたいのが、カシミヤ・シルク・ウールを使用した上質なストール。着け心地が良いだけでなく、落ち着いた色合いにイエローの差し色が入った、ファッションのアクセントになるオシャレなアイテムです。140×140cmの超大判サイズを広げると、オシャレなモノトーンのキリンと“Today is a good day (今日はいい日だ)” というメッセージが。上品で洒落たデザインのストールは、年齢にこだわらず、長く使えること間違いなし。大切な人に、特別だけど気取りすぎないプレゼントがしたい、そんなときにもぴったりのアイテムです。   ▼INFO:画像提供 Massimo Alba https://www.massimoalba.com/    冬のオシャレに映える、国民的ブランドの優秀レギンス […]

CULTURE

「ペレ・フラウ」とは? FIAT 500 Lussoに採用された最高級レザーの魅力

イタリアを代表する家具のラグジュアリーブランド「ポルトローナ・フラウ(Poltrona Frau)」が手がけるレザー「ペレ・フラウ(Pelle Frau®︎)」をシートに採用した限定車「FIAT 500 Lusso」が発売。ポルトローナ・フラウのブランドマネージャー、そしてデザイナーへのインタビューをとおしてその魅力に迫ります。   大城健作氏デザインのオットマン「レプリ」をプレゼント! プレゼントのお申し込みはこちら 受付期間:2018年11月30日(金)23:59まで     ポルトローナ・フラウが手がける最高級の革「ペレ・フラウ」 上質な家具のみならず、数々の高級車や旅客機などのラグジュアリーシート、さらにはFIAT 500の限定車にも採用されたレザー「ペレ・フラウ」の魅力について、ポルトローナ・フラウのブランドマネージャーを務める名執豪さんにお話を伺いました。 「ペレ・フラウとひと言でいっても、加工の違いから9カテゴリーに分けられています。特有のカラーパレットは、Color System Frau ®︎として1987年にパオロ・ミノリによってデザインされ、整備されました。Color System Frau®︎の基本カラーバリエーションは 全96色、その他8カテゴリーで計約170種をライナップしています。 それらに共通する特徴は、革本来の自然な柔らかさ、独特な美しさとスムースな触り心地。一般的な革では水や埃のダメージを防ぐために顔料をのせると仕上がりが硬くなってしまうのですが、そこにペレ・フラウ独自の加工を施すことで柔らかさを残すことができるのです」   「そもそもポルトローナ・フラウの歴史は、アルティジャーノ(職人)から始まった」と名執さん。サルディーニャ島で革のなめし職人をしていたレンツォ・フラウ氏が、1912年にトリノで創業。当時トリノに集まっていた王族に認められて貴族の椅子を作り始めたことをきっかけにブランドは拡大し、1926年にはイタリア王室より御用達の指名を受けるまでに成長しました。 だからこそ、100年以上も続くポルトローナ・フラウの伝統の根幹を支える最高級革のペレ・フラウは、原材料となる原皮のクオリティにも妥協はありません。 「始まりが革なので、やはり一番こだわりを持っていますね。最近だとオーストラリアや南米産の安価な革も出回っていますが、我々はあくまでイタリアンレザーが本領です。北ヨーロッパで育った高品質な仔牛革の中からより上質なものを厳選し、北イタリアの伝統あるレザーファクトリーで丁寧になめしています」   徹底した品質へのこだわりは、その絶妙な発色にも感じられます。 「この色に関してはイタリア人独特のセンスがあって初めて出せるものかもしれません。イタリアのものってすごく色気があるんですよ。いわばエレガント。そこに魅了される人は多いですね」     ポルトローナ・フラウとフィアットに共通する色気 「昔から有名な可愛らしい車」というイメージの500に、ペレ・フラウが採用されたことは意外だったという名執さんですが、実はフィアットもポルトローナ・フラウと同じトリノでの創業。さらに100年以上続く伝統があるという共通点を伝えると、こう話してくれました。 「ポルトローナ・フラウは曲線を取り入れて家具が多いのですが、そこを今でも職人が精緻な手作業でつくり続ける美しさこそイタリアの芸術であり、独特の色気にも繋がっていると思います。フィアットも同じイタリアのブランドとして、そこにシンパシーを感じたのではないでしょうか」 昔からイタリアの職人の手によって作られてきたペレ・フラウ。FIAT 500 Lussoのシートでも、あふれる色気で私たちを魅了してくれそうです。   【撮影協力】 ポルトローナ・フラウ東京青山 Poltrona Frau Tokyo Aoyama 〒107-0062 東京都港区南青山 5-2-13 TEL. 03-3400-4321 営業時間 11:00〜19:00 定休日 毎週水曜日(祝日は営業) https://www.idc-otsuka.jp/poltrona-frau-tokyo-aoyama/   […]

CULTURE

色と暮らす〜イランの大地が生み出す、もう一つのペルシャ絨毯「ギャッベ」

スマホの普及により、私たちはこれまで以上にデジタルな世界と過ごす時間が増えました。いっぽうで、その反動なのか、心が休まる“アナログ的”なモノを身のまわりに置きたい!という欲求が高まっているのも事実。 前回のチュニジアキリムに続き、今回はギャッベ(ギャベ)をご紹介します。   ギャッベとはイランの遊牧民カシュガイ族などの遊牧系民族が手紡ぎで作る草木染めの鮮やかな色合の染料を使う絨毯のこと。イランといえばシルク素材のペルシャ絨毯が有名ですが。ギャッベは原料がウール。チュニジアのキリム同様、日常の生活道具です。     ギャッベの文様にはひとつひとつ意味がある。たとえば生命の樹と呼ばれる文様は神の座と人が暮らす世界を表していて、その歴史は紀元前4世紀まで遡るそうです。四角は井戸、遊牧民の命綱を表し、狼の足跡は魔除けといった具合。       独特の風合いとユルさ、でも一種の安心を感じるのは、こうした意味と願いが込められているからなのかもしれません。ちなみに、ヨーロッパのファッションデザイナーにはギャッベコレクターが多いそうです。     「お店に行ったら、まず裏返して見るといいですよ。店員さんの態度が変わるから…。(笑)」   そう語るのは今回お邪魔した、「八ヶ岳高原アートギャラリー」館長の向村さん。 裏を見るべき理由は、縦糸と横糸の目が細かいほど上質なギャッベである証。実は近年のブームのおかげで、イラン以外の別の国で作られた粗悪品が出回りはじめているそうなので、こうした助言はありがたい。 いっぽうで、こうした人気の上昇とともに、絨毯商がプロデュースした物も増えており、厚手でしっかりしたものも登場し、選択の幅も増えているようです。   ちなみにオールド・ギャッベと呼ばれるものは薄く軽い。これは遊牧生活で運びやすくするため。理にかなっている。   「やはり永く付き合えるものを選んでほしいですね。イランの荒野に直に敷かれてきたオールドを見ると、ギャッベの丈夫さと丁寧な仕事を感じることができます。」 そう語る向村館長の言葉にはギャッベへの愛が満ち溢れている。     自然と心が和むデザインに囲まれる生活。まさにFIAT500をドライブのお供に選ぶのと同じ感覚とは言えないでしょうか? ちなみに、イタリアの高級ニットブランドで、ギャッベの影響を強く受けているところがあるそうで…。   楽しくやさしい暮らし。春の訪れとともに、ドライブがてら八ヶ岳まで足をのばしてみては? 色鮮やかな素敵なギャッベが、お部屋の模様替えに一役買ってくれるかもしれません。     取材&写真協力 高原アートギャラリー八ヶ岳 https://www.will-artg.com […]

CULTURE

チュニジアキリムと暮らす~褐色の大地が産む色彩とデザインの奇跡

キリムとの出会いは、自由が丘の路地裏。人気の雑貨店やカフェが並ぶ一角に、数日限定で開かれたマルシェのようなスペース。目を引く色使いと、フォークロアな素朴さを持ち合わせた布が床に積み上げられたり、壁に掛けられ、道往く人々が足を留めていた。聞けばチュニジア産だという。 キリムとは、イラン、トルコ、アフガニスタン、モロッコ、そして地中海にかけての遊牧民が作るパイルのない平織の総称。多くは羊毛で、地域によっては山羊やラクダなども使われ、絵柄や色合いなどもかなり違いがある。敷物として使われることが多いが、現地ではテントのように日よけになることも…。     最近では、人気雑誌でも取り上げられ、ソファに掛けたり、タペストリーとして楽しむ人も増えているとか。そんなブームの中で、チュニジアキリムは、特徴ある色彩や素朴な風合いが評判になっている。 その路地裏の店で、キリムを熱っぽく語っていたのが佐藤恵理さん。現地に赴き、買い付け、販売して4年になる。長い時には、作り手の家で二ヶ月間生活を共にするという。 「チュニジア旅行中にお世話になった運転手さんが、最終日の別れ際にキリムをくれたのがキッカケです。家族が作ったものだというそのキリムの色彩の見事さに目を奪われ、どうしたらこんな柄ができるんだろうとすっかり惚れこんでしまいました。トルコやイランのキリムと違って、当時、チュニジア産はほとんど知られていませんでしたし、ぜひ日本に紹介したいと思ったんです。まずは、織っているところを見たくて、その運転手さんのお宅にホームステイし、作業を見せてもらうところから始まりました。」 佐藤さんにとって、チュニジアキリムの魅力は、代々女性たちが伝えてきた手作業の温かさだという。 「他の地域では、機械化はもちろん、きちんとしたビジネスモデルも存在しているんですが、チュニジアではまだ手作業しか見たことがありません。あくまでも生活用品だからで、産業として捉えられていないんでしょうね。もともとは主婦が、家事や育児、農作業の合間に家族のためコツコツとやってきたものなので、作業時間も一定でなく、工業化、産業化という規模に至っていないのでしょうね。」     チュニジアキリムの特徴は、その色彩とデザインだ。日本では伝統的な文様も人気だが、デジタルな感覚さえ漂う幾何学模様や、ティーンエイジャー的でプラスティッキーなポップな色使いは、ヨーロッパの最先端ファッションにも通じるモダンさを漂わせている。 この地では、南から来る文化はアフリカそのものであり、北からはヨーロッパ文化が、東からはアジアが流れ込み、そこにイスラムの影響が加わってきた。そういったものが混じりあって、キリムに反映されてきた。 「昔は草木染めだけだったので、中間色やシックな色も多かったのですが、近代になり、いろいろな色が使えるようになると、こういう色使いが急に増えたんですよ。それは、コンピュータで計算しているわけではなく、すべて頭の中で創り出されます。あるとすれば、親から伝えられた技術だけ。デザインは、頭に思い浮かんだまま、それを織り込んでいくわけです」 そこにはチュニジアの自然も大きく影響しているようだ。     「大地は見渡すかぎり褐色で、外の風景に色がないのに、なぜこの発想が出てくるのか不思議です。でも、太陽の光が強烈なので、色が飛んじゃう。これくらいの強烈な色使いでないと、印象に残らないのかもしれませんね」 その魅力は近年、ヨーロッパの人々も虜にした。フィアットの故郷、イタリアからも、フェリーで地中海を渡り、4WDでチュニジアを一周してキリムを買い集める姿が目につくという。 欧州、特にラテン系の国の人々は歴史的に色に対する感度が高い。色とりどりのカラーリングやコーディネイトはFIATの伝統だが、やはり彩りのある暮らしは豊かで楽しいということをよく知っているのかもしれない。     チュニジアキリムのファンは多くが30~40代の女性だという。超絶技巧や圧倒的な手間の産物ではないので、値段が手ごろで気軽に手を出せるのも魅力だ。     「展示会で、こういうのを捜していたんです…って喜んでくださることも多くて。最初は、玄関マットサイズの60㎝×90㎝が買いやすいのではないでしょうか。2万円前後ですね。チュニジアでは、100万とか高額な物はまずありません。手軽に入手して。チュニジアの風土や民族性が産んだデザインアイテムとして取り入れ、生活に落とし込んでもらえたら嬉しいですね。メタリックなものにも不思議と合うんですよ。また、キャンプとかBBQ、お花見など、アウトドアに持ち出すのもお薦めです。     チュニジアの女性たちが家族のために作ってきたものですから、そこに込められた家族への愛情や、精一杯のアイデンティティ、創造力、芸術性を味わい、楽しんでほしいですね。」 購入する際のポイントは、自分の感覚で気に入ったデザインやカラーを選ぶのが一番とのこと。     「素朴さとカジュアルな感じ、気軽にじゃんじゃん使えるというのが、キリムの良さであり楽しみ方なのかもしれません。日々の暮らしのテキスタイルなので、端の部分の始末がきちんとできていないこともあるのでチェックするといいですね。自宅でお洗濯も可能なのでお手入れも簡単。ウール用の洗剤を溶いて浸し、軽く押したら、充分にすすいで、そのまま干します。無理に絞ったり、脱水機は禁物です。」     存在感がありながらも、日常にすっと馴染んで、時の流れさえ豊かな彩りを加えてくれる。そんなちょっとした歓びを運んでくるパートナーともいえるキリム。 ちょっとFIATにも似ていませんか? […]

LIFESTYLE

コーヒーブレークをちょっと楽しく〜ヒスイ色のマグカップ「Fire-King」

オシャレな若者たちや外国人が数多く訪れる東京原宿。中でも人気のキャットストリートを歩いていると、ふと見上げたショーウインドーにあったマグカップが目に入った。   ちょっとレトロなデザインと、青磁っぽくもあるグリーンのマグカップはFire-Kingという。1941年にアメリカで生まれた耐熱ガラス食器のブランドだと店主に教えられた。   世はサードウェーブと言われる空前のコーヒーブーム。こだわりの自家焙煎の喫茶店や注文焙煎の豆店、書店には多くのコーヒー特集号が賑わい、バリスタなんていう言葉も珍しくなくなった。その流れによる影響もあるのだろう。器であるカップ類にも注目が集まりつつある。     さて、ちょうど友人の誕生日プレゼントを物色していた私が、このマグカップに目がとまったのは、他でもない彼の愛車のFIAT500のボディカラーにそっくりだったのだ。   このHAPPY! という2009年の限定車には、現行FIAT500がオマージュしたNuova500がデビューした1957年の純正色、Verde Chiaro(ヴェルデ・キアーロ〜「明るい緑」の意味)をオマージュした「ビンテージグリーン」がラインナップされていて、それがまさにFire-Kingの色に非常に似ている。   翡翠(ヒスイ)を意味するジェダイ(Jede-ite *ジェードともいう)と呼ばれるグリーンは、このブランドのイメージカラーにもなっている。そもそもヒスイという宝石は、美しさ、強さにおいて一目を置かれ金よりも珍重された歴史もあり、中国や日本はもちろん、欧州各国や中南米などまさに古今東西で愛されている色。初期のNuova 500をレストアしてる人でもこのグリーンにする人は多い。     このジェダイの他にも、Fire-Kingには様々な企業ノベルティものも数多く存在しており、世界中にもたくさんのファンがいる。ネットオークションなどでも数多くみかけることができるが、なにより、日本で最もオシャレなエリアにこうしたビンテージFire-Kingのお店が存在していることからも、その愛されっぷりは想像に難くないだろう。   ちなみにFire-Kingは一度1986年にその歴史の幕を閉じているのだが、2011年になんと日本で復活を果たしている。しかも、オリジナルが大量生産品だったのに対し、当時の雰囲気残しつつ、今度は日本の職人の丁寧な手仕事で蘇らせている。     香りも味ももちろん大切だが、ちょっと一息つくときに、ヒスイ色のカップからコーヒーが透けて見える姿もなかなか味わい深い。   さっと飲み干すエスプレッソもいいけど、読書でもしながらゆったりのんびり楽しむコーヒータイムも捨てがたい。そんな本当にちょっとしたことだけど、「楽しむ」心が溢れるテーブルの彩り。Fire-Kingはそんな小さなアイテムであることは間違いない。 […]