草木の芽吹く、春は目前。太陽の日差しが気持ちいいこの季節、旅行やピクニックなど、いろいろなところへ出かけたくなるものです。 しかし、愛犬家にとってワンちゃんとの遠方へのお出かけは、悩みのひとつ。電車やバスなど公共交通機関での移動では「吠えないかな?」「トイレは大丈夫かな?」と心配や不安が募ります。 そうした問題を一気に解決してくれるのが、やっぱりクルマ。「犬を飼うなら、 やはりクルマがあった方が便利だと思います 」と語るのは、CPDT-KAというドッグトレーナーの国際資格をもつ三井 惇(みつい じゅん)さん。東京・駒沢を拠点とするショップ「DogLifeDesign」で、ワークショップやトレーニングなどのクラスを担当する三井さんは、さまざまなレッスンを通して犬と人とのより快適な暮らしを提案しています。 クルマがあった方がいい理由とは? まずは、三井さんにクルマがあった方がいい理由を聞いてみました。 「公共交通機関ではなかなか行きにくい場所へ気兼ねなく行けますよね。ドッグランや犬同伴可能なカフェやレストラン、イベントなどに行くことが増えると、これまでよりも飼い主と犬との絆が深まるように思います。楽しい思いを共有できれば生活がより豊かになるのではないでしょうか」。 しかし、犬をクルマに乗せると落ち着かなくなり、乗車中は終始吠えてしまう、という話も聞きます。上手に同乗する方法を続いて伺いました。 まずはクルマに犬を乗せる前にやるべきこと。 「当然ですが、トイレですね。適度な運動もさせておくと、車内でストレスをためにくくなるでしょう。また、成犬になってもクルマ酔いをするワンちゃんは、獣医さんで酔い止め薬を処方してもらうとよいでしょう。ただし、薬が効くのに1時間ほどかかるので、それを計算して飲ませる必要があります。また、ゴハンを食べた後、すぐにクルマに乗せるのも避けましょう。最初からクルマに乗ることに躊躇しないワンちゃんも稀にいますが、基本的に初めての物事に対する警戒心が犬は強いので、大好きなおやつやおもちゃを使って、自然な流れでクルマに乗せてあげるとよいと思います」。 しかし、クルマに乗るとずっと吠えて落ち着かない犬が少なくないよう。そういった場合の対処方法も伺いました。 「まずは、動いていないクルマの中でリラックスさせてあげることから始めましょう。エンジンを切った状態で、ワンちゃんが落ち着くまで抱っこをしたり、後部座席で自由にさせてみたり、落ち着いて飼い主の話が聞けるようになるまで待ってください。そして、愛犬が落ち着いてきたら、エンジンをかけてみてください。最初は、近所を一周するくらいの短距離ドライブからはじめて、回数を重ねて慣れてきたら長距離ドライブに行ってみましょう。長距離ドライブの際は、途中で休憩を取ったり、トイレをさせたり、気分転換をさせてあげることも大切です」。 愛犬とのドライブ中、特に注意すべきことについて、三井さんにお聞きしました。 「これもまた当然のことなのですが、窓を全開にして走行するのは絶対にやめてください。動くものに反応する性質をもつ犬種の場合、対向車やバイク、人、犬、猫、鳥などに反応して車外へ飛び出してしまう危険性があります。また、急ブレーキなどの際、車外へ放り出されてしまう恐れもありますので、特に注意してください。気分転換のために少しだけ開けるのは構いませんよ」。 愛犬に専用シートベルトやクレートを! 愛犬とのドライブを、より安全に、より快適にする方法について、さらに三井さんにお伺いしました。 「 同乗者がいない場合は、ワンちゃんを助手席に乗せてあげてもよいでしょう。ただし、中・大型犬の場合、助手席側のサイドミラーの視認の妨げになることもあります。また、運転の邪魔をすることもあるので、その際は後部座席へ移動させましょう。いずれの席に乗せるにもシートベルトを必ず装着します。 ワンちゃんをひざの上に乗せて運転している方を時々見ますが、これはとても危険です。人間もそうですが、シートベルトを着用していないと、万一の際、大きなケガにつながってしまいます。さらに、こちらも運転の邪魔になってしまうことがあるので絶対にやめましょう。同乗者が抱っこするのも基本的にはおすすめできません。急ブレーキの際に、手を放してしまうかもしれませんからね 」。 では、愛犬とドライブする際、どのよう乗せればいいのでしょうか? 「小型犬の場合は、キャリーバッグに入れてシートベルトで固定するとよいでしょう。中・大型犬の場合は、シートベルトに装着できるハーネスがおすすめ。また、ハーネスでは落ち着かない場合、クレート(写真上の犬運搬用の箱)に入れてください。こちらもしっかりシートベルトで固定することをお忘れなく」。 愛犬とクルマの関係がハッピーなら、毎日はさらにハッピー 三井さんによると、いろいろ試してみても、クルマに乗ることになかなか慣れてくれないワンちゃんもいるとのこと。そんな場合の対応策についてお聞きしました 「ワンちゃんに、クルマで出かけることが楽しいと思ってもらうことが大切です。そうした認識を持ってもらえるよう、根気よく付き合ってあげてください。おやつとおもちゃ、そして褒めてあげることも、とても大事ですよ。 さらにちょっとしたポイントですが、ワンちゃん怖がっているとき、『大丈夫よ』と言うのは意外と禁句です。犬にとっては大丈夫じゃないからです。飼い主の『大丈夫』という声が聞こえると、逆に緊張してしまったりすることがあります。普段通りに接することがワンちゃんにとっても安心できる状態と言えるでしょう」。 最後に、今回の取材で使用したPandaについて、三井さんにドッグトレーナーの視点でお答えいただきました。 「Pandaの車内は、ドライバーとワンちゃんの距離感が近いのがよいですね。ワンちゃんが助手席にいても、後部座席にいても、コミュニケーションが取りやすい。そんな印象を受けました。しかも、わが家のボーダー・コリー用のクレートも後部座席に余裕で載せられましたし、外観から想像するよりも車内が広いのもよいですね。安全対策をしっかり施した上で、Pandaなら愛犬と親密に楽しくドライブできるでしょう」。 いつでも、どこでも愛犬と一緒なら、ペットライフもカーライフも、そして自分の人生も、もっともっと楽しくなるはず。 そのために、より快適、かつより安全なドライブを心がけることが大切。 愛犬と過ごす時間をたくさん増やして、よりハッピーな毎日にしましょう。 三井 惇さん CPDT-KA ドッグトレーナー / WCRL Rally Obedience 公認ジャッジ / JKC 公認訓練士。1997年初代ボーダー・コリーを迎え、ドッグトレーニングの面白さを知る。2003年ドッグダンスを始めたことをきっかけに、日本でももっとドッグダンスを広めたいと犬の行動学や学習理論を学び、ドッグトレーニングのインストラクターになる。2016 年、ドッグダンスのマニュアル本「ニコルとドッグダンス」を出版。現在、一般家庭の愛犬のトレーニングやドッグダンスのレッスンのほかに、ドッグダンスのワークショップやセミナー、発表会を主催。二頭のボーダー・コリーと共に、ドッグスポーツのひとつであるオビディエンス競技やドッグダンスコンペに競技者としても参加している。http://wanbywan.com DogLifeDesign(ドッグライフデザイン) 東京都世田谷区駒沢5-24-5 TEL:03-5433-2988 営業時間:平日 11:00~19:00 土日祝 10:00~19:00 定休日:不定休 駐車場:なし(近隣のコインパーキングをご利用ください) http://doglifedesign.com/ PHOTO/長野竜成 ※撮影は私有地で許可を取って行っています。犬の散歩にはリードをお忘れなく。 ペットといっしょの毎日を、もっと楽しくするフィアットグッズをご用意 詳しくはこちら