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イタリアの優雅なるオープンエア文化

ビーチカーという粋 オープンエア文化といえば、ビーチカーと呼ばれる往年のイタリアにおけるリゾート車だ。 このモデルを見て思いを馳せるのは、ビーチカーと呼ばれる往年のイタリアにおけるリゾート車だ。本来クローズド・ボディであるモデルをベースに、ルーフを切り取ったカスタムメイド車である。1950年代から1960年代のイタリアを象徴する一自動車文化だ。1958年のサンレモ音楽祭で優勝し、今日まで続く伝説的カンツォーネ「ヴォラーレ」が世の中に流れ、人々がその甘い歌声に酔いしれていた時代である。 ビーチカーの主たるオーナーは富裕層だった。リヴィエラ海岸などで夏を楽しむ彼らは、別荘からヨットを停泊させている港や、ゴルフ場への足を欲した。彼らは市販のスパイダーを使う代わりに、カロッツェリア(車体製造工房)にオープンモデルを造らせた。やがてそうしたトレンドにより、カロッツェリア「ギア」が製造したフィアットの『600』や『500』をベースにした『ジョリー』や、1968年にジョヴァンニ・ミケロッティがヨット・デザイナーのフィリップ・シェルと共作した『フィアット850シェレッテ・スピアジェッタ』のような、数十台〜数百台規模の量産モデルが誕生することになる。   ▲フィアット『500ジョリー・カプリ(レプリカ)』。シートは涼しげな藤製。   ▲カロッツェリア・ヴィニャーレによる1968年製の『フィアット500ガルミネ』。リアエンジンにもかかわらず、前部にダミーのラジエターグリルを加えて、レトロ風にしている。   閉められるルーフをもたないばかりか、ドアさえも取り払ってしまったビーチカーは、夏の余暇を楽しむ以外には使いにくい。そうした実用性を無視した造形は、カタログモデルのスパイダーや高級車を乗り回す以上の豊かさの表現であった。小さな大衆車がベースであったのは、イタリアの海岸独特の狭い路地を移動しやすいためであったことは明らかだ。だが、同時にファッションの世界にたとえれば、もともと作業着に多用されていた麻やジーンズをフォーマルな装いにも使うようになったことと共通する玄人の粋とみることもできる。 やがて、そうしたクルマたちは、高級ホテルの上顧客用にもレンタルされるようになっていった。南部のカプリ島ではゲストの送迎用にも導入されるようになり、その名残として、現在でもフィアット車の屋根を取り払った車両を見ることができる。   ▲伝説のデザイナー、ジョヴァンニ・ミケロッティがフィアット『850』をベースに手掛けた1968年製の『シェレッテ・スピアジェッタ』。   ▲『シェレッテ・スピアジェッタ』は、ダッシュボードまで籐という徹底ぶり。     セレブが感じていた風 ビーチカーとセレブリティにまつわる話題は少なくない。 ユル・ブリンナー、ジョン・ウェインといったスター俳優たちも、ギアの『ジョリー』をガレージに収めていた。モナコ公国のレーニエ大公とグレース王妃は、1959年のローマでフィアット『500ギア ジョリー』とともに写真に収まり、それは同年に雑誌の表紙写真を飾っている。大公はビーチカーの虜になってしまったようで、のちにフィアット『600ギア ジョリー』をみずからの自動車コレクションに加えている。 実はフィアットブランドの創業家3代目である“ジャンニ”ことジョヴァンニ・アニェッリ(1921-2003)もビーチカーの熱心なファンで、いくつものカロッツェリアに製作を発注している。 かのジャクリーン・ケネディとも交流があった彼は、彼女が1962年にイタリア南部のアマルフィ海岸でバカンスを過ごす際、フィアット『600』のビーチカーをトリノから送っている。 1965年には、今日まで続くイタリアの名門カロッツェリア「ピニンファリーナ」に『エデン・ロック』と名づけられたビーチカーを発注している。   ▲ジョヴァンニ・アニェッリのためにピニンファリーナがカスタムメイドした1956年製の『エデン・ロック』。ベースは当時のフィアットにおける多目的車『600ムルティプラ』であった。   アニェッリのビーチカーといえば、カロッツェリア「ボアーノ」に依頼した『スピアッジーナ』についても記しておくべきだろう。彼は1台を自分用に、もう1台を以前交流があったジャクリーンの2番目の夫であるギリシアの海運王アリストテレス・オナシスにプレゼントしている。   ▲アニェッリがカロッツェリア・ボアーノに依頼して誕生した1958年製の『スピアッジーナ』。車体を取り巻くバンパーとサイドモールは木製である。写真はイタリア・コモで2018年に開催された「コンコルソ・ヴィラ・デステ」にて。   さらに2001年、彼が80歳の誕生日には、1998年にデビューした新ムルティプラを基にしたビーチカーを、再びピニンファリーナに依頼している。 そうした“アニェッリ・スペシャル”たちは今日、コレクターによってたびたびアメリカやヨーロッパの古典車エレガンス・コンクールに登場。彼の高い自動車センスをいまに伝えている。   ▲2001年製のフィアット『ムルティプラ スパイダー』。ドア代わりのバーを受ける支柱は、ヨットのボーディング・ラダー(階段)を想起させる。フィアット歴史資料館蔵。   朝、村のベーカリーやバールから漂う焼きたてパンやエスプレッソの香り。潮風、海岸の松や果実が発する匂い、そして夕刻は町のリストランテから流れてくる料理の芳香。BGMは、地元の人々の陽気な方言だ。セレブリティにとって、そうした香りや音こそが本当の安らぎであり、真のドルチェ・ヴィータ(甘い生活)だったのである。 イタリア車の歴史を感じ、いまも変わらぬ町の風や香りを感じながら走る。イタリアのカブリオレには、異次元の豊かさがある。   Text : 大矢アキオ (Akio Lorenzo OYA) Photos : Akio Lorenzo OYA/Pininfarina […]

LIFESTYLE

イタリア高級帽子ブランド「ボルサリーノ」。クリエイティブキュレーターが語る老舗の誇りとクラフトマンシップ

世界中の誰もが憧れる、世界最高峰の帽子ブランド「ボルサリーノ」。イタリアを代表するブランドであり、クラフトマンシップを大切にしながら伝統を守り続けているなど、ボルサリーノとフィアットには多くの共通点があります。そんなイタリアの2大ブランドによるコラボレーションが実現しました。   世界に冠たるイタリアの高級帽子ブランド「ボルサリーノ」とは?   ひとたび帽子をかぶれば、たちまち誰もがエレガントになれるボルサリーノは、1857年に創業者であるジュゼッペ・ボルサリーノ氏が北イタリアのアレッサンドリアに設立してその華麗なる歴史がスタートしました。     1900年にパリ万国博覧会にてグランプリを受賞したことから、一躍世界中から脚光を浴び、またたく間に世界を代表する人気ブランドへと飛躍。1925年には最初に工房を建てたアレッサンドリアにボルサリーノブティック1号店をオープンさせました。     1930年からはボルサリーノの帽子が多くのハリウッド映画に登場するようになります。『カサブランカ』ではハンフリー・ボガートが、『8 1/2』ではマルチェロ・マストロヤンニが、『勝手にしやがれ』ではジャン・ポール・ベルモンドがボルサリーノの帽子を着用し、世界的スターたちが身につけるボルサリーノ・ハットの人気は不動のものになります。 1970年、フランスを代表する2大俳優アラン・ドロンとジャン・ポール・ベルモンド主演の映画『ボルサリーノ』(ジャック・ドレー監督)が公開されますが、高級ブランド名がそのまま映画のタイトルになるのは世界で初めてのことでした。     その後もモスキーノやヨウジ・ヤマモトといった世界の名だたるデザイナーたちともコラボレーションを成功させ、世界中の人々に愛され続けてきました。現在は世界に9つの旗艦店と約550店舗を展開、今なおそのエレガントさは時代を超えて、ますます輝き続けています。     ボルサリーノが誇る、創業時から変わらぬ一流のクラフトマンシップ   ボルサリーノが19世紀半ばからずっと世界中から愛されてきた理由は、創業時から職人たちによって徹底的に守られているクオリティと独自のスタイル、そしてそれらを支えるクラフトマンシップにあります。 フェルトハットとストローハットの2ラインを展開していますが、いずれも伝統的な製法のハンドメイドにこだわり、何世代にも渡って忠実につくられ続けています。     イタリアを代表するブランドとしての誇りなど、フィアットと多くの共通点をもつボルサリーノ。そんなボルサリーノのクリエイティブキュレーターを務めるジャコモ ・サントゥッチ氏への特別インタビューが実現し、ブランドの魅力やフィアットとのコラボレーションについてお聞きしました。   ボルサリーノ・クリエイティブキュレーター、ジャコモ ・サントゥッチ氏の特別インタビュー   <プロフィール> Giacomo Santucci ジャコモ ・サントゥッチ ボルサリーノのクリエイティブキュレーター。これまでドルチェ&ガッバーナの最高執行責任者、グッチの社長兼最高経営責任者、プラダのアジア太平洋マネージャーなど数多くのブランドで経営指揮やマネージメントを行ってきたラグジュアリーブランドのエキスパート。パリ工科大学で原子力工学の学位、ボッコーニ大学でMBAを取得。           ー長きにわたり、帽子を作り続けてきている御社の、製品作りに対するフィロソフィーを教えてください。   ボルサリーノの創造的なフィロソフィーは、アレッサンドリアに帽子工房が設立され、アーツ・アンド・クラフツ運動の花が開いた 19 世紀後半の特定の時代にインスパイアされています。 その当時のスタイルが現代風に再解釈され、過去と現在の間に有意義な対話を生み出しています。   ーボルサリーノがものづくりにおけるこだわりのポイント、そしてデザインについて重視しているポイントなどを教えてください。   1857 年の創業以降、ボルサリーノの製造は世代から世代へと受け継がれ、ブランドの文化的価値を表す製造プロセスを忠実に守ってきた点がこだわりのポイントです。 例えばフェルトハットはマテリアルからつくるのですが、ひとつ完成させるには手仕事による50以上のステップと7 週間の作業が必要です。 手で編んでつくるストローハットでは、1 […]

DRIVING

想像以上の逞しさを実感! 自動車ジャーナリストがPanda Cross 4×4を雪上でテスト

雪道での実力を試したくて往復750kmドライブ 日本各地で桜を喜ぶ声が聞こえ始め、雪景色なんてもうほとんど残っていないんじゃないか? という3月下旬のある日。冬の名残を探して、フィアット・パンダ・クロス 4×4で往復750km少々のロングドライブに出掛けてきました。なぜなら、この小さいのにちょっとワイルドなヤツを装ったヤンチャ坊主のようなパンダ・クロスが、ホントのところはどこまで逞しいのかを知りたいな、と思っていたからです。 結論から述べてしまうなら、このパンダ・クロス、成り立ちから分析してみた自動車ライターとしての予想どころか、イタリア車好きとしてのひいき目込みの期待感をも大きく超える走破性の高さと、1台のコンパクトカーとしての完成度の高さを、ハッキリと見せつけてくれました。それはもうちょっとした驚きといえるほどに。     ジェントルなパンダがワイルドに変身 パンダの4WDモデルは、これまでも限定車というかたちで何度か上陸を果たしています。このパンダ・クロスが従来のパンダ 4×4と異なるのは、主としてルックスでしょう。動物の方のパンダみたいな目の周りの黒と、その目元に埋め込まれたフォグランプ。フロントのバンパーの下側にはシルバーの樹脂製スキッドガードが備わり、左右に赤いトウフックが顔を出しています。リアのバンパーもスキッドガード風のデザインになり、コンビネーションランプもフロントと同様に黒いプロテクションで覆われています。     そうした遊び心のあるアレンジが加えられたおかげで、かわいらしくも穏やかな印象のパンダが、一気にワイルドなオフローダーへと変身したかのようです。そしてこのバンパー周りのデザイン変更は走破性の向上にもつながってることが、数字の上からも解ります。アプローチアングルが24°、デパーチャーアングルが34°と、それぞれ通常のパンダ 4×4より1°ずつ向上しているのです。いずれも凸凹道や急坂道を走るときの路面と車体の干渉の度合いを知るための参考になる値。つまり、より干渉しづらくなっている、ということですね。 他にもルーフレールがよりキャリアやボックスを取り付けやすい形状のハイトの高いものへと変わっていたりして、パンダ・クロスがフィールドを楽しむことをこれまで以上に考えて作られたモデルであることが分かります。     機能の面では、従来のパンダ 4×4ではダッシュボードにあった“ELD”、つまりエレクトロニック・ロッキング・ディファレンシャル(=電子式デフロック)のスイッチが廃止され、センターコンソールにドライブモードのセレクターダイヤルが備わったのが新しいところです。モードは通常走行のための“オート”、4輪の駆動力配分のレスポンスを高めるとともに、それぞれのタイヤにブレーキ制御をかけることで空転を抑えるLSD的な機能も働く“オフロード”、滑りやすい急な下り坂で自動的に細かくブレーキを介入させることで安全性を高める“ヒルディセントコントロール”の3つ。これもフィールドを楽しく走るために有効なものですね。 それ以外は、基本的にはこれまでのパンダ 4×4と一緒です。路面から車体の最も低い部分までの高さが161mmと、パンダのFFモデルよりも遙かに大きなロードクリアランス。通常は前輪に98%、後輪に2%の駆動を送り、走行状況や路面状況に応じて駆動力の配分を瞬間的に変化させる、トルクオンデマンド式のフルタイム4WDシステム。アイドリング付近から素晴らしく粘り強いトルクを発生させるツインエア・エンジンに、いかなるときも駆動力のことを考えてるといわんばかりの低いギアレシオを持った6速マニュアルトランスミッションの組み合わせ。姉妹ブランドのジープと同じとまではさすがにいきませんが、パンダ 4×4は元々がいわゆる“生活ヨンク”と呼ばれるクルマ達よりも一段高いレベルの、しっかりした4WD性能が与えられているモデルなのです。     背が高いのにワインディングロードでもよく曲がる このクルマで350kmほど先の雪景色を目指したのですが、そこまでのアプローチの大半は街中走行や高速道路でのクルージング。僕はその段階でもう、パンダ・クロスに好印象を持ちました。直列2気筒875ccターボのツインエア・エンジンが意外や速い、というのはよく知られた話でしょう。85ps/5500rpm、145Nm/1900rpmという数値だけ聞かされたら期待は持てないように感じられるでしょうけど、このエンジンはトルクの沸き立たせ方が巧みで、ゴー&ストップを含めた街中でも扱いやすく走らせやすく、高速道路に入れば巡航しやすいうえに力不足もじれったさも全く感じないという出来映え。ギアレシオが全体的にFFモデルより低い設定であることも手伝って、巡航状態から加速していくときの素早さも増しています。発表されている0-100km/h加速タイムは12秒と、スポーツモデルではないこのクラスのクルマとしては優秀な数値。体感的にも日常生活において、あるいは日本の交通状況の中で、不満らしい不満に繋がることはないでしょう。     雪が残るエリアへの山道の登り坂は、当たり前のようにツイスティなワインディングロードです。スタンダードなFF版パンダは、そのルックスにはそぐわないフットワークのよさを見せてくれるクルマとして高い評価を得ています。そこから推定値で65mmほどフロアの位置、つまり最低地上高が高くなってるパンダ・クロスは、もちろん重心そのものも高くなってるわけで、本来ならグラついたり揺り戻しが大きく出たりしてもおかしくありません。こうした場所は苦手分野だろう、という先入観を持たれても不思議はないのです。が、いやいや、とんでもありません。確かにコーナーを曲がるときの車体の傾き具合はやや大きくなってはいます。けれどその動きはとっても自然で解りやすいし、何より元々の持ち味が健在。ステアリング操作に対して素直なフィールを感じさせながら気持ちよく曲がってくれるハンドリングは気持ちいいし、そうしたときのしっかりと腰を粘らせながら路面を捉えていく安定した曲がりっぷりには感心させられます。ツインエア・エンジンのどこからでもしっかりと力を送り出してくれる性格は、コーナーから立ち上がって次のコーナーに向かうまでの爽快な加速を作り出してくれます。マニュアルトランスミッションならではの“操縦してる”感の強さは、今や貴重ともいえるドライビングの根源的なおもしろさのひとつ。パンダ・クロスで走るつづら折れ、実は望外に楽しいものだったのです。     雪道や泥濘みではっきり生きる見た目以上の逞しさ なので、この時点ではとっくに “パンダ・クロス、いいなー!”なんて感じていました。けれど、山を登り切った辺りの雪景色の中に辿り着き、積雪した路面、凍った路面、それが組み合わさった路面、陽当たりがよく雪が融けて泥々になった路面など、滑りやすいところをたっぷり走ってみると、それはいとも容易く“パンダ・クロス、ものすごーくいいなー!”に昇格したのでした。     なぜなら、この4WDシステム、かなり優秀なのです。4つのタイヤのそれぞれが駆動の強弱を滑らかに素早く変化させながら、確実に路面を掴んで前に進んでいく。その様子が車体やステアリングを通じて伝わってきます。わざとアクセル操作をラフにして前輪を空転させようと試みましたが、空転はしたかしないかの一瞬だけ。ほとんど同時に後輪の駆動力がグッと膨らんで、全く何事もなかったかのように前に進んでいきます。わざと4つのタイヤが不安定になるようなドライビングも試みましたが、どこかが安定を失えばどこかが補う、それも瞬きする間もなく……といった感じで、破綻させるのが難しいほどでした。磨き上げられたアイススケートのリンクのような場所でそれなりの速度域まで持っていくなら話は別でしょうが、僕達が普通にこのクルマで入っていける場所ならほとんど全て、どこだって走れちゃうんじゃないか? と感じたほどでした。僕は駆動力配分の変化のレスポンスのよさが欲しかったので走行モードを“オフロード”にして走ることが多かったのですが、最初から最後まで“オート”でも全く問題はなかったかも知れません。パンダ・クロスはカッコだけの見かけ倒しとは全く異なる、実に逞しく頼りになる相棒だったのでした。     懐深く大人びた、疲れ知らずの乗り心地 そしてもうひとつ。足元の悪いところを楽しんで、下りのワインディングロードも楽しんで、再び高速道路をひた走って東京に近づいたときのこと。夜中に出発するときにリセットしたオドメーターは、650kmを超えてました。けれど、それほど疲れを感じてないことに気づいたのです。走っていて楽しかったからというのも無視できない要因ではあると思うし、自分自身が長距離に慣れてることも要因のひとつだったかも知れません。が、何より乗り心地がよかったのです。地上高を上げるのに伴ってサスペンションのストローク量を大きくしたことを、キッチリと活かしているのでしょう。路面の凹凸をしなやかに吸収し、不快な衝撃として伝えてくることがほとんどないのです。加えてクルマそのものの高速走行時の直進性がいいこと、ステアリングの座りがよくて反応も機敏すぎず素直であること、シートが上手く身体を沈み込ませて安定させてくれること、車体がとにかくコンパクトだし視界もいいから気疲れが少ないこと、なども疲れ知らずの要因でしょう。スポーツカーのような姿はしていませんが、本来の意味でのグランドツーリングには、このクルマは最適な1台といっていいかも知れません。     しかも軽く衝撃を受けるほどの出来映えなのに、値段は200万円台半ばほど。このクラスの4WDモデルとしては、コストパフォーマンスはピカイチです。何だかホメ過ぎのような気がしないでもありませんが、ウソはなし。僕自身、憧れてるライフスタイルへのターニングポイントに辿り着いたらこのクルマを手に入れたい、と感じてしまったくらいです。様々なSUVにも4WDモデルにもこれまでたっぷり試乗してきたというのに、あっさりと……。 先日発表されたばかりのモード グレーのパンダ・クロス 4×4も、カラーリング以外はほぼ同一の仕様。鮮やかなイエローとは異なりますが、少し大人びたシックな雰囲気がまた魅力的です。215台の限定ですが、こちらもまた人気を呼びそうですね。 いずれにしても、パンダ・クロス、おそるべし。フィアット、おそるべし。そんなふうに痛感させられた、春先の雪景色探訪ロングドライブだったのでした。 文 嶋田智之(自動車ジャーナリスト) 写真 神村 聖   […]

CULTURE

水引って知ってる? FIAT限定車に採用されたモチーフを調べてわかったステキな伝統文化

ご祝儀に使用される日本の伝統文化「水引」 皆さん、水引(みずひき)ってご存じですか? 2020年2月5日にフィアットから発売された限定車「500 Super Pop Giappone(スーパーポップ・ジャポーネ)」に、特別装備のステッカーとして「水引」が採用されています。モチーフとなったのは、水引の代表的な結びである「あわじ結び」を発展させ、梅の花型に仕上げたもの。カタチがかわいく、色を織り合わせた表現がきれいなその水引模様が個人的にとても気になったので、Ciao! Magazine編集部で水引について聞いてみたところ、水引について詳しく説明できる人はほとんどいませんでした。 そこで今回は、日本の伝統文化であり、昔から目にする機会が多いにもかかわらず、詳しい人があまりいない水引について、水引一筋140年以上の老舗、田中宗吉商店さんにお話をうかがいに、長野県は飯田市へと向かいました。飯田市は水引の生産で、全国の70%を占める一大産地なのです。 水引について聞いてみた ──水引とはどういうものか教えてください 「楮(コウゾ)や三椏(ミツマタ)を原料に作られた和紙を、テープ状にし、それを縒(よ)ることで紐状にします。紐状にしたら糊をつけて固めます。こうして水引の芯ができあがります。あとは染色などの工程を経て完成しますが、最近ではさまざまな色のフィルムや絹などで包み込み、新たな表現を追求した水引も存在しています。水引は古くから祝儀袋や正月飾り、結納セットなどに使われていますが、もともとは髪を結うための“元結(もとゆい)”が原型でした。元結は、明治4年の断髪令により、男性がまげをしなくなったため需要が大幅に減少しましたが、今でもお相撲さんは元結で髪を結っています。ちなみに相撲協会でご使用いただいている元結もここ飯田市で作られているのですよ。強度があり丈夫だから相撲のようなハードな用途にもご愛用いただけているのだと思います。水引は、“結ぶ”という日本古来の慣習を重んじた製品で、“人を結ぶ”、“心をつなぐ”ものとして古くから愛用されてきました。機械化が進んだ現在も、結びの作業は一貫して手作業でていねいに行われています」 ──水引はご祝儀袋に代表されるように、お祝い品として生活の様々な場面を彩るシーンで使われていますね 「そうですね。やはり、“人を結ぶ、心をつなぐ”縁起の良いものであるという点と、相手に差し上げるときに、美しい装飾ゆえに心がこもる、そういった日本らしい温かな慣習が大切にされているのだと思います。あとは日本独自の文化ですから、“和”の象徴、地域の代表品として、国内のみならず世界に発信されています。例えば、某国内航空会社に、欧米路線のファーストクラスのお客様のおもてなし品として、一定期間、飯田水引のアクセサリーを採用いただきました。また、1998年の冬季長野オリンピック・パラリンピックでは、参加選手や関係者の方々に飯田の水引細工が贈られたんですよ」 ──水引の結び方には色々あるそうですが、代表的なものとその意味を教えていただけますか 「結び方には、“結び切り”、“花結び”、“あわじ結び”などがあります。結び切りは、簡単にほどけないことから、一度きりであってほしいことに使います。花結びは、簡単にほどけるということで、繰り返しあっていいこと。例えば、入学や新築、出産などのお祝いに使われています。あわじ結びは、固く結ばれることから、結婚のお祝いをはじめ、人や心を結ぶといった場面に使われます。また、祝儀袋の裏側は、ご祝儀の場合、“受け止めて流れない”という意味を込めて、下の折りが外側に来るように折ります。不祝儀の場合はその逆で、上の折りが外側に来るように折ります」 ──水引は最近、アクセサリーとしても注目されているようですね 「はい、近年はモノ消費よりコト消費などと謳われていますが、編み物やパッチワークを楽しむような感覚で、水引細工を自由な発想で楽しまれる方が増えていますね。素材のバリエーションも増えていて、さまざまな表現が可能になりました。ですから、水引は無限の可能性を秘めているといっても過言ではないかもしれません。水引を専門に扱う我々もアクセサリーを製品化していますが、最近はYouTuberの方の目に止まり、独自のアクセサリー作りを紹介している方がいらしたり、企業から“こういうものが作れないでしょうか?”という問い合わせをいただいたりもしています。水引アクセサリーは、短い時間で独自性のあるモノづくりを楽しめるところが、いまの時代に合っているのかもしれませんね」   水引細工を作ってみた 水引のアクセサリー。気軽に楽しめるということで、田中秀明さんにご指南いただきながら、挑戦してみました。ここでは、フィアット限定車の模様に似たデザインができるということで、あわじ結びを応用して作れるトリコローレカラーの水引細工を作っていきます。 45cmの長さにカットした3本の水引を使用します。用意する道具は、ニッパー、ハサミ、水引を固定する細いワイヤー 水引を、左右がだいたい均等となるように曲げ、輪を作ります 片方を写真のように曲げます(ここでは輪の中は通しません) もう片方の長い方の線を写真のように輪の中に通します 輪を通したら引っ張りあげます 線を引き上げると3つの輪ができるので、それぞれの輪を同じぐらいの大きさになるように整えます 3つの輪ができました。これがあわじ結びです さらに片方の線を写真のように通し、4つ目の輪を作っていきます 輪を通したら、先を引っ張り、輪の大きさを整えます 長い方の線を写真のように輪の中に通します 輪を通したら、下に引っ張ります。これで5つ目の輪ができました 5つの輪を作ったらかたちを整え、最後に通した水引の交点を、ほどけないようにワイヤーで固定します ワイヤーで固定したら、ハサミで余ったワイヤーをカットします 余った水引を切り落とします 完成! なお、“結び方がわからない”という人は、飯田市のwebサイト『ハジメマシテ飯田』内にて紹介されている “あわじ結びの結び方”という動画を合わせてご参照ください。 【動画】水引 あわじ結びの結び方(『ハジメマシテ飯田』より)    自分だけのアクセサリーを作ってみよう はじめての水引細工。最初は難しそう……と思っていましたが、結びの基本パターンを理解してしまえば、あとはその組み合わせで様々なかたちのものを作れそうな可能性を感じました。ちょっとした贈り物として、また二人を結ぶお守りとして、マイ水引アクセサリー作りに試してみては? 人と人を結び、心と心をつなぐ水引。とてもステキな伝統工芸ですね!  今回の「500 Super Pop Giappone」に採用された水引にも、さまざまな想いや意味が込められていることを知ることができました。興味のある方は、ぜひチェックしてみてください! それではCiao! 500 Super Pop Giapponeの詳細はコチラ Photo/荒川正幸 […]

NEWS

永瀬匡、岩本ライラ夫妻が『500 Unisex』の魅力を ファッションで表現

男女問わず洗練を楽しめるモデル イタリアらしいデザインマインドが脈々と受け継がれているフィアットは、100年以上の歴史を走ってきた名門ブランド。外観だけでなく、細部までこだわり抜いた内装のおっしゃれさなど「これぞイタリア!」といった美しく洗練されたデザインが魅力のモデルばかり。 そんなフィアットから街の景色をスタイリッシュに彩る洗練の限定車「500 Unisex(チンクエチェント ユニセックス)」が登場。 ボディーカラーは、オペラ ボルドーとコロッセオ グレーの2色、シートカラーはボルドーとブラウンの2色を設定。それぞれの組み合わせで、合計4つのタイプが選べる。さらに、イタリアの高級家具ブランド『ポルトローナ・フラウ』のレザーシートを採用するなど、ひとクラス上の特別装備が充実。 男女問わず堪能できるジェンダーレスなモデルは、いつものドライブを特別なものにしてくれそう。 いつものドライブを特別なものにしてくれそう。スタイリッシュなオペラ ボルドーとコロッセオ グレー、あなたならどちらを選びますか? クルマもファッションも“ユニセックス”が合言葉 クルマとファッションは自己表現のツールといっても過言でない。大好きな彼女や彼とドライブに出かけるとき、友達とどこか知らない街に出かけるとき、そしていつか子どもができたとき……。常に私たちの日常を豊かにしてくれるものだからこそ、ハイセンスな車を選びたい。憧れの一台でさっそうと街を駆け抜けるなら、ファッションもいつものままじゃつまらない。今回は、俳優の永瀬匡さんとモデルの岩本ライラさん夫婦が、“ユニセックス”を合言葉にスタイリングを交えたクルマとの撮影に挑戦。新進気鋭のフォトアーティスト、ARISAK(アリサック)さんとの息のあったコンビネーションで、フィアットの新たな世界観を映し出しました。 妻のライラさんが撮影のパートナーに選んだのは、メタリックな質感が特徴のコロッセオ グレー。「とにかく、内装がレトロモダンでかわいくて素敵!  車にあわせてスタイリングを意識するだけで気分が変わりますね」。メンズっぽい黒のライダースにスキニーデニムをあわせ、インナーに差し色をくわえることでダークになりがちなモノトーンを、いまっぽくブラッシュアップ。スタリッシュなコロッセオグレーとエッジの効いたスタイルが潔くマッチし、新しい女性の魅力を開花させていました。 一方、夫の匡さんがセレクトしたのは、気品溢れるオペラ ボルドー。スタイリングは、ライラさんと同じく黒のライダースをチョイスし、露骨なメンズっぽさで勝負。白いTシャツをアクセントにするだけで軽やかさが加わり、グッと春らしい装いに。「ライダースは男女問わず着られる、ユニセックスなアイテム。カジュアルにも着られるし、ドレスアップもできる。オペラ ゴールドのクルマとあわせると色気が増しますね」。 ドレスアップしていざ出陣! シーンを変えて、ラグジュアリーなドレススタイルに衣装替え。ライラさんはフラワーパターンを生かしたシフォン素材の優雅なドレスを。匡さんはピンストライプのセットアップで男のダンディズムを披露。気になるコーディネートのポイントは「このジャケットはちょっとヤンチャな雰囲気だけど、フリルシャツをあわせることで、フェミニンな要素が加わり、緩急をつけています。洋服は普段からクルマありきで決めることが多いですね」と匡さん。ライラさんは「普段、ドレスってあまり着ないのでとても新鮮でした。クルマから降りると裾がフワリと揺れ動き、ちょっとしたイベントやパーティにピッタリ」。 撮影中、夫婦の会話もチラホラ。「ドライブするなら朝日を見に、湾岸線とか走りたいよね!それとも横浜に行っちゃう? 」と匡さん。「都会を駆け抜けて、空がきれいに見える場所とかいいね」とライラさん。お気に入りのクルマと一緒だからこそ、普段は行かないような場所に足を運び、ロマンティックなシチュエーションに浸りたいと語っていました。 今年、新たな命が誕生し、これまでとはライフスタイルが激変した2人。ライラさんが妊娠中のときは、匡さんが産婦人科にクルマで送り迎えをしていたのも過去の話。 新米パパ、ママとして描く理想の未来とは?  「2人だったころとは違って、これからは出かける場所が変わりそう。僕は子どもを連れてキャンプに行きたいな。自然と触れ合う、そういうことを教えていきたい」と匡さん。ライラさんは「私も自然のある場所に3人で行きたい!  キャンプもいいけど、海沿いを走るのもいいな。クルマの窓から海を眺める子どもの笑顔をみたいですね」。と、3人の近い将来に目を輝かせていました。 デザイン性はもちろん乗り心地もバツグ 撮影で使用した500 Unisexは、イタリアの高級家具メーカーであるポルトローナ ・フラウ社製のレザーシートを採用。ツインエアー ラウンジという上位モデルをベースした、全国限定120台のスペシャルなモデル。ボディカラーは、シックなオペラ ボルドーとシャープなコロッセオ グレーの2種類。デザイン性はもちろん、乗り心地も快適に設計されている。実際に乗ってみた感想を2人に聞いてみた。「男女問わないデザインと色に惹かれました。コンパクトなボディなのに、大きなガラスルーフのおかげで密室感がないくて良いですね。ライラはどう?」「見た目よりも車内が広いので、ドレスを着ていても足が伸ばせる! 服を選ばず快適に過ごせるのが嬉しい」と、お気に入りのポイントを教えてくれました。 ファッションラバーをも刺激する、500 Unisex。この2人をお手本に、とびきりのオシャレを楽しみながら、行ったことのない街に遠出をしてみるのもアリなのでは。あなたなら、どんな服を着て誰とドライブに出かけますか? 永瀬匡ドラマや映画、舞台などで活躍中。仮面ライダーから大河ドラマまで、さまざまな役どころに挑戦する若手俳優として、いまもっとも注目される存在。端正な顔立ちと独自のスタイルで、メンズのファッションアイコンとしても支持を得ている。 岩本ライラストリートからモードまで、女性誌媒体で活躍する人気沸騰中のモデル。切れ長の瞳と透き通るような肌が魅力で、その凛とした中性的な佇まいは唯一無二の存在。ミステリアスな表情とは裏腹に、趣味はバドミントンという以外な一面も。 500 Unisex製品の詳細はコチラ 500 Unisex フェア4/13(土) – 14(日)フィアット正規ディーラーにてフェア開催詳しくはコチラ […]

DRIVING

限定車『500S Manuale』を徹底解剖!

取材・文 九島辰也 都心の小道もノーストレス!走りの楽しさが味わえるチンクエチェント フィアット500、通称チンクエチェントは不思議なクルマだ。これだけ小さく、可愛らしいのにも関わらず、老若男女問わず愛されている。ミラノやトリノといったお膝元を一時間も散歩すればよくわかる。真っ赤なボディにキャメルのソフトトップをつけた女性ドライバーもいれば、ダーク系のカラーをビシッとキメた紳士の姿も目にする。もちろん、それはパリのような大都会や地中海側のリゾートでも一緒。若い人たちだけでなくリタイア後のご夫婦の足にも使われているようだ そしてそれは海を越えた日本でも同じ。fiat magazine CIAO! にもいろいろなタイプのチンクエチェントオーナーが登場している。というか、かくゆう私もその一人。齢五十路でチンクエチェントを日々の足として使っている。都内を移動するのにストレスのないサイズと操ることを楽しませてくれる走りは、決して飽きることはない。 マヌアーレとは? さて、そんなチンクエチェントに新しい仲間が登場した。マヌアーレだ。昨年12月19日、100台の限定で2019年1月12日に発売を開始するとアナウンスされた。正式名称は『500S Manuale(チンクエチェントエス・マヌアーレ)』。マヌアーレとはマニュアルトランスミッションのことをいう。なので、当然だが2ペダルのATモード付5速シーケンシャルのデュアロジックはない。ダッシュパネルセンター下部からニョキっと生えているのは、5速のマニュアル用シフトレバーである。 と、ここでフィアット好きの方なら、「マヌアーレって前にもなかった?」とつぶやくであろう。そう、その通り。今回のマヌアーレは第二弾。第一弾は2018年6月9日に発売された。その時も100台限定で、アルペングリーン60台、イタリアブルー40台という2つのボディカラーが用意されていた。要するに今回は、「ご好評によりアンコール!」ってことになる。 イタリア車ならではのスタリッシュカラー ポンペイ グレー ではその詳細だが、ボディカラーはポンペイ グレーというメタリックの限定車専用色のみとなった。前回とは異なるカラーリングでのリリースだ。そしてボディを着飾るのはさまざまなパーツ。マヌアーレの名前が500Sとなっていることからもわかるように、“S”専用のお化粧が施される。専用のフロントバンパー、サイドスカート、リアルーフスポイラー、リアバンパー、15インチアルミホイールなどだ。また、ドアハンドルやテールゲートハンドルがサテングレー仕上げなのも見逃せない。前述したポンペイ グレーとのマッチングが絶妙。この辺のセンスの良さは、さすがイタリア車と言いたい。 インテリアを覗き込むとここもそう。黒を基調としたカラーコーディネイトは外装色との相性はバッチリ。 サイドサポートに白いラインの入ったファブリックシートのデザインもかなりいい感じだ。 それに専用色のダッシュボードとレザーのステアリングが特別感を濃くする。助手席側の赤い“500”の文字もまたいいアクセントになっている。 ツインエアエンジン×5速MTが生み出す独特のフィーリング 5速MT(マニュアルトランスミッション)のマヌアーレに組みあわされるエンジンは、インタークーラー付きターボの0.9リッター直2のマルチエアとなる。カタログモデルにある“ツインエア”と同じパワーソースだ。特徴はクルマ好きにはたまらないフィーリング。エンジンの振動、音、そこから発生するパワーが手に取るように感じられる。いってしまえば、まるでオートバイのよう。個人的に所有しているのもツインエアで、このエンジンの独特なフィーリングが気に入って購入した。シームレスな加速感と静かさを追求するイマドキの高出力型エンジンとは真逆な立ち位置といえる。 その2気筒エンジンをMTで操作して走らせるのだから、マヌアーレが楽しくないはずはない。確かに小排気量の2気筒エンジンは回転数が落ちてからの盛り返しが少々苦手だったりする(オーナーからすればそこも可愛かったりするが)。それをMTで操作し、おいしいところを自分のタイミングで引き出せるのだからこんなに便利なことはない。想像するに、野球で言うところの黄金バッテリーのような組み合わせだ。ちなみに、このツインエアエンジンとMTの組み合わせは、パンダの限定車『Panda 4×4 Italiana』(6速)でも使われている。その意味では実績は十分と言えるだろう。 マヌアーレの価格は241万円(価格は、2019年1月10日現在の全国メーカー希望小売価格(消費税込)です)。いろいろな専用パーツが付いていることを鑑みればお値打ち価格である。というか、単体でも濃い味のツインエアエンジンをMTで楽しめるのだからその価値は他とは比べられない。オンリーワンだ。   でもちょっとだけ気になるのはマヌアーレというネーミング。イタリア語勉強中の私にはわかりやすいけど、マニュアルトランスミッションそのまんま。もう少しひねってもよかったかと思う。まぁ、そこが彼らイタリア式の洒落なんだろうけど。そもそもチンクエチェントも500のイタリア語読みですからね。 500S Manualeの詳細はコチラ 【フェア開催】500S Manuale Fair “DRIVE MY S FAIR” フィアット正規ディーラーでは2019年1月12日(土)〜14日(月・祝)の3日間、FIAT  500S Manualeの誕生記念フェアを開催。みなさまのご来場を心よりお待ちしております。500S Manuale Fair “DRIVE MY S FAIR”の詳細はコチラ FIATでは現在、オーナーインタビューに出演していただけるフィアットオーナー様を募集しております。応募はコチラ […]

CULTURE

「ペレ・フラウ」とは? FIAT 500 Lussoに採用された最高級レザーの魅力

イタリアを代表する家具のラグジュアリーブランド「ポルトローナ・フラウ(Poltrona Frau)」が手がけるレザー「ペレ・フラウ(Pelle Frau®︎)」をシートに採用した限定車「FIAT 500 Lusso」が発売。ポルトローナ・フラウのブランドマネージャー、そしてデザイナーへのインタビューをとおしてその魅力に迫ります。   大城健作氏デザインのオットマン「レプリ」をプレゼント! プレゼントのお申し込みはこちら 受付期間:2018年11月30日(金)23:59まで     ポルトローナ・フラウが手がける最高級の革「ペレ・フラウ」 上質な家具のみならず、数々の高級車や旅客機などのラグジュアリーシート、さらにはFIAT 500の限定車にも採用されたレザー「ペレ・フラウ」の魅力について、ポルトローナ・フラウのブランドマネージャーを務める名執豪さんにお話を伺いました。 「ペレ・フラウとひと言でいっても、加工の違いから9カテゴリーに分けられています。特有のカラーパレットは、Color System Frau ®︎として1987年にパオロ・ミノリによってデザインされ、整備されました。Color System Frau®︎の基本カラーバリエーションは 全96色、その他8カテゴリーで計約170種をライナップしています。 それらに共通する特徴は、革本来の自然な柔らかさ、独特な美しさとスムースな触り心地。一般的な革では水や埃のダメージを防ぐために顔料をのせると仕上がりが硬くなってしまうのですが、そこにペレ・フラウ独自の加工を施すことで柔らかさを残すことができるのです」   「そもそもポルトローナ・フラウの歴史は、アルティジャーノ(職人)から始まった」と名執さん。サルディーニャ島で革のなめし職人をしていたレンツォ・フラウ氏が、1912年にトリノで創業。当時トリノに集まっていた王族に認められて貴族の椅子を作り始めたことをきっかけにブランドは拡大し、1926年にはイタリア王室より御用達の指名を受けるまでに成長しました。 だからこそ、100年以上も続くポルトローナ・フラウの伝統の根幹を支える最高級革のペレ・フラウは、原材料となる原皮のクオリティにも妥協はありません。 「始まりが革なので、やはり一番こだわりを持っていますね。最近だとオーストラリアや南米産の安価な革も出回っていますが、我々はあくまでイタリアンレザーが本領です。北ヨーロッパで育った高品質な仔牛革の中からより上質なものを厳選し、北イタリアの伝統あるレザーファクトリーで丁寧になめしています」   徹底した品質へのこだわりは、その絶妙な発色にも感じられます。 「この色に関してはイタリア人独特のセンスがあって初めて出せるものかもしれません。イタリアのものってすごく色気があるんですよ。いわばエレガント。そこに魅了される人は多いですね」     ポルトローナ・フラウとフィアットに共通する色気 「昔から有名な可愛らしい車」というイメージの500に、ペレ・フラウが採用されたことは意外だったという名執さんですが、実はフィアットもポルトローナ・フラウと同じトリノでの創業。さらに100年以上続く伝統があるという共通点を伝えると、こう話してくれました。 「ポルトローナ・フラウは曲線を取り入れて家具が多いのですが、そこを今でも職人が精緻な手作業でつくり続ける美しさこそイタリアの芸術であり、独特の色気にも繋がっていると思います。フィアットも同じイタリアのブランドとして、そこにシンパシーを感じたのではないでしょうか」 昔からイタリアの職人の手によって作られてきたペレ・フラウ。FIAT 500 Lussoのシートでも、あふれる色気で私たちを魅了してくれそうです。   【撮影協力】 ポルトローナ・フラウ東京青山 Poltrona Frau Tokyo Aoyama 〒107-0062 東京都港区南青山 5-2-13 TEL. 03-3400-4321 営業時間 11:00〜19:00 定休日 毎週水曜日(祝日は営業) https://www.idc-otsuka.jp/poltrona-frau-tokyo-aoyama/   […]

LIFESTYLE

あらゆる車を比較して、いちばん惚れた500X|FIATオーナー紹介

Fiat 500Xの日本導入1周年を記念した初の限定車「FIAT 500X Black Tie」を2016年に購入した、千葉県在住の佐藤友春さん・智子さん夫妻。 2人のお休みが重なったこの日のランチは、ドライブがてら千葉の『トラットリア・アルベロ』へ。トスカーナ地方の料理を中心に、現地で修業したシェフが腕を振るう人気店です。駅から距離がありますが、駐車場完備のため車での来店にぴったり。イタリア国旗がはためくおしゃれな一軒家のトラットリアには、フィアットの車がよく似合います。     『トラットリア・アルベロ』で、絶品イタリア料理を堪能 『トラットリア・アルベロ』の店内は、一軒家ならではの広々とした空間で、天井は吹き抜けになっており開放的。大きな窓から自然光がふんだんに降り注ぎ、おだやかで心地よい空気に満ちています。   この日2人がランチで注文したメニューは、大皿取り分けコース(2人前/全5品/4,400円)。サラダ仕立ての前菜4種類盛り合わせ、パスタ・リゾット2種類盛り合わせ、メイン料理1種類、デザート3種類盛り合わせ、食後の飲み物がセットに。 おなかいっぱい満足するまで召しあがって欲しいというシェフの思いが詰まったボリューム感のあるコースは、おいしさはもちろんコストパフォーマンスも◎   千葉県産をはじめ、全国から厳選した食材の個性をいかした料理の数々に「どれもすごくおいしい!」と大満足の2人ですが、普段ご自宅での食事もイタリア料理をベースに作ることが多いそう。その理由は友春さんのご実家にありました。 「僕の父は、自分のことをイタリア人だと思っていて(笑)。純正の日本人なんですが、もうイタリアが大好き。その影響で実家にはパスタマシーンがあったり、ピザなんかも父親が自分で焼いたりと、食事の基本がイタリア料理だったんです」   そんなイタリアンな環境で育った友春さんだから、子どもの頃からイタリアに旅行していたのではと聞くと、「実は父も母も家族の誰もイタリアに行ったことがありません」と驚きの答え。「イタリアの雑誌だけはめっちゃ持ってるんですが」と笑いながら教えてくれました。 「最近は僕らの新婚旅行にイタリアをすごく薦めてきます。父親もついてこようとしてるみたい」と友春さん。来年、2人の仕事が落ち着いたらイタリアへの新婚旅行を計画しているそうです。     フィアットとの出会いは、父親のPanda そもそも友春さんの父親がイタリア好きになったこと、そして友春さんと智子さん夫妻が500Xを購入したこと、そのルーツは1989年式のPandaにさかのぼります。 友春さんが5歳ぐらいのころ、お父さまがPandaに乗り換えたことからフィアットはもちろん、イタリアの文化にまでどんどん夢中になっていったそう。友春さん自身も運転免許を取ってからはそのPandaを運転しており、フィアット車に良いイメージを持ったといいます。 そして2人がはじめての車の購入を検討しているときにフィアットのディーラーを訪れて、「今度こんな車が出るんです」と薦められたのがFIAT 500X Black Tie。ほとんどひと目惚れでした。   妻の智子さんはかわいい500もいいなと迷っていたそうですが、「Pandaがコンパクトだったんで、ちょっと大きめが良いねって2人で話してて。車中泊やキャンプとかも想定していた私たちの希望に、スペースにゆとりのある500Xはぴったりでした」と、コンパクトSUVのサイズ感が決め手になったと教えてくれました。     とことん比較・検討して購入した500Xの魅力 500Xはゆとりのあるサイズ感に加え、「デザインの良さ」「運転の楽しさ」も大きな魅力だと2人は声を揃えます。 「外から見たデザインの格好良さはもちろん、内側もステキなので乗っている時もすごく楽しい」と声を弾ませる智子さん。「インテリアにここまでこだわった車って他にないと思うんです。私は特にインストルメントパネルがお気に入りで、中央に3つのボタンが並んでいるところがとてもかわいいですよね」。 一方、「まだ500Xは珍しくて、人とそんなにかぶらないところも魅力」と、友春さんは街ゆく人の視線も楽しんでいるようです。   500Xは友春さんの通勤にも、休日のお出かけにもほとんど毎日活躍していますが、ハンドルを握るたびに心地よいエンジンサウンドやイタリア車らしい個性を感じるドライビングに魅了されているそう。 また、燃費を重視したオートモード、エンジンのレスポンスが向上するスポーツモード、低速走破性が向上するトラクションモードを状況に応じて簡単にチェンジできるダイヤル「ドライブモードセレクター」も友春さんのお気に入りポイントで、「特にスポーツモードで高速道路を走るとすごく楽しいです」と頬もゆるみます。   智子さんによると、友春さんは「優れたものや一流のものだけを身の回りに置きたいというタイプ」で、たとえば財布でも時計でも、購入するときはそのものに関することを徹底的に調べ尽くすそうです。「だから必然的に高価なものが増えてくるので、わが家は慢性的に金欠です」と苦笑い。 「どういう思いを込めて作ったものか、そこに共感することも大事ですから」と返す友春さんに、でも500X以外の車に目移りすることはないのかと聞くと、自信満々に答えてくれました。 「そうですね。フィアットだけじゃなくて、いろんなメーカーの車をとことん調査して比較してその中から選び抜いた1台なので。僕はいま一番格好良くて乗って楽しい車が500Xだと思っていますから」     【撮影協力】 トラットリア・アルベロ(TRATTORIA ALBERO) 〒264-0035 千葉県千葉市若葉区東寺山町345-4 TEL. 043-254-3002 営業時間 ランチ 11:30~15:00 […]

LIFESTYLE

都心で車を持つ、メリットのある暮らしかた|FIATオーナー紹介

東京の都心に暮らしながら、モーターライフを満喫する志村さんご夫妻。夫の友秀さん、妻の玲奈さんそれぞれが車とバイクを1台ずつ所有しており、休日は一緒にドライブを楽しむことが多いそうです。 トップの写真は友秀さんの愛車「FIAT 500 Vintage(ヴィンテージ)」。2代目FIAT 500をイメージしたデザインで、2015年に発売された特別限定車です。友秀さんがこの500を購入した理由のひとつには、都心ならではの駐車スペースの問題があったといいます。 友秀さん「コンパクトな車じゃないと置けないということで、国産の軽自動車なども検討しましたが、やっぱり気分が乗らなくて。結局2007年の発売時からずっと欲しかった500に決めました。購入のタイミングでマイナーチェンジ前の最後の限定車が発売されたことも幸運でした」 玲奈さん「ルーフのホワイトやホイール、昔のロゴを使ったエンブレムなど、他にはないデザインが気に入っています。この前ドライブ中に同じ車に乗った人と偶然出会ったので思わず手を振ったら、手を振りかえしてくれました(笑)。フィアットオーナー同士って、なんだか仲間意識が生まれますよね」 今回は志村さんご夫妻が、愛車の500と過ごす休日に同行させていただきました。     車好きなら時間を忘れて楽しめる「代官山 蔦屋書店」 その日、お二人がまず向かったのは、東京都渋谷区にある代官山T-SITE。代官山では貴重な120台もの駐車場を敷地内に備え、車での来店にも適したライフスタイル提案型商業施設です。気になる駐車料金ですが、お買い物に応じた割引があるのはもちろん、今なら平日の19時以降は2時間無料で駐車可能でとってもおトクなのもうれしいところ。 ちなみにこちらの駐車場では、約70回を数える人気イベント「モーニングクルーズ」も開催されています。日曜日の朝に車好きが集まる早朝ミーティングで、テーマにあわせて貴重な車も来場するとのこと。気になる方は、テーマやスケジュールなど詳細をこちらのFACEBOOKでチェックして!   広い代官山T-SITEの中でも、お二人のお気に入りは「代官山 蔦屋書店」。お目当てはもちろん、2号館の1階にある車・バイクのコーナーです。洋書を中心に、国内外の雑誌や専門書、フィギュアやアパレルまで、車とバイクに関するあらゆるアイテムが集結。類を見ない圧倒的な品揃えで、車好きなら何時間でも過ごしたくなる空間です。   イタリアカテゴリーの書架にはフィアットの関連書籍も数多く揃っていますが、本には載っていないナマの声も気になるところ。本選びに夢中のお二人に、実際に500と暮らして実感した魅力についてお聞きしました。 友秀さん「都心の細い道でも運転しやすく、とにかく使い勝手の良い車だと感じました。日本車とは違うクセもありますが、慣れればそこもかわいいなと思っています」 玲奈さん「よく内装がステキだねってほめられます。コンパクトなボディですが乗り心地も良いですよ。名古屋まで長距離を運転したこともありますが、そんなには疲れなかったかな」   国内外の書籍をじっくり堪能したあとは、代官山T-SITEでの散歩を楽しみます。   代官山 蔦屋書店(代官山T-SITE) 〒150-0033 渋谷区猿楽町17-5 TEL. 03-3770-2525 開館時間 7:00~26:00(年中無休) http://real.tsite.jp/daikanyama/     代官山T-SITEで掘り出し物に出会える? 代官山T-SITEの中をぶらりと歩いていると、敷地内のGARDEN GALLERYで開催中の「代官山夏市」を発見。夏らしいガラスの食器やバラエティ豊かな家具などが会場いっぱいに並んでいます。   昨年、新生活をはじめたというお二人。まだ自宅のインテリアには手をつけられていないそうで、一期一会のヴィンテージアイテムに興味津々のご様子。予期しないコトやモノと出会えることも、都会のお出かけの醍醐味ですね。 ※当イベントは2018年08月14日(火) に終了しました。   T-SITEをあとにして、移動の合間に足もとをパシャリ。今日は2人ともお気に入りのコンバースのスニーカー。 実は友秀さんはデザイナー、玲奈さんはマーチャンダイザーとして、ファッションに携わる仕事をしています。その影響もあり、ご自宅にはスニーカーがたくさんあるそうですが、とくに友秀さんのコレクションは圧巻。結婚前のピーク時にはなんと1,000を超えるスニーカーに囲まれて暮らしていたというから驚きです。 学生時代は「もともと車などのプロダクトデザインを学んでいた」という友秀さん。ユニークなデザインが魅力の500を選んだ理由が、そんな経歴からも垣間見えました。     自分らしいオシャレと出会える「THE BRISK(ザ ブリスク)」 お二人が好きなショップとして訪れたのは、イタリアやイギリス、フランスなどから、50〜80年代を中心としたヨーロピアンヴィンテージクローズを取り揃える代官山の「THE BRISK」。個性的かつクオリティの高い服やバッグ、アクセサリーなどを買い付けており、ファッション好きにとっては宝箱のようなショップです。一部メンズの取り扱いもあるので、カップルでも◎   古着が大好きで、「趣味と仕事のリサーチを兼ねてショップ巡りをすることも多い」という玲奈さん。洋服を選ぶ眼差しは真剣そのもの。普段から代官山や下北沢などいろいろな古着屋をチェックしているそうです。 […]

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