仲間同士の集まりから200台超のイベントに発展 10月6日(日)、静岡県磐田市・福田漁港交流広場「ふくっぱ」で、2気筒エンジン車の集まりというユニークなイベント「ニキトウミーティング2024」が開催されました。フィアット『500S(チンクエチェント エス)』に乗るたけまことさんが主宰し、有志で運営するミーティングは、はじめは数名の仲間の集まりだったのが、開催5回目にして約220台が集まる巨大ミーティングにまで発展したとのこと。フィアットファンも数多く集まるということで、話題の同イベントを取材しました。 同じ色のクルマで集まったり、写真を撮ったり、仲間同士でゆったり話したり。参加者それぞれが自由な時間を満喫していました。 ニキトウミーティング主催者のたけまことさんは、2気筒TwinAir(ツインエア)エンジン搭載の『500S』をこよなく愛するフィアット好き。X(旧ツイッター)でツインエアエンジン好きの仲間数人で集まり、ツーリングなどを楽しんでいるうちに、まったり楽しめるイベントをやろうということで、始まったのがニキトウミーティングなのだとか。 注目は、同じクルマを愛する者同士でただ集まり、自分たちだけが楽しむのではなく、関わるすべての人たちにとって気持ちいいイベントを目指していること。例えば、たけまことさんをはじめとする実行メンバーの方々、それに有志の一般参加者が数週間前に会場に集まり、草刈りを行っているのです。たけさんによれば、「会場を使わせていただくので、借りる前よりキレイにしてお返ししたいんです」とのこと。すばらしい心掛けですね! イベント実施前の草刈りの模様。 そんな実行メンバーの方々の想いが通じたのか。イベント当日は、前日までの雨から一転、青空に。新旧『500(チンクエチェント)』や『Panda(パンダ)』、そのほかイタリアやフランスの2気筒エンジン車が続々と会場に集まってきました。ちなみに同イベントは、2気筒車の集まりではあるものの、その他のモデルも参加OK。とはいえ、やはり多いのは、TwinAirエンジンを搭載する『500』です。 会場には数多くの『500』が集まりました。 もうひとつニキトウミーティングが特徴的なのは、事前に申し込みをすれば、参加者がフリーマーケットのブースを展開できること。普段からお店を営んでいるプロが展開するフードやコーヒーのブースもあれば、個人で展開するアクセサリーや小物のブースまで、さまざまなブースで賑わいます。 会場にはさまざまなブースが出店し、賑わいを見せました。 たけまことさんによれば「クルマを通じた集まりではあるのですが、ひとまずそれは置いておいて、人と人がつながる。そしてみんなが楽しめるイベントを目指しています。どんなクルマの人ともチャオ!のひと言で仲良くなれてしまうのがイタリア車乗りのいいところだと思います。目標は友だちを100人作ることですから」と陽気に答えてくれました。 ニキトウミーティング主催者のたけまことさん。 そんな、みんなが心地よく楽しめることを目指したイベントだけに、会場にはゆるやかな空気が流れています。男女問わず、遠方からの訪れた方も大勢いらっしゃり、訪れた方同士で交流を楽しんでいました。 >>>会場に集まったフィアット乗りの方々をご紹介
『500e』にさらに100の魅力を追加した「500+100=600」というコンセプトで開発された『600e』が、いよいよ上陸。さっそく、モータージャーナリスト嶋田智之氏のファースト インプレッションをお届けします。 受け継ぎつつも新しい 『500』=チンクエチェント、そして『600』=セイチェント。『600e』はプロダクションモデルとしての、『500e』に続くフィアットブランド2番目となるバッテリーEVです。パーソナルカーにしてスペシャルティカーという色合いが強い『500e』に対し、同じ世界観の中にありながらよりファミリーユースに向いたモデルとして、『600e』は開発されています。 1955年に誕生した『600』や最新の『500e』のデザイン要素を随所に受け継いだ『600e』。 『500e』のかわいらしさが好きで暮らしに迎え入れたいと思っていても、ドアの枚数や居住スペースの関係から自分たちのライフスタイルにあてはめにくいという人は思いのほか少なくなく、そうした人たちの心と日常を埋めるためのクルマとして作られてる、というわけですね。 フィアットファンの中には先刻ご承知という方も少なくないのでしょうが、『500』がそうであったように、『600』にも同じ名前のご先祖様が存在していました。その後に登場することになる2代目『500』の人気の影に隠れて日本ではあんまり知られてないようですが、初代『600』は1955年にデビューして1969年に生産が終わるまでに260万台が作られたベストセラーカー。“トポリーノ”こと初代『500』より──もっとわかりやすく言うなら現代の日本の軽自動車より──コンパクトな車体に大人4人がしっかり乗れる車内スペースを確保した、当時のイタリアの普通の人たちの暮らしに見事にマッチする、ファミリーユースに最適なクルマだったのでした。 往年の『600』。 その初代『600』へのリスペクトは、新しい『600』のデザインにしっかりと込められています。2ボックスで5枚のドアを持つ『600e』のスタイリングデザインはまったくの新規ですが、実車を目にすると、かつての『600』の面影が感じられるところが多々あるのです。 全体に丸みを帯びたフォルムは、どこか『600e』を彷彿とさせます。 例えば車体後部。リアゲートまわりが優しく膨らんでから垂直気味に落ちていき、下端は車体の下に丸まりながら入っていくあたりは初代『600』のイメージにそれとなく重なります。『500e』同様のファニーな顔つきに気をとられてしまいがちですが、シルエットそのものは穏やかな大人っぽい印象です。 実はインテリアにもかつての『600』の面影はしっかりあって、2本スポークのステアリングやラウンド型のメーターナセルなどは間違いなくクラシック『600』へのオマージュです。ダッシュまわりは直線を強調し、さらにモダナイズさせつつ上質に仕上げたという印象で、シンプルでありながら洗練されたインテリアに仕上がっています。 インテリアにも随所に往年の『600』へのオマージュが散りばめられています。 デザインへのオマージュの込め方、そして洗練のさせ方。エクステリアもそうですしインテリアもそうですけど、こういうのをやらせるとイタリアは本当に上手いな、と思わされます。 >>>次ページ 滑らかと力強さを併せ持つ
フィアットの最新モデル『600e』の登場を記念し、9月10日(火)から23日(月・祝)に二子玉川ライズを舞台に「FIAT CIAO 600e FESTA」が開催されました。このイベントでは、『600e』の仲間入りにより、ますます充実したフィアット・ラインアップの展示をはじめ、訪れた多くのフィアットファンの方々に楽しんでいただける催しが目白押し。その模様をご紹介します。 人気スポットの駅チカで行われたフィアットの祭典 「FIAT CIAO 600e FESTA」は、田園都市線・二子玉川駅に直結する二子玉川ライズ ガレリアを舞台に開催され、多くの来場者で賑わいました。当イベントでは、期間中を通して行われる催しのほか、週末限定のコンテンツも用意。盛りだく沢山の内容で行われました。 開催期間中、ニューモデル『600e』をはじめ、フィアットの全ラインアップが勢揃いし、会場にお越しいただいた多くの方々に見て触れてお楽しみいただきました。また、フィアットファンやフィアット好き同士はもちろん、家族やおひとりでも楽しめるおいしいコーヒーやイタリアンフードを味わえる日替わりキッチンカーが出店。パスタをはじめとするイタリアンフードを通じて、ご来場いただいたみなさんに、おいしさでもイタリアの雰囲気を感じていただきました。 キッチンカーが登場し、イタリアンを中心としたフードを提供。 このほかにも、お子さん向けの塗り絵コーナーなど、家族で盛り上がれるコンテンツもたっぷりご用意。会場には『500e』と新たに『600e』のフォトブースが登場し、来場された方々に記念写真をお楽しみいただきました。 『500e』と『600e』のフォトブース(左)。キッズにも楽しんでもらえる塗り絵コーナー(右)。 そして週末限定で、会場内に「Share with FIAT」のパートナーであるNPO法人がブースを展開。「Share with FIAT」とは、女性のエンパワーメント向上、動物愛護、人道支援、子どもたちの教育環境の改善、若者の活躍支援など様々な問題の改善に向け、フィアットがパートナー団体と共に取り組む社会貢献活動のこと。 「Share with FIAT」のパートナーであるNPO法人ピースウインズ・ジャパンが展開するピースワンコ・ジャパンは、犬の殺処分ゼロを目指し、保護犬と里親のマッチングをおこなっています。 会場では、行き場を失った動物の里親を探す活動をしているアニマルレフュージ関西(ARK)と、犬の殺処分ゼロを目指すピースワンコ・ジャパン(ピースウィンズ・ジャパン運営)がブースを展開、保護犬を帯同して活動の紹介を行いました。 犬や猫など動物の保護からケア、譲渡の活動を行うアニマルレフュージ関西もブースを展開。 会期中ピースワンコ・ジャパンのブースには約200組の方々にご来場いただいたほか、後日施設への訪問が実現したとのこと。また、アニマルレフュージ関西では開催期間中に2頭の保護犬の譲渡が決まるなど、大きな反響がありました。 さらに、FIAT PICNICで大人気のバリスタ中川氏によるコーヒーの販売や、ご来場された方へのオリジナルステッカーのプレゼントなど、さまざまな企画を展開しました。 人気バリスタの中川直也さんがナポリ生まれのKINBOのエスプレッソやコーヒーを提供。 >>>次ページ 週末には「FIAT PICNIC DAYS」や『600e』特別試乗会を実施
フィアットの特徴である“かわいいデザイン”はどのように作られるのか? そんな疑問をデザイナーさんに直接聞くことができました。教えてくれたのは、『600e』の発表会のため来日したフィアットのチーフデザイナーのフランソワ・ルボワンヌさん。『600e』の生みの親に、フィアットデザインが大切にしているものについて尋ねました。 その時々を大事にするのがイタリア流 カーデザインというのは奥が深く、どのように見えるかというのは主観であり、その印象は見る人によって異なるもの。そうしたなか、誰もがうなずく“かわいいデザイン”というのはどのように作られ、デザイナーはどのような想いでイメージをカタチにしているのか。ルボワンヌさんは言葉を選びながら、フィアットのデザイン哲学について話してくれました。 チーフデザイナーのフランソワ・ルボワンヌさん。2021年よりステランティスのデザインセンターに所属。 ルボワンヌさんはいつ頃からカーデザイナーを志したのですか? 「僕にとってカーデザイナーは子どもの頃からの夢でした。かなり早い段階でその仕事をしたいという気持ちが固まっていたので、早くにデザインについて学び始めました。学生時代にまず美術を専攻し、パリでインダストリアルデザインを学び、その後ロンドンの大学でカーデザインについて学びました。私がカーデザイナーとして働き始めたのは20歳の頃でした」 カーデザインを学ぶためにロンドンを選んだのは何か理由があったのですか? 「理由は二つあります。ひとつは90年代当時、ヨーロッパでカーデザインについて学べる学校は限られていたのです。そのうちのひとつが私が学んだロンドンにあるロイヤル・カレッジ・オブ・アートです。もちろん出身地のフランスでも学ぶこともできたんですけれど、やはりこの機会に海外に出たい。異文化に触れたいという思いがあり、ロンドンに行くということは自分にとって世界に出るということでもありました。実際にロイヤル・カレッジ・オブ・アートには世界中から多くの人々が集まっていましたし、そこで知り合った多くの友人とは今でも交流が続いています」 カーデザイナーとしてステランティスグループで働いて良かったと思うところを教えてください。 「ステランティスグループに魅力を感じた理由は、ひとつは様々な文化的な要素が入り混じっているところです。イタリア、フランス、アメリカといった三つの文化が交差し、それぞれデザインに対するアプローチは異なりますので、それらに触れられるのが大きな魅力です。もうひとつ、イタリアに来られたことも個人的には大きいですね。家族とともに移り住んだのですが、イタリアでの生活にはとても満足しています。イタリアというのは偉大な国ですし、70年代から80年代にカーデザインが花開いた国でもあります。カーデザインのマエストロが育まれたその国で働き、しかもその中心的な街であるトリノで働けるということは、デザインの歴史を学び、そして今後10年間通用するデザインを生み出すという意味においても非常に価値あることだと思います。さらにステランティスは世界中にネットワークがありますので、今日こうして日本を訪れ、皆さまとお会いできたりするのも素晴らしい魅力だと思っています」 日常生活ではイタリアの生活のどのようなところに魅力を感じますか? 「ドルチェヴィータです(笑)。イタリアはやはり、多様な魅力が結集している場所だと思います。歴史的背景、カルチャー、アート、ビューティ。そして人ですね。イタリアの方たちは、時間の楽しみ方が他の国の人たちとはやや異なっていると感じます。仕事をこなしながらもそれだけに傾倒することなく、大切なものを見失わず、それをシェアすることが好きな国民性だと感じています。人生の一つひとつの瞬間を大切にし、いい具合に妥協点を見出すのはイタリア人ならではで、私はそうしたところに魅力を感じています」 >>>次ページ 「早く行く」より「楽しく行く」
フィアットファミリーに新たに仲間入りする新型車『600e(セイチェントイー)』が9月11日に発表されました。『500e』のお姉さんにあたり、フィアットの電気自動車第二弾となる『600e』はどんなクルマなのか。発表会の模様を報告しながら詳しく見ていきます。 愛らしいデザインと5ドアの機能性を両立 『600e』のプレス発表会では、はじめにStellantisジャパンの打越晋社長が登壇。冒頭に日本で展開する7ブランドのすべてが電動化を実現していることをアピールすると共に、「今後バッテリーEVを拡充しつつ、プラグインハイブリッドやマイルドハイブリッド、ガソリンエンジンに至るまで、すべてのパワートレインを展開し、お客さまに選択いただける体制を強化します」と、多様なパワートレインを取り揃えていく方針を述べました。 Stellantisジャパン代表取締役社長、打越晋氏。 そしてこの日の主役である『600e』については「チンクエチェントの最大の魅力である“かわいい”を引き継ぎながら、ゆったりとした居住性、そしてご家族にとっても使いやすいラゲッジルームなど、たくさんの機能やワクワクを持つクルマです」と、デザインと機能、そしてユーティリティを両立したクルマである点をアピールしました。 フロントシートにはボディカラーにかかわらずターコイズブルーのステッチが施され、上質感が高められています。 リアシートには大人でも十分に座れるスペースを確保。 『600e』のボディサイズは、全長4200mm×全幅1780mm×全高1595mm。『500e』に比べると、570mm長く、95mm幅広く、65mm高いフォルムを持ちます。また『500e』が3ドアであるのに対し、『600e』は5ドアを採用しており、後席への乗り降りがしやすいうえ、ラゲッジルームには360リッターの容量を確保するなど、たくさんの荷物を積んだお出掛けや、4〜5名での移動も余裕でこなせる実用性の高さが語られました。 ラゲッジルームには、360リッターの容量を確保。さらにハンズフリーパワーリフトゲートを標準装備。 続いてプロダクト担当の児玉英之氏は、『600e』を「『500e』から見たお姉さん、ビッグシスター」と表現。『500e』との違いについては360度パーキングセンサーやブラインドスポットモニターといった装備に加え、新たにレーンポジションアシスト(車線内走行保持アシスト機能)といった新機能が備わることや、キーを保持した状態で足をリアバンパー下に動かすと自動でリアゲートが開く「パワーリフトゲート」、ドライバーの腰をマッサージする「アクティブランバーサポート機能」、キーを保持した状態で車両に近づいたり遠ざかったりするだけで解錠・施錠ができる「プロキシミティ機能付きのキーレスエントリー」など、便利機能が充実していることに触れました。 Stellantisジャパン プロダクトスペシャリスト、児玉英之氏。 さらに『600e』が『500』のガソリン車を生産してきたポーランドのティヒ工場で作られ、プラットフォームはCMPを採用することが明らかにされました。なお、54kWhへと容量アップしたバッテリーの搭載やバッテリーマネージメントシステムの効率化により、航続距離は493kmの余裕のある値を実現しているとのことです。 >>>次ページ 周りを明るくするドルチェヴィータ・デザイン