FIAT500やPandaに装備されるデュアロジック。ただの「FIAT版のAT」ではありません。
オートマチック限定免許でも運転できるこのトランスミッションは、クラッチペダルもなく見かけは完全に「AT車」なんですが、厳密にいうとシフトとクラッチの操作、つまりMTの操作を機械がこなしてくれる自動MTともいえるシステム。
多くのAT車で用いられている「トルクコンバーター式」と呼ばれるものと比べると、動力の伝達効率が良く、なにより軽量なので、運動性能でも燃費性能でもアドバンテージがあります。
日に日に太陽の日差しも強くなる、季節はまさにドライブシーズン。野に山に海へのお出かけを、もっと楽しいものにしていただくためには、是非このデュアロジックの魅力や運転のコツをもっと知っていただきたいと思います。
さて、見た目はAT、中身はMTともいえるこのデュアロジックをより理解していただくには、まずは5段階にわけられた各ギアについて説明する必要があります。
1速=停車からクルマを動かすきっかけづくりや、きつい坂道などを元気よく登るためのギア。〜時速20キロくらいまでが守備範囲の力持ち。
2速/3速=街中や幹線道路など低速〜中速で取り回しのいいギア。山道などの下り坂ではブレーキの役割も果たしてくれる。 〜時速20キロから80キロくらいが守備範囲の中低速が得意なオールラウンダー。
4速=幹線道路や自動車専用道など中〜高速域で活躍するギア。〜時速60キロから100キロくらいが守備範囲の高速のスペシャリスト。
5速=高速道路で燃費を稼ぎながら無理せず走るためのギア。加速が必要なときには不向き。〜時速60キロから上の速度で、ゆったり「流す走り」を得意とするゆとりのギア。
MT車がスポーティと言われる最大の理由は、これらの5種類のギアたちを、思いのままに操れるからに他なりません。
もっと加速したい時、坂を登ったり下ったりする時、低速で走りたい時、ゆったり流したい時…。それぞれ得意な領域で、効率よくエンジンの力を活用できるので、キビキビとしたスムースな走り、つまりスポーティな走行が可能というわけです。もちろんスムースな走りは燃費にも好影響を与えますし、運転自体の疲れも軽減し、ひいては判断力の低下も防ぐことができます。
デュアロジックは、たとえAT免許しか持っていなくても、こうしたMTのようなスポーティな運転も楽しめるので、軽快な身のこなしが得意なFIATには、まさにうってつけのシステムといえます。
だからこそ、MTの仕組みや運転のクセを知ることで、もっとスムースで楽しい運転ができるということも事実ですので、そのあたりのご紹介をシリーズで行いたいと思います。
「停車から走り始め、そして2速にシフトアップするまでをもっとスムースに運転したいんだけど…。」
そんなご意見を耳にすることがあります。
都市部などではどうしてもストップ・アンド・ゴーが多くなるので、こうしたことを気にされる方も多いのかもしれません。
そんな方は、ひょっとすると発進時にそーっとアクセルを踏んでいらっしゃる方かもしれません。
急のつく動作は厳禁! というのが世界共通の運転ルールですが、あくまで「いつもより多めに」アクセルを踏んでみて下さい。
「グオオオオオオオオオッ…。」
という低くうなるエンジン音こそするものの、急とは程遠いほど普通に発進するはずです。(ツインエアモデルの場合)
大体時速20キロくらいに達するまでのせいぜい5秒ほどなんですが、そこでアクセルを少し緩めてあげると、2速へのシフトアップがスムースに行われます。
もちろん、機械ですので個体差がありますし、道路の環境がそれぞれ異なりますので、各自安全な場所でそのタイミングを体得してみてください。
ともかく大事なのは、最初はそーっと踏むのではなく、いつもより多めにアクセルを開けるということです。
こうしたアドバイスには理由があり、これもMTの運転のコツにも似た部分なのかもしれません。
そもそも、クルマを停止状態から動かすということは、かなりの力を必要とします。そこで使われるべき最適なギアこそ、一番の力持ちである1速です。
ただし、各ギアの特性をご覧いただければおわかりのように、1速は走るのが苦手。だから、できるだけ速やかに、ある程度の速度にクルマを動かしてやり、より走りが得意な次のギアにバトンタッチしてあげることがクルマをスムースに効率よく走らせる秘訣なんです。
今回のテストで使用したのは最新の2016年に仕様変更した最新の500TwinAir Lounge。
見た目も少し変わりましたが、デュアロジックのマネジメントもアップデート。
乗り心地はもちろん、AUTO選択時の1〜2速でのショックも随分と改善され、足まわりも総合的な熟成が進み、一層楽しく快適な走りが楽しめます。
是非お近くのディーラーでお試しください。
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「運転のコツ〜デュアロジック車をトコトン楽しもう」
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