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イタリアと日本の文化を愛するイラストレーター、ビオレッティ・アレッサンドロの“POP・PRETTY・FUNNY”なメッセージ

広告・キャラクターデザイン・挿絵・漫画・絵本など、幅広い媒体で活動しているイラストレーターのビオレッティ・アレッサンドロさんは、フィアットと同郷のイタリア・トリノ出身。幼少期から“絵描きになること”と“日本に住むこと”への想いを募らせ、27歳のときに偶然の出会いを機に日本で絵本を出版。2015年5月からは日本に移り住み、現在はフリーランスのイラストレーターとして活躍中です。そんなビオレッティさんに、自身の活動のテーマやイタリアと日本の文化について、そして同郷であるフィアットの印象を伺いました。   夢は“絵描きになること”と“日本に住むこと” ──まずは日本に移り住むことになったきっかけを教えてください。 18歳のときに初めて日本に観光で来て、それから27歳までトリノに住みながら、日本へ行き来していました。そんなある日、出版社の編集者の方と偶然出会って、「絵本を出版しませんか?」と声をかけていただいたんです。それがきっかけで、絵本の出版後にアーティストビザを取得することができて、2015年からは日本に住んでいます。   ▲ビオレッティ・アレッサンドロさん   ──小さいころから絵を描くことに興味はありましたか? はい。幼いころから絵を描くことは好きで、7歳ぐらいのときには「絵の仕事をしたい」「絵を描いて生きていきたい」って思うようになりました。   ▲インタビューマガジン『世田谷十八番』   ──ビオレッティさんの幼いころのエピソードで、おじいちゃんが持っていた70年代の日本の写真集を見たことがとても印象に残っているそうですね。 それも7歳のときです。“日の丸”が描かれた本がおじいちゃんの本棚にあって、気になって手に取ってみたら、日本の70年代の写真集でした。僕のおじいちゃんはトリノにある『ラ・スタンパ』という新聞社で仕事をしていて、ジャーナリストと出会う機会がたくさんあり、その中のひとりからいただいたそうです。それを見たとき自分は、「日本はなんて面白い国なんだ!」って思いました。   ──それがビオレッティさんにとって、日本に興味を持つ原体験だったんですね。 はい。そこからどんどん興味が湧いてきて、“絵描きになりたい”と“日本に住みたい”っていう気持ちが合わさり、日本で絵描きができないかなって。そのあとは16歳から日本語の勉強を始めて、先ほど言ったようにイタリアと日本を行き来しながら、2012年ごろに出版社の方と出会い、2014年に『みつけてアレくん!せかいのたび』という絵本を出版しました。     ──絵本の出版によって、念願の日本暮らしが叶った面も? そうですね。「これをきっかけに日本に住めるんじゃないか……」っていう気持ちは正直ありましたね。日本に住むようになって、観光で訪れたときよりももっと深く、“日本の1日”を感じられました。そこはイタリアの1日のペースとは違いましたけど、今ではイタリアと日本の考え方やライフスタイルを、うまく自分の中でミックスできているように感じます。   ──日本に来てフリーランスのイラストレーターとして活動する傍ら、デザイン事務所の勤務なども経て、独立されたのは2019年。そこからは漫画や絵本のみならず、さまざまなブランドやイベントにおける広告のイラストなども数多く手掛けていますよね。 自分としてはひとつひとつのお仕事を大切に、とにかく100%で描いてきました。なので、何かこの仕事がきっかけで注目を浴びた、という感覚はないですね。日本人らしく言えば“コツコツ一生懸命”取り組んで、自分が納得できるクオリティの作品を出すことをいつも心掛けてきました。   ▲スーパーマケット成城石井でのイラスト制作   ──ちなみにビオレッティさんの作風が確立されたのはいつごろですか? ちょっとずつのプロセスの積み重ねではあると思いますが、根本的な部分で言うと、昔から“線を繋ぐ”ことが好きだったんですね。そこから自分の中の個性をもっと生かせないかなって考えていくうちに、フォルムや体の作りが独特な、誰も描いたことのないキャラクターを描くようになりました。自分の中でそこはアーティスティックな部分で、ちょっとずつ進化して今に至ります。   ──イラストには“POP・PRETTY・FUNNY”という3つのキーワードがあるそうですね。 まず僕の絵をパッと見て、その印象をひとつの言葉で表現するならPOP。ただそれだけじゃなくて遊び心、つまりFUNNYな要素も加えて、PRETTYな絵になるように表現しています。   ▲2022年9月に発売した新作絵本『なぞなぞショッピングモールでおかいもの』   次のページ:【ビオレッティさんのDNAにあるイタリアとは?】 […]

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【2022年・天体観測特集】フィアットで行く! 満天の星空が見られる日本全国のおすすめ天体観測スポット9選

1980年の初代デビューから40年以上にわたって世界中で愛されているフィアットのコンパクトモデル『Panda(パンダ)』“に、四輪駆動システムと6速マニュアルトランスミッション、そして特別なボディカラーを採用した限定車『Panda Street 4×4(パンダ ストリート フォーバイフォー)』が登場(1月15日より160台の限定販売)! そこで今回は、街と自然を遊びつくす限定車・Panda Street 4×4に乗って行きたい、日本全国のおすすめ天体観測スポットをご紹介します。 ▲Panda Street 4×4(パンダ ストリート フォーバイフォー)※写真のモデルは欧州仕様車になります。   “日本一寒い街”にある、日本最大級の天体望遠鏡と満天の星空 <銀河の森天文台>     せっかくクルマで行くなら、クルマだからこそ行けるスポットへ。北海道・陸別町にあるのは、日本最大級の天体望遠鏡を備える『りくべつ宇宙地球科学館(愛称:銀河の森天文台)』です。クルマで女満別空港から約1時間20分、釧路空港から約2時間のこのスポットは晴れていれば常に天体観望会を開催していて、大型望遠鏡観望室(ドーム)に加えて、屋上には小型望遠鏡観測室(スライディングルーフ)や自由にイスを広げて星空を楽しめる屋上広場など天体観測の設備が充実。昼間は明るい星を、夜は見渡す限りの星々を堪能することができます。陸別町は“日本一寒い街”として知られているので、訪れる際はしっかりと防寒をするのがマスト。       ▼INFO:画像提供 りくべつ宇宙地球科学館(銀河の森天文台) 〒089-4301 北海道足寄郡陸別町宇遠別 0156-27-8100 https://www.rikubetsu.jp/tenmon/   広大な敷地に県内唯一の公開天文台を備える総合レジャースポット <星と森のロマントピア>     青森県・弘前市市街地よりクルマで約20分。周囲をリンゴ畑と杉林に囲まれた27ヘクタールの広大な敷地に、宿泊施設・BBQ施設・アクティビティ施設が点在する総合レジャースポットが『星と森のロマントピア』です。こちらの目玉のひとつが、県内唯一の公開天文台『銀河』。県内最大級・口径40㎝のカセグレン式反射望遠鏡を備えた天文台では、解説員の案内で昼間は太陽の黒点や金星、夜には満天の星空を眺めることができます。敷地内には大浴場や温水プールを備えた『星の宿 白鳥座』もあり、特に露天風呂から眺める岩木山が美しいのでぜひ。冬はホテルまでのアクセスがハードなため、Panda Street 4×4のような高い走破性の4WD車が最適!       ▼INFO:画像提供 星と森のロマントピア 〒036-1505 青森県弘前市水木在家字桜井113-2 0172-84-2288 https://www.romantopia.net/   “自然のプラネタリウム”が堪能できる山郷のプライベートリゾート <会津高原 星の郷ホテル>     標高約1,000メートルの地点で星々を眺められる、全国屈指の天体観測スポットが南会津。この地で2021年9月にグランドオープンしたのが、“自然のプラネタリウム”と称される星空が話題沸騰中の山郷のプライベートリゾート『会津高原 星の郷ホテル』です。ホテルでは天体望遠鏡を完備していますが、夏から秋にかけては天の川を肉眼で見ることも可能。そして空気が澄み渡る冬は、四季折々で変化するスターライト・ショーがあなたを迎えてくれます。新潟・会津若松方面からクルマで向かう際は、国道401号線を経由すると昭和村付近で道が狭く険しい峠道となるため、下郷町〜会津田島からのルート(国道121号~289号)で行くのがおすすめ。 ※現在は冬時期における宿独自での天体観測は中止しております。 (天体観測用の双眼鏡の貸し出しに加え、客室には家庭用のプラネタリウム設備あり) […]

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【2021年最新・全国】フィアットとのドライブで訪れたい!有名建築から現代アートまで、おすすめのアートスポット10選

芸術の秋到来!ということで、フィアットで訪れたい、とっておきのアートスポットをセレクトしました。心地よく過ごしやすい気候の秋は、絶好のドライブシーズンでもあります。絶景に魅せられたり、アート鑑賞の前後にほかの観光スポットに足を運んだり、あるいは運転そのものを楽しんだりと、アートをとことん楽しむ──、そんな“アートをドライブする”秋を満喫してみませんか。   真駒内滝野霊園     札幌市内から車で約40分、新千歳空港から約1時間。多くの人が眠る『真駒内滝野霊園』は、180万平方キロメートルもの広大な敷地の約6割が公園や散策路となっている、道内屈指のアートスポットです。入口では悪霊を門前で撃退するとされるエジプトの狛犬的存在『人頭有翼の獅子像』がお出迎え。そのすぐ近くには、33体ものモアイ像の姿も!  モアイ像の視線の先には、数万本ものラベンダーが植えられている丘があり、その中央からは『頭大仏』が頭をのぞかせています。高さ13.5メートルの大仏が鎮座する大仏殿は、建築家の安藤忠雄さんが設計したもの。大仏へのアプローチもとても個性的で、結界を意味する『水庭』やコンクリートがひだのように連なった天井を持つトンネルなど、心が浄化されるような空間となっています。ほかにも、永代供養墓が併設された『ストーンヘンジ』やブロンズの鹿、布袋様の大群など、「なぜここにコレが?」と突っ込みを入れたくなる多種多彩なオブジェや像の宝庫です。公園施設として開放されているので、散策をおすすめします。       ▼INFO:画像提供 真駒内滝野霊園 北海道札幌市南区滝野2番地 011-592-1223 https://www.takinoreien.com/   青森県立美術館     “県美”の愛称で青森県民に親しまれている『青森県立美術館』は、2006年にオープンしました。青木淳さんが手がけた地下2階、地上2階建ての建物は、隣接する日本最大級の縄文集落跡『三内丸山遺跡』から着想を得て、発掘現場のトレンチ(壕)をモチーフに設計されています。 コレクションは、棟方志功さん、工藤甲人さん、寺山修司さん、澤田教一さん、成田亨さんなど青森にゆかりのあるアーティストのものを中心に、アンリ・マティス、レンブラント・ファン・レイン、パブロ・ピカソといった海外作家の作品も所蔵。吹き抜けの大空間『アレコホール』では、20世紀を代表する画家の一人、マルク・シャガールが、1942年、亡命先のアメリカで描いた、バレエ『アレコ』の背景画を展示しています。美術館のシンボル的存在でもある、青森県出身の現代美術作家・奈良美智さんによる立体作品『あおもり犬』は、地下2階の吹き抜けで会うことができます。高さ8.5メートル、幅6.7メートルの純白の犬の前には、エサの器を模した花壇が設置され、なんともフォトジェニック! 車で訪れた際は、お隣の『三内丸山遺跡』にもぜひ足を伸ばしてみてください。   ▼INFO:画像提供 青森県立美術館 青森県青森市安田字近野185 017-783-3000 (代表) http://www.aomori-museum.jp       N’s YARD     現代美術作家・奈良美智さんが、「作品をより身近に感じてもらえる場所を設けたい」と、現在、拠点を置く那須に開設した個人美術館。那須の中心地から少し離れた森の中に佇む建物には、絵画やドローイング、彫刻など奈良さん本人の作品はもちろんのこと、奈良さんがこれまで収集してきたレコードや現代作家のアートも展示されていて、どっぷりと“奈良ワールド”に浸ることができます。 建物の外壁には芦野石、一部床材にはかつてフランク・ロイド・ライトを魅了した大谷石など地元・栃木で産出された石が使われている点も特徴的。天井に敷地で伐採されたヒノキが使われている展示室もあります。オリジナルグッズが揃う、併設のショップも必見です! なお、周辺は、国指定重要文化財の洋館『旧青木家那須別邸』や『水庭』、隈研吾さんが設計を手がけた『石の美術館 STONE PLAZA』などアートなスポットがそこかしこに。アートをめぐるドライブを楽しむには格好のエリアです。   ▼INFO:画像提供 N’s YARD(エヌズヤード) 栃木県那須塩原市青木28-3 0287-73-5711 https://www.nsyard.com       アートビオトープ那須     1986年に開業し、自然と融合するリゾートとして多くの支持を受けたリゾートホテル『二期倶楽部』(2017年に閉館)の思想を受け継ぐカルチャーリゾートとして、二期倶楽部創業者である北山ひとみさんのプロデュースにより誕生。2018年には、敷地内に、建築家・石上純也さんが構想から約4年の歳月をかけて作り上げた『水庭(みずにわ)』が完成しました。水庭は隣接する敷地に生えていた318本の樹木と160の小さな池、さらに、地面を覆いつくす苔や飛び石からなる、神々しいまでに静謐(せいひつ)なランドアートです。 […]

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マリトッツォの本場イタリア出身シェフに聞く、マリトッツォがもっと美味しくなる魔法

2021年6月にオープンした、マリトッツォ専門店『マリトッツォ ロマーノ』は、大きなイタリア国旗がはためく、ガレージ風のお店。ショーケースには今話題のマリトッツォが並び、イタリア人スタッフが、「プレーゴ(prego)」と元気よく道ゆく人に声をかけています。昨年、突如として日本に舞い降りた、マリトッツォブーム。瞬く間に、さまざまな場所でマリトッツォを購入できるようになりましたが、マリトッツォ発祥の地であるイタリア・ローマ出身のシェフが作るマリトッツォは、同店の最大の強みです。そのシェフに、本場イタリアのマリトッツォの歴史やレシピ、そして、『マリトッツォ ロマーノ』について話を聞きました。   ローマの友人たちはみんな驚き、喜んでいます!   コロンと丸いパンにたっぷりの生クリームを挟んだもの──。これが、私たちが知る、マリトッツォの基本的なかたちです。そんなシンプルなスイーツパンが、突如として脚光を浴びることになりました。素朴な美味しさに加え、その愛らしいルックスも時代に合っていたのでしょう。 『マリトッツォ ロマーノ』をプロデュースし、同店のシェフを務めるサルストゥリ・マルチェッロさんは、日本におけるマリトッツォブームについて、「びっくりしました。ローマの友人たちも、みんな驚いていました(笑)。日本の方に、ローマの食文化を楽しんでもらえることが、とてもうれしいです」と流暢な日本語で語ります。聞けば、日本在住13年目、奥様は日本人だそうです。   ▲サルストゥリ・マルチェッロさん   「僕はローマ生まれのローマ育ち。マリトッツォは子どもの頃から、食べていた大好きなお菓子です。ローマでは、朝食として、カプチーノと一緒に食べるのが一般的ですが、おやつに食べる人もいます」 多くの日本人は、ほんの1,2年前までその名前を耳にしたこともなかったであろう『マリトッツォ』、その歴史は古代ローマにまで遡ります。もともとはオリーブ油を混ぜた生地に、はちみつで甘みをつけ、さらにレーズンなどのドライフルーツを加えた今以上にシンプルなものだったといいます。これが時代とともに変化を遂げ、20世紀後半、軽やかに焼き上げたパンに生クリームをはさむという、現在のかたちになりました。     マルチェッロさんによると「マリトッツォという言葉そのものは、イタリア語で夫を意味するマリート(marito)から来ています」とのこと。なぜそう呼ばれるようになったのかについては諸説あるようです。 夫に手軽にしっかり栄養をとってもらうために妻がレーズンやはちみつなどを生地に入れたパンにクリームを詰め込んだという説、反対に、夫が妻のために買いに走ったという説──。かつては、3月の最初の金曜日に、マリトッツォのクリームのなかに指輪を入れて、男性が女性にプレゼントするという習慣もあったとか。どの説も、ハッピー、そして愛がキーワードになっています。ご機嫌なお菓子であることは間違いありません。     現在、日本でもさまざまなバリエーションのマリトッツォがいただけますが、明確な定義はあるのでしょうか。そう尋ねると、マルチェッロさんは、「明確な定義? 聞いたことないです(笑)。クリームのバリエーションも豊富ですし、ベースとなるパンも店によって異なりますが、みんなマリトッツォです(笑)」。 肝心の作り方については、「たぶんみなさんが想像する以上に時間がかかります」とのこと。店によっても異なりますが、ローマでは一般的に、リエビティーノ(lievitino)という発酵種を作り、発酵させているのだとか。『マリトッツォ ロマーノ』のレシピでは、「一晩かけて生地を発酵します。ふんわり軽やかに仕上げるには、発酵にきちんと時間をかけることが必要なんです」。これに、オレンジピールやオリーブオイルも練り込んで風味を付け焼き上げたパンに、たっぷりの生クリームをはさみます。     イタリアでは、日本ですっかりおなじみになった丸いタイプだけでなく、コッペパンのように、細長い形状のものもあるそう。マルケ州の一部の地域では、生クリームではなく、干しぶどうが入った、昔ながらのマリトッツォもよく食べられています。南イタリアのプーリア州では、生地を編み込んだようなかたちのマリトッツォを見かけることもあるそうです。   本場ローマの味を、日本人が好むテイストにアレンジ 日本でもマリトッツォが食べられるようになったことで、「子どもの頃に母が作ってくれたマリトッツォを頬張った幸せな記憶が蘇りました」と語るマルチェッロさん。彼がシェフを務める『マリトッツォ ロマーノ』は、2021年6月にオープンしました。同店で提供するマリトッツォは、「私がローマでいた頃に親しんだ本場の味を、日本の方にも喜んでいただけるテイストにアレンジ」したもの。ローマのマリトッツォは、さらに大きく、甘さも強いため、少し小さめに成型し、はちみつを加えることで甘さを控えめにしているそうです。     「小麦粉はイタリアから取り寄せたものを使用しています。イタリアと日本では、水が違うので、ローマの味を再現するのには、さまざまな工夫や調整が必要でした」。ほかのイタリア人スタッフらと数か月にわたって試行錯誤を繰り返し、現在、同店で販売しているマリトッツォが完成したといいます。 店頭には常時8~10種類のマリトッツォが並びます。色とりどりのマリトッツォが可憐に並ぶ様子に、足を止める人も少なくないそう。私たちが取材に訪れた日も、「これはなに?」「どれが美味しいの?」と、スタッフに声をかけ、ショーケースをのぞき込む人を何人も目にしました。「僕以外にも、複数のイタリア人スタッフがいます。イタリアの食の文化についても気軽に質問してください」。美味しいマリトッツォが購入できるだけでなく、イタリア成分も補充できそうですよ!     日本では手土産としての需要も多くなることを予測し、オリジナルのギフトボックスも製作しました。このボックスにも細やかなこだわりがあり、完成するまでにかなりの時間をかけたのだとか。 「まず、丈夫なケースを探し、持ち運びのときに多少揺れても大丈夫なように、そのケースにぴたりと入る大きさに、マリトッツォを調節しました」 その後、このケースが入るボックスを作ったそうで、ボックスには3個入りと6個入りがあります。エレガントなデザインのボックスに入った、キュートなマリトッツォたち──。きっと笑顔がこぼれるギフトになることでしょう。     なお、現在、『マリトッツォ ロマーノ』が入っている建物は、2021年11月までに取り壊されることが決まっています。しかし、すでにマルチェッロさんたちは、麻布十番エリアに、新たにイタリア料理店をオープンさせることを決めているのだそう。「新たなお店でもマリトッツォの販売を行う予定です。路面店となる店舗も探しているので、決まり次第、お伝えしますね」。   秋に向けて、新たなマリトッツォを製作中です!     「秋に向けてマロンのマリトッツォを製作中です。チョコレートを練り込んだ生地も作りたいですね。もっとたくさん種類を増やしたいです」と語るマルチェッロさんは、なんだかとても楽しそうです。そんなマルチェッロさんに、現在、購入できるもののなかから、おすすめのフレーバーを、3つ、ピックアップしてもらいました。 真っ先に挙げたのは、いちばん人気だという『ピスタチオ』(600円)。イタリアから取り寄せたピスタチオで作った濃厚なピスタチオクリームには、砕いたピスタチオの実が入っていて、食感や香りも楽しいマリトッツォです。     「ティラミス(650円)もおすすめです。ティラミスの味わいをクリームにしたことで、軽やかに味わっていただけます。コーヒーはもちろん辛口のスパークリングワインや、赤ワインとの相性もぴったりです」。季節のフルーツをあわせたアイテムも人気です。     「ストロベリー(600円)は、見た目のキレイないちごが、生のフルーツを使ったマリトッツォのなかでも絶大な支持を得ています。ナイフとフォークを使って食べていただくと、より美味しさが際立ちますよ」。 […]

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mederi株式会社 坂梨亜里咲さんに聞く。妊活中の女性、若い世代、そして男性に伝えたいこと

女性向けメディアの運営に携わり、若くしてディレクター、COO、社長へとキャリアを重ねてきた坂梨亜里咲さん。プライベートも充実し、順風満帆な日々を送る中、結婚前に受けたブライダルチェックで不妊症が判明。予期せぬ転機を前にして戸惑いつつも決して後退することなく、自身の妊活に取り組みながら新しい事業を立ち上げました。“女性の一生の健康に寄り添っていきたい”との想いで生み出されたウーマンウェルネスブランド『Ubu』、2021年内に正式ローンチ予定のオンライン診療ピルサービス『mederi Pill』 、そしてご自身が思い描く理想の未来について、語っていただきます。 *FIATは、すべての女性たちにエールをおくる『#ciaoDonna』というプロジェクトを実施中。女性がより輝く毎日を送れるようにサポートするフェムテック企業を応援しています。   Webメディアの社長から一転、妊活を支える『Ubu』をスタート -女性向けのWebメディアを手がけていたときにご自身の不妊がわかったそうですが、そこから新規事業を立ち上げるまでにどのような経緯や想いがあったのでしょうか? 当時運営していたのがハッピーなメディアだったこともあり、できるだけ仕事と切り離して、いわば無の気持ちでひそかに不妊治療に向き合おうと思っていました。一般的に“不妊”は隠したいことですし、自分でもそう思っていたんです。でも実際に経験してみると「こんな向き合い方でいいのかな?」「自分らしさって何だろう?」と違和感がありました。 30歳目前のタイミングでしたが、不妊という事実を正面から受け止めて、むしろウィークポイントをプラスに変えていこうと。ほかの女性たちに何かしらのきっかけを与えていけたら、と考えたんです。 -そうして誕生したのが、妊娠に備えた体づくりに必要なサプリメントと、妊娠や感染症に関係のある膣内の状態を自宅で簡単にチェックできるキット『Ubu』ですね。たくさんの女性に愛用されていますが、どういった感想が寄せられていますか? 「どんなサプリにすべきか迷っていたので、出会えてよかった」「妊娠に向けて重宝している」「オシャレで持ち歩きやすい」と喜んでいただいています。デザインについては、自分自身が従来のサプリメントに不満を感じていたので、バッグにサッと入れて持ち歩けるように、とこだわりました。 『Ubu』って、解約される理由の多くが「妊娠したから」というとてもハッピーなものなんです。みなさんに「おめでとうございます!」というメッセージをお送りしています。   ▲膣フローラチェックキット & サプリメント定期便   -たしかにその解約理由はものすごくハッピーですね!ご自身の体験を経て立ち上げられたブランドですから、相当な想いがこもっているのでは? 思い入れが強すぎて、最初は妊活中の人だけでなく、前段階の若い層にも届くだろう、届けたい、と思っていたんです。『Ubu』は、いま子どもがほしい人には十分に訴求できましたが、“いつか産みたい人”“未来のために備えたい人”には思いの外、届かないなぁと。そこはひとつの反省点でもあり気づきでした。そもそも、日本には予防医学が根付いていないので、“未来の妊娠のために”という考え方も定着していませんからね。 でも、この体験があったからこそ次のサービスにつながったと思っています。   ▲Ubu BOX定期便     妊活とキャリアの両立は“パートナーと共に” -仕事が多忙な中での不妊治療は、負担も大きかったのではないでしょうか? とにかく事業のことで頭がいっぱいで、悲観している時間すらなかったのが逆によかったかもしれません(笑)。不妊治療は病院の待ち時間がとにかく長いんです。私はPCさえあれば待合室でも仕事していましたが、そういう働き方が難しい場合、やはり法の整備や会社のサポートが不可欠ですね。 でもそれ以上に重要なのは夫婦の関係性です。子どもを身ごもったら終わりではないし、パートナーとの絆が何より重要だと思っています。治療を始めてみて、「思った以上に大変なことだ」と感じたので、夫としっかり話し合う時間を持ちました。治療を続けるには相当なお金がかかります。それでも本当に子どもがほしいのか?治療は具体的に何年続けるか?などを徹底的に話し合ってクリアにしていったんです。互いの価値観がずれたまま続けるのはつらいですから。結局、さまざまな選択肢を視野に入れながら、私が34歳になるまで治療を続けてみようと決めました。     -ご自身の気持ちとはどのように向き合っていらっしゃいますか? 不妊治療は目標やゴールを決めておかないと精神的に消耗すると思うので、ある程度の期間や指標を決めたほうがよいと思います。 私は普段から10年単位で将来の計画を立て、具体的な目標を決めるようにしています。20歳のとき「25歳までに一人前の社会人になる。27歳までに結婚する。30歳までに子どもを産む」という目標を立てたんですが、一番計画通りにいかなかったのが“妊娠”だったんです。ほかのことはお金や時間をかければ何とかなるけれど、これだけはなんともならない。 でも、できることが10あるとしたらそれを1つずつやっていこう、それでもダメならすっぱりあきらめられる、と思いました。期限を区切り、できることは全部やる。そう決めたら、精神的にもけっこう安定していましたね。   結婚前・妊活前の女性たちに向けた新サービス『mederi Pill』     -『Ubu』を経て誕生した新たな事業『mederi Pill』が、いよいよ今秋、2021年11月に正式ローンチですね。 6月にプレリリースを行い、先行会員登録に関しては想定数以上の方にお申し込みいただき、大きな反響をいただいています。センシティブな領域ですが、みなさまからの期待値の高さを感じていますね。 『mederi Pill』は低用量ピルの処方を希望される女性とオンライン診療をしてくれる産婦人科医をつなぐマッチングプラットフォームなのですが、大前提としてピルのメリット・デメリットを丁寧に発信していきたいと思っています。ピルのことを正しく知っていただいた上で申し込んでいただける構成になっています。     -ピルには“避妊”以外にもさまざまなメリットがあるんですよね? そうなんです。私自身、生理不順を治すために十代の頃から飲んでいましたが、周りからは「避妊薬を飲むなんて!」とネガティブに捉えられたこともしばしば。私自身は、かかりつけ医からピルを服用することで、生理周期が整ったり、肌荒れが改善したり、子宮内膜症の予防にもつながるという説明を受け、多様なメリットを感じ服用をしていたのですが、日本では“避妊用”のイメージが先行したせいか、服用率は1〜3%と諸外国より低いのです。 -「Ubuは妊活前の女性には届きにくかった」というお話がありましたが、そこから『mederi Pill』へ展開された背景にはどのような想いがあったのでしょうか? 『Ubu』を手がけた当時は自分自身も不妊治療のことで頭がいっぱいで、サプリメントやチェックキットのことばかり考えていましたが、事業が進んでいく中で、どうやったら妊娠・出産について未検討の女性にご自信の身体に興味を持ち続けてもらう環境を作り出せるんだろうと考えるように。 自分自身がどうだったか思い返してみたら、私がまだ子どもを産むか産まないか意識していなかった10代、20代前半にしていたカラダのケアが、低用量ピルを飲むことだったんです。今は妊娠希望のため服用していませんが、約10年弱は飲んでいたんですね。その間は、生理周期ならではのトラブルに悩むことなく、快適に毎日を過ごせていたなぁと。 “前澤ファンド”のことをTwitterで知って応募し、前澤さん、前澤ファンドのメンバーとお会いして選考ディスカッションさせていただいたことも、自分の考えを整理するすばらしい機会になりました。   […]

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人気ワインストア・三軒茶屋『Però』に聞く、イタリア産ナチュラルワインの楽しみ方

近年、人気を集めているナチュラルワイン(ヴァン・ナチュール)。サスティナビリティへの関心が高まるなか、奥深いワインの世界を楽しむうえでも“自然派”であることが大きなトレンドとなっています。そんなナチュラルワインの魅力を探るべく、今回は三軒茶屋でイタリアのナチュラルワインを扱うワインストア&スタンド『Però(ペロウ)』へ。イタリアへの留学経験があり、現地の文化やお酒の楽しみ方をお店づくりに反映している同店ストアマネージャー・森田雅人さんに、小規模ワイナリーで手間と時間をかけて造られるイタリア生まれのナチュラルワインについて、フィアット『500』をイメージしたオススメの3本を添えて、その魅力を解説していただきました。   イタリアの文化を発信するワインバー『Però』     三軒茶屋の人気イタリアン『Bricca(ブリッカ)』の姉妹店として、2017年にオープンしたワインストア&スタンド『Però』。同店のコンセプトは、ズバリ“飲めて、買える”。店内のウォークインセラーにズラリと並べられた約300〜400種類・800本以上のワインは、そのほとんどがイタリアの小規模ワイナリーでつくられたもの。土壌や気候はもちろん、ワイナリーごとに受け継がれる伝統や造り手の人柄さえも味に表れる、いわばクラフトワイン。そんな個性豊かな無二の一本と出会える『Però』は、一度知ると足しげく通いたくなるワイン好きのためのお店です。     イタリア語の接続詞“しかし”を意味する“Però”。その由来について「言い訳をするときに使う“Però”は、ガス抜き上手なイタリア人らしい言葉。日本人ももっと言い訳しながらでもラクに生きていいし、少なくともこのお店では気楽に過ごしてほしい」と語るのは、ストアマネージャー・森田雅人さん。 同氏は、デザイン事務所を退社しイタリアンの世界に飛び込んだユニークな経歴の持ち主。都内のレストランに入社し、2012年イタリアを縦断。2014年、さらに単身留学。帰国後、南青山の人気店でソムリエを務め、2017年『Bricca』に入社。その後『Però』開店にイチから携わり、現在は自身が現地での生活で体感したイタリアの文化やワインそのものの魅力を生産者に近い立場で発信し続けています。   ▲『Però』ストアマネージャー・森田雅人さん   「ワインは、ブドウで9割が決まると言われています。ただし自然が相手ですし、地質の違いや日照条件なんかでブドウの特徴が変わってきます。加えて、醸造の方法で同じブドウを使っていても味わいが変化する。うちで扱っているのは、ほぼ家族経営の小規模な生産者が造ったもの。だからこそ、ブドウそのものの味だけでなく、年ごとにスキルの向上や苦労と成功までも顕著に表れる。そこがクラフトワインならではの魅力だと思っています」   3つの“待つ”を経てつくられるイタリア産ワイン     近年トレンドとして注目されている『ナチュラルワイン(ヴァン・ナチュール)』。一般的には、ぶどうの栽培方法から醸造工程にいたるまでを可能な限り自然に則ったかたちで造られるものとして『ビオワイン』や『無添加ワイン』も同様に人気を集めていますが、実のところ“自然派”の定義は明確に定まっていないのだとか。 「ナチュラルワインとそうではないものの違いは、かなり曖昧です。畑で使われる農薬や添加物の有無など、ナチュラルの基準もメーカーがどう主張するかによるところがあります。国ごと州ごとにも規定が変わってきますし、人によっても捉え方が変わりますよね。近年若い生産者の参入による多様化によってさらにナチュラルワインというワードが曖昧になっていき、いずれ淘汰されていくと思っています」     『Però』で取り扱うものは、ほとんどがナチュラルワイン。そして、イタリアワインには他の国で造られるワインとは大きく違った特徴があると森田さんはいいます。 「たとえば世界的に認知度の高いフランスのワインは、需要に併せて出荷スピードが重視されています。その反面、イタリア産ワインの特徴を挙げるとするなら、3つの“待つ”。まず1つ目は、原材料であるブドウがフルーツとして完熟するのを待つ。これは一番大事なことですし、彼らにとっては伝統であり当然のことなんです。2つ目は、醗酵し切るのを待つ。年によってブドウの糖分が違うので、かかる時間も変わってきます。3つ目は、熟成させ飲み頃になるまでボトリングを待つ。いま市場に出荷されているものだと2020年のものがリリースされはじめていますが、イタリアワインの場合2010年前後のものが今年出荷されることもザラにあるんです」 受け継がれる伝統と自然の摂理にすべてを委ね、じっくり時間をかけて造られたイタリアのナチュラルワインは、おうちでゆっくりと楽しむのがオススメ。取り扱いについては、ナチュラルでなくとも基本的に数日ワインセラー(なければ冷蔵庫でも)で寝かせるとより美味しく飲めるというのがワインの基本ですが、森田さんは「計画的に置いておければベストですが、すぐに開けても大丈夫。イタリアワインはしっかり時間をかけているからこそ、いつ開けても飲みごろです」と太鼓判を押します。     「のんびり造られたイタリアのワインは、のんびり飲むのが一番。たとえば、ワインが冷えすぎているなと思えば少し放っておけばいいんです。温度変化とともに味わいの変化を楽しむ余裕があるといいですよね。グラスや温度帯、一緒に食べるものによって印象がさまざまに変化するのがワインの面白いところ。いろいろな種類をたくさん飲むことももちろん楽しいのですが、一杯飲んで知ったつもり一本飲んでわかったつもりになるのはもったいない。いろんな飲み方を試しながら、ひとつのワインとぜひじっくり付き合ってみていただきたいです」   フィアット『500』をイメージした3本のワイン     これまで、訪れるお客さまとワインとの出会いをつないできた森田さん。人それぞれ好みや要望が異なるなか、ワインを勧めるうえで特に大切にしていることは、飲むシチュエーションや誰と飲むのかなど、意外にも味以外の部分だといいます。     「ワインの情報というものはラベルに記載されているんですけれど、残念ながらそこから味はわからないんですよね。ですので、こちらからオススメするときは出来るだけ求めているもののヒントを会話から引き出すようにしています。たとえば、キャンプに持っていくというなら常温でも美味しく飲めるものを勧めたり、プレゼントであればどんな方に贈られるのかを伺ったり。贈る方ご本人が好きなものをプレゼントするのが喜ばれる場合もありますよね。コミュニケーションの中で、その方が求めるものを伺ったうえで自分の引き出しからオススメの一本を選ぶようにしています」     今回は森田さんが、フィアット『500(チンクエチェント)』をイメージしたイタリア生まれのとっておきの3本をリコメンド。それぞれの特徴や味わいと併せて、赤・白・シードルそれぞれのワインによく合うフードの取り合わせのアイデアも伺いました。森田さん曰く、ペアリングフードは味のマッチングではなく“口の中の心地よさ”がポイントになるそう。ぜひ、おうちで楽しむ際のご参考に!   <Asinoi Barbera d’Asti 2016/Carussin(アジノーイ バルベーラ ダスティ/カルッシン>     イタリア在住の時、働いていたワイナリーの逸品。心地の良い酸味の奥に完熟ぶどうのフルーティさも感じられる赤ワインです。「日本で誰よりもこのワインを飲んでいる自信がある」というのは森田さん談。まったりと口溶けのいいチーズやチョコレートと合わせることで、より深い旨みを堪能出来るのだそう。   <Lamoresca Bianco 2018/Lamoresca(ラモレスカ・ビアンコ/ラモレスカ)>     […]

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体にやさしいブレンドティーの専門ブランド『CHAMISOU』はいかにして生まれたか

日本のお茶をベースに、香りが良いもの、体に良いものをブレンドした、心身を癒すブレンドティーを提案する『CHAMISOU(チャミソウ)』。接待の手土産としても重宝されている同ブランドが見据える未来とは──。 京都の茶葉をベースに、薬剤師、薬膳アドバイザーによって監修された香りと体によいものを追求した日本茶ブレンドティーを展開している『CHAMISOU』。2020年には、同ブランドが手がけた明薫 オーガニックボトルティーが、ぐるなび主催の『接待の手土産2020』と『セレクション2021』に入選を果たしています。ギフト需要も高い、『CHAMISOU』のブレンドティーとはどのようなものなのでしょうか。同ブランドを立ち上げた鎌田実紀さんに話を聞きました。   ▲鎌田実紀さん     日本にはない食のテイストに興味を持ちました   世界的なノンアルコールドリンクブームのなか、『CHAMISOU』にもこれまで以上に注目が集まっています。子どもの頃から茶道を習っていたという鎌田実紀さんにとって、お茶は幼少期から身近な存在でした。今も仕事中にお茶を飲むことは欠かせないといいます。     「20代半ばのときには、イギリスに留学し、料理学校の短期コースを受講しました。ちょうどモダンブリティッシュ料理が流行っていた頃です。日本にはないハーブやスパイスを使った食のテイストに興味を持ちましたね」 その後、イタリアのボローニャでもホームステイをしながら元パン屋さん姉妹の料理教室に通ったそう。 「イタリアで感銘を受けたのは粉の扱い方です。料理教室では主に家庭料理をならっていたのですが、とても勉強になりました。また、オリーブオイルが飲めるくらい大好きになりました(笑)。今でもお刺身はオリーブオイルをかけていただきます。生魚ならなんでも合いますよ」   ▲イタリア留学時   イタリアでのお茶文化はどのようなものだったのでしょうか。 「イタリアでお茶といえばハーブティーです。体調が悪いときは薬局に相談してもらうこともあります」 鎌田さんは日本に帰国後、名門料理学校、ル・コルドン・ブルーでさらに料理を学びます。 「日本のル・コルドン・ブルーには、外国からいらっしゃる方も多いんです。そういった環境も新鮮で、卒業後も通訳として関わっていました」 香港華僑のご令嬢アーティストと出会い、水墨画を習うようになり、鎌田さんは中国にも足を運ぶようになります。   こういうお茶があったらみんな喜んでくれるのではないか   「中国では、多くの方が、自分のコンディションに合わせ、お茶にクコの実やナツメなどをブレンドして飲んでいました。中国の方にとっては、それが日常なんです。私も体に良いものが大好きなので(笑)、すっかり影響されてしまい、その後、日本茶にキンモクセイなどをブレンドして飲むようになりました」     こういうお茶があったらみんな喜んでくれるのではないか──、そう考えた鎌田さんは、2017年に『CHAMISOU』を立ち上げます。 鎌田さんの言葉を借りれば、『CHAMISOU』は、“香りが良いもの、体に良いものをブレンドした、ブレンドティーをご提案”するブレンドティーの専門ブランド。京都の茶葉をベースに、体に効用のあるもの、リフレッシュできる香りを加味します。 現在は京都のお茶を使っていますが、今後、別の地域のものを使っていく予定もあるそうです。 「お茶農家さんはどこも高齢化が進んでいます。せっかくいいものを作っていらっしゃるのになくなってしまうのはもったいないです。微力ながらそういったお茶を使うことで、存続のお手伝いができればと思っています」     ブレンドは鎌田さん自身が考えているそう。 「つい私自身が好きな素材を使ってしまうのですが(笑)、最終的に薬剤師と薬膳アドバイザーの方にもチェックしてもらっています」   CHAMISOUこだわりのブレンド茶葉をご紹介   では、現在『CHAMISOU』が販売している3種の茶葉を、鎌田さんに紹介してもらいましょう。どれも“明”の字が付いていますが、これは「明の時代にジャスミン茶が普及し、お茶が広く庶民に伝わったことに由来します」と鎌田さんは話します。 まずは『明薫(めいくん)』。京都和束町のオーガニック京番茶に、有機ラベンダーと自然農法で作られたイタリア産ベルガモットピールを合わせたものです。     「ベースとなるお茶は、有機栽培をしている京都和束町の農家さんのものです。カフェインレスですから夜も飲めますし、風邪予防にこのお茶でうがいをしてもいいくらい(笑)。この茶葉と、ラベンダーとベルガモットピールをそのままタンクに入れて抽出しています。香料は使っていませんがしっかりと香りが出ます。京番茶の香ばしさが合わさり、すっきりお飲みいただけます。お肉など少し脂っぽいものを食べたあとの口内をすっきりさせてくれるので食も進みます」   『明姫(あきひめ)』は、煎茶に華やかなダマスクローズの香りと、クコの実とペパーミントをブレンドしたものです。     「ペパーミントが入っているので後味がすっきりします。この時期だと水出しにしても美味しいですよ。ダマスクローズの香りは、男性にも気に入っていただけるのではないでしょうか。気持ちを優雅にさせてくれます」 ペアリングは、アペタイザーやサラダなどに合わせるのがおすすめだそうです。   『明焙(みんばい)』は、ほうじ茶に、ナツメとシナモン、クコの実を加えました。     […]

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ドライブにおすすめ! 現地ラジオDJが教えるイタリアの人気曲11選

日本からイタリアへ自由に旅行ができなくなってから1年近く経過し、「生活にイタリアがちょっと足りない〜」とイタリアが恋しくなっている方も多いのではないでしょうか。そんな方にお勧めしたいのが、ドライブ中にイタリアソングを聴くこと。イタリア生まれのフィアットを運転しながら、イタリアの名ポップを聴けば、イタリアでドライブしている気分になれますよ!     そんなフィアットでのドライブにお勧めのイタリアソングを選曲したのは、フィレンツェにあるFMラジオ局でイタリア人たちと生放送番組を続けて9年目を迎えるレギュラーパーソナリティーの小林真子です。番組ではアーティストをゲストに迎えることもあり、そのおかげでイタリア人ミュージシャンの知り合いも多い私が、イタリア人たちとあれこれ相談しながら、「イタリアで運転している気分を味わえ、なおかつ日本人の感性にも合いそうな曲」にこだわって選んでみました。 選曲は古き良きイタリア音楽から最近流行の曲まで幅広いジャンルに渡っているので、「この曲、懐かしい!」と思う方や、逆にそんな曲をむしろ新鮮に感じる世代の方もいるかもしれません。聴いているうちに「早くイタリアに行きたい!イタリアでドライブしてみたい!」という気持ちが沸いてくるようなイタリアソングをお楽しみください。         さあ、出発! 朝日を浴びながら旅先へ向かう午前中のドライブに       01. Ornella Vanoni – L’appuntamento (1970年)     イタリアの田舎生活を描くドキュメンタリー番組「小さな村の物語 イタリア」(BS日テレ)のテーマソングとして日本ではお馴染みの『L’appuntamento(ラップンタメント=逢いびき)』。耳にした途端、イタリアに瞬間移動した気持ちにさせてくれる曲は、朝の出発にぴったり。 歌っているオルネッラ・ヴァノーニは、ミラノ出身のイタリアを代表するポップミュージックの女王。現在86歳の彼女は、なんとまだ現役歌手なんです!2018年には新曲もリリースし、全国ツアーも敢行しました。全国ツアーでは幸運にもフィレンツェ公演へ行ったのですが、83歳になったオルネッラが熱唱する「逢いびき」は、年齢を重ねた歌声に深みが増していて感動的でした。彼女はおしゃべり好きでコンサートの間ずっと弾丸トークを続け会場を常に沸かせていたのですが、会場からひときわ歓声が上がったのはこの言葉。”Se si é curiosi non s’invecchia!”=「好奇心旺盛なら年を取らない!」86歳現役歌手のオルネッラが言うと説得力がありますね!     02. Takagi&Ketra – L’esercito del Selfie ft. Lorenzo Fragola, Arisa (2017)     キャッチーで耳に残りやすいメロディーとダサかわいいレトロなミュージックビデオが人気を呼び、2017年にメガヒットした『L’esercito del Selfie(レゼルチト・デル・セルフィー=セルフィー軍隊)』。音楽プロデューサードゥオのタカジ&ケトラが人気歌手ロレンツォ・フラゴラとアリサをフィーチャーした曲で、SNSに振り回される現代を風刺している歌詞がユニーク。イタリアの夜の街路をノリノリでドライブ!そんな気持ちにさせてくれる曲です。     03. Lucio Dalla -4 Marzo […]

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シンプルだから、おいしい。親子で作れるイタリア菓子「バーチ・ディ・ダマ」

いよいよ今週末に迫ったバレンタインデー。おうちで過ごす方も多い今年は、手づくりスイーツに挑戦してみませんか? いまからでも間に合う、お子さまも一緒にお菓子作りが楽しめるレシピをご紹介します。 今回作るのは、クッキーでチョコレートをサンドしたイタリアの伝統菓子「バーチ・ディ・ダマ(Baci di Dama)」。レシピを考案していただいたのは、いま国内外から注目を集める東京・恵比寿のペストリーショップ「LESS by Gabriele Riva & Kanako Sakakura」です。         世界的に活躍するイタリア人シェフと日本人シェフが作った菓子店   「LESS by Gabriele Riva & Kanako Sakakura」は、ガブリエレ・リヴァさんと坂倉加奈子さんという、世界を股にかけて活動してきた2人のシェフが手掛けるペストリーショップ。2019年9月にオープンし、早くもスイーツファンの熱視線が注がれています。     ガブリエレさんはイタリア・ミラノ出身。幼少のころから家業のペストリーショップを手伝い、14歳にしてジェラートのセクションをすべて任されるまでに。その後さまざまなペストリーショップで経験を積み、世界の大都市でコンサルティングを経験。7年に渡りUSAカカオバリーアンバサダーを務めた経歴を持ち、革新的な菓子作りを得意としています。 坂倉さんは三重県出身。大阪の専門学校を卒業後にフランス・ノルウェー・日本の名店で経験を積み、国際デザートコンクールでも受賞。ジャンルに捉われず素材に敬意を払い、季節ごとの食材を使用した皿盛りデザートを得意としています。 LESSでそれぞれが担う役割は、クリエイションのアイデアをガブリエレさんが考え、それを坂倉さんが日本にあったかたちで伝えること。素材を深く理解し、日本人の感覚に近い繊細な味の表現ができるというガブリエレさんのお菓子作りは、日本料理にも通じる素材を活かすシンプルなレシピが多いそうです。     また、LESSのお店でユニークな点のひとつが、冷蔵のショーケースがないということ。それは旬のおいしさを、なるべくフレッシュなうちに食べてもらいたいという思いから。ドイツの工業デザインの巨匠、ディーター・ラムスの言葉「LESS, but better」をテーマに掲げ、不要なものをそぎ落として、より良い品質、サスティナブルな販売方法や店舗デザインなどを追求しています。         フィアットと同郷! イタリアの伝統菓子「バーチ・ディ・ダマ」とは   今回、親子で作れるイタリア菓子としてLESSの2人が提案するのは「バーチ・ディ・ダマ」。フィアットと同じピエモンテ州で生まれたといわれる伝統菓子です。チョコレートをサンドしたひと口サイズでコロンとかわいいクッキーで、日本でも比較的知られているイタリア菓子のひとつではないでしょうか。 バーチ・ディ・ダマ(Baci di Dama)はイタリア語で「貴婦人のキス」という意味で、貴婦人がこのお菓子を食べる際に口をすぼめた様子が「キス」のようであったことから名付けられたという説があります。そんなエピソードからも、バレンタインデーにもぴったりのお菓子だといえそうです。     今回ご紹介するレシピはガブリエレさんが考案し、坂倉さんに作っていただきます。ポイントは、温度管理や形などを気にせず、普段お菓子作りをしない方でも簡単に作れるということ。材料はどれもスーパーで買えるような身近なもので揃うので、ぜひ親子で挑戦してみてくださいね。       はじめてでも簡単。バーチ・ディ・ダマの作り方   では、いよいよバーチ・ディ・ダマを実際に作っていただきます。レシピは記事末尾にまとめていますので、そちらもチェックを! 用意する材料は至極シンプル。クッキー生地の材料は、無塩バター、グラニュー糖、アーモンドパウダー、薄力粉をそれぞれ同量の50g、バターと卵白は室温に戻しておきます。すべて同量なので、量の調整も簡単です。 […]

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