家族や友人と安心して出かけるのは、パーソナルな空間を確保できるマイカーがいい。このご時世、特にそう思いませんか? 家族や自分だけの空間や、時間や行程をアレンジできる自由度、プライバシーが確保される安心感。これらはクルマならではの特権ですね。逆にいえば、こうした要件が満たされていると、ゆったりリラックスした時間を過ごせるということだと思います。
500ファミリーの中で、広々した空間とゆとりの動力性能を特長とする500X。写真は、2020年8月に発表された新グレードの「500X Sport」。
そこで今回はプライベートな空間を享受でき、かつ長距離の移動も苦にならないクルマという観点から、「500X」に注目してみたいと思います。500Xはどんなクルマかというと、簡単にいうと、少し大きめの「500」。空間に余裕があり、スペースと動力性能のゆとりがあることから、快適に移動できるのが大きな強み。ここでは500Xの代表的なグレードである「500X Cross」と、2020年8月に新たにラインアップに加わった「500X Sport」を乗り比べながら、500Xの魅力に改めて迫ってみたいと思います。
クロスオーバーSUVらしいスタイリングを持つ500X Cross。
まず500X全般に共通するこのクルマの強みは、“つくり”がしっかりしていること。揺すってもグラつかないしっかりした机のように、ビシッとした安定感があります。つくりがしっかりしたクルマだと、高速道路を長時間走っても疲れづらいし、ビシッと芯が通った骨太感により、少々荒れた路面でも乗り心地が乱れないのが魅力。総じて、安楽なクルマです。では次に、500Xのグレードによる違いをみていきましょう。
500X Sportは、500Xシリーズの中でスポーティ版という位置づけ。専用の内外装デザインや、運転を積極的に楽しめる味付けが施されている。
500XはもともとクロスオーバーSUVとして誕生したクルマ。その成り立ちがそのまま表れているのが「500X Cross」です。力強さを感じさせるオフロードテイストのバンパーデザインや、タイヤハウスの周りをブラックの樹脂で覆ったタフなルックスが特徴。一方、「500X Sport」の方はその名が示す通り、スポーティ感を高めるべく、全体的に流麗なフォルムに仕上げられています。バンパーはエアロタイプとなり、重心が低く演出されています。また車高も若干低く、高速走行時の安定感を重視した設定となっています。見た目がスタイリッシュだと、停車している愛車の姿を見るだけで気分が高まるもの。500X Sportはそういうエモーショナルに楽しませてくれる一面を持っています。
500X Sport(左)は、エアロパーツにより安定感あるフォルムに仕上げられている。500X Cross(右)は骨太感のあるSUVらしさが演出されている。
500X Sportはサイドシルまでがボディ同色にペイントされ、19インチホイールを装着。500X Crossはボディ下部がブラック仕上げとなり、17インチホイールを装着する。
リアは、500X Sportがワイド感を強調したリアバンパーやデュアルエキゾーストシステムによりスポーティ感を強調。500X Crossはアンダーガーニッシュタイプのリアバンパーによりタフな雰囲気に。
500X Sportは大径感を強調する細形の10スポークホイールを装着。またフェンダーアーチがボディ同色となる。500X Crossはオーソドックスな15スポークホイールを装着し、ブラックアウトしたフェンダーアーチを装備する。
インテリアは、エクステリアほどの違いはないものの、素材やカラーによって差別化されています。500X Cross は、ボディ同色のインストルメントパネルがブラック基調のインテリアのアクセントとなり、ステアリングやシートはレザー表皮で上質にまとめられています。一方、500X Sportは、メーターフードとステアリングのグリップ部分にアルカンターラ表皮が用いられ、さらに赤いステッチを施すことで、レーシングカーを思わせるスポーティな雰囲気に仕上げられています。またインストルメントパネルは艶感のあるダークグレー仕上げとなり、ブラックのレザーシートの組み合わせにより、クールな雰囲気に仕上げられています。
500X Sportはステアリングホイールのグリップ部やメーターフードにアルカンターラ素材が用いられ、さらに赤ステッチによりレーシーな雰囲気を醸し出す。500X Sportは上質感を感じさせる仕上がり。
インストルメントパネルは500X Sportがダークグレー仕上げ。500X Sportはボディ同色タイプを採用する。
次に乗り味の違いに注目していきます。2台の仕様が異なる部位は、サスペンションとタイヤ&ホイール、それにステアリングのセッティング。先に登場した500X Crossでは、標準タイプのサスペンションやホイール、ステアリングが採用されており、後に登場した500X Sportの方は、サスペンションが引き締められ、大径タイプのホイールを装着。さらにステアリングは少ない切れ角で向きが変わる味付けとなっています。
異なるセッティングにより、乗り味も差別化されている500X Sportと500X Cross。
実際の乗り味は、乗り比べると確かに違いが感じられます。専用のサスペンションやステアリングシステムが与えられている500X Sportは、クイクイっと向きが変わる感覚が強調されており、特にペースが上がるとカーブを曲がるという行為が楽しくなる、そんなキャラクターに仕上がっています。スイスイ走るのが好きな人は、500X Sportの味つけが好ましいと感じられることでしょう。
少ないハンドルの切れ角で向きが変わり、キビキビ感が強められた500X Sport。
ただこれはあくまで味付けの違いで、では500X Sportの方が速く走れるクルマかというと、少なくても公道で乗る上ではそれほどの差はありません。どういうことかというと、冒頭でお伝えした通り、500Xというクルマは基本骨格がしっかりしているため、クルマに高い負荷を与えても、安定感を失うようなことはありません。この点は500X Sportも500X Crossも同じ。500X Sportの方が少ない切れ角で曲がれるかもしれませんが、だからといって500X Crossが同じスピードでカーブが曲がれないかというと、そんなことはありません。つまり操舵感覚に違いはあっても、基本性能には大きな違いはないということです。
500X Crossは自然な感覚でカーブを駆け抜けていく。
このことは乗り心地にもあてはまります。サスペンションが柔らかく、タイヤ側面の厚みが大きい方が乗り心地には有利なため、17インチタイヤを装着する500X Crossの方が乗り心地はいいということになります。実際その通りで、500X Crossはゆったりとした感覚があります。ただし500X Sportの方も、ハイトが薄い19インチタイヤを装着するにもかかわらずボディがしっかりしているため、荒れた路面でガタピシャするようなことはなく、サスペンションがしっかり衝撃を吸収してくれます。また500X Sportではサスペンションが若干硬めに設定されるとはいえ、それほど大きな違いではないため、乗り心地が悪化するほどではありません。
500X Sportを激辛、普通辛、チョイ辛の3段階に当てはめるとすれば、味付けはチョイ辛。気分を盛り上げてくれるものの、適度なスパイスに留まっています。一方の500X Crossの方は唐辛子なしで、素材そのものの味を楽しめるといった感じです。
つまり500X Sportと500X Crossは、見た目や味付けの好みで選んでも、ネガティブな部分がほとんどないということ。それ以上に、クルマの“つくり”がしっかりしているため、運転が苦にならならず、どこまでも走って行けそうな気がする。そんな頼もしさが光っています。ワンデートリップや長距離移動にガンガン使いまくりたい。そんなクルマです。
500X Sportについて詳しくはコチラ
500X Crossについて詳しくはコチラ
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