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マリトッツォの本場イタリア出身シェフに聞く、マリトッツォがもっと美味しくなる魔法

2021年6月にオープンした、マリトッツォ専門店『マリトッツォ ロマーノ』は、大きなイタリア国旗がはためく、ガレージ風のお店。ショーケースには今話題のマリトッツォが並び、イタリア人スタッフが、「プレーゴ(prego)」と元気よく道ゆく人に声をかけています。昨年、突如として日本に舞い降りた、マリトッツォブーム。瞬く間に、さまざまな場所でマリトッツォを購入できるようになりましたが、マリトッツォ発祥の地であるイタリア・ローマ出身のシェフが作るマリトッツォは、同店の最大の強みです。そのシェフに、本場イタリアのマリトッツォの歴史やレシピ、そして、『マリトッツォ ロマーノ』について話を聞きました。   ローマの友人たちはみんな驚き、喜んでいます!   コロンと丸いパンにたっぷりの生クリームを挟んだもの──。これが、私たちが知る、マリトッツォの基本的なかたちです。そんなシンプルなスイーツパンが、突如として脚光を浴びることになりました。素朴な美味しさに加え、その愛らしいルックスも時代に合っていたのでしょう。 『マリトッツォ ロマーノ』をプロデュースし、同店のシェフを務めるサルストゥリ・マルチェッロさんは、日本におけるマリトッツォブームについて、「びっくりしました。ローマの友人たちも、みんな驚いていました(笑)。日本の方に、ローマの食文化を楽しんでもらえることが、とてもうれしいです」と流暢な日本語で語ります。聞けば、日本在住13年目、奥様は日本人だそうです。   ▲サルストゥリ・マルチェッロさん   「僕はローマ生まれのローマ育ち。マリトッツォは子どもの頃から、食べていた大好きなお菓子です。ローマでは、朝食として、カプチーノと一緒に食べるのが一般的ですが、おやつに食べる人もいます」 多くの日本人は、ほんの1,2年前までその名前を耳にしたこともなかったであろう『マリトッツォ』、その歴史は古代ローマにまで遡ります。もともとはオリーブ油を混ぜた生地に、はちみつで甘みをつけ、さらにレーズンなどのドライフルーツを加えた今以上にシンプルなものだったといいます。これが時代とともに変化を遂げ、20世紀後半、軽やかに焼き上げたパンに生クリームをはさむという、現在のかたちになりました。     マルチェッロさんによると「マリトッツォという言葉そのものは、イタリア語で夫を意味するマリート(marito)から来ています」とのこと。なぜそう呼ばれるようになったのかについては諸説あるようです。 夫に手軽にしっかり栄養をとってもらうために妻がレーズンやはちみつなどを生地に入れたパンにクリームを詰め込んだという説、反対に、夫が妻のために買いに走ったという説──。かつては、3月の最初の金曜日に、マリトッツォのクリームのなかに指輪を入れて、男性が女性にプレゼントするという習慣もあったとか。どの説も、ハッピー、そして愛がキーワードになっています。ご機嫌なお菓子であることは間違いありません。     現在、日本でもさまざまなバリエーションのマリトッツォがいただけますが、明確な定義はあるのでしょうか。そう尋ねると、マルチェッロさんは、「明確な定義? 聞いたことないです(笑)。クリームのバリエーションも豊富ですし、ベースとなるパンも店によって異なりますが、みんなマリトッツォです(笑)」。 肝心の作り方については、「たぶんみなさんが想像する以上に時間がかかります」とのこと。店によっても異なりますが、ローマでは一般的に、リエビティーノ(lievitino)という発酵種を作り、発酵させているのだとか。『マリトッツォ ロマーノ』のレシピでは、「一晩かけて生地を発酵します。ふんわり軽やかに仕上げるには、発酵にきちんと時間をかけることが必要なんです」。これに、オレンジピールやオリーブオイルも練り込んで風味を付け焼き上げたパンに、たっぷりの生クリームをはさみます。     イタリアでは、日本ですっかりおなじみになった丸いタイプだけでなく、コッペパンのように、細長い形状のものもあるそう。マルケ州の一部の地域では、生クリームではなく、干しぶどうが入った、昔ながらのマリトッツォもよく食べられています。南イタリアのプーリア州では、生地を編み込んだようなかたちのマリトッツォを見かけることもあるそうです。   本場ローマの味を、日本人が好むテイストにアレンジ 日本でもマリトッツォが食べられるようになったことで、「子どもの頃に母が作ってくれたマリトッツォを頬張った幸せな記憶が蘇りました」と語るマルチェッロさん。彼がシェフを務める『マリトッツォ ロマーノ』は、2021年6月にオープンしました。同店で提供するマリトッツォは、「私がローマでいた頃に親しんだ本場の味を、日本の方にも喜んでいただけるテイストにアレンジ」したもの。ローマのマリトッツォは、さらに大きく、甘さも強いため、少し小さめに成型し、はちみつを加えることで甘さを控えめにしているそうです。     「小麦粉はイタリアから取り寄せたものを使用しています。イタリアと日本では、水が違うので、ローマの味を再現するのには、さまざまな工夫や調整が必要でした」。ほかのイタリア人スタッフらと数か月にわたって試行錯誤を繰り返し、現在、同店で販売しているマリトッツォが完成したといいます。 店頭には常時8~10種類のマリトッツォが並びます。色とりどりのマリトッツォが可憐に並ぶ様子に、足を止める人も少なくないそう。私たちが取材に訪れた日も、「これはなに?」「どれが美味しいの?」と、スタッフに声をかけ、ショーケースをのぞき込む人を何人も目にしました。「僕以外にも、複数のイタリア人スタッフがいます。イタリアの食の文化についても気軽に質問してください」。美味しいマリトッツォが購入できるだけでなく、イタリア成分も補充できそうですよ!     日本では手土産としての需要も多くなることを予測し、オリジナルのギフトボックスも製作しました。このボックスにも細やかなこだわりがあり、完成するまでにかなりの時間をかけたのだとか。 「まず、丈夫なケースを探し、持ち運びのときに多少揺れても大丈夫なように、そのケースにぴたりと入る大きさに、マリトッツォを調節しました」 その後、このケースが入るボックスを作ったそうで、ボックスには3個入りと6個入りがあります。エレガントなデザインのボックスに入った、キュートなマリトッツォたち──。きっと笑顔がこぼれるギフトになることでしょう。     なお、現在、『マリトッツォ ロマーノ』が入っている建物は、2021年11月までに取り壊されることが決まっています。しかし、すでにマルチェッロさんたちは、麻布十番エリアに、新たにイタリア料理店をオープンさせることを決めているのだそう。「新たなお店でもマリトッツォの販売を行う予定です。路面店となる店舗も探しているので、決まり次第、お伝えしますね」。   秋に向けて、新たなマリトッツォを製作中です!     「秋に向けてマロンのマリトッツォを製作中です。チョコレートを練り込んだ生地も作りたいですね。もっとたくさん種類を増やしたいです」と語るマルチェッロさんは、なんだかとても楽しそうです。そんなマルチェッロさんに、現在、購入できるもののなかから、おすすめのフレーバーを、3つ、ピックアップしてもらいました。 真っ先に挙げたのは、いちばん人気だという『ピスタチオ』(600円)。イタリアから取り寄せたピスタチオで作った濃厚なピスタチオクリームには、砕いたピスタチオの実が入っていて、食感や香りも楽しいマリトッツォです。     「ティラミス(650円)もおすすめです。ティラミスの味わいをクリームにしたことで、軽やかに味わっていただけます。コーヒーはもちろん辛口のスパークリングワインや、赤ワインとの相性もぴったりです」。季節のフルーツをあわせたアイテムも人気です。     「ストロベリー(600円)は、見た目のキレイないちごが、生のフルーツを使ったマリトッツォのなかでも絶大な支持を得ています。ナイフとフォークを使って食べていただくと、より美味しさが際立ちますよ」。 […]