fiat magazine ciao!

女性支援

LIFESTYLE

女性を応援し続けていきたい。フォトグラファー・花盛友里さんに聞く、私が『STOCK』を立ち上げた理由

フィアットでは、日本はもちろん、世界中の女性を応援する活動を行っています。『#ciaoDonna(チャオドンナ)』は、元気で、明るく、前向きな毎日のために、フィアットがすべての女性にエールを送るプログラム。女性がより輝くまいにちを送れるようにサポートする、フェムテック企業も応援しています。 アンダーウェアを中心に展開する『STOCK(ストック)』も、そんなファムテック企業のひとつです。女性誌や広告で活躍するフォトグラファー・花盛友里(はなもり・ゆり)さんがプロデュースする『STOCK(ストック)』がテーマに掲げるのは、“地球にやさしく、そして自分でよかった!と思えるような、気分が上がるアンダーウェア”。ぜひホームページをのぞいてみてください。多くの人が、スマホやパソコンの画面越しに「かわいい!」と思わず声を上げてしまうようなキュートなアイテムが並んでいて、しばし見入ってしまうことでしょう。花盛さんが『STOCK』を立ち上げた理由、そして『STOCK』を通して実現したいことについて、お話を伺いました。   「自分のカラダが好き」と言える子が増えてほしい 今回の取材は、私鉄沿線のマンションの一室にある花盛友里さんの事務所で行いました。おしゃれなラグやカラフルなランプシェイドなど、『STOCK(ストック)』のアイテム同様、“かわいい”にあふれた空間で、ついきょろきょろしてしまいます。「ここは私の城。自宅と違って、思い切り自由にさせてもらっています」と語る花盛さんは、雑誌や広告などを中心に活躍するフォトグラファー。中学生の頃から写真に興味を抱いていて、プロとして写真を撮影する現在の日々について「すごく楽しいです、本当に」と屈託のない笑顔をのぞかせます。   ▲花盛友里さん   そんな花盛さんが『STOCK』を立ち上げたのは、『脱いでみた。』という、一般の女性を被写体にしたヌード写真集を出したことが大きなきっかけになったのだとか。 「雑誌や広告の仕事はレタッチ(修正・加工)をめちゃくちゃ求められます。『ここ消さなくてもいいじゃん』と思ったところも消さなきゃならなかったりするんです(笑)。どんな女の子にもかわいいところはあるし、どんな体型でも美しい部分は絶対にあります」 女の子の“ありのままの姿“を切り取ることで、自分のカラダが好きと言える子が増えてほしい──。花盛さんが一般の女性のヌードを撮りはじめたのはそんな理由からでした。撮影モデルはInstagramで広く公募したそうです。選考はせず、先着順で応募を募ったため「スタジオの扉を開けるまでは、顔も体型もわからない状態でした」と振り返ります。     「モデルを志願してくれた方々も、選考ではなく先着順だとわかっているので、最初は『私で大丈夫かな』と緊張気味なのですが、撮影が進んでいくうちに自己肯定感のようなものが芽生えてくるのがカメラを通して伝わってきます」 “ありのままを写すこと”にこだわり、シミやシワ、たるみのレタッチは一切しません。それでも被写体となった女性たちは、“ありのまま”の自分を、驚きとともにポジティブに受け入れると言います。 「撮影中にデジカメの画面で撮った写真を見せるとみんなすごく喜んでくれるんですよ。フォトグラファーをやっていて良かったなと心から思います」     そんな『脱いでみた。』の撮影にあたり、花盛さんは、多くのアンダーウェアに接してきました。 「たくさんのアンダーウェアを目にしながら、『こういったアンダーウェアがあったらいいのに』『自分が心から欲しいアンダーウェアを身に付けたい』と考えるようになりました。また、以前から抱いていた『自分のブランドを立ち上げたい』という思いも強くなっていきました」 こうして花盛さんは、2021年に『STOCK』をローンチします。『STOCK』では現在、アンダーウェアやTシャツなどさまざまな魅力的なアイテムを取り扱っていますが、もっとも特徴的なのは、ノンワイヤーでパッドなしのブラジャーではないでしょうか。     「私、パッドのあるブラが好きじゃないんですよ。洗濯のとき、外すのが面倒くさいじゃないですか(笑)。ただ、そのままだと乳首が目立ってしまうので、裏側はオーガニックコットンを3重にしています」   ▲『TAKE OUT COFFEE BRA&PANTY』(左)/『WEAR A SALAD BRA&PANTY』(右)   これは、あくまでもひとつの例。『STOCK』には、ほかにもいくつものこだわりがありますが、とりわけ花盛さんが強調するのは、「地球にやさしくありたい」ということです。たとえば、『STOCK』では、積極的にオーガニック素材を使用。コーヒー豆や、桜やレタスなどの廃棄部分を使って染めたアイテムも販売しています。 「オーガニックの素材を使うとどうしても価格が上がってしまうこともあり、すべてをオーガニック素材にするのは難しいのが実状です。でも、『STOCK』に出会い、アイテムを手にしたことをきっかけに、オーガニックやサスティナビリティ、SDGsに興味を持ってもらえれば、すごくうれしいですね。私自身、『STOCK』をスタートさせるまで、染めることが地球を汚すことにつながるなんて考えたこともありませんでした」   ▲リサイクルコットンの生地を使用したTシャツ『Beautiful Tee』   ちなみに、『STOCK』では、商品のモデルも一般の方にお願いしているのだとか。 「『STOCK』のコンセプトのひとつに、“誰でもモデルになれる”というのがあるんです。加工しなくても、美しいと思ってもらえる、そんなアイテムを作り続けていきたいです」 男性が好むからとレース付きのものを選んだり、パットやワイヤーの力で胸を大きく見せるのではなく、「1週間のうちの1日だけでもいいんです。自分が好きだから、着心地がいいからと、自分のために付けてほしいという願いを込めながら作っています。ある意味、お守りのようなものなのかもしれませんね(笑)」     女性が元気な世の中にしたい、女性にエールを送り続けたい 『STOCK』のブラジャーは、授乳ができることも大きな特徴です。2人の子どもの母親でもある花盛さんは「授乳中、自分のことが牛に思えて、すごく悲しくなりました。だから、授乳中も気分があがるようなアンダーウェアを作りたかったんです」と、自分の体験を交え、ユーモアたっぷりに語ります。そんな彼女の、女性への視線はとてもやさしく、同時に客観性を備えたものでした。     「家事は女性の仕事という考え方が古いという認識は、すでに東京では当たり前になっていますよね。でも、地方に住んでいる友人で『私なんて家事しかできないから、子どもが大きくなっても仕事に復帰するのは難しい』という人も少なくありません。でも家事って、お願いしたら、1時間3,000円くらいかかるじゃないですか。すごく能力があるってことですよ!みんなそれぞれ、ちゃんと能力を持っているんです。自分のことをさげすまないでほしいです」 また、会社に行くことこそが偉いという、凝り固まった思考に、未だに支配されている世の中に問題があると花盛さんは指摘します。 「そういった古くさい考えは、今すぐぜんぶ捨ててほしいです(笑)。パートナーはそう思っていなくても、自分で自分を過小評価していたら、仕事に復帰したいなんて思えなくなってしまいます。微力ですが『できてるよ!』『みんなすごいよ』と、女性を応援し続けていきたいです。やっぱり女性には、元気であってほしいですから」     そんな流れから、今年ローンチした『500e』のイメージについて尋ねると、「電気自動車ですよね?フィアットのクルマはころんとしていてかわいいですし、電気自動車は『STOCK』のコンセプトと同じく地球にもやさしい。買うとしたら『500e』がいいかもしれませんね」と、満面の笑みで語ってくれました。   […]

CULTURE

mederi株式会社 坂梨亜里咲さんに聞く。妊活中の女性、若い世代、そして男性に伝えたいこと

女性向けメディアの運営に携わり、若くしてディレクター、COO、社長へとキャリアを重ねてきた坂梨亜里咲さん。プライベートも充実し、順風満帆な日々を送る中、結婚前に受けたブライダルチェックで不妊症が判明。予期せぬ転機を前にして戸惑いつつも決して後退することなく、自身の妊活に取り組みながら新しい事業を立ち上げました。“女性の一生の健康に寄り添っていきたい”との想いで生み出されたウーマンウェルネスブランド『Ubu』、2021年内に正式ローンチ予定のオンライン診療ピルサービス『mederi Pill』 、そしてご自身が思い描く理想の未来について、語っていただきます。 *FIATは、すべての女性たちにエールをおくる『#ciaoDonna』というプロジェクトを実施中。女性がより輝く毎日を送れるようにサポートするフェムテック企業を応援しています。   Webメディアの社長から一転、妊活を支える『Ubu』をスタート -女性向けのWebメディアを手がけていたときにご自身の不妊がわかったそうですが、そこから新規事業を立ち上げるまでにどのような経緯や想いがあったのでしょうか? 当時運営していたのがハッピーなメディアだったこともあり、できるだけ仕事と切り離して、いわば無の気持ちでひそかに不妊治療に向き合おうと思っていました。一般的に“不妊”は隠したいことですし、自分でもそう思っていたんです。でも実際に経験してみると「こんな向き合い方でいいのかな?」「自分らしさって何だろう?」と違和感がありました。 30歳目前のタイミングでしたが、不妊という事実を正面から受け止めて、むしろウィークポイントをプラスに変えていこうと。ほかの女性たちに何かしらのきっかけを与えていけたら、と考えたんです。 -そうして誕生したのが、妊娠に備えた体づくりに必要なサプリメントと、妊娠や感染症に関係のある膣内の状態を自宅で簡単にチェックできるキット『Ubu』ですね。たくさんの女性に愛用されていますが、どういった感想が寄せられていますか? 「どんなサプリにすべきか迷っていたので、出会えてよかった」「妊娠に向けて重宝している」「オシャレで持ち歩きやすい」と喜んでいただいています。デザインについては、自分自身が従来のサプリメントに不満を感じていたので、バッグにサッと入れて持ち歩けるように、とこだわりました。 『Ubu』って、解約される理由の多くが「妊娠したから」というとてもハッピーなものなんです。みなさんに「おめでとうございます!」というメッセージをお送りしています。   ▲膣フローラチェックキット & サプリメント定期便   -たしかにその解約理由はものすごくハッピーですね!ご自身の体験を経て立ち上げられたブランドですから、相当な想いがこもっているのでは? 思い入れが強すぎて、最初は妊活中の人だけでなく、前段階の若い層にも届くだろう、届けたい、と思っていたんです。『Ubu』は、いま子どもがほしい人には十分に訴求できましたが、“いつか産みたい人”“未来のために備えたい人”には思いの外、届かないなぁと。そこはひとつの反省点でもあり気づきでした。そもそも、日本には予防医学が根付いていないので、“未来の妊娠のために”という考え方も定着していませんからね。 でも、この体験があったからこそ次のサービスにつながったと思っています。   ▲Ubu BOX定期便     妊活とキャリアの両立は“パートナーと共に” -仕事が多忙な中での不妊治療は、負担も大きかったのではないでしょうか? とにかく事業のことで頭がいっぱいで、悲観している時間すらなかったのが逆によかったかもしれません(笑)。不妊治療は病院の待ち時間がとにかく長いんです。私はPCさえあれば待合室でも仕事していましたが、そういう働き方が難しい場合、やはり法の整備や会社のサポートが不可欠ですね。 でもそれ以上に重要なのは夫婦の関係性です。子どもを身ごもったら終わりではないし、パートナーとの絆が何より重要だと思っています。治療を始めてみて、「思った以上に大変なことだ」と感じたので、夫としっかり話し合う時間を持ちました。治療を続けるには相当なお金がかかります。それでも本当に子どもがほしいのか?治療は具体的に何年続けるか?などを徹底的に話し合ってクリアにしていったんです。互いの価値観がずれたまま続けるのはつらいですから。結局、さまざまな選択肢を視野に入れながら、私が34歳になるまで治療を続けてみようと決めました。     -ご自身の気持ちとはどのように向き合っていらっしゃいますか? 不妊治療は目標やゴールを決めておかないと精神的に消耗すると思うので、ある程度の期間や指標を決めたほうがよいと思います。 私は普段から10年単位で将来の計画を立て、具体的な目標を決めるようにしています。20歳のとき「25歳までに一人前の社会人になる。27歳までに結婚する。30歳までに子どもを産む」という目標を立てたんですが、一番計画通りにいかなかったのが“妊娠”だったんです。ほかのことはお金や時間をかければ何とかなるけれど、これだけはなんともならない。 でも、できることが10あるとしたらそれを1つずつやっていこう、それでもダメならすっぱりあきらめられる、と思いました。期限を区切り、できることは全部やる。そう決めたら、精神的にもけっこう安定していましたね。   結婚前・妊活前の女性たちに向けた新サービス『mederi Pill』     -『Ubu』を経て誕生した新たな事業『mederi Pill』が、いよいよ今秋、2021年11月に正式ローンチですね。 6月にプレリリースを行い、先行会員登録に関しては想定数以上の方にお申し込みいただき、大きな反響をいただいています。センシティブな領域ですが、みなさまからの期待値の高さを感じていますね。 『mederi Pill』は低用量ピルの処方を希望される女性とオンライン診療をしてくれる産婦人科医をつなぐマッチングプラットフォームなのですが、大前提としてピルのメリット・デメリットを丁寧に発信していきたいと思っています。ピルのことを正しく知っていただいた上で申し込んでいただける構成になっています。     -ピルには“避妊”以外にもさまざまなメリットがあるんですよね? そうなんです。私自身、生理不順を治すために十代の頃から飲んでいましたが、周りからは「避妊薬を飲むなんて!」とネガティブに捉えられたこともしばしば。私自身は、かかりつけ医からピルを服用することで、生理周期が整ったり、肌荒れが改善したり、子宮内膜症の予防にもつながるという説明を受け、多様なメリットを感じ服用をしていたのですが、日本では“避妊用”のイメージが先行したせいか、服用率は1〜3%と諸外国より低いのです。 -「Ubuは妊活前の女性には届きにくかった」というお話がありましたが、そこから『mederi Pill』へ展開された背景にはどのような想いがあったのでしょうか? 『Ubu』を手がけた当時は自分自身も不妊治療のことで頭がいっぱいで、サプリメントやチェックキットのことばかり考えていましたが、事業が進んでいく中で、どうやったら妊娠・出産について未検討の女性にご自信の身体に興味を持ち続けてもらう環境を作り出せるんだろうと考えるように。 自分自身がどうだったか思い返してみたら、私がまだ子どもを産むか産まないか意識していなかった10代、20代前半にしていたカラダのケアが、低用量ピルを飲むことだったんです。今は妊娠希望のため服用していませんが、約10年弱は飲んでいたんですね。その間は、生理周期ならではのトラブルに悩むことなく、快適に毎日を過ごせていたなぁと。 “前澤ファンド”のことをTwitterで知って応募し、前澤さん、前澤ファンドのメンバーとお会いして選考ディスカッションさせていただいたことも、自分の考えを整理するすばらしい機会になりました。   […]