おうち時間のすごし方としていま注目が高まっている手芸の中でも、人気を集めるアクセサリー作り。せっかく手作りするならパーツもオリジナリティにこだわって、イタリアが誇る「ベネチアンビーズ」を使ってみるのはいかがでしょうか?
ベネチアンビーズとは、イタリア北東部に位置する水の都ベネチア(ヴェネツィア、ベニス)のガラス職人によって、ベネチア独自の技術によって一つひとつ手作りされるビーズのこと。豊富なサイズや形状、鮮やかな色合いや表面に施された金箔など美しい装飾が特徴で、まったく同じものは一つとして生まれません。つまりベネチアンビーズを使うことで、あなたが作るアクセサリーもまた、あなただけのものとなるのです。
今回訪れたのは、東京・吉祥寺のベネチアンビーズ専門店「ベネチアン バザー」。オーナーのロッテル・マウリツィオさんは、ベネチアンビーズの中心地ともいわれるベネチア・ムラノ島出身のガラス職人。材料の調達からビーズのデザイン、加工まですべて自身でおこなっています。1990年にはベネチアに自身の工房を立ち上げ、ベネチアン バザーの店頭には現在5,000種類をこえるベネチアンビーズが取り揃えられています。
「ベネチアンビーズを作るには、高度な技術が必要です。まず、バーナーの炎でガラスを溶かします。そして細い銅線に巻きつけて型で挟んでベースとなる形を作り、金箔や白金箔、色ガラスなどの装飾を加えていくのが基本の作り方。この時かまど内の温度が上がりすぎてしまうと、綺麗に色が出なかったり装飾が取れてしまいます。熟練の職人が時間をかけて丁寧に手作りすることで、美しく輝くベネチアンビーズができあがるのです」
マウリツィオさん自らの手で作るオリジナルビーズは、日常でふと思いついたことや、その時の気分によってデザインしているといいます。まったく同じデザインのビーズは二度と作られません。
たとえば下の写真手前の透明なガラスでコーティングされた一粒は、作るのに2時間を要するという作品。中を覗き込むと、金箔や「ヴェッテ」という極めて細いガラス棒をスライスした装飾などが複雑に重なり、混沌としながらも美しく、見るほどに引き込まれていくようなパワーを感じます。
「一粒一粒に作り手の個性が宿ることがベネチアンビーズの特徴です。さまざまな色や形、美しい光に魅了され、ベネチアンビーズを好きになる方は多いでしょう。また、ベネチアンビーズ作りへの熱い想いを持った職人の作品には、《心》が込められていることも魅力のひとつ。私自身も『最高のビーズを作る』ことをモットーにベネチアンビーズを作り続けています」
また、割れてしまった古いベネチアンガラスの花瓶などを再び溶かしてビーズ作りの材料にすることも。ヴィンテージのベネチアンガラスは、現代ではもう作ることのできない貴重な素材。壊れてしまっても時代をこえて新しい命が吹き込める「エコ」で「サステナブル」なところも現代的な感性にマッチしそうです。
ベネチアンビーズ専門店「ベネチアン バザー」にはベネチアンビーズだけでなく、ベネチアンビーズを使って作られたネックレスやイヤリング、ブレスレットなどのアクセサリーも多く並びます。それらはすべてマウリツィオさんによって手作りされています。
「アクセサリー作りを始めたのは、自分が心を込めて作ったビーズをできるだけ多くの方に届けたいと思ったからです。ビーズを見ながら、どのようなデザインにしたら身につける人が一番美しく見えるか想像しながら作っています」
そんなマウリツィオさんに、ベネチアンビーズを使って初心者でもご家庭で簡単にできるネックレスの作り方を教えていただきました。
まずアクセサリー作りで必要となる道具は、ワイヤーを切る「ニッパー」と、つぶす・曲げる・つかむの3つの使い方ができる「ラジオペンチ」の2つ。紐はナイロンコートワイヤーがおすすめです。通常の手芸用のテグスではガラスのエッジで切れてしまう可能性があります。
最初にネックレスの顔となる、メインのビーズを選びます。マウリツィオさんは全体のテーマとなる色を決めてから作り始めるそうです。着用時のシーンやスタイルをイメージしながらセレクトしてください。センターのビーズを決めてワイヤーに通したら、バランスを見ながら左右対称にビーズを通していきましょう。
種のように小さいことから名付けられた「シードビーズ」も指先の上に乗せて通していきます。
最後に金具で留めたら、わずか15分ほどでネックレスが完成。慣れるまではもう少し時間がかかるかもしれませんが、工程自体は至極シンプルです。
今回マウリツィオさんが作ったネックレスは、ダークトーンでまとめがちな秋冬の装いにも映えそうなブルーでまとめた爽やかなデザイン。さらにネックレスと色味の合ったブルーのビーズを2つ選んで、イヤリングも5分ほどで作ってくれました。お好みのビーズにイヤリング用の金具を取り付けるだけで簡単に作れるので、最初はイヤリングから挑戦してみるのもいいかもしれません。
ひとつとして同じもののない、作り手の個性が宿ったベネチアンビーズ。お気に入りの一粒を選ぶ時間も、アクセサリーを作る時間も、そしてそれを身につける時間まできっとあなたの心を満たしてしてくれるはずです。ぜひ一度、本物のベネチアンビーズを手にとってみてください。
【取材協力】
ベネチアン バザー
〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町4-1-1
TEL 0422-23-1677
平日 12:00 – 17:00
第1・3・5日曜 11:00-17:00
土曜、第2・4日曜、祝日 Close
その他催事等で不定休有
※掲載されている内容は2020年11月現在の情報となります。詳しくはショップにお問い合わせください。
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