いよいよ今週末に迫ったバレンタインデー。おうちで過ごす方も多い今年は、手づくりスイーツに挑戦してみませんか? いまからでも間に合う、お子さまも一緒にお菓子作りが楽しめるレシピをご紹介します。
今回作るのは、クッキーでチョコレートをサンドしたイタリアの伝統菓子「バーチ・ディ・ダマ(Baci di Dama)」。レシピを考案していただいたのは、いま国内外から注目を集める東京・恵比寿のペストリーショップ「LESS by Gabriele Riva & Kanako Sakakura」です。
「LESS by Gabriele Riva & Kanako Sakakura」は、ガブリエレ・リヴァさんと坂倉加奈子さんという、世界を股にかけて活動してきた2人のシェフが手掛けるペストリーショップ。2019年9月にオープンし、早くもスイーツファンの熱視線が注がれています。
ガブリエレさんはイタリア・ミラノ出身。幼少のころから家業のペストリーショップを手伝い、14歳にしてジェラートのセクションをすべて任されるまでに。その後さまざまなペストリーショップで経験を積み、世界の大都市でコンサルティングを経験。7年に渡りUSAカカオバリーアンバサダーを務めた経歴を持ち、革新的な菓子作りを得意としています。
坂倉さんは三重県出身。大阪の専門学校を卒業後にフランス・ノルウェー・日本の名店で経験を積み、国際デザートコンクールでも受賞。ジャンルに捉われず素材に敬意を払い、季節ごとの食材を使用した皿盛りデザートを得意としています。
LESSでそれぞれが担う役割は、クリエイションのアイデアをガブリエレさんが考え、それを坂倉さんが日本にあったかたちで伝えること。素材を深く理解し、日本人の感覚に近い繊細な味の表現ができるというガブリエレさんのお菓子作りは、日本料理にも通じる素材を活かすシンプルなレシピが多いそうです。
また、LESSのお店でユニークな点のひとつが、冷蔵のショーケースがないということ。それは旬のおいしさを、なるべくフレッシュなうちに食べてもらいたいという思いから。ドイツの工業デザインの巨匠、ディーター・ラムスの言葉「LESS, but better」をテーマに掲げ、不要なものをそぎ落として、より良い品質、サスティナブルな販売方法や店舗デザインなどを追求しています。
今回、親子で作れるイタリア菓子としてLESSの2人が提案するのは「バーチ・ディ・ダマ」。フィアットと同じピエモンテ州で生まれたといわれる伝統菓子です。チョコレートをサンドしたひと口サイズでコロンとかわいいクッキーで、日本でも比較的知られているイタリア菓子のひとつではないでしょうか。
バーチ・ディ・ダマ(Baci di Dama)はイタリア語で「貴婦人のキス」という意味で、貴婦人がこのお菓子を食べる際に口をすぼめた様子が「キス」のようであったことから名付けられたという説があります。そんなエピソードからも、バレンタインデーにもぴったりのお菓子だといえそうです。
今回ご紹介するレシピはガブリエレさんが考案し、坂倉さんに作っていただきます。ポイントは、温度管理や形などを気にせず、普段お菓子作りをしない方でも簡単に作れるということ。材料はどれもスーパーで買えるような身近なもので揃うので、ぜひ親子で挑戦してみてくださいね。
では、いよいよバーチ・ディ・ダマを実際に作っていただきます。レシピは記事末尾にまとめていますので、そちらもチェックを!
用意する材料は至極シンプル。クッキー生地の材料は、無塩バター、グラニュー糖、アーモンドパウダー、薄力粉をそれぞれ同量の50g、バターと卵白は室温に戻しておきます。すべて同量なので、量の調整も簡単です。
現地ではアーモンドパウダーの代わりにヘーゼルナッツパウダーを使うこともありますが、日本では質の良いヘーゼルナッツパウダーを手に入れるのが難しいので、今回はアーモンドパウダーで作ります。
あとは卵白とひとつまみの塩だけ。ちなみに今回はゲランドの塩を使用しましたが、やはり食卓塩よりは海塩や岩塩などちょっと品質の良いものがおすすめです。
材料を揃えたら、バターから塩まで前記の順に混ぜ合わせていきます。最初に薄力粉を入れてしまうとグルテンの作用で生地が固くなってしまうのでご注意を。
ご家庭にミキサーがあればそれを使っていたいても良いですが、ヘラだけでも十分混ぜられます。ヘラで最初は切るように、それからすりつけるようにすると効率よく混ぜられるでしょう。しっかりと混ぜてポマード状になったら、次の材料を入れる目安です。
バターを溶かしてしまうと元に戻らないので、オーブンの上に置いたり、レンジに入れたりはしないように。また手で混ぜると体温でバターが溶ける可能性があるので、形成するとき以外は触らない方が無難です。
混ぜ終わったらラップでくるみ、厚みを均等に整え、1時間ぐらい冷蔵庫へ。冷やすと手につきづらく形成しやすくなります。
多めに作って使わなかった生地は冷蔵・冷凍しておくことも可能。冷蔵は約3日、冷凍は約1カ月もちます。冷凍のものは一度解凍したら使い切ってください。
冷蔵庫から取り出した生地を5gずつ切り出して、クッキングシートを敷いたオーブントレーの上にならべていきます。電子スケールで計りながら分割すると正確ですが、平らにのばしてお子さまに型で抜いてもらってもいいでしょう。大きさはなるべく均一にした方が焼き上がりも良くなり、またチョコレートをサンドしたときにも美しく仕上がります。
ちなみに打ち粉をすると余分な粉が入り、仕上がりが固くなってしまうこともあるので、冷蔵庫で一度落ち着かせてヘラなどで分割する方法がおすすめです。
分割した生地を、手のひらでくるくると丸めていきます。ここはぜひお子さまと一緒にやってみてくださいね。
生地の形は球体のままで大丈夫。つぶしてしまうと焼き上がり時に丸みがなくなってしまいます。オーブンで焼くと、中のバターが溶けて自然に腰を据えたような形に。生地と生地の間隔は一定に開けてください。
トッピングは、こちらもフィアットの故郷と同じピエモンテ名産のヘーゼルナッツを使用。もちろんヘーゼルナッツをのせずシンプルに仕上げてもいいですし、アーモンドやくるみ、マカダミアナッツ、ピーナッツ、ピスタチオなどお好みのナッツでアレンジするのも楽しいと思います。
ここまでできたら、あとはオーブンに入れるだけですが、焼き方にはガブリエレシェフのこだわりが。オーブンはあらかじめ150℃に温めておき、生地を入れたら加熱をオフ。余熱だけで生地に火を入れることで、表面がベルベットのように艶っぽくホロホロとした食感に仕上がります。
焼き時間はオーブンの機種によっても異なるので目安になりますが、20分~30分後に薄い焼き色がついていたらクッキーの完成です。この後クッキーが冷めたらチョコをサンドしますが、このまま食べてもおいしいですよ。
クッキーに挟むチョコレートガナッシュは、ダークチョコレート50gを湯煎で溶かし、そこに温めた生クリーム(35%)40gを3回に分けて加えながら混ぜ合わせます。ダークチョコレートがおすすめですが、お子さまが苦手な場合はミルクチョコレートやホワイトチョコレートを使っていただいても問題ありません。
混ぜ合わせたらボウルに移し、密着ラップをして冷蔵庫へ。チョコレートガナッシュが固まったらクッキーに絞り、2枚合わせにして接着します。
以上でバーチ・ディ・ダマの完成!
文章にすると少し長くなりましたが、実際に作ってみると材料も手順もいたってシンプル。このシンプルさこそ、素材に恵まれたイタリア菓子らしさだといえます。
食べてみるとクッキーが口の中でホロホロほどけ、ナッツのカリカリとした食感と香ばしさがアクセントに。クッキーが2つ重ねられているので小振りなのに食べごたえがあり、シンプルだからこそ使っている素材一つひとつの味わいがダイレクトに感じられます。
「だからこそ素材にこだわっていただくとかなりおいしさに差が出ます。手間がかからない分、材料は奮発しましょう(笑)」と、坂倉さん。約1時間〜1時間半ぐらいでできるので、ぜひ気軽にチャレンジを。今年のバレンタインデーは心を込めて、「貴婦人のキス」を贈ってみませんか?
クッキー生地 材料
・無塩バター 50g
・グラニュー糖 50g
・アーモンドパウダー 50g
・薄力粉 50g
・卵白 8g
・塩 ひとつまみ 0.5g
※オーブンは150℃に予熱しておくこと
クッキー生地 手順
1|材料を上から順番に混ぜる。
2|クッキー生地を5gずつに分割して丸め、クッキングシートを敷いたオーブントレーの上に乗せる。ナッツはお好みで。
3|オーブンで20分~30分焼く(焼き色は薄めが良い)
チョコレートガナッシュ 材料
・ダークチョコレート 50g
・生クリーム(35% 植物性でない) 40g
チョコレートガナッシュ 手順
1|湯煎でチョコレートを溶かしておく(45~50℃程度)
2|生クリームを温めて、チョコレートに3回に分けて加えて混ぜる。
3|ボウルに移し、密着ラップをして冷蔵庫で固まるまでおく。
4|チョコレートガナッシュを冷ましたクッキー生地に絞り、2枚合わせにして接着する。
LESS by Gabriele Riva & Kanako Sakakura
〒153-0062 東京都目黒区三田1丁目12−25 金子ビル 1F
TEL. 03-6451-2717
11:00-19:00 水曜日定休
*各店舗情報につきましては、掲載時(2021年2月現在)の情報となります。新型コロナウイルス感染拡大防止措置により、変更となっている場合がございますのでご留意ください。また、外出の際はウイルス感染予防策を講じていただき、安全にご配慮いただきますようお願いいたします。
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