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#ジェラートワールドツアー

CULTURE

AmiCono代表・井上舞子さんに訊く、ジェラートの魅力って何ですか?

「世界中の“友達”をハッピーにするジェラテリア」をコンセプトに、2017年11月に東京・自由が丘にオープンした『AmiCono JIYUGAOKA(アミコーノ自由が丘)』。今年7月に開催されたFIAT PICNICにも出店していたので、こちらのジェラートを味わったフィアットオーナーの方も多いのでは? オーナー兼ジェラティエーレである井上舞子さんは「母が黄色の500に乗っていますし、FIAT大好きなんですよ」と言います。ジェラート作りはフィレンツェで学んだという井上さんにジェラートの魅力を伺ってきました。  ジェラート店をスタートさせたきっかけは? まずはジェラート店をやろうと思ったきっかけを井上さんに訊きました。  「理系の大学に通っていたのですが、アルバイトで始めた飲食業界に惹かれてしまい、親の反対を押し切って、そのままバイト先のレストランに就職したんです。バンケットという様々なパーティなどをプロデュースする担当でした。そのお店は外国人のお客様も多かったのですが、私は英語が話せませんでした。それがコンプレックスでしたので、退職して思い切ってオーストラリアへワーキングホリデーに出ました」 約1年間をオーストラリアで過ごし帰国。コンプレックスは解消されたのですが、新たな悩みが生まれたと井上さんは言います。 「帰国すると周りの状況が変わっていました。友人は仕事で昇進したり、結婚したり、みんな歩を進めていて、私だけ取り残されているような気分になりました」  そこから井上さんは仕事に没頭します。白金にあるイタリア料理店の店長となり、オープンから閉店まで、毎日働いたというのです。  「がむしゃらに働いていたのですが、30歳を目前にして、このままでいいのかな、とも考えるようになったのです。飲食業をやっていると最終的に独立しないと楽しくないのかな、とか。私にしかできないことって何だろうと毎日考えるようになったのです。悩んでましたね」  そこで井上さんは、ご自身が好きなモノやコトをノートに書き始めたといいます。記されたワードのひとつが海外旅行でした。  「それまでイタリア料理店で働いているのにイタリアに行ったことがなかったんです。友人とふたり、ミラノ、ヴェネツィア、ローマ、フィレンツェを巡りました。その時の写真を見ていると、ジェラートのものがとても多かったんです。なんでこんなにジェラートの写真を撮ったのだろう、と思い返しました。ジェラートのカラフルさが好きだったのもありますが、とにかく年齢、性別関係なく、イタリアでは誰もがジェラートを楽しんでいたことを鮮明に思い出したんです」  そこからの井上さんの行動は素早かったのです。  「食は本場で学ぶ、という考えを持っていましたので、ジェラートならフィレンツェに行くしかないと考えました」  フィレンツェでは毎日、毎日ジェラートのことだけを考えていました ちょうど30歳と半年を数える日にフィレンツェへと旅立った井上さん。  「日本から修業をお願いしていたジェラート屋さんはドゥオーモのそばにありました。アンティカ・ジェラテリア・フィオレンティーナというお店です」 無事、フィレンツェに降り立った井上さんですが、修業の時間は限られていました。 「毎日夜遅くまで働きました。アンティカでは他にも修業している人がいたのでフルタイムでは働けませんでした。だから別のジェラート屋にお願いして働かせてもらいました。毎日、毎日ジェラートのことばかり考えていました」 フィレンツェのすべてのジェラート店を訪れたと言います。  「全部で54店。味わい、店構え、接客を勉強しました」  フィレンツェで学んだことは?と訊くと。  「ジェラートは食材の味がストレートに出ます。つまりごまかしがきかないのです。だから季節の旬を大事にする必要があるということを学びました。日本のスーパーマーケットには、季節外れのものも揃えています。それは便利なことですが、自然なことではありませんね」  フィレンツェでの修業を終え、帰国した井上さんにまた新たなる壁が現れます。 「それまで飲食店の店長をやったことはあったのですが、お店をゼロから作ったり、経営したことはなかったのです。当然、ジェラート店を開業する方法がわかりませんでした」  途方に暮れる井上さんに運が味方します。  「昔から可愛がっていただいていた飲食業界の社長が雇ってくれたんです。でも、入社前にいいました。私は3年後に独立します、と」  そこは「チャヤマクロビ」というマクロビをはじめとする自然食を扱う会社でした。そこでの仕事のひとつに4店舗のオープンとリモデルを担当。業者への依頼や契約、保健所への申請など、飲食店を開業するためのノウハウを得たのです。 「マクロビオティックやアレルギー対応の料理、添加物について触れることで、社会における重要性や必要としている方々がこんなにも多くいらっしゃるということを学びました。乳アレルギーを持つ小さなお子様が、「ママ、僕もアイスが食べられた」と豆乳のアイスを頬張るお子様を目の前で見たとき、目頭が熱くなったのを今でも思い出します」 ジェラートは人をハッピーにする 「入社して2年目に自由が丘に私用があってこの店の前を偶然通ったんです。テナント募集という張り紙があって。独立するならここだ、と直感しました。すぐに不動産屋さんに電話をしたのですが、残念ながら先約があるとのことでした」  しかし、縁があったようです。  「その1ヶ月後にまたここを通ると、まだ張り紙があったのです。改めて電話をすると先約はキャンセルされた、と」  そこから井上さんの行動は、またも素早かったのです。 「会社に辞職届を出したのが8月。有休を使って開店へ向け、店舗を改修したり、銀行から融資を得て機材を買ったり。そして、2017年11月の28日にオープンさせました」  3年を待たず、2年で独立を果たしたのです。  寒い季節のジェラート店は、大変だったのでは。  「バタバタの中でオープンさせたので逆にいい助走となりました。ビジネスとしては卸しも開店と同時にはじめて、すぐに目黒の八芳園さんや、今までお世話になったシェフたち10店舗ほどが取引してくれましたので春先への準備期間にあてることができました」 開店から2年を迎えようとするアミコーノは地元でも愛される存在になっているようです。  「11月の寒空にジェラート屋がオープンだって?と不思議がられる存在でしたが、いまではほぼ毎日来店してくださる84歳のおじいさんがいます。2日いらっしゃらないと心配で電話しちゃうほどの仲です。小学校2年生のお子さんは今までお母さんと一緒に来てましたが、そろそろ一人で来させますとお母さんは言います」  取材当日も常連さんがひっきりなしに訪れてきます。最後に井上さんにとってジェラートとはどんな存在なのかを伺いました。  「ご来店いただいた皆さん全員にHAPPYになってもらいたいので、ヴィーガン対応メニュー、卵や乳アレルギーの方々向けのジェラートも用意しています。ジェラートを食べながら悲しい気持ちになったり、喧嘩をする人っていないですよね。ジェラートは人をハッピーにする力があると思います。そして、フィレンツェで見たように老若男女を問わず、皆が笑顔でジェラートを楽しんでいただければと思います」 AmiCono(アミコーノ)東京都世田谷区奥沢5-27-9  ☎03-5755-5183  https://amicono.official.ec/ 営業時間11:00-19:00  不定休 ジェラート¥380~、ドリンク¥250~  2Fにはイートインスペースがあります ジェラートワールドツアージャパン 2019 横浜 チケットを当てて投票しよう! 日本No.1の称号は誰の手に!? […]