太陽の光も、吹き抜ける風も、鳥のさえずりや虫の音も心地よい青空の下、とれたての野菜を使った本格的なイタリア料理を楽しむ…そんな贅沢な時間を過ごせる場所があることを知っていますか?
千葉県君津市の里山にある「マリポコミュ」に併設された「アオゾラ畑の台所」は、2020年6月にプレオープンしたばかりの知る人ぞ知るレストラン。イタリアでの約2年間の修業を経て、現在はミシュランガイド東京に6年連続で掲載されるナポリピッツァの名店「ピッツェリア・ベントエマーレ」を10年にわたって営む中西和之シェフが腕を振るう、無農薬野菜を使った“本物”のイタリア郷土料理が味わえます。
今回の旅の相棒は、5ドア5人乗りコンパクトのPanda。走り心地と乗り心地のバランスがよく、家族での移動も楽しく快適な1台です。
都心から約1時間半、東京湾アクアラインを渡り、峠道のワインディングを駆けてたどりついた先に見えてきたのは、カラフルな2軒の古民家と農園。おおよそレストランがあるようには見えないこの場所が「アオゾラ畑の台所」です。
まず出迎えてくれたのは、「マリポ農園」を運営する古木真也さん。微生物と共生した土づくりにこだわり、無農薬で野菜を育て、規格外や本来廃棄となってしまうような野菜も加工して付加価値をつけるという“持続可能な農業”をテーマに活動をしています。
野菜を無駄にせず、循環させたいという「マリポ農園」の考えに中西シェフが賛同したことをきっかけに「アオゾラ畑の台所」は始まりました。
「食べられるのに捨てられてしまう野菜がすごく多いことを知って、食品ロスに課題を感じるようになりました。そんな中、野菜の廃棄問題に取り組んでいる古木さんと出会い、この農園でイタリアンを楽しんでもらえる場所を作りたいと思ったんです」と中西シェフ。
「アオゾラ畑の台所」は現在プレオープン中で、1日1組限定で営業しています。「ゲストの数を絞っているのは、ゆっくりと食事の時間を過ごし、食に向き合ってほしいからに他なりません。日々忙しく働き、短い時間で食事を済ましていると、どうしても食のありがたみを忘れてしまいがちです。みなさんも今日は、鳥や虫の声をBGMに、風を感じながら普段とは違った食事を楽しんでくださいね」
食事の時間まで、古木さんに農園を案内していただきました。「マリポ農園」では、季節の野菜からハーブまで常時十数種類と多くの品種が無農薬で栽培されています。ここでとれたものを中心に、近隣の農家から物々交換で仕入れた食材が「アオゾラ畑の台所」の料理に使われます。
農園を抜けるとそこには食事の場所となる「アオゾラダイニング」が。テーブルと椅子がセットされたパオは、中西シェフ自らがDIYしたという力作です。また、パオの隣にあるジャングルジムも、自生する竹を使って仲間たちで協力して手作りしたそうです。
農園を後にし席に着いたら、いよいよコース料理のスタートです。調理もサービスも、すべて中西シェフ自らが行います。
ウェルカムドリンクは、シュワっと冷たいしそジュース。暑い日にぴったりの爽やかな香りです。その時々に応じて、季節のフルーツやハーブを選んで作ってくれます。
赤い皮が特徴のジャガイモ「アンデスレッド」を使った冷たいスープは、甘くクリーミーな味わい。皮までおいしいので、まるごとスープにしているそうです。
シェフが目の前で仕上げるパフォーマンスも、気分を盛りあげてくれます。
「料理を出す直前に仕上げるのは、食材の説明をしっかりできるから。また、お客さんと濃い会話ができるのもいいところですね」と話す中西シェフ。どの料理にも食材の持ち味がいかされています。
白いキクラゲのサラダはシンプルな味付けで、コリコリとした食感を楽しめます。和えられているモロヘイヤとヤーコンも農園でとれたもの。
セモリナ粉をまぶして揚げた黒キクラゲは、ほどよい塩加減とサクサクの衣、プリプリの食感が相性抜群。
色鮮やかなシチリア風のカポナータは、よくあるトマトソースで煮込んだものでなく、カラフルで爽やかなビジュアル。4種類の野菜をオーブンで焼き、1日冷まして味をなじませて野菜の旨味を凝縮。酢、砂糖、ケッパーなどで甘酸っぱく仕上げた、夏でも食が進む一品です。
ナポリのピザ屋でおなじみのゼッポリーニは、ピザ生地の中に青のりを練り込んで揚げたもの。磯の香りともちもちした食感がクセになります。
ナポリの家庭でよく作られるというマンマのレシピ「ガットー」は、パン粉をまぶしてオーブンで表面をサクサクに焼きあげたコロッケのような一品。中にはたっぷりのチーズも入って、食べ応え抜群です。
半熟の目玉焼きを崩し、絡めて食べるミラノ風アスパラガスのオーブン焼き「アスパラ アラ ミラネーゼ」。ほくほく甘いアスパラガスにバターが香り、何本でも食べたくなります。
ナスのオーブン焼き「パルミジャーノ・アラメランザーネ」は、素揚げしたナスの間にモッツァレラチーズとパルメザンチーズ、ナポリのラグーソースをかけて焼きあげています。ラグーソースは、ナポリの友人のお母さんから教わったレシピが引き継がれています。
食事のラストは季節の野菜を使ったパスタです。大きな筒状のパスタ「パッケリ」はナポリ発祥。農園で採れた立派な万願寺とうがらしも入っていて食べごたえたっぷり。
冷製パスタの「カッペリーニ」。名前の由来は、イタリア語で髪を意味する“capelli(カペッリ)”で、パスタの中でもっとも細い種類です。トマトと一緒にオリーブオイルと塩のシンプルな味付けでいただく冷製パスタは、暑い夏にぴったりです。
食後のドルチェは作りたてのティラミス。フワフワを通り越してトロトロともいえるクリームは、エスプレッソが染み込んだほろ苦いスポンジと相性抜群。こんな感動、ここでしか味わえません。
その土地でとれた野菜を味わうこと。ゆったりとした食事の時間を過ごすこと。イタリアの文化に根付いた本物のイタリア料理に触れること。「アオゾラ畑の台所」を訪れることは、「食べるとはどういうことか」を改めて見つめ直す機会になるはずです。人生をとことん楽しむイタリア人にならって、食べることをめいっぱい楽しんでみませんか。
アオゾラ畑の台所
千葉県君津市東日笠421
定休日:月曜日(完全予約制)
*店舗情報につきましては、掲載時(2020年9月)の情報となります。新型コロナウイルス感染拡大防止措置により、変更となっている場合がございますのでご留意ください。また、外出の際はウイルス感染予防策を講じていただき、安全にご配慮いただきますようお願いいたします。
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