日本のお茶をベースに、香りが良いもの、体に良いものをブレンドした、心身を癒すブレンドティーを提案する『CHAMISOU(チャミソウ)』。接待の手土産としても重宝されている同ブランドが見据える未来とは──。
京都の茶葉をベースに、薬剤師、薬膳アドバイザーによって監修された香りと体によいものを追求した日本茶ブレンドティーを展開している『CHAMISOU』。2020年には、同ブランドが手がけた明薫 オーガニックボトルティーが、ぐるなび主催の『接待の手土産2020』と『セレクション2021』に入選を果たしています。ギフト需要も高い、『CHAMISOU』のブレンドティーとはどのようなものなのでしょうか。同ブランドを立ち上げた鎌田実紀さんに話を聞きました。
▲鎌田実紀さん
世界的なノンアルコールドリンクブームのなか、『CHAMISOU』にもこれまで以上に注目が集まっています。子どもの頃から茶道を習っていたという鎌田実紀さんにとって、お茶は幼少期から身近な存在でした。今も仕事中にお茶を飲むことは欠かせないといいます。
「20代半ばのときには、イギリスに留学し、料理学校の短期コースを受講しました。ちょうどモダンブリティッシュ料理が流行っていた頃です。日本にはないハーブやスパイスを使った食のテイストに興味を持ちましたね」
その後、イタリアのボローニャでもホームステイをしながら元パン屋さん姉妹の料理教室に通ったそう。
「イタリアで感銘を受けたのは粉の扱い方です。料理教室では主に家庭料理をならっていたのですが、とても勉強になりました。また、オリーブオイルが飲めるくらい大好きになりました(笑)。今でもお刺身はオリーブオイルをかけていただきます。生魚ならなんでも合いますよ」
▲イタリア留学時
イタリアでのお茶文化はどのようなものだったのでしょうか。
「イタリアでお茶といえばハーブティーです。体調が悪いときは薬局に相談してもらうこともあります」
鎌田さんは日本に帰国後、名門料理学校、ル・コルドン・ブルーでさらに料理を学びます。
「日本のル・コルドン・ブルーには、外国からいらっしゃる方も多いんです。そういった環境も新鮮で、卒業後も通訳として関わっていました」
香港華僑のご令嬢アーティストと出会い、水墨画を習うようになり、鎌田さんは中国にも足を運ぶようになります。
「中国では、多くの方が、自分のコンディションに合わせ、お茶にクコの実やナツメなどをブレンドして飲んでいました。中国の方にとっては、それが日常なんです。私も体に良いものが大好きなので(笑)、すっかり影響されてしまい、その後、日本茶にキンモクセイなどをブレンドして飲むようになりました」
こういうお茶があったらみんな喜んでくれるのではないか──、そう考えた鎌田さんは、2017年に『CHAMISOU』を立ち上げます。
鎌田さんの言葉を借りれば、『CHAMISOU』は、“香りが良いもの、体に良いものをブレンドした、ブレンドティーをご提案”するブレンドティーの専門ブランド。京都の茶葉をベースに、体に効用のあるもの、リフレッシュできる香りを加味します。
現在は京都のお茶を使っていますが、今後、別の地域のものを使っていく予定もあるそうです。
「お茶農家さんはどこも高齢化が進んでいます。せっかくいいものを作っていらっしゃるのになくなってしまうのはもったいないです。微力ながらそういったお茶を使うことで、存続のお手伝いができればと思っています」
ブレンドは鎌田さん自身が考えているそう。
「つい私自身が好きな素材を使ってしまうのですが(笑)、最終的に薬剤師と薬膳アドバイザーの方にもチェックしてもらっています」
では、現在『CHAMISOU』が販売している3種の茶葉を、鎌田さんに紹介してもらいましょう。どれも“明”の字が付いていますが、これは「明の時代にジャスミン茶が普及し、お茶が広く庶民に伝わったことに由来します」と鎌田さんは話します。
まずは『明薫(めいくん)』。京都和束町のオーガニック京番茶に、有機ラベンダーと自然農法で作られたイタリア産ベルガモットピールを合わせたものです。
「ベースとなるお茶は、有機栽培をしている京都和束町の農家さんのものです。カフェインレスですから夜も飲めますし、風邪予防にこのお茶でうがいをしてもいいくらい(笑)。この茶葉と、ラベンダーとベルガモットピールをそのままタンクに入れて抽出しています。香料は使っていませんがしっかりと香りが出ます。京番茶の香ばしさが合わさり、すっきりお飲みいただけます。お肉など少し脂っぽいものを食べたあとの口内をすっきりさせてくれるので食も進みます」
『明姫(あきひめ)』は、煎茶に華やかなダマスクローズの香りと、クコの実とペパーミントをブレンドしたものです。
「ペパーミントが入っているので後味がすっきりします。この時期だと水出しにしても美味しいですよ。ダマスクローズの香りは、男性にも気に入っていただけるのではないでしょうか。気持ちを優雅にさせてくれます」
ペアリングは、アペタイザーやサラダなどに合わせるのがおすすめだそうです。
『明焙(みんばい)』は、ほうじ茶に、ナツメとシナモン、クコの実を加えました。
「香ばしいほうじ茶の香りに加え、シナモンが元気をもたらしてくれます。ナツメとクコの実もブレンドしていて、体を温めてくれる素材を集めました。友人のヨガの先生はヨガの終わりに生徒さんに飲んでもらっているそうです」
食後のお茶として使っている和食屋さんもあるとか。ちなみに、シナモンは、鎌田さんのお気に入りの食材でもあるのだそうです。
「中国では、大さじ1杯ほどの粉末を、そのまま食される方もいらっしゃいます。血流を促進する効果があるので、女性の方には特におすすめですよ」
もうひとつ、鎌田さんが今もっとも力を入れている商品を紹介しましょう。ぐるなび主催の『接待の手土産2020』と『セレクション2021』を受賞した、『明薫 オーガニックボトルティー』です。
▲明薫 オーガニックボトルティー
「日本のお茶をベースにしたブレンドティーを、ぜひ海外のみなさんにも知ってほしいと思っているのですが、海外に進出を考えたとき、茶葉のままですと、残留農薬の問題など規制が厳しくて。茶葉は国によってルールも違うのでそこをクリアするのが大変なんです。また、茶葉はお客様任せになってしまいますが、いちばん美味しい濃さと淹れ方でご提供したいという思いもありました」
そんな思いからボトルティーを手がけることにした鎌田さんですが、完成までの道のりは平坦ではなかったと言います。
「最初はオーダーできる数も少なくて、作ってくださる工場を探すのは大変でした。いろいろな工場に足を運び、何度も試作を重ねて、3年くらいの時間をかけてようやく2020年3月に完成しました。ボトルには、“お茶を飲むことで幸せになってほしい”という想いを込めてハートをあしらいました。上質な日常に逸品として使っていただきたいという思いから、すっとしたきれいなボトルのデザインを採用しました」
見ているだけで心が華やぐようなボトルは、大切な人へのギフトにもぴったりです。
「とあるホテルでは、ウェルカムドリンクに使っていただいています。お酒を飲まれない方、飲めないシチュエーションなどでもお楽しみいただけると思います」
今後の展望を尋ねると、「なかなか海外の展示会に出席できない時間が続いていますが、海外に出かけられるようになったら、積極的に展示会に参加し、ひとりでも多くの方に、『CHAMISOU』のお茶を知ってほしい」と鎌田さんは話します。また現在、スパークリングティーの開発も手がけているのだとか。
「スパークリングにすることで、よりみなさんに飲んでいただきやすくなるのかなと考えています。ぜひ食事にも合わせていただきたいですね」
最後に、鎌田さんにとって、お茶はどんな存在なのかという質問を投げかけてみました。
「私は、お茶を飲む時間を、とても大切にしています。お茶を飲むこと自体が、瞑想になったりもします。たとえば、私はお抹茶をたてるのですが、お抹茶をたてているときって無心になれるんですよ。日々、考えてばかりでは大変です(笑)。たまにはお茶でリフレッシュする時間を持ってもいいのではないでしょうか。できれば、空間ごと演出したいところですが、普通にいただくだけでもリフレッシュできると思います。たとえば、明薫のボトルティーを、ワイングラスにいれ、香りを楽しみながらいただくだけでも気分が華やぐと思います」
華やかさと香りを持ち、心と身体を癒してくれる『CHAMISOU』のお茶を、ぜひ生活に取り入れてみてはいかがでしょうか。日常が、ひととき非日常に変化するかもしれません。
【取材協力】
CHAMISOU
HP:https://chamisou1958.com/
TEL:03-6220-1215
Text by 長谷川 あや
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