3月8日は、国際女性デー。この時期、各地で女性の活躍に注目したさまざまなイベントが行われます。──自分の幸せだけでなく、みんなの幸せを求める時代をつくっていきたい──フィアットでは、そうした想いのもと、Share with FIATの支援活動のひとつとして、2011年より女性のエンパワーメントや教育等のための活動をサポート。今年も、3月2日(土)と3日(日)に開催されたチャリティランニング大会「ホワイトリボンラン2019」、そして3月14日(木)開催の「アジア女子大学 第10回ファンドレイジングイベント」に協賛しました。この2イベントの模様をレポートします。
今年で4回目の開催となるホワイトリボンラン。妊娠・出産・中絶で命を落とす女性が世界にたくさんいるという現実に目を向け、国際協力NGOジョイセフがそうした犠牲者をなくすことを目標に、チャリティランニング大会を実施。この取り組みに賛同したランナーが全国から集まり、支援の輪を広げました。
参加者は日本全国の38拠点で延べ2484人、個人で走る「どこでも誰でもバーチャルラン」を含む総参加者数は、3208人に達しました。3月3日(日)には、初めて大阪で女性だけで走るウイメンズランが実施され、大阪城公園・太陽の広場に200人近いランナーが集まり、ともに汗を流しました。なお、ホワイトリボンランの参加費の半分は、世界の女性たちの命を守るための活動に寄付されます。今年の支援先はケニアとザンビアの2ヶ国です。
ランニングが始まる前のオープニングセレモニーは、ジョイセフの小野美智代さんのあいさつに始まり、吉本新喜劇の宇都宮まきさん、ゲストランナーの山田花子さん、座長の酒井藍さんらがステージに上がり、曇り空を吹き飛ばすような元気なトークで会場を盛り上げてくれました。
また、FCAジャパンマーケティング本部長 ティツィアナ・アランプレセもランナーの女性たちにメッセージを発しました。
「女性は強い。だけど、女性のエンパワーメントは女性が一人で達成できるものではありません。一緒になって女性の権利のために戦わなければいけないのです」
そう述べたあと、会場の皆さまと大声で「CIAO DONNA!(チャオ・ドンナ)」と元気なエールを贈りました。
フィアットは今年もミモザの花を持って応援に駆けつけました。白い500C(チンクエチェント・シー)と、たくさんのミモザの木箱を展示したフィアットブース。#ホワイトリボンラン2019、#ciaoDonnaのハッシュタグによる写真投稿を通じて元気を発信した女性に、ミモザをプレゼントしました。
最後に大会主催者の公益財団法人ジョイセフからいただいたメッセージを紹介しましょう。
女性を支援する国際協力NGOジョイセフにとって、国際女性デーはもっとも大切な1日です。2016年からはこの日に近い週末にホワイトリボンランを開催しており、今年は初めてウイメンズランを大阪で実施しました。初参加の方々も多く、“走ることで女性の力になれる”ということを大勢の方と共有でき、うれしく思います。世界では、女性の命・健康に関する環境は厳しいと言わざるを得ない状況です。日本は世界をリードする最長寿国ですが、そこから支援を届けることはとても意義のあることだと考えます。ひとりでできることは限られていても、皆でつながれば、大きなムーブメントを起こせます。自分の人生は、自分で選ぶ。そんなあたりまえをすべての女性に届けるため、これからも“できるアクション”の輪を広めていければ、と思います。
3月14日(木)、東京アメリカンクラブで「アジア女子大学 第10回ファンドレイジングイベント」が開催されました。地域のリーダーシップとなる人材の育成を掲げる同国際大学は、バングラディッシュ・チッタゴンにキャンパスを構え、優秀であるにもかかわらず、大学教育を受けることのできない南アジアや中東などの子女に、高等教育の機会を提供しています。学費は主に、支援者や協賛企業からの支援による奨学金でまかなわれています。
家族のなかで大学教育を受けるのは初めてという生徒が多く、また約10%はいわゆる難民出身者なのだそうです。彼女たちは初めて故郷を離れ、チッタゴンのキャンパスで学園生活を送ります。
アジア女子大学のニルマラ・ラオ副学長が、これまでの大学の10年の歩みを振り返りました。
「アジア女子大学は2008年、金融危機による混乱の時期に設立され、去年設立10周年を迎えることができました。設立当時、学生は大きな不安とリスクを背負って集まってきました。初年度の生徒数は128人。彼女たちはネパールの山村地帯や、スリランカの紛争地域などからやってきました。大学では、地域社会において、共感力を持って変革を起こすリーダーの育成に努めますが、優秀な人材を輩出しても、就職できるという保証はありませんでした。そうした状況でスタートしたのです」と、設立時の状況について説明しました。しかしそうした懸念は杞憂だったと語ります。
「1期生から優秀な生徒が育ち、使命感を持って地域の発展に貢献し、後にオバマ財団からアジアの若きリーダーのひとりとして表彰された生徒もいます。そうした初期の学生に誘発され、生徒たちは毎年約25%のペースで増加。卒業生はこれまでに700名を超え、1-5期生の卒業生の85%が就職または進学しています。しかも卒業生はユネスコやオックスファムといった団体のほか、アクセンチュアやシェブロン、ロレアル、マリオットなど世界の名だたる企業に就職し、質の高い生活を手にしています。また25%を占める大学院に進学した生徒は、世界各国の教育機関で活躍し、地域に貢献しています」と卒業生たちが立派な進路へと進んでいることを紹介しました。
副学長は、続けます。
「こうした活動を支えてくださっている支援者の方々の存在は大きな励みになりました。日本の支援グループは2008年の学校設立と同時に誕生し、学校の運営費用の38%は日本からの支援で成り立っています。この場をお借りして御礼申し上げます。また今後も教授陣やプログラムを拡大していき、学生数は現在の約4倍の3000人を目指します」と、野心的な目標を掲げました。そして「女性たちの大胆な夢の実現に向け、彼女たちを支え続けていきます」と述べ、スピーチを締めくくりました。
また会場では、米S&R財団理事長兼CEOであり、ハルシオン創立者兼議長も務めていらっしゃる久能祐子さんが基調講演を行いました。彼女は日本出身の起業家で、現在はワシントンDCで活躍。『Fores』誌から、「アメリカで自力で成功を収めた女性50人」に選出されています。
久能さんは、その成功までの道のりを3つの章に分け、それぞれの時代の転機や、後の成功に結びつく因子を振り返って述べられました。第1章は、学生時代。3人兄弟の次女として生まれた久能さんは、教育に熱心なご両親のもとで、京都大学に進学。性別を分け隔てなくサポートしてくれたご両親のサポートと、子どもの頃「恥ずかしがり屋だった」ことを理由にコミュニケーションを取らなくて済むと思って進んだ理工学部を選んだその選択が、その後の人生を大きく変えたことを紹介しました。また当時、同学年の女子はわずか6人と理工系の女子学生数が少なかったことから、教授から女性の研究者が多くいる環境の米ニューヨークの大学への交換留学を提言されたそうです。そして「ニューヨークで素晴らしい経験を積むことができた」と語られています。
第2章は、研究者から経営者へと進路を変更した“冒険の時代”について。工科大学から帰国して博士号を取得した後、久能さんは薬品の研究者として従事。基礎研究のパートナーだった上野隆司博士が大きな発見をしたことから、久能さんは研究者としてのキャリアにピリオドをうち、上野氏と共同設立者として起業。上野博士が発見された物質を使った新薬の商品化に取り組みました。ひとつの製品は日本で、もうひとつの製品は日本に投資家がいなかったことからアメリカで投資家を集め、こうして久能さんはふたつの新薬の商品化に成功しました。
第3章は、久能さんが非営利分野で、世界のために何ができるかを模索してかたちにした、若手起業家の育成の時代です。この時代に創出したのが「ハルシオン・インキュベータ」で、これは社会問題の解決を志す起業家を育てる仕組みのこと。特徴的なのは、起業家を志す若者たちが“ハルシオン・ハウス”での共同生活を通じて、互いに刺激しあい、また創造的な発想を引き出しやすい環境を整えたことです。なお、久能さんは、この取り組みを通じて、女性が会社を設立しても、投資を受けるのは難しく、多くは男性起業家に偏る傾向があることに気づきます。そこで久能さんは性差を問わず、数多くの能力ある起業家を輩出する活動と並行して、投資家を育てる活動も行い、社会において女性が活躍しやすい環境を整えられたのです。その結果として、「多大な経済的インパクトをもたらすことができたことを誇りに思う」と述べると、会場からは大きな拍手が沸き起こりました。
アジア女子大学ファンドレイジングイベントには、アジア女子大学の応援者として、また女性活躍に向けた活動をされているファーストレディの安倍昭恵さんも参加されていました。今回のイベントのご感想を伺うと、「年々規模は大きくなり、ファンドレイジングイベントを通じて支援者が増え、1人でも多くの学生さんが勉強できる環境が整って欲しいです。そして卒業後に、それぞれの地域で活躍されることに期待しています」と話してくださいました。
国際女性デーを機に、各界で活躍されている女性の姿を見ることができた3月。女性の皆さまには、これからも勇気を持ってご自身の目標やビジョンの達成に向け、邁進していただきたいですね!
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