まるで絵に描いたような素敵なご家族のフィアットオーナーがいらっしゃるとお聞きし、東京は白金台のお住まいにうかがいました。
訪れてみると、お部屋にはイタリアのおしゃれ陶器、ジョヴァンニ・デシモーネの作品が随所に飾られていて、置いてある家具やお部屋の模様も、とても洗練された雰囲気。漆喰塗りを思わせるお部屋の壁も、イタリアらしさに溢れています。
ご家族でイタリア好きとあって活動の拠点はイタリアンな雰囲気。お部屋の飾り付けや、置いてあるものはすべて満足のいくもので揃えています。
旦那さまの小嶋聡さんは、イタリアンレストランのオーナー。奥さまの賀子さんは、イタリア料理を中心としたフードコーディネーター、モスワーク インストラクター、フラワーデザイナーと、幅広く活躍されています。
イタリアの魅力を日本に広めたいとの思いから、26歳で自身のお店をオープン。賀子さんのイタリアへの想いはさらに広がっていったのでした。
─ 奥さまは、以前イタリアにも住んでいらしたそうですが、向こうに行かれたキッカケから教えていただけますか?
大学の卒業旅行でヨーロッパに行き、イタリアに衝撃を受けたんです。ここは人間のあらゆる欲求を満たしてくれる場所だと(笑)。イタリアを行き来する生活がしたいという気持ちになりましたね。
最初のお仕事はCAだったんですけど、残念ながらその当時は私の会社にはイタリア行きのフライトがなく、4年働いてお金を貯めて、カフェとセレクトショップを兼ねた自分の店をオープンしました。26歳のときです。当時は買い付けで年に5回ぐらいイタリアに行っていましたね。
─ 単身でイタリアを行き来されていたのですか?
はい。いつも同じホテルに泊まり、行くたびに同じレストランに通っていたので、現地の方とも仲良くなれました。そこで当時はまだ日本では食べることのなかったカラスミのスパゲッティと出会い、“ボッタルガってなに?”みたいなところからお店の人に聞いてみると、日本だと企業秘密にされそうな料理の材料から作り方まで、ぜんぶ教えてくれちゃうんです。
しかも厨房では、コックさんがワインを飲みながら明るいノリで、“飲みながら作るから、ワインによく合う料理を作れるんだよ”なんて言いながら、本当においしい料理を簡単に振舞っているのです。イタリア料理の奥深さや、イタリアの気質みたいなものに触れて、ますますイタリアが好きになりましたね。その後、日本のお店はスタッフに任せて、1年間イタリアに料理の修業に行くことにもなりました。またオランダにモスワーク(モス=苔を用いた創作)を学びにも行きました。
フードコーディネーター、モスワーク インストラクター、フラワーデザイナーなど、多方面で活躍されている白水賀子(しろうずかこ)さん。ご自身の展開されているブランド「caco」のホームページを通じて情報発信も行っています。
─ その後は海外で学んだことを日本に広めようと考えられたのですか?
結婚を意識する年齢になり、生活が変わっても続けられるやり方で、料理のお仕事をしたいと考えるようになりました。料理は好きだけど、自分より上手なシェフはごまんといる。そうしたなかでその方々にはないもの、男の人にはないもので勝負したい、と。そして自分の強みはなにかと考えて、よし、“生活の愉しみ”を提案しよう。イタリア流の楽しみ方、生活を豊かにしてくれるものをトータルでコーディネイトするコーディネーターを目指そう、と考えたのです。
イタリア料理を教えるときはもちろん、モスワークのお教室を行うときも、自分が体験したイタリアやヨーロッパの話を交えて、レッスンを受けていただく方にもイタリア好きになってもらえたらいいなと。そういう気持ちで取り組んでいます。
ご家族で出かけるときにいつも一緒の500。お子さまが生まれたときに購入したこともあり、深い思い入れがあるようです。
─ 500(チンクエチェント)を購入するに至った経緯を教えてください。
500はイタリアにいたときから、路地を走る姿が愛らしいと思っていました。雰囲気がとてもかわいくて、おしゃれでいいですね。そしてもうひとつ大きな理由は、子どもが生まれ、家族で乗れるクルマが必要になったことです。それまでに乗っていたのはスポーツカーだったので、家族で乗れてチャイルドシートもしっかりつけられる500を気に入って購入しました。
以前に住んでいた住居は周辺の道が狭かったのですが、そこでも乗りやすかったです。この500 1.2 Sportはとても気に入っていて、購入してもう丸7年になります。
─ どうしてマニュアル車の1.2 Sportを選ばれたのですか?
じつはわたし、免許を取得してからマニュアル車にしか乗ったことがないんです。子どもの頃、3つ上の兄にスーパーカー消しゴムの遊び相手をさせられて、クルマの名前やらを覚えるようになり、以来ずっとクルマ好きです(笑)。国内A級ライセンスも持っていてサーキットの経験もあります。なので買うならマニュアル車と決めていて、そこは主人も同じ意見で1.2 Sportを選びました。
東京・町田「トラットリア マリー」のオーナーでいらっしゃる旦那さまの小嶋聡さん。
─ 旦那さまは、さらにフィアット・バリッラも所有されているのですよね?
ぼくが小さい頃から祖父も父もクルマ好きだったので、クルマは生活の道具というよりも、楽しむためのものとして捉える素地があったんです。それでミッレミリアに一緒に出ようとしていた友人の志を受け継ぐかたちで、フィアット・バリッラを手に入れることとなりました。実際に1935年のミッレミリアに出場したクルマそのもので、軽量化など特別な手が入れられた、当時の技術者の想いが込められた車両なんです。
─ 500を購入されて、なにか生活が変わったことや楽しくなったことがあれば教えてください。
ぼくが感じるのは、フィアットやアルファ ロメオに乗られている方の集まりは、参加してとても楽しいということです。他ブランドのオーナーの集まりにも参加したことはありますが、参加者は男性が主体で、話題はクルマに関するものが多かったです。
でもフィアットの場合は家族ぐるみのお付き合いになりやすい。おいしいワインが手に入ったから今度一緒に飲もうとか、おもしろい雑貨を見つけたから今度一緒に見に行こうかとか、そういう会話をして、一緒に楽しめるんです。フィアットはずっと小さなかわいいクルマを作り続け、自身のアイデンティティを守ってきたので、そこに共感する人の価値観が近いのかもしれませんね。
いちフィアットファンとしては、昔の500がそうであったように、同じクルマを長く作り続けるメーカーであってほしいです。改良はもちろんしてほしいですけど。フィアットにはこれからも500の雰囲気を大事に守ってくれることを期待したいですね。
ありがとうございました。
小嶋さんご家族の豊かなフィアットライフはこれからもずっと続きそうです。
text:曽宮岳大
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