いまやイタリアやフランスなどヨーロッパをはじめ、世界の名だたるブランドが注目するデニム産地となった岡山県。中でも、倉敷市の児島地区は古くから繊維産業が盛んなエリアで、1960年代に日本で最初のジーンズが作られた「国産ジーンズ発祥の地」であり、“ジーンズの聖地”といわれています。
今回はそんな児島地区にある、およそ30ものジーンズショップが軒を連ねる「児島ジーンズストリート」を紹介します。児島ジーンズストリートの注目ショップから、それぞれのイチ押しジーンズをピックアップ。世界に誇る「児島クオリティ」と各店のこだわりが融合した1本には、ジーンズ好きならずとも胸が高鳴るはず!
児島ジーンズストリートの中心には、ジーンズ型トイレと休憩所が。
岡山県倉敷市の南東部に位置する児島地区に位置する「児島ジーンズストリート」。瀬戸大橋にほど近く、岡山駅からはクルマで約45分、倉敷川沿いに歴史的建造物が立ち並ぶ倉敷の観光スポットである美観地区からも約30分とアクセス良好なので、1日で観光もショッピングも楽しめます。児島ジーンズストリート専用の無料駐車場もあり、クルマをとめる場所に悩まされる心配がないことも嬉しいポイントです。
最寄りのJR児島駅にもジーンズのモチーフが多数。児島駅からは徒歩約12分。
児島ジーンズストリートは味野商店街の空き店舗を利用した町おこしの一環として2009年に誕生。約400mほどのストリートはレトロな趣があり、ジーンズショップやカフェなどが立ち並んでいます。デニム生地から縫製、デザインにいたるまでこだわり抜かれた国産ジーンズを目当てに、国内外からジーンズファンが訪れるスポットです。
ストリートのいたるところに、のれんのようにデニムが吊り下げられています。青空とインディゴブルーの組み合わせがフォトジェニックで、人気の撮影ポイントになっています。
まず訪れたのは、児島ジーンズストリートで外せないショップの代表格ともいえる「BIG JOHN(ビッグジョン)児島本店」。1965年にビッグジョンの前身であるマルオ被服が発売したジーンズこそ日本初の国産ジーンズであり、児島の地が“ジーンズの聖地”と呼ばれる原点となりました。
そんな日本を代表する老舗ジーンズブランドであるビッグジョンの本店には工房が併設され、熟練の職人が腕を振るうオリジナルジーンズもオーダー可能。デニム小物の製作、藍染めやペイント、穴あけなどの加工も体験でき、ジーンズの魅力を存分に味わえます。
今回お出迎えいただいたのは、ビッグジョン広報の松田さん。ヘビーオンス(厚地)のデニムのセットアップでおしゃれですが、「ジーンズを毎日着用してエイジングさせるのも仕事のうち」とのこと。色落ちしたジーンズは店頭でディスプレイされるそうです。
日本で最初のジーンズを作ってからも、“クオリティカムズファースト”をモットーにし、メイドインジャパンにこだわった高品質なデニムを作り続けてきたビッグジョン。どんなヘリテージジーンズが飛び出すのかと思いきや、松田さんおすすめの1本は「COMPLETE FREE(コンプリートフリー)」という革新的なジーンズ。伝統的なヘビーオンスのジーンズとは正反対ともいえる、抜群のストレッチ性が特徴です。
BJM105F BIG JOHN COMPLETE FREE(28 ~34・36インチ) ¥15,000+tax
「見た目はごく普通のジーンズなんですが、“驚愕のストレッチ”というテーマで開発された1本です。生地が柔らかく、脚にフィットするので、長時間のクルマの運転にも非常におすすめ」だと、松田さんの解説にも熱が入ります。
「生地が柔らかくなった反面、膝の部分がすぐ破けたりするんじゃないかという心配の声もいただきますが、思い切り引っ張っても破れる心配はありません。型崩れもしにくく、いつでもキレイなシルエットを維持できます。そんな使い勝手の良さや穿き心地のとりこになって、同時に16本も購入してくださったお客さまもいらっしゃいました」
よく伸びるのに破れない。その優れた性能から、アーバンスポーツのプロ選手のウェアにも採用されるほど。
日本で一番長くジーンズのことを考えてきたビッグジョンだからこそ生み出すことができた1本。ドライブにもぴったりだという“驚愕のストレッチ”を、ぜひ体感してみてください。
BIG JOHN 児島本店
岡山県倉敷市児島味野2-2-43
TEL. 086-473-1231
9:00-17:00
年中無休(年末年始除く)
続いてやってきたのは、日本家屋のような趣のある外観が目を引く「JAPAN BLUE JEANS(ジャパンブルージーンズ)児島店」です。
「ジャパンブルージーンズはテキスタイルの工場発のブランドで、もともとは日本で作った生地を世界に向けて販売していくためにスタートしました」と、ブランドの成り立ちについて教えてくださったのは、店長の蓮井さん。
「世界各国のテキスタイルが集まる展示会で、デニム生地の販促品としてジーンズを作ったところ、そのジーンズを販売してくれと熱いオファーをいただいたことがきっかけでジーンズブランドとなりました。シルエットに強いこだわりを持つ海外の方にも、日本のデニムが認められたことをすごく嬉しく思っています」
離れの和室には過去の作品をずらりと展示。和を感じさせるロケーションは、外国のお客さまからも大人気。
「おすすめの1本は、ここでしか買えない、児島店限定のジーンズです。バックポケットに施された白と青のステッチは、児島のシンボルである“瀬戸大橋”と“瀬戸内海”をイメージ。本革を使ったレザーパッチも、児島店限定の仕様なんです。
また、通常のデニムの裏面は無染色なんですが、こちらのデニムは両面インディゴ染めになっています。だから、裾をロールアップしたときも色が同じですごくかわいいんですよ」
J0448KZ2 児島店限定(28~34・36・38インチ) ¥20,000+tax
ジャパンブルージーンズはテキスタイルメーカーが原点ということもあり、いずれも世界各地のコットンを紡いで、染めて、織り上げる独自企画のデニム生地を使用しており、その中から選べるラインナップは圧巻です。
また「エシカルプロダクト」という、できるだけ環境に負荷をかけないデニム作りにも力を入れており、排水を抑える仕組みの開発をしたり、大量に廃棄されるバナナの木の茎を繊維状にリサイクルし、糸にすることで新たな生地を生み出したりと、未来に繋がるデニムも追及しています。
そんな強い想いが込められたジーンズは、ライフスタイルにこだわりを持った方にこそ、ぜひ手にとっていただきたい逸品です。
JAPAN BLUE JEANS 児島店
岡山県倉敷市児島味野1-14-10
TEL. 086-486-2004
10:00-19:00 年中無休(年末年始除く)
「特許庁認可も取得している“オール0番ステッチ”と“生立体デニム”がうちの特徴です」と、そのユニークなものづくりについて話すのは、senio second(セニオセカンド)のオーナー・丹羽さん。
「0番糸は、通常の糸とは比べものにならないほど太い糸。通常のミシンでは縫うことができないので、革用のミシンを改造して作った特注ミシンを使用しています」
手前が一般的なステッチ。奥がsenio secondの0番ステッチ。その違いは一目瞭然。イエローの極太ステッチが目を引きます。
「もうひとつの特徴は、“生立体デニム”です。染色してから一度も洗っていないノリの効いたデニムのことを“生デニム”と呼びます。そんな生デニムをベースに、樹脂を吹き付けて、脚のかたちに固めたデニムが“生立体デニム”です」
フックでつり下げてみても、まるで透明人間が穿いているように立体感が保たれています。
Se-028 生立体ジーンズ(24〜40インチ) ¥18,800+tax
「通常だと約2~3年間かかる色落ちも、このデニムであれば半年であたりがつくので、いい雰囲気のヒゲ(デニムの股部分にできるシワに沿った色落ち)が短期間でできるんです。樹脂で固めていますが、脚のかたちになっているので穿きやすく、もちろん車の運転だって問題ないですよ」
senio second
岡山県倉敷市児島味野1-11-12
TEL. 086-472-2328
土日祝 10:00-18:00
月〜金 13:00-17:00
店休日:第三日曜
「ビッグシルエットなアイテムをオシャレに着こなしたい!」という女性の声に応えて、2019年に立ち上がったブランドがT-ASSAC(ティーエイサック)。白を基調とした新しく清潔感のある店内には、ゆったり目のシルエットのシャツや、男性でも着用できるくらいのオーバーサイズのジーンズなど、メンズライクなアイテムを中心に揃えられています。
洗い加工工場がはじめたブランドなので、インディゴの色落ちのバリエーションが豊富なところも魅力のひとつ。また、アイテムのどこかに必ず星型の刺しゅうが忍ばされているところもポイントです。
今回ご案内いただいたのは、ショップスタッフの堀元さん(写真左)と橋爪さん(写真右)。
「メンズライクなシルエットがブランドの顔なんですが、今季のおすすめは“スキニーパンツ”です。ジーンズといえば綿100%のしっかりとした生地が定番ですが、ジーンズの雰囲気を壊さない程度に、少しだけポリエステルを混ぜています。そのおかげで生地にストレッチ性が生まれて、すごく穿き心地がいいんです。
そして、デザイナーが試行錯誤を繰り返して作った渾身のパターンは、体のラインに沿って、ピタッときれいなシルエットを演出してくれます。女性の皆さんにぜひお試しいただきたいです」
SKINNY ¥19,000+tax
裾に向けて細くなるテーパードシルエットで、ヒップから足首にかけてのラインを美しく魅せてくれます。ビッグシルエットのシャツとも相性◎。どんなスタイルにもマッチして、毎日でも活躍してくれそうな1本です。
T-ASSAC
岡山県倉敷市児島味野2-2-83
TEL. 086-486-1845
10:00~17:00
定休日 水曜日・木曜日
最後の1店はちょっと変化球で、デニムをテーマにしたテイクアウト専門カフェ「SALON DE DENIM(サロンドデニム)」をご紹介。
サロンドデニムのコーヒーには、日本で5〜6%しか流通していないというSCAA(アメリカ・スペシャルティコーヒー協会)の評価基準を獲得したスペシャルティコーヒー豆のみを使用。コロンビア、グァテマラ、ルワンダ、ペルーを4:3:2:1の絶妙な比率で配合したオリジナルブレンドです。
コーヒー豆が入っているパッケージは、高品質デニムを手作業で一つ一つ縫製して包んだもの。児島ジーンズストリートのおみやげにもおすすめです。
コーヒー豆を使い切ったら、デニムのパッケージは再利用できます。解体して紐を縫って巾着袋にしたり、切って折って鶴を作ったり、そのまま入れ物として使ったり。アレンジは無限大です。
SALON DE DENIM
岡山県倉敷市児島味野1-12-16
TEL. 086-476-7980
10:00~17:00
ジーンズの定番カラーといえば、ご存じ「インディゴブルー」。インディゴ染めによってつくられる深い藍色に、魅力を感じているひとも多いはず。そんなジーンズの定番カラーをまとった限定車が、フィアットの「500X Indigo(チンクエチェントエックス インディゴ)」です。
クルマとしての性能はもちろん、その最大の特徴はボディやインストルメントパネルにあしらわれた専用色マットジーンズ ブルー。お気に入りのジーンズと同じように、カジュアルからフォーマルまでどんなシーンにもマッチして、毎日のかけがえのない相棒になってくれそうです。
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
FIATの最新情報をお届けします。