fiat magazine ciao!

アマルフィ

LIFESTYLE

COSTIERA AMALFITANA 小さな港は、いつも世界へ向いていた 〜アマルフィ海岸のスポット特集〜

“イタリア各地をめぐるフィアット”がテーマの『フィアット オリジナルカレンダー 2023』。フィアットの各モデルが6つの街をめぐるイラストが描かれています。7月と8月はイタリア南部カンパーニャ州の『AMALFI(アマルフィ)』。ユネスコ世界遺産に指定された1997年の遥か以前から、イタリアを代表するリゾート地としてその名は広く知られてきました。世界中で人気のアマルフィ海岸の魅力を、イタリア在住のコラムニスト・大矢アキオ氏にたっぷり伺いました。 なお、『フィアット オリジナルカレンダー 2023』はダウンロードが可能。ダウンロードの方法は記事の最後に掲載しているのでぜひチェックしてみてください!   南イタリアの避暑地、アマルフィ海岸の歴史 アマルフィ海岸には、玄関口であるその名もアマルフィのほか、ヴィエトリ・スル・マーレ、ポジターノといった宝石のような町や村が連なります。アマルフィ海岸へのアクセスは、ナポリ中央駅から特急列車で約30〜40分のサレルノ駅で、バスもしくはフェリーに乗り継ぐのが便利です。バスだと約50分。カーブに差し掛かるたび、ステアリング片手に安全祈願の十字を切るドライバーに、この地の人々の信仰の篤さを垣間見ます。いっぽう、所要時間約30分のフェリーは波が荒い日も。それでも、断崖と海岸線に挟まれた小さな町や村が奏でる穏やかな雰囲気は、少しアドヴェンチャー的旅程をこなしたあとだけに喜びが倍増します。   ▲海岸の西端にある村、ポジターノ。劇作家ジョン・スタインベックがこよなく愛したことでも知られています。早くも3月末頃には、夏を待ちきれない北の国からの観光客が水着でビーチに繰り出すことも。   驚くべきはその歴史です。今日の穏やかなたたずまいとは対照的に、9世紀にナポリ公国から独立後、アマルフィ公国として地中海貿易で大きな力を発揮しました。アマルフィの町に残る造船所跡は、その名残です。アマルフィの町役場のウェブサイトには、“Antica Repubblica Marinara(古き海洋共和国)”の文字が、今も誇らしげに記されています。 ただし、公国が12世紀にシチリア王国に併合されると、一帯はひなびた港町になってしまいました。   ▲アマルフィ地方の伝統産品といえば、レモンとそれを用いた強いディジェステーヴォ(食後酒)。   そうした状況に、変化が訪れたのは20世紀に入ってからのことでした。アマルフィの隣村で、イタリアを代表する陶器『マヨルカ焼き』の産地でもあるヴィエトリ・スル・マーレ村は、1926年にユダヤ人迫害から逃れてきたドイツ人陶芸家マックス・メラメルソンを受け入れます。彼が注目されたことで、世界各地から同業者が集うようになりました。 第二次世界大戦後になると、さらなるムーブメントがもたらされます。1946年、映画監督ロベルト・ロッセリーニがロケ地に選定。1953年には、アメリカ人劇作家ジョン・スタインベックがポジターノを訪れて雑誌に紹介しました。それらをきっかけに、有名人の避暑地として注目を浴びるようになったのです。フィアット創業家の3代目で、イタリア戦後経済成長のシンボルでもあったジャンニ・アニェッリもしかり。1962年、アマルフィでジャクリーン・ケネディと過ごしています。その様子は、“ドルチェ・ヴィータ”の象徴として多くのパパラッチたちによって記録されました。2023年に天国に旅立ったロック歌手、ティナ・ターナーもポジターノの小道を歩くのがお気に入りでした。 この夏も多くのセレブリティが訪れ、その様子は週刊誌のグラビアを飾り始めています。ヴィエトリ・スル・マーレにも陶器工房で自身の作品を形にすべく、引き続きクリエイターが集います。穏やかな風景から想像できないほどの、外に向かった繋がりと寛容性。十世紀以上も前の海洋国家の気風は、今も脈々と息づいています。   ▲夜のアマルフィ。夏この地を訪れる人々は、誰もが遅い日没を存分に楽しみます。     アマルフィ海岸で見かけたフィアットたち おすすめスポット紹介の前に、アマルフィ海岸で見かけたフィアットたちの写真をご紹介します。   ▲アマルフィの町で。ジェラテリア前に停車する『500(チンクエチェント)』。   ▲昼過ぎ、アマルフィの町で。ナイフやフォークの音が聞こえてくる窓の下で、『Nuova 500(ヌォーヴァ チンクエチェント)』も小休止です。   ▲かつていくつもの鍛冶屋が店を構えていたというアマルフィのドージ広場で。断崖とビーチにはさまれた町で、小回りが効くフィアットは、人々の頼れるモビリティです。   ▲ポジターノで。『Panda(パンダ)』と並んでいるのは、狭い道での取り回しを考慮した、この一帯で多くみられる小型バスです。   ▲陶器の町ヴィエトリ・スル・マーレのショップ前に佇む初代『Panda』。   ▲アマルフィで。町の人にとっては見慣れた足である『Nuova 500』ですが、観光客にはイタリアン・ムードを盛り上げてくれる大切な名優です。   次のページ:【アマルフィ海岸のおすすめスポットをご紹介】 […]