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#チンクエチェント博物館

LIFESTYLE

全体のフォルムと気分があがるディテールに惹かれて|FIATオーナー紹介

お気に入りの水色の『500 1.4 ポップ』オーナーの長谷川江美さん。実は、もう一台500の兄弟車を併有するコンパクトなフィアットが好きという長谷川さんに、フィアットブランド、そしていまお乗りの500の魅力についてお話しを伺いました。     衝撃のフィアットとの出会い   子供の頃からクルマが好きだったという長谷川さん。「いつ頃から好きなんですか?」と尋ねると「その質問が一番困るんです。親が言うには子供の頃から。“あれ何?”って聞くと、クルマの車種が全部言えたらしいんです」とのこと。 ▲長谷川江美さん。   そのきっかけについてお聞きすると、「特に思い当たらなくて。家のクルマはすごく普通の日本車でした」とのこと。ただ、「私はもともと、プラモデルとかが好きなタイプの子供だったので、その流れでクルマが好きだったように思います」と振り返り、どちらかというと男の子のような子供時代を過ごしていたようです。免許を取る頃は「オープンのスポーツカーが好きでした」と話されるように、長谷川さんはまさにクルマ好きという言葉がピッタリの印象です。     実は、その頃にフィアットとの出会いがありました。「高校生の頃に、隣りの家の人が日本車から『FIAT MULTIPLA(フィアット・ムルティプラ)』に買い替えたんです。見た瞬間“わぁ、凄いこのクルマ!”と感じました。いままでに見たことのないクルマでしたし、とても良いじゃないと思いました」と、その衝撃を語ってくれました。長谷川さんが衝撃を受けた2代目ムルティプラは、ヘッドライトがAピラーの付け根にあったり、前後シートとも3人掛けの合計6人が乗れる、見た目も内容も独創的なモデルでした。そのときのフィアットの印象は「変わったクルマを作るメーカー(笑)」でした。なぜなら、ムルティプラしか知らなかったのですから致し方ないでしょう。     ▲MULTIPLA(ムルティプラ)     欲しかった仕様がなくなりそうで即ディーラーへ   それからしばらくの間、フィアットとの縁が遠のいてしまった長谷川さん。「免許を取った後、予算の関係から、日本の軽自動車を購入しました。何のトラブルもなく楽しく数年間、乗っていました。ただ、長距離は厳しいかなぁと感じていましたね。ちょうどその頃、クルマが好きならと友人に誘われて、ヒストリックカーのイベントに行きました。すると、その会場に『500(チンクエチェント)』が展示されていたのです。その足でディーラーに行って「500が欲しいんですけど!」と、即購入に至ったそうです。       長谷川さんは、以前から500に興味を持っていました。「当時のジュネーブ・モーターショーで発表されたフィアットのコンセプトカー『TREPIUNO(トレピウーノ)』を雑誌などで見たときから“うわー!”となっていました。これが市販されて、日本に入ってきたら絶対に水色が欲しいと思っていたのです。なぜ水色かって? 水色は、すごく好きな色なんです」とその頃から、水色の500の購入を、ひそかに心に決めていたようです。また「何よりもフォルムが大好きなんです。とってもかわいいでしょ」と、ひと言ひと言に500への愛情があふれていました。   ▲TREPIUNO(トレピウーノ)     長谷川さんの500は2009年式なので、日本に導入されてから1年経過しています。その点を尋ねると、「乗っていた軽自動車に満足していたので、500の購入は数年後でもいいかなぁと思っていたんです。しかし、実車を見にいった時、私が欲しいと思っていた仕様がなくなってしまうことを知り『500 1.4 16V POP(チンクエチェント 1.4 16V ポップ)』の水色を買うことを決めました」。 しかし、来場したディーラーに在庫がなく、全国レベルで捜索をした長谷川さん。すると、新車の在庫があるディーラーを発見! 「その週末に売れなければ、家の近所のディーラーに回してくれることになり、無事に私の手元にやってきました」と、その時を思い出して嬉しそうに語ってくれました。     2008年の発売時、500は1.2リッターエンジンの『500 1.2 8Vラウンジ』という上級グレードから販売をスタート。その後、1.4リッターエンジンを搭載した『500 1.4 16V ポップ』や上級グレードの『500 1.4 16V ラウンジ』が追加されました。長谷川さんによると、「『500 1.4 16V ポップ』しか考えられませんでした。ファブリックとフェイクレザーのツートーンのシートに惹かれたんです」とグレードも含めて一択だったそうです。 […]

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愛知県・チッタナポリのチンクエチェント博物館に行ってみよう!

ファン必見の「チンクエチェント博物館」! 博物館と一言で言ってみても、さまざまなジャンルのものが存在していますが、500(=チンクエチェント)ファンにとって、一度訪れてみたい博物館と言えば、歴史に名を刻んできた貴重なモデルに会える『チンクエチェント博物館』ではないでしょうか。 チンクエチェント博物館は、愛知県の知多半島の先端に位置するチッタナポリの敷地内の一角に存ります。こちらの施設は、穏やかな海に面した立地を生かした、イタリア的ムードを採り入れたリゾート地。私たちは名古屋方面から知多半島道路、南知多道路を伝って南下、豊丘ICを降りて一般道を10分ほど走り、丘の上の博物館に到着しました。 建物の1階にあるフロアには、小さなボディの500たちがズラリと並んでいます。クルマが見渡せる一段高い場所にはカフェテーブルがありますが、ここでは入場者にエスプレッソが振る舞われます。 また、隣の部屋にはFIATのミニカーやステッカーなど、レアアイテムも含めてさまざまなグッズが展示されています。     深津さんに聞く! 博物館の楽しみ方! 普段は目にすることができない歴史的なモデルや貴重なアイテムに心を惹かれてしまう空間。まずは副館長の深津さんにこの博物館の楽しみ方について、お話を伺ってみました。 深津「自動車の博物館というと、1台1台をじっくり眺めていくことが一般的ですが、ここでは500と共に過ごす時間を楽しんでいただくというスタイルをとっています。館内は見渡せてしまうほどの小さなスペースなので、クルマもインテリアの一部として観てもらいながら、500と一緒に時間を楽しんで欲しいですね。」 窓の外には知多湾の海に浮かぶ島々。リゾートらしい景色の中、歴代のFIAT 500に囲まれていると、クルマ談義に花が咲き、当時のクルマ達が活躍していた時代背景に自然と興味がそそられていきます。     また、ここでは現行モデルの500とNUOVA 500(1957年-1977年)とのボディサイズやボディ色、ディテールの違いを比べてみて欲しいとのこと。そうすることで、1950年代に登場していたNUOVA 500のパッケージングの完成度の高さを再確認できるといいます。 深津「歴代のモデルを見ていくと、戦争の影響などでボディに使用される鉄が手に入りにくく、鉄の使用量を抑えるために前方投影面積を減らしたシルエットに工夫して作られていた時期もあるようです。それに対して、現在は原材料が手に入れやすくなり、プレスの加工技術も進化したことで、Pandaのようにがっちりとした四角いボディ形状のクルマも存在してきたりと、時代が持てる技術と経済環境がクルマ作りにも反映されているようです。」     大衆車を作るという目的の下で生まれたトポリーノは、水冷式の直列4気筒エンジンを前車軸の前方に搭載するという、当時としても画期的な手法が採用されたクルマ。なおかつ、空力性能にも優れた曲面ボディが特徴ですが、美しいスタイリングでありながら、乗員の居住スペース確保に配慮されているパッセンジャーカーです。     こちらの展示車は、1957年に発表されたNUOVA 500で、現行の500のデザイン・モチーフとされています。この車両は、1957年の最初期に、半年間だけ生産されていたという『プリマ セーリエ ファースト シリーズ』。 今ではコレクターズアイテムにもなっているというこの貴重なモデルは、サイドウィンドウが開かないタイプで、後部座席を持たない2シーターであることが特徴です。 同年、FIATは内外装をグレードアップした500スタンダードを発売。このスタンダードが大ヒットとなり、500の人気は急激に上昇しました。後部座席が取り付けられた4シーターのスタンダードは、サイドウィンドウが開くように実用面も改善されていたそうです。 また、博物館には、さまざまなカロッツェリアがボディの製作を手がけたユニークな作品も存在しています。     そのひとつが白いオープンボディをもつ1959年式の『500 GHIA JOLLY(ギア ジョリー)』。カルマンギアでその名を知られるGHIA社が手がけたオープンスタイルのビーチカーは、ルーフやドアを持たない、割り切った設計になっています。シートは籐編みになっていて、水着で座ってもOK。イタリアのビーチ周辺は狭い道が多く、小さなボディをもつ500が活躍していた様子が目に浮かびます。     そして、赤いラインがボディサイドを走るこちらの勇ましい500は、1958年に登場したというNUOVA 500 SPORT(スポルト)。ABARTHが手がけたモデルは、サスペンションがスポーティなものに変更され、エンジンのチューニングやメーターを変更するなど、ファインチューニングが行われていました。     伊藤さんに聞く! 500と過ごす魅力とは? 歴代の500に魅せられたユーザーたちとともに、さまざまなイベントを提案している伊藤さん。500と共に過ごすライフスタイルの魅力について、お話を伺ってみました。 伊藤「500がもたらすものは、その人によって違うと思います。例えば、同じ属性をもつ人同士で仲間意識を共有したい場合、クルマを持つことでオフ会に参加することもできます。500をネタに話をするというのも、楽しい時間ですよね。 道具としてクルマを見た場合、現代のクルマは各部の部品の精度が上がって、信頼性が増したことも嬉しい事です。500は個性的なクルマですが、壊れにくい分、余計な心配が少なくてすみますし、安心して購入することができます。もちろん、普段から遠慮無く乗ることができるクルマです。 国産車などのコンパクトカーと比較すると、500はとてもフルートフルなニュアンスを与えてくれるクルマだと思っています。500に乗ると、今まで気がつかなかったことに気づくようになる。「エンジンのフィーリングが気持ちいい」とか、「インテリアのデザインがいい」とか、人によって受けとめる部分は違いますが、これまで目的地までの単純な移動手段だったはずのクルマが、移動する過程が楽しくてウキウキするようになる。つまり、移動することが単なる目的ではなくなるのです。     さらに、クルマ自体が可愛く思えてくる。まるで恋愛対象のように思えてくることがあるのです。 例えば、人を好きになると、その人についてもっと知りたいという感情が芽生えることがあります。やがて、その人の興味の対象を調べて共感しまったりする。クルマは機械や物と同じはずなのに、500は人からそうした感情を引き出してしまうことが凄いことだと思います。つまり、500は人を変えてしまうくらいのエネルギーをもった存在といえるわけです。 […]