──ビオレッティさんがイラストを描くにあたって、生まれ育ったイタリアのカルチャーやライフスタイルから影響を受けている部分はありますか?
それはもう“DNA”に入っていますね。僕の場合は若いころから日本によく来ていて、イタリアと日本が一度ぐちゃぐちゃになったと思います。両方のカルチャーショックを受けた感じがあって、10代の後半ぐらいは自分のアイデンティティをすごく考えました。心は日本にいたいけど、体はイタリアにいなくちゃいけなかったので。今ではそこの折り合いがうまくついて、仕事の面だとイタリアの文化は自分のDNAの中に入っていて、個人的には自然な感じで絵の中に表現されているのかなと。よく言われるのは、色味とその組み合わせ。全然意識はしていないですけど、クライアントから色も含めてお任せの場合は、日本人があまり選ばない色味を選んでいると思います。
──クルマに関してもお聞きしたいのですが、気になる車種やモデルはありますか?
フィアットのインタビューだからではないんですが、やっぱり『500(チンクエチェント)』には憧れがあります。というのも、『500』を見ると昔のイタリアを思い出すから。現在の『500』も、当時を感じさせるデザインなのでいいなって思います。一方で、最近出た電気自動車『500e(チンクエチェントイー)』のデザインからは、ちょっと未来的なイメージを感じました。
──イタリアに住んでいたころのクルマにまつわるエピソードがあれば教えてください。
おじいちゃんは、免許を取ることでいろいろな世界が広がるとよく言っていました。僕もクルマのデザインにはすごく興味がありましたし、トリノにいたときには通訳者として日本のクルマメーカーの工場で働いたこともありました。そこに働きに来ていた日本人のみんなが言っていたのは、「イタリアのクルマのデザインは最高だ」ということ。当時の僕は「日本は最高だ」としか思っていなかったけれど、そういう人たちの声を聞いて、改めてイタリアの魅力が見えてきた部分もありました。大事なのは、両方の文化を理解するとバランスが取れるということ。なので、両方の文化を知れたことは僕にとってプラスになっていると思います。
インタビュー後にビオレッティさんは、「今は都内に住んでいますけど、いつか田舎とまではいかなくても、もうちょっと緑が多い場所に住みたいなっていう話を家族でしています。このインタビューのおかげでフィアットに改めて興味を持ちました」と語っていました。イタリアと日本、両方への愛が自然と表現されたビオレッティさんのイラストは、今後ますます多くのシーンで目にすることでしょう。そして、ビオレッティさんの“新たな家族”にフィアットがやってくる日も、そう遠くないかもしれません。
Text by ラスカル(NaNo.works)
【PROFILE】
ビオレッティ・アレッサンドロ
HP : alekun.com
Instagram : alessandrobioletti
【おすすめ記事】
使われなくなったテキスタイルに新たな価値を。イタリアと日本の伝統を今につなぐブランド『renacnatta』のクリエイション
女性を応援し続けていきたい。フォトグラファー・花盛友里さんに聞く、私が『STOCK』を立ち上げた理由
この記事が気に入ったら
いいね!しよう
FIATの最新情報をお届けします。