おすすめスポット① 大航海時代に思いを馳せるレモン
アマルフィを象徴するフルーツといえばレモン。町の各所に鉢植えが並びます。さらに運搬用のロバと抜きつ抜かれつ山を登れば、レモン畑が広がっています。この名産品も、実は地中海貿易時代と密接なつながりが。アラブからもたらされたとされるレモンは当初、鑑賞用で、食用となったのは大航海時代がきっかけでした。船乗りたちは、ビタミンC欠如が原因で発症する壊血病に苦しみました。そうしたなか、彼らは偶然、レモンに回復効果があることに気づき始めます。船乗りたちが大量のレモンを船に積み込んだことで、15世紀にアマルフィ産レモンは世界に知られるようになったのです。現在は、欧州連合からI.G.P.(保護指定地域表示)農産品の認証を受けています。アマルフィ町の『ラ・ヴァッレ・デイ・ムリーニ』は2世紀近く前である1825年の創業。彼らが作るリモンチェッロ(レモンリキュール)は、直売店のほか、町内のさまざまなショップで人気の商品です。
おすすめスポット② : 伝統のマヨルカ焼きは、今も進化し続ける
ヴィエトリ・スル・マーレは、アマルフィからフェリーで東に向かったところにある、人口は約7,700人の村です。船を降りた人がまたたく間に魅了されるのは、多くの建物のファサード(建物の正面部分)が、マヨルカ焼きの絵付け陶器で覆われていることです。
この地における陶器作りはルネサンス後期、ナポリ王国のサンセヴェリーノ家が振興したことに始まります。やがて20世紀、その技術と作風は、前述のドイツ人陶芸家・メラメルソンによって再発見されました。地元の人々の素朴な生活を描いた彼の作品は広く知られるようになり、のちに“ドイツ時代”と呼ばれるまでになりました。
『チェラミカ・ピント』は1850年創業の陶器工房。3代目のロザウラ・ピントさんは、地元出身の父親と、この地の陶器に魅せられてやってきたオランダ人陶芸家の間に生まれました。彼女の工房は今日、外国人アーティストとのコラボレーションを展開する代表的工房として知られています。「私たちの祖先は、歴史的にも商業史的にも、侵略者も商人も受け入れてきました。自らを守りつつ、より良く変化するには、常に異文化に寛容である必要があるのです」。彼女の言葉は、アマルフィ人気質そのものなのでした。
おすすめスポット③ セレブリティに愛されたサンダル
ポジターノで狭い路地から聞こえてくる心地よいリズムといえば金槌の音です。その音の元は、ずばりサンダル工房。レモンや陶器とともに、アマルフィ海岸を象徴するプロダクトです。
戦後、世界各国の著名人が一帯を訪れるようになると、ポジターノ風ともいえるリゾートファッションが誕生します。その流れを汲んで生まれたのが、足元を彩るカスタムメイドのサンダル工房でした。前述のジャクリーン・ケネディも、ポジターノのサンダルに魅せられたひとりです。女性にとどまらず、1968年の映画『ロミオとジュリエット』で監督を務めたフランコ・ゼフィレッリもファンでした。
『ラ・ボッテグッチャ・ポジターノ』は、1960年代に現在の店主のディーノ・ダントニオさんの父親が創業した歴史あるお店です。お客さんが選んだ鼻緒と靴底を合わせる時間は、ものの5分という早業。ディーノさんに聞くと「お客さんが入店した瞬間に、足のサイズを目で見極めるのです」と教えてくれました。いっぽう完成したあとの調整は、丁寧そのもの。その時間はいっときのセレブ気分です。ちなみに“Botteguccia(ボッテグッチャ)”とはイタリア語で“ちっぽけな店”の意味ですが、その謙遜ぶりにディーノさんの人柄を感じます。
▼INFO
① Ceramica Pinto
https://www.ceramicapinto.it
② La Valle dei Mulini
https://amalfilemon.it
③ La Botteguccia Positano
https://www.labottegucciapositano.it/
7月・8月のオリジナルカレンダーは、アマルフィのフルヴィオ・ジョイア広場にたたずむ『500C(チンクエチェントシー)』です。ソフトトップを全開にして町を流せば、朝はエスプレッソやブリオッシュの、昼前になるとシーフードフライを揚げる香りが流れ込んできます。BGMは地元の人たちによるカンパーニャ方言と、世界各地から訪れた観光客たちの外国語によるおしゃべり。国際的避暑地ならではのムードを、たっぷりとお楽しみいただけることでしょう。
Text:大矢アキオ Akio Lorenzo OYA
Photo/Coordinate:大矢麻里 Mari OYA
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フィアット オリジナル 2023年カレンダー&壁紙ダウンロード
“イタリア各地をめぐるフィアット”がテーマの2023年カレンダー。7月・8月は、イタリア南西部のカンパニア州にある、全長約50kmの『アマルフィ海岸』を眺める『500C』のイラストが描かれています。このイラスト入りカレンダー(PC用 / スマートフォン用)はダウンロードが可能。また、イラストのみの壁紙もご用意しているので、ぜひダウンロードしてみてください!
ダウンロード方法はこちら
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