フィレンツェ市街の観光スポットについては、すでにさまざまなメディアで紹介されています。そこで今回は、ひと工夫を。それは、少しだけ郊外に足を伸ばすこと。都市の繁栄を支えた人物、職人たちの故郷に触れる旅です。以下に紹介する村や町を訪れれば、あなたのフィレンツェに注ぐ眼差しは、より深いものとなるでしょう。
おすすめスポット① 天才の原点 ヴィンチ村
レオナルド・ダ・ヴィンチ(1452-1519年)の故郷である、ヴィンチ。歴史的天才の名前の由来となった地とは到底思えぬ、人口1万4千人ののどかな村です。レオナルドの生家は、村から3キロメートルほど離れたアンキアーノという地区にあります。彼はフィレンツェ共和国政府の富裕な公証人を父に、一般人を母に非嫡出子として生まれました。家格の差を善しとしなかった父方の家族が、納屋だったこの建物に幼きレオナルドと母を住まわせたのです。オリーブ畑に囲まれ、自然溢れるこの地での幼児体験が、自然科学に対する観察眼や洞察力の基となったことが窺えます。
*ヴィンチへのアクセス
公共交通機関 : フィレンツェから列車でエンポリ(Empoli)まで約30分、そこからバスで25分
自動車 : フィレンツェから自動車専用道路『Firenze-Pisa-Livorno』経由で約1時間(距離 約48km)
おすすめスポット② : オペラになった麦わら帽子
“麦わら帽子”は、フィレンツェの歴史的ファッションアイテム。その始まりは18世紀初頭、近郊のシーニャ地方です。パン用の穂を積んだあとの小麦で、帽子を編んだのが始まりでした。やがてそれは、船を使ってアルノ川でリヴォルノまで運び、各国へ輸出されるようになりました。英語圏で一部の麦わら帽子をレッグホーン(Leghorn/リヴォルノの英語名)と呼ぶのは、船積み地にちなんだものです。
音楽の世界にも、ずばり『フィレンツェの麦わら帽子』というタイトルがあります。ひとつはオドアルド・スパダーロによる1935年のカンツォーネ、もうひとつは戦後1955年にニーノ・ロータ作曲によるオペラです。ここからも、いかにこの地の麦わら帽子が人々に親しまれていたかがわかります。今日では『ラファエロ・ベッティーニ』をはじめとする帽子ブランドが伝統を支えています。
*シーニャへのアクセス
公共交通機関 : フィレンツェ・サンタ・マリア・ノヴェッラ駅から列車で約20分
自動車 : フィレンツェから自動車専用道路『Firenze-Pisa-Livorno』経由で約40分(距離 約20km)
おすすめスポット③: ルネサンスを支えたテラコッタ
フィレンツェにおけるランドマークのひとつ『サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂』。そのクーポラ(円蓋)の煉瓦づくりを支えたのは、フィレンツェの南およそ10キロメートルにある村、インプルネータでした。設計にあたったフィリッポ・ブルネレスキは、この地の土で作るテラコッタの高い耐寒性に注目したのです。今日でもテラコッタ職人たちが、ルネサンス最大の建築家に選ばれた誇りを胸に、土と向き合い、捏ね、さまざまな器を創造し続けています。
インプルネータでもうひとつ有名なのは、毎年秋口に催されるブドウ祭『Festa dell’Uva』。4つの町内会が“ブドウ”“収穫”をテーマに、ダンスと山車で競います。2023年は10月1日に催されるとのこと。そのレベルとスケールは、村祭りをはるかに超えています。
*インプルネータへのアクセス
公共交通機関 : フィレンツェ市街から39番バスで約30分
自動車 : 県道70号線経由で約30分
▼INFO
①
Casa Natale Leonardo Da Vinci/レオナルド・ダ・ヴィンチの生家
https://www.museoleonardiano.it/ita/la-casa-natale-di-leonardo/la-storia
②
Rafaello Bettini/ラファエロ・ベッティーニ公式サイト
https://raffaellobettini.it
Museo della Paglia e dell’Intreccio/麦わら編み博物館
https://www.museopaglia.it
③
Fornace Masini/フォルナチェ・マシーニ
https://fornacemasini.it
Festa dell’Uva di Impruneta/インプルネータ・ブドウ祭 公式サイト
https://festadelluvaimpruneta.it
9月・10月のオリジナルカレンダーは、夕陽に輝く『サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂』を背景にたたずむ『Panda』です。窓を開けて街を走れば『ジョットの鐘楼』の鐘の音が。まいにち7時、12時、そして夕方に1回の計3回鳴ります。昔ながらのオステリア(食堂)からは、ビステッカ・フィオレンティーナ(フィレンツェ風ステーキ)を焼く香りだけでなく、この時期はポルチーニ茸を炒める匂いも漂ってくるはずです。
Text:大矢アキオ Akio Lorenzo OYA
Photo/Coordinate:大矢麻里 Mari OYA
フィアット オリジナル 2023年カレンダー&壁紙ダウンロード
“イタリア各地をめぐるフィアット”がテーマの2023年カレンダー。9月・10月は、ルネサンス発祥の地、フィレンツェのシンボルである『サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂』を背景に『Panda』のイラストが描かれています。。このイラスト入りカレンダー(PC用 / スマートフォン用)はダウンロードが可能。また、イラストのみの壁紙もご用意しているので、ぜひダウンロードしてみてください!
ダウンロード方法はこちら
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