おすすめスポット① ずばりF.I.A.T.という食堂
1920年代に建てられたフィアット・リンゴット工場ビルは今日、ショッピングモール、ホテルそして演奏会場を包括する複合施設として生まれ変わっています。そこから通りをはさんだ場所に小さな食堂が。名前はずばり『オステリアF.I.A.T.』です。ただし“Fate In fretta A Tavola(テーブルへ急げ)”の略なのだそうです。店主のカルロさんは、元フィアット工場の従業員。このお店のお料理は、1皿8ユーロ前後からと良心的です。「フィアットはみんなのクルマですから、うちも良心価格でなければね」とカルロさん。近くにあるトリノ工科大学の学生にも人気の理由がうなずけます。会計皿代わりの籐(ラタン)製バスケットには、『Nuova 500』のモデルカーが。固定されているのでなぜか聞いてみると、カルロさんは「盗難防止装置です」と言ってにっこり。そのような会話を交わしているうち、気がつけば長居しているお店です。
▲右がオーナーのカルロさん。壁面はフィアットゆかりのグッズで埋め尽くされています。
▲奥の間には、第二次大戦後に販売されたフィアット製冷蔵庫が鎮座しています。
おすすめスポット② 統一の志士が愛した『ビチェリン』
トリノは“チョコレートの都”でもあります。きっかけは長年、特権階級のみに飲むことが許されていたチョコラータ・カルダ(ホットチョコレート)を1678年、サヴォイア家が解禁したことでした。毎年11月に開催されるチョコレート専門の屋台村『CioccolaTò(チョッコラトー)』は、そうした街を象徴するイベントです。
いっぽう、この街を最も代表するチョコレートの楽しみかたといえば“bicelin(ビチェリン)”。エスプレッソコーヒー、チョコレート、泡立てたミルクが3層になった飲み物です。老舗カフェ『Al Bichelin』は、哲学者ニーチェや作曲家プッチーニも訪れた店。一角には王国初代首相カヴールが好んで座った席も残されています。イタリア統一の志士の味を、ぜひあなたも味わってみませんか。
▲カフェ『Al Bicelin』は1763年創業。手前の茶色いグラス2つが“ビチェリン”です。
▲イタリア王国初代首相カヴールが好んで座った席には、彼のポートレートが飾られています。
おすすめスポット③ 隠れた名物“カスタムメイド傘”
かつて、トリノの名物ハンドクラフトとして“傘”がありました。18世紀、周辺の丘陵地帯から仕事を求めて街にやってきた職人たちが、フランスで発達していた傘づくりを学び、生業としたのです。トリノが雪の多い地域であることも幸いしました。
創業132年の『Ombrellificio Torinese(オンブレッリフィチョ・トリネーゼ)』は、その伝統を受け継ぐ店です。当主のカルロ・スイーノさんは5代目。2006年のトリノ冬季五輪では、カルロ・アゼリオ・チャンピ元大統領のための傘も手掛けました。製作前には約1時間かけて顧客の好みを聞き取ります。また「ハンドル素材も含め過去に製作した傘の仕様をお客さんごとに保管しているので、あらゆる補修に対応できます」とカルロさん。良いものを直しながら一生使い続ける、古き良きエコロジー精神が息づいています。
▲『オンブレッリフィチョ・トリネーゼ』の店主カルロ・スイーノさん。顧客リストには、イタリアの著名実業家をはじめ、世界のセレブが並びます。
▲受注から完成までは約3週間。レディ・メイドの製品(114〜221ユーロ)も。
おすすめスポット④ 幻のコンセプトカーとも再会
2019年、ミラフィオーリ地区に誕生した『ヘリテージ・ハブ』は、ステランティスグループの歴史車両ガレージです。館長は『500』や現行の『Panda』を手がけた名デザイナー、ロベルト・ジョリート氏。ミラフィオーリ工場の一部を改装した館内には、フィアット車をはじめ歴代モデル約300台が収められています。
収蔵車両からは、フィアットが機能と合理性に基づいたデザインで、どの時代でもより多くの人にクルマのある暮らしを提供しようと努力してきたかが分かります。傍らには、モーターショーに展示されたものの、その後、日の目を見ることがなかった幻のモデルたちも。フィアットファンなら、誰でもリピートしたくなる施設です。
▲ロベルト・ジョリート館長と1952年『600 プロトタイプ』(左)、そして1956年『600 ムルティプラ』(右)。
▲『Nuova 500(ヌォーヴァ チンクエチェント)』、派生モデルであるアウトビアンキ版『500』、『126』、初代『Panda』…フィアットの歴史絵巻が展開されています。
▼INFO
①Osteria F.I.A.T.:Facebook @osteriadelfiat
②Al Bichelin:https://bicerin.it
③Ombrellificio Torinese:https://ombrelli.it
④Heritage HUB:https://www.fcaheritage.com
1月・2月のオリジナルカレンダーのイラストには、雪が舞うトリノを行く『500』が描かれています。バックグラウンドには、19世紀末にシナゴーグ(ユダヤ教会堂)として建設開始され、現在は映画博物館として使われている『モーレ・アントネリアーナ』、18世紀に建立されて以来街を丘の上から見守る世界遺産『スペルガ大聖堂』も。フィアットの故郷トリノで、あなたも名物のホットチョコレートで暖をとりながら、ひと味ちがうイタリア旅行を楽しんでみませんか。
▲名所のひとつである映画博物館。街のランドマークのひとつ『モーレ・アントレリアーナ』の内部にあります。
Text:大矢アキオ Akio Lorenzo OYA
Photo:大矢麻里・大矢アキオ Mari OYA/Akio Lorenzo OYA
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