『500 TwinAir』を含め、さまざまなクルマを乗り継ぎ、現在は『500e』オーナーの服部美樹(はっとり・みき)さん。「次に乗るクルマは電気自動車と決めていた」という服部さんに、その理由や『500e』に感じている魅力について、自動車ライター・嶋田智之さんがお話を伺いました。
「私、クルマのこと、本当にうといんですよ。今回のお話をいただいてから『fiat magazine CIAO!』の記事をいろいろ拝見したんですけど、みなさんのようにお役に立てるかどうか……」
今回ご登場いただく『500e』のオーナー、服部美樹さんのお言葉です。とはいえ、最初の愛車は欧州車風味の国産ハッチバック、次は軽自動車のオープンスポーツカー、そして英国の小型車を新車で購入し、レストアや息子さんが乗っていた期間の9年間は『500 TwinAir』に乗り、2台を手放して昨年からは『500e』を愛車に、という車歴です。インタビュー取材に同行されていたご主人、桂三さんの手厚いサポートもあったようですが、それでも本当にクルマがお好きなのだということがはっきりわかります。
まずは最大の関心事、なぜ『500e』を選んだのかということから訊ねてみることにしました。
「次は電気自動車、って決めていたからです。フィアットの電気自動車が発表されたときに、絶対これにしようって思ったんですよ」
電気自動車は増えてきているとはいえ、まだ少数派。なぜ次は電気自動車に、って思われたのですか?
「私、ガソリンを自分で入れられないんですよ。昔はガソリンスタンドの人がやってくれたでしょ。今はセルフが多くなって、私が自分でできないから、主人が毎回入れに行ってくれていたんです。それがなんかちょっと申し訳ないなと思って……」
たしかにそういう方もいらっしゃるよな、入れられるけどちょっと怖いという方も含めて……と思っていたら、桂三さんが補足してくださいました。
「妻は昔、ガソリンをかぶっちゃったことがあるんですよ。それがトラウマになっているみたいで」
話を伺うと、タンクの構造を理解してないスタンドの店員がセルフ式に慣れていない美樹さんに入れ方をレクチャーし、それがもとでアクシデントに見舞われてしまった模様。出先でガソリンを浴びるなんて、さぞかしつらい体験だったことでしょう。
「なので、ずっと電気自動車を買おうって考えていて。フィアットから『500e』が発表されて、まだ日本に入ってきていなかったときから決めていました。ガソリンは怖くて入れられないけど、電気自動車は充電ソケットをカチッて挿すだけですから(笑)」
航続距離や充電環境の観点で抵抗感がある人もいるようですけれど、そういうのは……?
「なかったです。むしろガソリンで走るクルマとは違う、新しい乗り物として乗ってみたいな、と思っていました」
電気自動車だと『500e』のほかにも選択肢があったと思うんですが、なぜフィアットに?
「絶対に次は電気自動車にしたかったから、実は一度だけ別の電気自動車を試乗したことがあって、そのときにはこれはないなって思ったんです。ルックスも好きになれなかったし、走ってもあんまり楽しくないし、値段にも見合ってないし。いろいろと未来的だけど、なんだか落ち着かなくて。その後に『500e』が発表されて、これだって思ったんです。それから日本に入ってくるのをずっと待っていました。実車も見ないで注文しちゃったぐらいですから」
去年の10月に納車されたということですが、初めて『500e』に乗ってどんなことを感じましたか?
「楽しいな、って思いました。まず、加速が気持ちいいですね。『500 TwinAir』もよく走ってくれたけど、『500e』はもっといいです。信号が青になって発進するときに、ほかのクルマを置いて自分だけビューンって行けちゃうのは気持ちが良いな、って思いますね。クルマが軽々と走ってくれるんですよ。足元がちょっと硬い感じがするけど、それが不快というわけじゃなくて、曲がり方がしっかりしているように感じます。自分が操作して、こうなるだろうって思っているとおりに走ってくれますよね。長年乗った前のクルマは身体の一部みたいなところがありました。サイズも本当にコンパクトだったし、クルマがぜんぶ自分についてくる。『500e』にもそういうところがありますね。だから走っていておもしろいです。私は好きですよ」
「基本、小さくてキビキビ走るクルマが好きみたいです。これまでのクルマも全てそうだったから」
と、これは桂三さんによる補足。
「私、アクセルを踏んだらビューッっていけるクルマが好きなんです。でも、スピードは出さないんですよ。逆に自然とゆっくり走るようになっちゃって(笑)。最初の出だしがすごく気持ちいいからビューッっていくこともあるけど、そこからは法定速度で充分。普通のエンジンのクルマとは違うところがあって、例えば、アクセルを踏んだり戻したりっていうのが楽しい。普段はノーマルモードじゃなくてレンジモードで走っているんですけど、そのときのアクセルひとつでグーッと加速したり、グーッとスピードが落ちる感じがいいんですよね。レンジモードでは停止までいくので、狙ったところでピタリと停めるようにアクセルの戻し方を調整したり。そういうのがおもしろいんです。今までのクルマにはなかった運転の楽しさですよね。そういう電気自動車ならではの運転の楽しさ、みたいなのを味わっている時間があって、そっちに気持ちが向いているから、ぜんぜんゆっくりでいいんですよ。たまに、電気自動車はないなって言っている人もいますけど『500』は電気自動車になっても楽しい。乗る楽しさはものすごくあると思います」
普段『500e』にはどんなふうに乗ってらっしゃるんですか?
「乗りたいとき!(笑)。でも、本当に普通に乗っています。ショッピングモールの買い物とかに乗って行きますし、ちょっとお出かけするときや、趣味でやっていることで少し距離があるところまで走ったりと、普通の使い方ですね。通勤にも使っていますよ。でも、勤め先がすごく近いので、ぜんぜん距離が伸びないんです。家で100%まで充電して、100%のまま帰ってくることもあるくらい(笑)。もっと乗りたいんですけど、なかなか遠くまでいく用事がないんですよね」
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