fiat magazine ciao!

電気自動車

LIFESTYLE

小さくて、偉大なクルマ!イタリア人に愛された『Topolino』がEVで帰ってきた

イタリア人にとって懐かしい名前のクルマが復活。フィアットが2023年7月4日に欧州で発表した小型のシティーコミューターEV(電気自動車)『Topolino』です。イタリア在住のジャーナリスト・大矢アキオ氏に、新『Topolino』の解説とともに、その偉大なルーツをひも解いていただきました。   ▲『Topolino Dolcevita(トポリーノ ドルチェヴィータ)』。オプションパーツのカタログには簡易シャワーも。   イタリア流・近距離モビリティ! この度、発表された新たな『Topolino(トポリーノ)』は、都市部や近距離移動を主な用途とした2人乗りのEV(電気自動車)です。全長×全幅×全高は2,535mm×1,400mm×1,530mm、そしてホイールベースは1,730mm。最高出力6kWhのモーターで前輪を駆動します。最高時速は45 km/hで、満充電からの航続可能距離(WMTCモード)は75kmです。 フィアットは、EVならではのカーボン(二酸化炭素)フットプリントやサウンド(騒音)フットプリントの削減、そしてコンパクトなサイズによるスペースフットプリントの削減という、都市で持続可能な自由を実現するためのすべてを備えている、と強調しています。   ▲ミラノ・スカラ座近くの風景を背に走る『Topolino』。フロントフェイスは1957年『Nuova 500(ヌォーヴァ チンクエチェント)』のイメージを継承しています。   控えめなパワーとスピードには理由が。欧州連合の『ライト・クアドリサイクル』という超小型車規格に準拠しているのです。このカテゴリーは、長年ヨーロッパで主に小さなメーカーが手掛けてきましたが、近年はいくつかの主要自動車ブランドが参入を試みています。超小型車扱いとなることで、『Topolino』もイタリアでは14歳から原付二輪免許で運転が可能です。   ▲おしゃれなインストルメントパネル。最小回転半径は3.6m。   ▲メーターパネルもミニマリズムを貫いています。   車型はクローズドボディと、『ドルチェヴィータ』と名付けられたオープンの2タイプ。『ドルチェヴィータ』はドアさえ持ちません。1960年代の『Nuova 500』や姉貴分である『600』をベースに、数々の外部製作者が手掛けたビーチカーのデザインが反映されています。   ▲クローズドボディ仕様のパノラミックルーフ。『Topolino』はモロッコもしくはポーランドで生産される予定です。   ▲『Topolino Dolcevita』   ▲『ドルチェヴィータ』は1960年代に一世を風靡したビーチカーを思い出させるドアレスのモデルです。   2つのボディタイプともカラーは『ヴェルデ・ヴィータ』の1色。ホイールデザイン、インテリアも1種類と、ラインアップでもミニマリズムが実践されています。   ▲イタリアの220ボルト2.3kW家庭用電源を使って、0%から満充電までの所要時間は約4時間です。   偉大な先代『Topolino』の歴史 “Topolino(トポリーノ)”とはイタリア語で“小ネズミ”を意味します。実はこの名前、1936年にデビューしたフィアットの小型車にも使用されていたのです。正式名は『500(チンクエチェント)』といいます。 ここで疑問を抱く方のために説明すると、実は“500”というネーミングは、この初代『500 Topolino』が最初でした。つまり、今日多くの人が思い描く1957年『500』より前に『500』は存在したのです。1957年『500』を呼ぶとき、あえて“新しい”を意味する“nuova”を加えて、『Nuova 500』とするのは、そのためです。 『500 Topolino』の開発に参画したダンテ・ジャコーザは、後年フィアット史上に残る名設計者となります。でも、実は彼がいたグループは、それまで乗用車をデザインしたことがありませんでした。おかげで、既成概念にとらわれず、シンプルなシャシー(車台)+全体の剛性に貢献するボディワークというアイデアを生むことができたのです。   ▲『500 Topolino』は1936年にデビューしました。   では、なぜ“小ネズミ”なるニックネームが付いたのか?答えは、そのデザインにあります。初期型である『500 Topolino A』および、それに続く『500 Topolino B』のラジエターグリルは、1930年代に流行した流線型を巧みに取り入れた形状でした。下に向かって三次元に絞られており、あたかも小ネズミの顔をイタリア人に連想させるデザインでした。2人乗りに割り切ったボディ形状も、すばしっこく走り回るネズミに似ていたことは想像に難くありません。   ▲『500 Topolino A』。後輪の後ろを覗くと、カンチレバー方式のため、板バネが後方まで繋がっていません。 […]

LIFESTYLE

EVに特化したイベントに『500e』が参加!『EV:LIFE FUTAKOTAMAGAWA』イベントレポート

自動車専門誌『ル・ボラン(LE VOLANT)』が、東京・世田谷の二子玉川ライズで2023年3月18日・19日に開催した『EV:LIFE FUTAKOTAMAGAWA』。フィアットは、国内デビュー1周年を迎える『500e』で参加。EVでは現在唯一、ルーフが全開する『500e OPEN』の展示から、『500e』の魅力が体感できる試乗体験会まで、多くの人々が最新の『500』に触れた模様を報告します。   EV唯一のカブリオレ仕様『500e OPEN』をご紹介 数多くのショップやレストラン、さらには映画館まで備える『二子玉川ライズ』。その中央を貫くガレリアと中央広場に、およそ15の国内外自動車メーカー&ブランドの“エレクトリックなクルマ”が一堂に会する『EV:LIFE FUTAKOTAMAGAWA』が開催されました。 本イベントを主催する自動車専門誌『ル・ボラン』は、環境意識の高まりに合わせて注目が集まりながらも、まだ少し距離があると思われがちなEV(電気自動車)をより身近に感じてもらうため、3年前から『EV:LIFE FUTAKOTAMAGAWA』を開催しています。     2023年の今年、フィアットは国内デビュー1周年を迎えるEV『500e(チンクエチェントイー)』とともに参加。思えば、週末のショッピングを楽しむ人々が行き交う中で、電気自動車だけでモーターショーが実現できるのは、新たな時代の到来という他にありません。   ▲『500e OPEN』     ここで、改めて『500e』をご紹介します。2022年4月5日に日本国内で発表されたコンパクトカーは、1957年の登場から環境に配慮し、小さい排気量、小さいサイズで開発された『Nuova 500』(愛称は、イタリア語で“500”を意味する“チンクエチェント”)の流れを汲む電気自動車です。現行の『500』とそっくりですが、EV化に伴ってすべてを一新。ボディも『500』の全長3,570㎜に対して60㎜長くなったものの、世界中で愛される『500』の可愛らしさは、新たなルックスで表現されました。 展示車両は、現在のEVで唯一ルーフが全開する『500e OPEN』。カブリオレ仕様は誰にとっても興味深かったようで、特に小さな子供たちから歓声が上がっていました。     特に女性に伝えたい『500e』の魅力 来場者の興味を引き続けたフィアット展示ブースでは、ノベルティグッズを提供するキャンペーンを実施。また、展示車両にフォーカスするコーナーでは、モータージャーナリストの竹岡圭氏と、フィアットブランドマネージャー、熊崎陽子氏による『500e』の紹介が行われました。     ▲キャンペーン参加者にプレゼントされたフィアットのノベルティグッズ   ▲モータージャーナリスト 竹岡圭氏(左)と、フィアットブランドマネージャー 熊崎陽子氏(右)   「たくさんの方々に『500e』を気に入ってもらえたら」 こちらは、展示車両の紹介を終えた後、ミネラル グレーをまとった『500e OPEN』が常に誰かに触れられている姿を見守っていた熊崎氏の言葉です。 「二子玉川ライズがある世田谷の住宅街を、環境に優しい『500e』がきびきび走り回る姿をイメージしていただけるとうれしいですね。EVの場合、バッテリー切れが気になる方は少なくないと思いますが、航続距離は355㎞なので、『500e』が得意とする街中でのドライブを安心して楽しんでいただけます」 今回の展示車両に『500e OPEN』を選んだのは、次のような実績があるからだそうです。 「『500』にも『500C TWINAIR DOLCEVITA(チンクエチェントシー ツインエア ドルチェヴィータ)』というルーフが開くカブリオレモデルがありますが、ラインナップ全体では2割の支持率です。それが『500e』になると、カブリオレモデルの『500e OPEN』は5割の支持率となっています。私たちも予想しなかった結果ですが、EVであってもルーフが開く自由を求める方が少なくないのだなと実感しているところです」     『500e』の認知度向上に関して、熊崎氏からはもう一つ興味深い数字の話を聞きました。 「この可愛らしいデザインとコンパクトなボディサイズから、『500』は女性オーナー比率が5割に達しているんですね。ところが、まもなく発売1年を迎える『500e』は、男性オーナーが8割を超えています。もちろん、『500e』がお宅にあればご主人も奥様も運転されると思いますが、名義で調べていくとそのようなデータになります。この結果に鑑みると、女性はまだEVを遠巻きに見ていらっしゃるのではないかと。そこに近寄りがたい何かがあるなら、私たちは距離を詰めてもらえる努力を続けていきます。コンパクトで経済的なクルマであること。そしてまた『500e』は安全装備が充実していること。そうした情報は、このようなイベントや、4月から始まるデビュー1周年キャンペーンで、特に女性に伝えていきたいです」   次のページ:【EVである前に『500e』】 […]

LIFESTYLE

『500』は電気自動車になっても楽しい|FIATオーナー紹介

『500 TwinAir』を含め、さまざまなクルマを乗り継ぎ、現在は『500e』オーナーの服部美樹(はっとり・みき)さん。「次に乗るクルマは電気自動車と決めていた」という服部さんに、その理由や『500e』に感じている魅力について、自動車ライター・嶋田智之さんがお話を伺いました。   ガソリンで走るクルマとは違う、新しい乗り物として乗ってみたい 「私、クルマのこと、本当にうといんですよ。今回のお話をいただいてから『fiat magazine CIAO!』の記事をいろいろ拝見したんですけど、みなさんのようにお役に立てるかどうか……」 今回ご登場いただく『500e』のオーナー、服部美樹さんのお言葉です。とはいえ、最初の愛車は欧州車風味の国産ハッチバック、次は軽自動車のオープンスポーツカー、そして英国の小型車を新車で購入し、レストアや息子さんが乗っていた期間の9年間は『500 TwinAir』に乗り、2台を手放して昨年からは『500e』を愛車に、という車歴です。インタビュー取材に同行されていたご主人、桂三さんの手厚いサポートもあったようですが、それでも本当にクルマがお好きなのだということがはっきりわかります。   ▲服部桂三さん、美樹さん   まずは最大の関心事、なぜ『500e』を選んだのかということから訊ねてみることにしました。 「次は電気自動車、って決めていたからです。フィアットの電気自動車が発表されたときに、絶対これにしようって思ったんですよ」   ▲『500e』   電気自動車は増えてきているとはいえ、まだ少数派。なぜ次は電気自動車に、って思われたのですか? 「私、ガソリンを自分で入れられないんですよ。昔はガソリンスタンドの人がやってくれたでしょ。今はセルフが多くなって、私が自分でできないから、主人が毎回入れに行ってくれていたんです。それがなんかちょっと申し訳ないなと思って……」 たしかにそういう方もいらっしゃるよな、入れられるけどちょっと怖いという方も含めて……と思っていたら、桂三さんが補足してくださいました。 「妻は昔、ガソリンをかぶっちゃったことがあるんですよ。それがトラウマになっているみたいで」     話を伺うと、タンクの構造を理解してないスタンドの店員がセルフ式に慣れていない美樹さんに入れ方をレクチャーし、それがもとでアクシデントに見舞われてしまった模様。出先でガソリンを浴びるなんて、さぞかしつらい体験だったことでしょう。 「なので、ずっと電気自動車を買おうって考えていて。フィアットから『500e』が発表されて、まだ日本に入ってきていなかったときから決めていました。ガソリンは怖くて入れられないけど、電気自動車は充電ソケットをカチッて挿すだけですから(笑)」 航続距離や充電環境の観点で抵抗感がある人もいるようですけれど、そういうのは……? 「なかったです。むしろガソリンで走るクルマとは違う、新しい乗り物として乗ってみたいな、と思っていました」     電気自動車だと『500e』のほかにも選択肢があったと思うんですが、なぜフィアットに? 「絶対に次は電気自動車にしたかったから、実は一度だけ別の電気自動車を試乗したことがあって、そのときにはこれはないなって思ったんです。ルックスも好きになれなかったし、走ってもあんまり楽しくないし、値段にも見合ってないし。いろいろと未来的だけど、なんだか落ち着かなくて。その後に『500e』が発表されて、これだって思ったんです。それから日本に入ってくるのをずっと待っていました。実車も見ないで注文しちゃったぐらいですから」   今までのクルマにはなかった運転の楽しさ   去年の10月に納車されたということですが、初めて『500e』に乗ってどんなことを感じましたか? 「楽しいな、って思いました。まず、加速が気持ちいいですね。『500 TwinAir』もよく走ってくれたけど、『500e』はもっといいです。信号が青になって発進するときに、ほかのクルマを置いて自分だけビューンって行けちゃうのは気持ちが良いな、って思いますね。クルマが軽々と走ってくれるんですよ。足元がちょっと硬い感じがするけど、それが不快というわけじゃなくて、曲がり方がしっかりしているように感じます。自分が操作して、こうなるだろうって思っているとおりに走ってくれますよね。長年乗った前のクルマは身体の一部みたいなところがありました。サイズも本当にコンパクトだったし、クルマがぜんぶ自分についてくる。『500e』にもそういうところがありますね。だから走っていておもしろいです。私は好きですよ」 「基本、小さくてキビキビ走るクルマが好きみたいです。これまでのクルマも全てそうだったから」 と、これは桂三さんによる補足。     「私、アクセルを踏んだらビューッっていけるクルマが好きなんです。でも、スピードは出さないんですよ。逆に自然とゆっくり走るようになっちゃって(笑)。最初の出だしがすごく気持ちいいからビューッっていくこともあるけど、そこからは法定速度で充分。普通のエンジンのクルマとは違うところがあって、例えば、アクセルを踏んだり戻したりっていうのが楽しい。普段はノーマルモードじゃなくてレンジモードで走っているんですけど、そのときのアクセルひとつでグーッと加速したり、グーッとスピードが落ちる感じがいいんですよね。レンジモードでは停止までいくので、狙ったところでピタリと停めるようにアクセルの戻し方を調整したり。そういうのがおもしろいんです。今までのクルマにはなかった運転の楽しさですよね。そういう電気自動車ならではの運転の楽しさ、みたいなのを味わっている時間があって、そっちに気持ちが向いているから、ぜんぜんゆっくりでいいんですよ。たまに、電気自動車はないなって言っている人もいますけど『500』は電気自動車になっても楽しい。乗る楽しさはものすごくあると思います」       普段『500e』にはどんなふうに乗ってらっしゃるんですか? 「乗りたいとき!(笑)。でも、本当に普通に乗っています。ショッピングモールの買い物とかに乗って行きますし、ちょっとお出かけするときや、趣味でやっていることで少し距離があるところまで走ったりと、普通の使い方ですね。通勤にも使っていますよ。でも、勤め先がすごく近いので、ぜんぜん距離が伸びないんです。家で100%まで充電して、100%のまま帰ってくることもあるくらい(笑)。もっと乗りたいんですけど、なかなか遠くまでいく用事がないんですよね」   次のページ:【『500e』は人に優しい運転をしたくなる】 […]

LIFESTYLE

クルマの走らせ方、楽しみ方が変わった|FIATオーナー紹介

若い頃から熱心なクルマ好きで、車歴にはスポーツ志向の強いクルマが多かったという保坂光男(ほさか・みつお)さん。現在も、サーキット仕様のクルマやスーパーカーを所有する保坂さんが『500e』に魅了された理由について、自動車ライター・嶋田智之さんがお話を伺いました。   今までで、いちばん運転しやすいクルマ『500e』 『500e(チンクエチェントイー)』は118psの最高出力と220Nmの最大トルクを発揮する42.0kWのモーターをフロントに搭載し、車両重量1,320kg〜1,360kgの車体を走らせます。最高速度は150km/hに制限され、0-100km/h加速タイムは9.0秒。スポーツモデルというわけではありませんが、『500 TwinAir(チンクエチェント ツインエア)』の0-100km/hが11.0秒であることを考えると、走りっぷりはなかなかのものといえるでしょう。 そのパフォーマンスは、スピードと慣れ親しんできたドライバーの目にはどう映るのでしょう? 今回お話を伺う保坂光男さんは、若い頃から熱心なクルマ好き。20代の頃は日本のスポーツモデル、それもカスタマイズを加えてパフォーマンスを高めたクルマで走りを楽しむドライバー。息子さんとのキャンプのために大柄な本格的SUVへと路線を変えていた頃もありましたが、30代ではドイツの、40代ではイタリアの、高性能モデルを乗り継いできています。そして50代となった現在は『500e』、サーキットを楽しむための『アバルト595』、さらにはいわゆるスーパーカーをも所有するエンスージアストです。   ▲保坂光男さん   「ずっと仕事を一生懸命がんばってきたのですが、それもこれもクルマ好きをなんとか続けたいがためでした」 車歴にあるのは、基本的には速いクルマ、高性能なクルマばかり。普段使いとして『500 TwinAir』に乗られていたこともありますが、それも程なくして『アバルト595』へと代わります。そうした極めてスポーツ志向の強い方が、なぜ電気自動車の『500e』に関心を持ったのでしょう? 「普段乗るつもりで『500 TwinAir』からアバルトに乗り換えたんですけれど、あまりに楽しすぎてサーキット専用にしてしまったんですね。それに僕は精密な部品加工を生業にしていて、リチウムイオン電池のための部品も作っているんです。バッテリーの製造には以前から関与していたので、手元に電気自動車やハイブリッドカーが1台ある方がいい。それならフィアットのEVがいいな、と思ったんですよ。だから最初は“体裁”ですね(笑)」   ▲『500e』   電気自動車そのものに興味があったわけでは……? 「なかったです(笑)。むしろ逆で、自分のライフスタイルには合わないと思っていました。ガソリンを爆発させて走るクルマが大好きだから、電気自動車っていうものにケチをつけてやろうぐらいの意地悪な気持ちもあったほどです。電気自動車っていうものにはほとんど期待はしていませんでした。ところが『500e』は、それをことごとく裏切ってくれるという……(笑)。この15年ぐらいの間に買った中で、いちばん乗り心地がよくて、いちばんスマートに走ってくれて、いちばん何の不安もなくて、いちばん運転しやすいクルマ。それが『500e』なんですよ。どこに行っても絶賛してしまう自分がいる(笑)。そして、推したいクルマのひとつになってしまった。電気自動車嫌いが電気自動車にはまってしまった。そんな感じです」     単に電気自動車というだけなら、ほかにも選択肢はあったと思うのですが? 「僕は、日常で乗るクルマには条件があって、コンパクトな作りであることが絶対なんです。でも、いくつかコンパクトな電気自動車に試乗してみたのですが、何かピンと来なかったんですね。そんなときに『500e』がデビューして、これは都合がいいぞ、と(笑)」     それは『500 TwinAir』や『アバルト595』で慣れ親しんだ世界観にあるクルマだから、ということですか? 「それはありましたね。実は実車を見る前に予約をしちゃったんですけれど、実車にはまったく違和感がありませんでした。ただ、自分が『500』に乗ってきたり『アバルト595』を持っているせいか、味というかクセというか、そういうところが強いのかと思っていました。けれどいい具合に洗練されていて、初めての人でも自然に運転できるクルマに仕上がっているんですよ。フィアットが電気自動車を作るとこうなるのかっていう、いい意味でのギャップは大きかったですね」   次のページ:【モーター駆動の瞬発力や力強さってすごいな、って思います】 […]

LIFESTYLE

クルマに乗るときのワクワク感を取り戻した|FIATオーナー紹介

さまざまなイタリア車を乗り継ぎ、現在は『500e』に加え、『500』も所有されている日高正博(ひだか・まさひろ)さん。その中でも日常生活では、ほとんど『500e』にお乗りという日高さんに、『500e』の魅力や過ごし方について、自動車ライター・嶋田智之さんがお話を伺いました。   『500e』の写真を見て、デザインがすごくいいと思った イタリア本国では2020年にデビュー、日本では2022年の6月に発売開始となった『500e(チンクエチェントイー)』。世界に向けてデリバリーされるプロダクションモデルとして、フィアット初のEV(電気自動車)となったモデルです。1957年に誕生して今も世界中で愛されている『Nuova 500』こと2代目『500』の世界観や存在感を新しい時代に向けて再解釈しなおした電気自動車として高く評価され、2代目『500』同様、世界中で愛される存在となっています。日本ではEVそのものの普及がゆっくりなこともあってまだ少数派ではありますが、この『500e』の存在が気になっている人も多いようです。 今回はいち早く『500e』との生活を楽しんでいる、日高正博さんにお話を伺いました。 日高さんは20代前半の頃からさまざまなクルマを乗り継いで来られましたが、そのほとんどがイタリア車。それもスポーティなモデルが中心でした。現在も世界のトップクラスのハンドリングを誇るイタリアンSUV、そして1.2リッターのFIREエンジンを積んだ『500(チンクエチェント)』を所有されています。イタリア車のべテランといえる方の目に、はたして電気自動車の『500e』はどのように映っているのでしょうか。   ▲『500e』   まずはガソリンエンジンの『500』について伺います。『500』の1.2ℓモデルは、ご自身のクルマとして購入されたんですか? 「購入したとき、僕は別のクルマを気に入っていてそれに乗っていたから、どちらかといえば家族用という感じでした。娘がちょうど免許を取ったタイミングだったんですよ」 娘さんが『500』のかわいらしいスタイリングを好きになって、とか……? 「いや(笑)。僕が半分むりやり決めちゃったようなものでした。しかも『500』が家に来たら、乗ると楽しいものだから、ついつい僕がそっちにばっかり乗ってしまうという……」   ▲日高正博さん   娘さんというよりお父さんが乗りたかったんですね(笑)。 「そうですね、完全に(笑)。でも、どうせ買うなら楽しいクルマがいいじゃないですか」 SUVと『500』があるのに『500e』を買われたのはなぜですか? 「娘が家を出ることになって、『500』を持っていくことになったんですよ。妻とふたりの生活になって、だんだん小さなクルマでも十分なんじゃないかと感じるようになってきたんですね。そんなときに『500e』の話を聞いたものですから」     電気自動車にはもともと関心があったんですか? 「1ミリもなかったです(笑)。というか、他社のEVの試乗に行ったことはあったんですけれど、おもしろいなとは思いつつも、自分が所有する、所有したいっていう気持ちにはまったくなれなかったんです。でもたまたま『500e』が発売されるという話を聞いて、ちょっと気になっていろいろと調べたんですね。僕は興味を持つとわりと調べたくなるタイプなので、そうしているうちに、これはいいんじゃないかな、おもしろいんじゃないかな、という印象がどんどん強くなってきたんです」     「加えて、ちょうど娘夫婦に子どもが生まれたタイミングで、『500』だと少しずつ大変になりそうだから、娘夫婦にSUVを渡して僕が『500e』に乗ればいいんじゃないかな、なんて思うようになったんです。妻に『500e』を買う説明をするための、後付けの理由だったんですけどね(笑)。『500e』が来た今になっても、まぁそこはいろいろ考えています。『500』が戻ってきても置いておくことはできるので、『500』が2台並んでもいいかな、とか」 EVにあまり関心がなかったのに『500e』には興味を持ったというのは、なぜですか? 「最初に写真を見て、デザインがすごくいいと思ったんですよ。『500』なのは間違いないけど古臭いわけじゃなくて、抜群に上手いですよね。今の自分の気分にピッタリはまるな、という感じでした。それでいろいろな情報を集め出して、海外も含めてインプレッションの記事とかを読んだり動画を観ていたりしたら、クルマとしてのクオリティーは高そうだし相当おもしろそうだなって思えたんです。モータージャーナリストの方々がほぼ絶賛で、みなさんも本当に気に入ったんだなっていうことが伝わってきたんです。電気自動車でそういうのって珍しいなって感じたんですよ。これは間違いないなって思いました」     オーダーをしたのはどのタイミングですか? 「発売よりずいぶん前でしたね。初めて実車を見たのがショールームにクルマが入ったタイミングで、試乗をさせてもらったら、直感は大当たりでした。ものすごくいいな、って感じました。不安があったわけじゃないですけれど、早くにオーダーを入れていた自分は正しかった、って思いましたね」   次のページ:【『500e』の満足度はどれくらい?】 […]

LIFESTYLE

500eの試乗も!フィアット参加の『e-Mobility WORLD 2022』イベントレポート

一般社団法人e-Mobility協会とCCC (カルチュア・コンビニエンス・クラブ)が主宰する『湘南博』との共催イベントとして、5月28日(土)〜29日(日)の2日間にわたり、湘南T-SITEで開催された『e-Mobility WORLD 2022~湘南発e-Mobilityのある暮らし』。“湘南発 地球を考える”をテーマに掲げる本イベント会場には、今年4月に日本での発売が発表された『500e(チンクエチェントイー)』を始め、4輪〜小型モビリティまで、あらゆるサステナブルな最新モビリティが勢ぞろいしました! 試乗イベントやeモビリティ関連サービスの展示、モータージャーナリストによるトークショーなど、e-Mobilityのある暮らしがもっと身近になるコンテンツ盛りだくさんのイベントの様子を『500e』試乗に参加された方々の声とカーライフジャーナリスト・まるも亜希子さんのインタビューとともにレポートします。   最新モビリティが湘南T-SITEに集結     SDGs、エシカル、エコ、オーガニックといった環境に配慮した暮らしを、古くから自然と人とが密に接してきた湘南エリアから発信するべく、約40日間にわたり開催される『湘南博』。美容・食・暮らしなど、さまざまな切り口からサステナブルな行動へのきっかけをつなぎ、地球の未来を考えるイベントです。 その一環として、今回5月28日(土)〜29日(日)に開催された『e-Mobility WORLD 2022』では、国内外のおよそ14メーカーの最新モビリティが集結した車両展示をはじめ『500e(チンクエチェントイー)』を含む最新型の電動車や電動二輪、電動アシスト自転車、小型eモビリティの試乗会を実施。また、各メーカー広報担当者が会場にて展示・試乗を実施しているeモビリティについて解説する『e-Mobilityプレゼンテーション』、モータージャーナリストによるトークショーなど、電気を動力としたeモビリティを通じて、地球環境にやさしいライフスタイルを提案するさまざまなコンテンツが実施されました。     湘南ドライブを楽しむ『500e』試乗体験 eモビリティに関心を寄せる多くの来場者で賑わった本イベント。なかでも特に注目を集めていたのが車両試乗会。最新モビリティを直に体感できる貴重な機会ということもあり、たくさんの希望者が予約受付ブースに向かっていました。 様々な電動車・電動二輪・電動アシスト自転車がラインナップされた試乗エリアでひときわ注目を浴びていた『500e』。午前の時点で試乗予約がいっぱいになったというところからも、人気の高さが伺えます。   ▲『500e ICON』(左)/『500e POP』(右)   洗練された佇まいと走りで人々の心を強く惹きつけ続けてきた歴代の『500(チンクエチェント)』。その遺伝子を受け継ぎ、サステナブルな社会の実現が求められる現代においてフィアットが新たに導き出した解答、それが『500e』です。パワフルな走りとエコロジーを両立したテクノロジーが、新たなる時代にピッタリの快適なドライブを実現しました。 また『500』の個性を取り入れつつ上質かつ快適な空間に仕上げられたインテリアも大きな魅力。POPのファブリックシートには海から回収した廃プラスチックを使用した特殊なポリエステル(SEAQUAL™)が編み込まれており、リサイクル素材を活用しながらも先進的なデザインを実現するイタリアのものづくりが随所に息づいています。   走りもデザインもスタイリッシュで現代的な『500e』。お天気に恵まれたこの日、約30分間の湘南ドライブを体験した試乗参加者のうち3組の方々に、その感想を伺いました。   「電気自動車の展示と聞いて、興味があったので来ました。『500e』の存在はニュースメディアなどで知っていて、今日はたまたま試乗の枠が空いていたので、気軽に乗れる良い機会だなと思って申し込みました。『500e』は小回りも効きましたし、運転しやすかったですね。インテリアもイタリアらしくて良かったです(渡海さま)」 「もともと新しい『500』のキャラクターとして気になっていたので、今日はぜひ『500e』に試乗してみたいと思って来ました。ソフトトップを開けて走ってみたんですけど、すごく気持ち良かったです。とにかく楽しくて、乗り出しで欲しくなっちゃいました。インテリアも上質で、これならコンパクトカーでも十分満足だなと感じました(山中さま)」   ▲山中さま   「テレビで『500e』が取り上げられていたのを見て、せっかく試乗できるならと思い、会場を訪れました。『500e』は乗り心地もいいし加速もスムーズで、すごくいい印象を受けました。今は遠方へ移動することも多いのですが、歳を重ねて日常生活の範囲内で移動がおさまるライフスタイルを送るようになったら、選択肢として十分アリだと思います(石井さま)」   “e-Mobilityのある暮らし”が描く豊かな未来     イベント2日目の午後に開催されたトークイベントでは、ゲストにピーター・ライオンさん(一般社団法人e-Mobility協会理事/モータージャーナリスト)、河西啓介さん(モータージャーナリスト)、まるも亜希子さん(カーライフジャーナリスト)を招き、“e-Mobilityのある暮らし”と題してお三方が知見を基にeモビリティの将来について語り合うトークセッションが行われました。   ▲モータージャーナリスト ピーター・ライオンさん   ▲モータージャーナリスト 河西啓介さん   海外と比べて、まだまだ日本では普及の途上段階にあるeモビリティ。トークショーでは、サステナブルの観点と併せて電気代の定額化が家計にもたらす好影響や日常生活におけるeモビリティの実用性、距離や目的に応じた乗り分けの可能性についてなど積極的に意見が交わされ、来場者の方々にとってeモビリティに対する新たな視点をもたらす有意義な空間となっていました。   そして今回は、ゲストとして登壇したカーライフジャーナリスト・まるも亜希子さんに、本イベントに出展された『500e』の魅力についてお話を伺いました。   ――トークショーでは電気自動車に対する課題とともにポジティブなお話も挙がりましたが、日本におけるeモビリティの現状をまるもさんはどう見ていらっしゃいますか?   ▲カーライフジャーナリスト まるも亜希子さん […]

NEWS

「待ってたよ!新型フィアット 500はキュートさ倍増の電気自動車になって新登場!」FIAT 500e発表会&試乗会レポート

4月5日(火)、ヨコハマ グランド インターコンチネンタルホテルにて、フィアット『500』の最新モデルとなるEV(電気自動車)『500e(チンクエチェントイー)』の発表会が行われました。今回は発表会、そしてその後行われたメディア試乗会の模様を、自動車雑誌をはじめ、テレビやラジオなど多方面で活躍するモータージャーナリスト・吉田由美さんにレポートしてもらいました。   『フィアット 500(チンクエチェント)』が世界中で愛される理由   キュートなデザインと抜群の存在感で“イタリアの国民車”と呼ばれ、国内外で愛され続けているフィアット『500(チンクエチェント)』。チンクエチェントとは、イタリア語で500の意味で、日本でもチンクエチェントと呼ぶ人は非常に多いです。フィアットのアイコン的存在ともいえる小さなモデル『500』。1957年に誕生した『Nuova 500(ヌォーヴァ チンクエチェント)』から新型モデルが登場するまで65年という長い歴史を考えると、その中で2回しかモデルチェンジをしていないのは、1つ1つのモデルがいかに長く愛され、いかに大切にされていたかがわかります。   ▲『Nuova 500』   そして今回の新型『500』はフィアット最新の電気自動車(EV)『500e(チンクエチェントイー)』として登場することが2020年、全世界にオンライン上で発表され、私はこのアナログの代表選手のような『500』がキュートなDNAを引き継ぎながら、しかし一気にハイテク化されることに驚きとわくわくが止まらず、その様子を見つめていました。印象深かったのは、その動画に、レオナルド・ディカプリオが出演していたことです。レオ様といえば環境活動家としても知られ、以前、アカデミー賞の授賞式に当時、発売されたばかりのハイブリッドカーを運転して登場し、話題になったことがあります。そう考えると『500e』はレオ様が認めた最新エコカーということなのかもしれません。そして私はというと、このクルマに触れられる日を心待ちにしていました。     そんな『500e』がとうとう日本にやってきました。 2022年4月5日(火)、横浜・みなとみらいにあるヨコハマ グランド インターコンチネンタルホテルの横浜港と横浜ベイブリッジが見渡せる素敵なお部屋でその発表会は行われました。     まずは、Stellantisジャパン株式会社 ポンタス・ヘグストロム社長のご挨拶。そこで2008年2月2日、先代『500』のジャパン・プレミアが行われたときの話がありました。会場は東京・九段にあるイタリア文化会館。こちらは私も足を運びましたが、2月なのに満開の桜(もちろん生花!)の演出が印象的でした。そしてその時、日本で最も有名な『Nuova 500』のオーナーで知られるルパン三世の最新DVDが流れたことも印象深いです。そして同年、東京・青山にオープンした『フィアットカフェ』の話も懐かしい! その『500』は、この15年の間に114もの限定モデルを出したそう。多いとは思っていましたが、まさかここまでの数とは!『Gucci』や『DIESEL』といったファッションブランドや『バービー』などとのコラボモデルから、限定カラーモデルまで。そもそもフォルムとエクステリアデザインがキュートなのに、これだけバリエーションがあると気になる『500』が出てきます。私は『500 Barbie(バービー)』のピンクと『500 MIMOSA(ミモザ)』のイエロー、それとインテリアは『500 by Gucci』にトキメキました。   ▲ポンタス・ヘグストロム社長   発表会の際、車両が展示されていたのはパシフィコ横浜にある円形広場。そこには『Nuova 500』と『500』、そして新型『500e』。『500e』のボディカラーは全5色で、コミュニケーションカラーはセレスティアル ブルーという薄い水色。でもこうやって並べてみると『Nuova 500』は相当コンパクトサイズです。     しかしこの日、私は発表会に参加するだけ。つまり見るだけで、試乗は翌日にお預けです。 次ページ:【念願の!500e試乗会レポート】 […]