さまざまなイタリア車を乗り継ぎ、現在は『500e』に加え、『500』も所有されている日高正博(ひだか・まさひろ)さん。その中でも日常生活では、ほとんど『500e』にお乗りという日高さんに、『500e』の魅力や過ごし方について、自動車ライター・嶋田智之さんがお話を伺いました。
イタリア本国では2020年にデビュー、日本では2022年の6月に発売開始となった『500e(チンクエチェントイー)』。世界に向けてデリバリーされるプロダクションモデルとして、フィアット初のEV(電気自動車)となったモデルです。1957年に誕生して今も世界中で愛されている『Nuova 500』こと2代目『500』の世界観や存在感を新しい時代に向けて再解釈しなおした電気自動車として高く評価され、2代目『500』同様、世界中で愛される存在となっています。日本ではEVそのものの普及がゆっくりなこともあってまだ少数派ではありますが、この『500e』の存在が気になっている人も多いようです。
今回はいち早く『500e』との生活を楽しんでいる、日高正博さんにお話を伺いました。
日高さんは20代前半の頃からさまざまなクルマを乗り継いで来られましたが、そのほとんどがイタリア車。それもスポーティなモデルが中心でした。現在も世界のトップクラスのハンドリングを誇るイタリアンSUV、そして1.2リッターのFIREエンジンを積んだ『500(チンクエチェント)』を所有されています。イタリア車のべテランといえる方の目に、はたして電気自動車の『500e』はどのように映っているのでしょうか。
まずはガソリンエンジンの『500』について伺います。『500』の1.2ℓモデルは、ご自身のクルマとして購入されたんですか?
「購入したとき、僕は別のクルマを気に入っていてそれに乗っていたから、どちらかといえば家族用という感じでした。娘がちょうど免許を取ったタイミングだったんですよ」
娘さんが『500』のかわいらしいスタイリングを好きになって、とか……?
「いや(笑)。僕が半分むりやり決めちゃったようなものでした。しかも『500』が家に来たら、乗ると楽しいものだから、ついつい僕がそっちにばっかり乗ってしまうという……」
娘さんというよりお父さんが乗りたかったんですね(笑)。
「そうですね、完全に(笑)。でも、どうせ買うなら楽しいクルマがいいじゃないですか」
SUVと『500』があるのに『500e』を買われたのはなぜですか?
「娘が家を出ることになって、『500』を持っていくことになったんですよ。妻とふたりの生活になって、だんだん小さなクルマでも十分なんじゃないかと感じるようになってきたんですね。そんなときに『500e』の話を聞いたものですから」
電気自動車にはもともと関心があったんですか?
「1ミリもなかったです(笑)。というか、他社のEVの試乗に行ったことはあったんですけれど、おもしろいなとは思いつつも、自分が所有する、所有したいっていう気持ちにはまったくなれなかったんです。でもたまたま『500e』が発売されるという話を聞いて、ちょっと気になっていろいろと調べたんですね。僕は興味を持つとわりと調べたくなるタイプなので、そうしているうちに、これはいいんじゃないかな、おもしろいんじゃないかな、という印象がどんどん強くなってきたんです」
「加えて、ちょうど娘夫婦に子どもが生まれたタイミングで、『500』だと少しずつ大変になりそうだから、娘夫婦にSUVを渡して僕が『500e』に乗ればいいんじゃないかな、なんて思うようになったんです。妻に『500e』を買う説明をするための、後付けの理由だったんですけどね(笑)。『500e』が来た今になっても、まぁそこはいろいろ考えています。『500』が戻ってきても置いておくことはできるので、『500』が2台並んでもいいかな、とか」
EVにあまり関心がなかったのに『500e』には興味を持ったというのは、なぜですか?
「最初に写真を見て、デザインがすごくいいと思ったんですよ。『500』なのは間違いないけど古臭いわけじゃなくて、抜群に上手いですよね。今の自分の気分にピッタリはまるな、という感じでした。それでいろいろな情報を集め出して、海外も含めてインプレッションの記事とかを読んだり動画を観ていたりしたら、クルマとしてのクオリティーは高そうだし相当おもしろそうだなって思えたんです。モータージャーナリストの方々がほぼ絶賛で、みなさんも本当に気に入ったんだなっていうことが伝わってきたんです。電気自動車でそういうのって珍しいなって感じたんですよ。これは間違いないなって思いました」
オーダーをしたのはどのタイミングですか?
「発売よりずいぶん前でしたね。初めて実車を見たのがショールームにクルマが入ったタイミングで、試乗をさせてもらったら、直感は大当たりでした。ものすごくいいな、って感じました。不安があったわけじゃないですけれど、早くにオーダーを入れていた自分は正しかった、って思いましたね」
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