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運転のコツ〜デュアロジック車をトコトン楽しもう

ATとMTの魅力を併せ持つデュアロジック クルマを思い通りに走らせるにはハンドルやアクセル、ブレーキ操作が基本となりますが、もうひとつ重要なものがあります。トランスミッションの操作、つまりギアチェンジです。 トランスミッションの役割は走行状況に応じて最適なギアを選択すること。それを手動で行うのがマニュアル(MT)、クルマが自動で行うのがオートマチック(AT)ですが、このほかにATとMTの機能を足し合わせた「オートモード付きシーケンシャルトランスミッション」というものがあります。FIAT車に採用されている「デュアロジック」もこれに分類されます。今回はこのデュアロジックを上手に操るコツをご紹介したいと思います。   まずは特徴を知ろう ところで、皆さんはデュアロジックとはどのような特性をもつトランスミッションなのかご存じでしょうか?     デュアロジックのベースとなっているのはマニュアルトランスミッションですが、マニュアル車との違いは、クラッチ操作が不要なことと、自動変速モードを備えていることです。またAT限定免許でも運転できます。 日本ではATやCVTが主流ですが、トルクコンバーターをもつこれらのトランスミッションは変速時に滑らかにギアが繋がることと、ブレーキペダルから足を離したときにゆっくりと前進するクリープ現象を持つのが特徴です。ただし構造が複雑なため、重量はほかのトランスミッションに比べてやや重くなりがちです。 これに対して、FIAT 500(チンクエチェント)やPandaに採用されているデュアロジックは構造がシンプルで、軽いという特徴があります。またトルクコンバーターを介さないことからATに比べてエネルギーの伝達ロスが少なく、低燃費走行にも寄与します。   意のままに操る喜び   デュアロジック車では変速をクルマに委ねることができますが、MT車のようにシフトレバーによるマニュアル操作も楽しめます。うまく操ればクルマと一体になる感覚を味わうことができます。 一方で、ATやCVT車の場合、ブレーキペダルから足を離すとクルマがゆっくり前進するクリープ現象が得られますが、デュアロジックの場合はATやCVT車に比べるとクルマが動き出す力は弱いため、状況によりアクセルを少し踏み足す必要があります。特に走り出しや車庫入れなどではマニュアル車と同様に繊細なアクセル操作が求められますので注意が必要です。もちろんていねいな操作を心掛ければスムーズに走れます。 つまり、デュアロジック車はドライバーの運転操作に忠実に反応するということ。コツさえ掴んでしまえば思い通りに走ることができ、クルマを意のままに操っている喜びが得られるというワケです。   かかとをしっかり固定する では、実際にどのような操作をしたら、スムーズに走れるのでしょうか? 今回はFIAT 500Cをドライブしながら考えていきます。     まずクルマに乗り込み、ブレーキペダルを踏みながらキーを回すとエンジンが始動。ATやCVTのようにDレンジはなく、シフトレバーを『+』のゲートに入れて走り出します。     シフトレバーを『A/M』と表示されたゲートの左側に倒すと自動変速モードの「Auto」と手動変速モード「MT」の選択ができます。 「Auto」モードで走行する場合は、アクセルとブレーキペダルの操作だけでOK。ペダル操作の際は、右足のかかとをしっかりと床につけると、足が固定されて操作しやすくなります。車庫入れや発進加速、ブレーキングもスムーズに行えるようになるので、ぜひ試してみてください。   マニュアルモードを楽しもう   MT車のように手動変速を楽しみたい場合は、シフトレバーを左に倒してMTモードを選びます。加速時にシフトアップする時はシフトレバーを『+』と書かれた手前側に引き、減速時は『-』と表示された奥側にレバーを倒すとシフトダウンします。 MT車だと、クラッチ操作とシフト操作を同時に行う必要がありますが、デュアロジック車の場合はクラッチ操作が不要なぶん、ハンドル操作に集中できるメリットがあります。     パドルシフト付きのモデルの場合、ハンドルから両手を離さずに手動変速をすることが可能です。シフトアップする時は右手のパドルを引き、シフトダウンは左手側のパドルを引きます   アクセルを一旦緩めるのがコツ   デュアロジックの醍醐味はクルマと呼吸を合わせながら走る楽しみが得られること! シフトアップするときは、アクセルペダルを踏み込み、エンジン音が高まってギアチェンジのタイミングが訪れたと感じたら、一旦アクセルを緩めるのがポイント。そこで、一段上のギアに変速したことを確認してから、再度アクセルペダルを踏み足していくとギクシャク感が抑えられ、スムーズに走らせることができます。 シフトダウンする時は、ブレーキを踏んで車速を落とせばクルマが自動的にシフトダウンを行ってくれます。また、カーブの走行などで、ある程度車速を維持したままシフトダウンしたい時は、アクセルを緩めたり、わずかにブレーキをかけたりしながら手動でシフトダウンの操作を行ってあげると、クルマ側がその意図を汲み取り、ショックのない滑らかなシフトダウンが行えます。   坂道発進の味方「ヒルホールドシステム」 最後に、2ペダル式シーケンシャルトランスミッション車で怖じ気づいてしまいがちなのが、坂道発進時のクルマの後退です。でもFIAT 500とPandaには、坂道発進でクルマが逆行しないようにドライバーをサポートする「ヒルホールドシステム」が標準装備されているので安心です。     坂道で発進する場合は、ブレーキペダルを一旦しっかり踏み込めば、ブレーキペダルから足を離しても約2秒間はクルマが停車状態をキープしてくれるので、その間にアクセルペダルに踏み換えればスムーズな発進が可能になります。 クルマの特徴を知って上手に向き合うコツを掴めば、日常のドライブがもっと楽しくなるハズ。みなさんも愛車と呼吸を合わせて走る楽しみを満喫しながら、素敵なカーライフを送ってください。     文 藤島知子 写真 […]

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楽しい運転のために〜マニュアル車をスムーズに乗りこなす

腕を磨いただけ走りは良くなる 「マニュアル車を操る楽しさを体験してみたい!」 そんなアナタのチャレンジングな欲求を満たしてくれるイタリアンコンパクトが、今回登場するFIAT 500(チンクエチェント)Sです。500Sは2013年4月にカタログモデルに追加されたマニュアルトランスミッション搭載車で、センターに赤文字で『500』と描かれた専用アロイホイールやスポーティなルックスを際立たせるバンパー、リアルーフスポイラーなど、颯爽と駆け抜ける姿が魅力的なモデルに仕上がっています。 日本ではオートマチックに代表される自動変速機付きのクルマが主流になっていますが、一方で、クルマと意思疎通を図りながらMT車を思い通りに乗りこなしたいというMTファンも少なくありません。 MT車をスムーズに走らせるためには、クラッチとシフトレバー、アクセルペダルを連携して動かす複雑な操作が求められます。乗り始めはタイミングがうまくつかめずに、ギクシャクしてしまうことがありますが、そのぶん、操作が思い通りにキマった瞬間の喜びはひとしお。腕を磨いただけ走りが良くなるので、ドライビングの奥深さと運転技術が向上していく楽しみを実感させてくれます。そこで今回はMT車をスムーズに走らせる方法について考えていきましょう。   マニュアル車を乗りこなす! クルマの動きを感じとり、正確な操作が行える運転姿勢の重要性     クルマはカーブや路面の凹凸、坂道など、常に外的な環境に影響を受けながら走っているもの。ドライバーがイメージ通りにクルマを走らせるためには、まずはクルマの状態をしっかりと感じ取れる運転姿勢を取ることが重要です。誤った運転姿勢では腰や背中がシートから離れて不安定になってしまうだけでなく、ハンドルから伝わってくる手応えが感じ取りにくくなってしまうことも。クルマからのわずかなインフォメーションも逃さないためには、正しい運転姿勢が欠かせません。   参考記事:「正しいドライビングポジションの取り方 知っていますか?」   発進時のコツ MT車をドライブする時、最初に緊張するのが、アクセルペダルとクラッチペダルを調整して行う半クラッチの操作。誤った操作の一例は、クラッチペダルをあらかじめ半クラッチにした状態でアクセルペダルを深く踏み過ぎてしまう運転の仕方です。このようなやり方では、必要以上に回されたエンジンの力がクラッチディスクを摩耗させてしまい、パーツの寿命を縮めてしまうこともあります。     滑らかに、そしてクルマにやさしく走らせるには、発進時にクラッチペダルではなく、アクセルペダルの踏み込みを先行させること。エンジン回転を少し高めておいてからクラッチペダルを踏み込む左足の力を少しずつ緩め、半クラッチの状態で繋いであげると、ギクシャクすることなく、滑らかに走り出すことができます。   シフト操作は落ち着いて行う     次に、変速時のシフトレバーの操作方法です。 シフトレバーは狙ったゲートに力任せに叩き込もうとすると、間違ったギアに入ってしまう場合があります。シフトレバーは手のひらを添える程度の軽い力で動かすように心掛けると、無理のない動作で正確なシフトチェンジが行えます。 ここでシフトアップするときの動作をおさらいすると、加速して変速のタイミングが訪れたら、左足でクラッチペダルを奥まで踏み込んでクラッチをカット。その後、ひと呼吸おいてからシフトレバーをひとつ上のギアに入れ、左足の力を緩めながら半クラッチを使い、エンジンの動力をトランスミッションに伝達します。これで変速は完了です。   カーブをスムーズに通過するための目線の送りかた     カーブを走行する際は、なるべく先のほうを見るように心掛けると、その先の道路状況を早い段階で把握することができます。目線を遠くに置けばどのタイミングでハンドルを切り足すかの判断やアクセルやブレーキ操作のタイミングが計算しやすいことから、適切なタイミングで操作が行えるようになり、自然と滑らかな走りへと変わっていきます。また、カーブの頂点をかすめるようなイメージで緩やかな走行ラインを意識することも、スムーズなドライビングに繋がります。     今回ご紹介したテクニックは一例ではありますが、すぐに実践できるものばかりです。これらを意識して運転すれば、クルマとの対話力は自然と磨かれるはずです。クルマとのいい関係を築くことで、より充実したドライブライフを送っていただきたいと思います。     文 藤島知子 写真 荒川正幸 […]

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楽しい運転のために〜正しいドライビングポジションのススメ

正しいドライビングポジションで安全と快適を! 愛車でドライブに出掛ける時、クルマに飛び乗って、サッとシートベルトを締めて走り出す……。そんなシチュエーションに心当たりはありませんか? 運転姿勢というと、とかく楽な体勢を求める方がいますが、じつは正しい運転姿勢が取れていないと、ドライブする上で様々なリスクにさらされることになります。安全に快適にドライブを楽しむためにも、正しいドライビングポジションを心掛けたいものです。 運転姿勢はスポーツで言う“フォーム”のようなもの。基本がしっかりできていなければ、ドライバーはクルマの動きを身体で感じ取れないだけでなく、常に身体が揺すられながら走る走行環境の中で、クルマが必要としている正確な運転操作が行えません。     また、とっさに急ブレーキを踏まなければいけない状況になった時、シートから身体がズレこんで、ブレーキペダルを奥まで踏み切れずに、前方の障害物に衝突してしまうケースも少なくありません。万が一、衝突してしまった際に身体に受けるダメージが大きくなってしまう可能性もあるのです。 つまり、正しい運転姿勢をとることは、安全運転に貢献するということ。さらに、しっかりと身体にフィットするポジションはドライバーがクルマの動きをしっかりと感じ取れるようになるため、愛車と意思疎通を交わしながら走る歓びを満喫することができるのです。 そこで今回は、正しい運転姿勢の重要性を確認した上で、理想的なドライビングポジションを見つける上での注意点について、ご紹介させていただきたいと思います。   ① シートに座る時       運転姿勢を整えるためには、まずはシートに腰掛ける位置が重要です。 シートになんとなく腰掛けてしまうと、腰とシートの間に隙間ができてしまいがちです。 正しい座り方は、シートに座る時に腰の後ろの隙間を埋めるようにして、深く腰掛けるのがポイントです。最初に腰を落とす位置が浅すぎると、シートスライドやバックレストを調節しても余分な空間がある分、衝突事故の際、乗員の身体がシートベルトからすり抜けてダッシュボード下部にズレこむ“サブマリン現象”を起こすリスクがあります。   ② シートスライドの調整   次はシートの前後スライドの位置を調整します。調整の方法として、ブレーキペダルに右足を置き、ペダルを一番奥まで踏み込んだとき、ヒザが伸びきらない位置に前後スライドを合わせます。 ヒザが伸びきってしまう位置に座席を合わせた場合、足がピンと突っ張った状態でブレーキを掛けながら衝突してしまうと、クルマの前方から受けた衝撃がドライバーの足を伝わり、損傷が骨盤にまで及ぶなど、ダメージが大きくなる可能性があります。ヒザの関節にゆとりがあれば、ブレーキペダルを奥までしっかりと踏み込めるだけでなく、受けた衝撃を緩和する効果が得られます。   ③ バックレストの角度調整     『バックレスト』とは、いわゆる『背もたれ』のことを指します。クルマのシートは家のソファーと違い、常に動いたり、揺られたりしながら運転操作を行うことになるため、上体の位置が倒れ過ぎているとハンドルが遠すぎて、大きく回したい時に手が届かなくなる場合があるだけでなく、カーブや山道などを走る時、遠心力で横方向に力が掛かって、ドライバーの肩が背もたれから外れてハンドルにしがみついてしまう“不安定な運転操作”になりがちです。バックレストの角度をヒジの関節にゆとりが得られる位置まで起こせば、腕を大きく回すことができるので、スムーズな運転操作が行えるようになります。また、シートベルトの効果が充分に得られるようになります。 バックレストを調整する際に基準となるのは、肩が浮かない状態でハンドルの上部を片手で持ったとき、ヒジが伸びきらない位置までバックレストの角度を起こすこと。 最近のクルマにはエアバッグが装着されていますが、ハンドルの中央からドライバーの顔までの距離を25cm以上確保することもお忘れなく。衝突の際、エアバッグはまばたきよりも早いスピードで展開されるので、ハンドルに近すぎたり、シートベルトが正しく装着されていなかったりすると、怪我をする可能性があるので注意が必要です。背もたれはハンドルに対して遠すぎず、近すぎない位置に合わせることが大切です。     ④ シートリフターの調整     シートリフター付きのクルマの場合、座面の高さが調節できます。中でも、小柄な体格のドライバーの場合、目線の位置が低くなりがちなので、バスタブに浸かっているように周囲を見渡せる範囲が狭くなってしまいます。座面の位置を上げ、目線の位置を高くすると、クルマ周りが見渡しやすくなるので、積極的に心掛けてみてください。   ⑤  ハンドルの位置の調整   ハンドルの高さを調整する『チルト機構』も運転姿勢を調節する上で活用したい装置です。ハンドル下部のレバーでロックを解除して上下の位置を調整すると、ハンドルの高さを変更できます。メーターが見渡せて、大腿部に当たらない範囲でなるべく低めの位置に合わせると、ハンドルを回しやすくなります。扱いやすい位置をご自身の体型に合わせて調節してみてください。   ⑥  ヘッドレストの調整 ヘッドレストという名前であっても、頭を休めるためのものではありません。正確には『head restraint』という言葉で、頭部の拘束装置を意味しています。ヘッドレストは衝突事故の際にむち打ち障害を緩和するための装置で、正しい位置に合わせることが重要です。高さを合わせる時は目と耳の高さの延長線上にヘッドレストの中心がくるように調節します。   ⑦  シートベルトの掛け方   シートベルトを何の気なしに着用している方がいますが、ねじれやたるみがないか確認し、ベルトが通過する位置を整えることが効果を得る上で重要です。 肩ベルトが適切な位置に掛かっていないと、衝突の衝撃で首を圧迫してしまったり、ベルトから上体がすり抜けて怪我をしてしまったりすることもあります。また、腰ベルトがお腹に掛かっていると内臓を圧迫してしまうリスクがあります。 […]

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楽しい運転のために〜ファブリックシートのお手入れに挑戦!

ドライブを快適に楽しむために、車内環境はいつでも清潔に保っておきたいもの。中でもイタリアンデザインを施したFIAT車のシートはハイセンスなデザインのものが多く、クルマ自体のキャラクターを形成する大切なパーツのひとつです。 ところで、みなさんは愛車の車内清掃をするさい、シートのケアはどうされていますか?   お手軽にファブリックシートをお手入れ! シートの材質はレザーやファブリックといった素材を用いたものがありますが、今回はファブリック(布)素材を用いたシートのお手入れについて、自分でできるクリーニングの方法をご紹介していきたいと思います。     ① ゴミとホコリを取り除く     まず、最初に行いたいのが細かなゴミやホコリを取り除くことです。 シートやフロアマットはゴミやホコリをそのまま放っておくとダニが発生しやすくなるため、数ヶ月に一度は清掃されることをオススメします。 やり方としては、シートを叩いてホコリを浮かせた後、掃除機でゴミを吸い取っていきます。縫い目や凹みなどに細かなゴミが入り込んでいることがあるので、市販されているブラシ付きのアタッチメントを使うとゴミを掻き出しながら吸い取ることができるのでオススメです。     ② ファブリックに染みこんだ汚れを取り除く 布素材を用いたシートの場合、表皮にコーティングが施されたレザーシートと比べて、素材自体に油や水分が染みこみやすい分、不意にこぼしてしまった飲食物のシミや夏場の汗染みなども気になるものです。また、何年も乗り降りを繰り返していると、摩擦で汚れが積み重なってしまうことがあるので、汚れが付いていることに気づいたら、洋服のシミ取りと一緒で、繊維に染みこんでしまう前に早めの処置を心がけたいものです。     今回はクルマのシートやカーペット洗浄用のインテリア・シャンプーで、界面活性剤を含んだアルカリ性の溶剤を使用してみます。注意点としては、洗浄剤を用いる場合、先ずは目立たない箇所(シートの裏地など)でテストをして、シミにならないか確認してから使用します。     シートの表面にクリーナーを吹きかけて湿らせていき、2〜3分程置いたあと、水に濡らして硬く絞ったウエスで叩いたり、抑えたりしながら汚れを吸い取っていきます。汚れが落ちにくい時はキレイな水で湿らせたスポンジで叩いたり、軽く擦ったりしながら汚れを落とします。それでも落ちない頑固な汚れは繰り返し作業を行っていきます。     ③ 水分を拭き取る   汚れが落ちたら、乾いたウエスで残った水分を吸い取っていきます。 この時、シート内部に水分が残るとカビの原因になりやすいので、水分の吸い取り効果の高いマイクロファイバーやスポンジなどを使うと良いでしょう。 ついでなので、レザーステアリングもお掃除。     表面にコーティングが施されているレザーの場合、水で濡らして絞ったウエスで拭きとるだけでも汚れは落ちていきます。汚れが沈着してしまう前にマメなお手入れをしておけば、汚れも簡単に落としやすいものです。   ④ しっかりと乾燥させる   シートは水気を拭き取っても、わずかに水分が残ってしまうので、最後にしっかりと乾燥させていきます。晴れて湿度の低い日であれば、日向にクルマを置いてドアや窓を開け放って換気するのも良いですが、そうしたことが出来ない場合は、ドアと窓を閉め切ってエアコンを使う方法もあります。その際、外気循環+エアコン+暖房に設定すると良いでしょう。   ⑤ 作業を終えて   じつはこのシートは筆者自身が3年半乗っている愛車のファブリックシート。 ロングドライブの際についてしまったシミや汚れが気になってきたところでしたが、作業をする前は汚れが落とせるかどうか不安もあり、なかなかチャレンジできないでいました。とはいえ、デザインが魅力のクルマだけにシートのシミは気になってしまうばかり。実際に自分でお手入れしてみると、意外と簡単な作業で清潔感のある状態が保てることから、もっと早くお手入れしておけば良かったと思いました。 適切なケアを心がけることで愛車とのドライブを楽しく快適に。 みなさんもお試しになってみてはいかがでしょうか。     藤島知子(モータージャーナリスト) 幼い頃からのクルマ好きが高じて、スーパー耐久のレースクイーンを経験。その一年後、サーキット走行はズブの素人だったにもかかわらず、ひょんなことから軽自動車の公認レースに参戦することになる。以来、レースの素晴らしさにどっぷりハマり、現在は自動車雑誌やWeb媒体で執筆活動する傍ら、箱車にフォーミュラカーにと、ジャンルを問わずさまざまなレースに参戦している。 […]

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LIFESTYLE

愛知県・チッタナポリのチンクエチェント博物館に行ってみよう!

ファン必見の「チンクエチェント博物館」! 博物館と一言で言ってみても、さまざまなジャンルのものが存在していますが、500(=チンクエチェント)ファンにとって、一度訪れてみたい博物館と言えば、歴史に名を刻んできた貴重なモデルに会える『チンクエチェント博物館』ではないでしょうか。 チンクエチェント博物館は、愛知県の知多半島の先端に位置するチッタナポリの敷地内の一角に存ります。こちらの施設は、穏やかな海に面した立地を生かした、イタリア的ムードを採り入れたリゾート地。私たちは名古屋方面から知多半島道路、南知多道路を伝って南下、豊丘ICを降りて一般道を10分ほど走り、丘の上の博物館に到着しました。 建物の1階にあるフロアには、小さなボディの500たちがズラリと並んでいます。クルマが見渡せる一段高い場所にはカフェテーブルがありますが、ここでは入場者にエスプレッソが振る舞われます。 また、隣の部屋にはFIATのミニカーやステッカーなど、レアアイテムも含めてさまざまなグッズが展示されています。     深津さんに聞く! 博物館の楽しみ方! 普段は目にすることができない歴史的なモデルや貴重なアイテムに心を惹かれてしまう空間。まずは副館長の深津さんにこの博物館の楽しみ方について、お話を伺ってみました。 深津「自動車の博物館というと、1台1台をじっくり眺めていくことが一般的ですが、ここでは500と共に過ごす時間を楽しんでいただくというスタイルをとっています。館内は見渡せてしまうほどの小さなスペースなので、クルマもインテリアの一部として観てもらいながら、500と一緒に時間を楽しんで欲しいですね。」 窓の外には知多湾の海に浮かぶ島々。リゾートらしい景色の中、歴代のFIAT 500に囲まれていると、クルマ談義に花が咲き、当時のクルマ達が活躍していた時代背景に自然と興味がそそられていきます。     また、ここでは現行モデルの500とNUOVA 500(1957年-1977年)とのボディサイズやボディ色、ディテールの違いを比べてみて欲しいとのこと。そうすることで、1950年代に登場していたNUOVA 500のパッケージングの完成度の高さを再確認できるといいます。 深津「歴代のモデルを見ていくと、戦争の影響などでボディに使用される鉄が手に入りにくく、鉄の使用量を抑えるために前方投影面積を減らしたシルエットに工夫して作られていた時期もあるようです。それに対して、現在は原材料が手に入れやすくなり、プレスの加工技術も進化したことで、Pandaのようにがっちりとした四角いボディ形状のクルマも存在してきたりと、時代が持てる技術と経済環境がクルマ作りにも反映されているようです。」     大衆車を作るという目的の下で生まれたトポリーノは、水冷式の直列4気筒エンジンを前車軸の前方に搭載するという、当時としても画期的な手法が採用されたクルマ。なおかつ、空力性能にも優れた曲面ボディが特徴ですが、美しいスタイリングでありながら、乗員の居住スペース確保に配慮されているパッセンジャーカーです。     こちらの展示車は、1957年に発表されたNUOVA 500で、現行の500のデザイン・モチーフとされています。この車両は、1957年の最初期に、半年間だけ生産されていたという『プリマ セーリエ ファースト シリーズ』。 今ではコレクターズアイテムにもなっているというこの貴重なモデルは、サイドウィンドウが開かないタイプで、後部座席を持たない2シーターであることが特徴です。 同年、FIATは内外装をグレードアップした500スタンダードを発売。このスタンダードが大ヒットとなり、500の人気は急激に上昇しました。後部座席が取り付けられた4シーターのスタンダードは、サイドウィンドウが開くように実用面も改善されていたそうです。 また、博物館には、さまざまなカロッツェリアがボディの製作を手がけたユニークな作品も存在しています。     そのひとつが白いオープンボディをもつ1959年式の『500 GHIA JOLLY(ギア ジョリー)』。カルマンギアでその名を知られるGHIA社が手がけたオープンスタイルのビーチカーは、ルーフやドアを持たない、割り切った設計になっています。シートは籐編みになっていて、水着で座ってもOK。イタリアのビーチ周辺は狭い道が多く、小さなボディをもつ500が活躍していた様子が目に浮かびます。     そして、赤いラインがボディサイドを走るこちらの勇ましい500は、1958年に登場したというNUOVA 500 SPORT(スポルト)。ABARTHが手がけたモデルは、サスペンションがスポーティなものに変更され、エンジンのチューニングやメーターを変更するなど、ファインチューニングが行われていました。     伊藤さんに聞く! 500と過ごす魅力とは? 歴代の500に魅せられたユーザーたちとともに、さまざまなイベントを提案している伊藤さん。500と共に過ごすライフスタイルの魅力について、お話を伺ってみました。 伊藤「500がもたらすものは、その人によって違うと思います。例えば、同じ属性をもつ人同士で仲間意識を共有したい場合、クルマを持つことでオフ会に参加することもできます。500をネタに話をするというのも、楽しい時間ですよね。 道具としてクルマを見た場合、現代のクルマは各部の部品の精度が上がって、信頼性が増したことも嬉しい事です。500は個性的なクルマですが、壊れにくい分、余計な心配が少なくてすみますし、安心して購入することができます。もちろん、普段から遠慮無く乗ることができるクルマです。 国産車などのコンパクトカーと比較すると、500はとてもフルートフルなニュアンスを与えてくれるクルマだと思っています。500に乗ると、今まで気がつかなかったことに気づくようになる。「エンジンのフィーリングが気持ちいい」とか、「インテリアのデザインがいい」とか、人によって受けとめる部分は違いますが、これまで目的地までの単純な移動手段だったはずのクルマが、移動する過程が楽しくてウキウキするようになる。つまり、移動することが単なる目的ではなくなるのです。     さらに、クルマ自体が可愛く思えてくる。まるで恋愛対象のように思えてくることがあるのです。 例えば、人を好きになると、その人についてもっと知りたいという感情が芽生えることがあります。やがて、その人の興味の対象を調べて共感しまったりする。クルマは機械や物と同じはずなのに、500は人からそうした感情を引き出してしまうことが凄いことだと思います。つまり、500は人を変えてしまうくらいのエネルギーをもった存在といえるわけです。 […]

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