イタリアの田舎をクルマで走っていると、とても素敵なリストランテやトラットリア、バールが目に飛び込んでくることがあるでしょう。そんな雰囲気そのままのリストランテが栃木県宇都宮市にある『ACQUA IN BOCCA(アクア イン ボッカ)』です。そのオーナー、久保恵美さんは『500X(チンクエチェントエックス)』から同じく『500X Gran Vista(チンクエチェントエックス グラン ビスタ)』に乗り換えられました。しかも、納車になったのは取材当日。またご主人でありシェフの久保和敏さんはアバルト『595Cピスタ』に乗っているとのこと。そこで、500Xの魅力をはじめ、イタリアへのこだわりについてお二人にお話を伺いました。そこから感じられたのはイタリアに対する愛と情熱でした。
お二人は美術の大学に通っていたころに知り合ったそうです。その後、飲食とは関係ない会社に就職されました。それ以前からイタリアに興味を持ち、イタリアに行きたいという思いはあったとのこと。お二人ともサラリーマン時代から週末にお友達を呼んでホームパーティを開催。和敏さんはイタリア料理、恵美さんはデザートと役割分担をしながら楽しんでいました。料理道具もプロが使うものを揃え、どんどんのめり込んでいったそうです。そして、和敏さんはプロになることを決断。その背中を押したのが恵美さんでした。
▲久保恵美さん(写真左)、久保和敏さん(写真右)
お二人は退職金でまずはイタリアへ行ってみようと旅立ちます。初めて訪れたイタリアの印象を恵美さんは、「これまでイタリアは雑誌や写真でしか知らなかったのですが、全部が素敵でした」と振り返ります。「特に人が皆親切でした。お土産を買おうと思ってお店に寄ると、見た目から(恵美さんは小柄で童顔な方のため)子供だと思われ、手を出してといわれて、そこにBACIチョコをいっぱいもらいました。2時間くらいの飛行機のフライトでも、サンドイッチを断ったらこれなら食べられるだろうとチョコレートバーをもらったり。私のリュックにはチョコレートがいっぱいでした」と微笑ましいエピソードを教えてくれました。和敏さんも、「自分の胸の奥底でイタリアが呼んでいる気はしていたんですけれど、片思いかもしれないですよね、行ったこともないのに。そこで、二人で初めて行ってみて、あ、やっぱり(イタリアンのお店を)やりたいね!となりました」と運命を感じたようです。
この旅で恵美さんはお二人の“軸”となるものに触れ合う機会が多かったそうです。それは、「家族や料理、そして郷土愛です。イタリア人は週末、家族で集まって食事をします。その土地のものを食べて、郷土愛を持って大切にしています。それがすごく素敵だなと思いました」。そして、「家族で食を楽しめる、そういう空間を提供したいと思うようになったのです。自分たちの好きなモノを揃えて行くことも含めて、いまはすごく充実しています。イタリアでの体験があって、それに寄り添っている感じです」と心からいまの生活を楽しんでいるようです。
お店を始めるにあたって、和敏さんと恵美さんは役割を分担しました。「30歳までにお店をやりたいという目標があったので、それに間に合わせるためです。僕は料理のことをメインにイタリアや日本で修行しました。彼女には経営のことやコーヒー、スイーツなどをお願いしたのです」。そしていまから13年前にお店をオープンされました。二人三脚で歩んできた夢がついに叶ったのです。
それまで久保さんご夫妻は修行、お店の立ち上げなどでご自身のクルマは所有していませんでした。「お店をオープンして8年目ぐらいにやっとイタリア車を買えるようになったのです」と恵美さん。実は、「これまでもイタリア車を買いたいと思っていました。500がすごく可愛くて、イタリアに行ったときにはいつも見ていました。ただし、仕入れなど私たちのライフスタイルを考えると、もう少し大きい方が嬉しい。そうしたときに500Xが出たのです」。ちょうどご近所で夏祭りみたいなイベントがあり、そこに多くのディーラーが出展。その中に赤の500Xが置いてあり、「すごくときめきました」と恵美さんは話します。
▲500X Cross カプチーノ ベージュ
「他に並んでいるクルマ達と違って見えたのです。500の可愛さは残したまま、コンパクトSUVというのも、私には新鮮に映りました。その時は雨がすごく降っていたんですけど、とても頼もしく見えました」と恵美さん。そして、翌週ディーラーに行って決めたそうです。実はボディカラーは赤ではなくベージュになりました。「このクリーム色にさらにときめきました。穏やかな色でちょっとパンナコッタのデザートに似ていて、美味しそうな色で良いなと思ったのです。夕方だとちょっとピンクがかるところも素敵でした」とかなりのお気に入りだった様子です。
500Xを購入して5年が経過しましたが、「最高です。乗り心地も良いし、以前実家から借りたクルマはフロントの周りをガリガリにしてしまったりすることも多かったのですが、500Xにしてからはそんなこともなく、きっと愛情もあって大事に乗っていたのでしょう」。食材などの仕入れにも使っていた500X。「荷物の積み下ろしもとてもしやすいのでずっと乗っていたかったのですが、飛び石でフロントガラスが割れてしまい、また秋に車検だったので500X グラン ビスタに買い替えました」。
実は先代500Xの時も今回も、忙しいさなかに見に行く時間がたまたまぽっかり空いていたそうです。「そういうのも縁なのでしょうね」とのことでした。
それにしても続けて同じクルマというのは珍しいかもしれません。「イタリアのニュースなどを見てツートーンが出ていることは知っていて、とても気になっていたのです。でもサンルーフが開くタイプではありませんでした。(500Xグランビスタは)ただでさえ乗りやすい状態にバージョンアップされたうえに、屋根が開くのです! アバルト595Cピスタで屋根が開くという楽しさを知っていましたし、限定車で宇都宮にはとりあえず1台しか来ないようなので行くしかない! と思いました。このボディカラーのブルーもすごく好きですし」と新しくやってきた愛車を嬉しそうに眺める恵美さん。
恵美さんにとってフィアットは、「小さい頃はルパン三世のクルマという印象でした。そして実際にイタリアに行ってみたら、可愛いクルマばかりで、あちらこちらで写真を撮っていたら、フィアットの写真がいっぱいになりました。画になるんですよね」とのこと。そして、「最初は憧れでしたが、いまは寄り添ってくれる感じがあります。いまの生活に500Xはピッタリですね」ととても満足している様子です。和敏さんも、「乗り心地や、安全性をはじめ、シートも電動式でラグジュアリーな革シートにシートヒーターもあってコスパ的に良くできていますよね」と高評価です。「ドアハンドルに手をかざしただけでロックが解除されるのは便利ですし、イタリア車の可愛らしさに利便性も兼ね備えて、さらに安全性も高いので、今回もやっぱり500Xしかないと彼女は思ったのでしょう」と恵美さんの気持ちを代弁してくれました。
久保さんご夫妻は毎年イタリアに研修に出かけていましたが、この2年ほどはコロナ禍のため行くことが難しい状況です。そこでこの500X グラン ビスタに乗って「高知に行きたいですね」と恵美さん。「お店では土佐の赤牛をずっと使っているので、いまは日本の生産者に会いに行きたいと思っています」と少し目線が変わりつつあるようです。和敏さんも、「食材も生産者もずっと憧れのイタリアにばかり向いていましたが、少し国内の方にも目を向けるきっかけになっています。イタリア以外の選択肢ができてきました。それはいい面だと思います」とのことです。
そういったことも影響してか、お店自体も少しずつ変化をしているようです。「これまではイタリアで食べて感動したものを、そのまま提供したいというのがありました。しかし、(お店を初めて)10年過ぎた頃から、自分のやりたいことと求められていることに違いがあることに気付き始めたのです。お客様もどんどん年齢を重ねていって、量をそれほど食べられなくなったり、少しずつでいいという方もいらっしゃいます」と和敏さん。「例えば伝統的なアマトリチャーナというパスタを100gぐらいが普通の一皿だとしましょう。それを少しでいいというお客様のニーズにあわせて、単純に30gにして出せばいいかというと、そうじゃないんですね。ちょっと料理の方向性を変えていかないといけない。そこでクラシックなグランドメニューのほかにイタリアでは使わないようなものなどもアクセントで使うようなスタイルのコースも取り入れ始めました」と語ります。
そんな時期に、「コテコテの郷土料理ではなく、ヘルシーで身体に優しい独自のスタイルのミラノのシェフや、郷土感もありながら現代風なアレンジのあるヴェローナの一つ星レストランのシェフとの出会いがあり、そのバランス、さじ加減が良いところにも目が向くようになりました。郷土料理、イタリアらしさがありながら、自分達らしさもそこに少し入れていこうかなという段階です。イタリアの良さをそのまま伝えたい、でも、求められているものが変わってきて、そこに応えていくのも面白いのかな。自分たちの良いと思える範囲内での、少しだけバージョンアップといえるでしょうか」。
▲桃と生ハムのチェスティーノ(※季節限定メニュー)
▲サマーポルチーニ茸のタリアテッレ
実はこの思いは500Xにも通じるものがあるようです。「古い500やいまの500をずっと好きでいましたけれど、いまのニーズに少し応えた500Xが出ましたよね。大きさも形もちょっと違っていて、安全性もすごくあるいまっぽいクルマです。しかし、昔の500っぽさも残っている、そういうバランスです。これ以上引いちゃうと、もう500じゃなくなってしまいますし、イタリアらしさがなくなってしまいます。それと一緒で、求められていることと同時に、自分たちのやりたいこと(イタリアにこだわり続けること)をもう少し続けていければなという感じで僕は料理をやっています」とコメントしてくれました。
久保さんご夫妻にとって500Xはまさに生活のパートナーとして、また、好きなイタリアに囲まれたいというライフスタイルにピッタリな様子でした。お店も軌道に乗り、少しずつ気に入った家具なども手に入れ、素敵な空間を作り上げる。まずはそこが一番で、次いで生活に必要なクルマとして500Xを手に入れました。そこにはきちんと優先順位をつけて、堅実にプランを立て、何がその時に必要かを考えた結果のようです。
店内には手入れが行き届いた1940年代から60年代に作られたというビンテージの生ハムのスライサーが置かれていて、それに手を掛けながら和敏さんは、「こういうものを少しずつ買い揃えて、お店の空間を作り上げていったので、フィアットを手に入れるまで8年もかかってしまいました」と笑います。その横で恵美さんもとても幸せそうに寄り添っていました。その光景はこれからもずっと変わらないことでしょうし、恵美さんのパートナーとして、500X グラン ビスタは活躍し続けることでしょう。なぜなら妥協のないモノ選びをお二人はしてきているから。そのお眼鏡に適ったのがフィアットであり、500Xなのです。そう、お二人に共通している大切なキーワードは“妥協をしない”ということなのです。
【Shop Information】
ACQUA IN BOCCA
〒320-0057 栃木県宇都宮市中戸祭1丁目12−22
TEL:028-624-9766 予約制
営業時間:12:00〜15:00(LO 13:30) 18:00〜22:00(LO 20:15)
定休日:第2,第4月曜日・火曜日 ※第1,第3月曜日はランチ営業のみ
URL: http://acqua-in-bocca.com/index.html
*各店舗情報につきましては、掲載時(2021年8月現在)の情報となります。新型コロナウイルス感染拡大防止措置により、変更となっている場合がございますのでご留意ください。また、外出の際はウイルス感染予防策を講じていただき、安全にご配慮いただきますようお願いいたします。
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Text by 内田俊一(Shunichi Uchida)
Photo by 安井宏充(weekend.)
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