昨今のネコ人気はとどまることを知らず、TVCMや街中の広告でもネコが溢れています。それに伴い、ネコを飼う方も相当増えているようで…。 FIATの故郷イタリアでもネコは大人気。ローマ時代からネズミ退治で大活躍していたことは有名ですが、今では日本の影響を受けて猫カフェもスタートするほど。 今回のトピックは、そんなネコちゃんと旅行について。 犬と比べると、吠えたり散歩が必要などという心配がないので、留守番には向いていると思われがちなネコちゃん。 最近ではネット上でもネコと旅に出るといった話題もチラホラ見かけます。 置いていく、連れていくにしても、やはり経験豊かなプロのアドバイスが気になるところ。 ネコは「犬は人につき、猫は家につく」などと言われますが、第一回目の今回は、ネコのお留守番について、当マガジンの動物ご意見番、東京、田園調布の「アーク動物病院」の増川先生に伺ってみました。 暑さは大敵 これからの季節、まず考えなければならないのが暑さ対策。 日本の場合、基本夏以外は温度による恐怖は関係ないと思って大丈夫。 室内であれば、冬の寒さもネコちゃんにとって大した問題にはなりません。 しかし、熱は別問題。 よく、ネコはそもそも熱帯の動物、だから、エアコンを入れっぱなしにして、エサとお水をおいて1泊2日くらいなら問題なし!というような方もいるようですが、そこに落とし穴があります。 夏といえば、強烈な日射と温度上昇以外にも、落雷というリスクがあります。最近では都内でもゲリラ豪雨が発生し落雷が起き、まれに停電になることがあります。 実は、ちょっとした停電でも、その時点でエアコンがOFFになり、ふたたび室温がみるみる上昇し、ネコちゃんが熱中症などというケースも多発しているようです。 熱中症の恐ろしさは改めてご説明する必要はないと思いますが、最悪死に至るケースも…。 ちなみに、多くの患者(動物たち)を預かる増川先生は、ちょっとした落雷でも、いつ何時であろうと病院のすべての空調をチェックするというほど、注意を払ってらっしゃいます。 それではどうすれば良いのか? やはり、ベストは留守中には「誰かに面倒を見てもらう」こと。 家族、親戚、友人、プロのペットシッター…etc. なんであれ誰かが気にかけ、万一の事故の際も対応できる環境を作ることが文字どおりベストです。 最近ではペットの監視カメラやスマホのアプリがあるようですが、これも大変有効。留守中の様子が見られるだけでなく、声を聞いたり、こちらから声をかけたりすることも可能なので、こちらも有効なツールとしておすすめできるとのこと。 こうした便利ツールにあわせて「誰かのサポート」があることで、より安全なお留守番ができます。 ちなみに、誰でもいいかというとそうではなく、当然なのですが、ネコちゃんが緊張しない人、つまり相性のいい人に来てもらうのがベスト。 一回の留守中にはなるべく同じ人に来てもらうことが非常に重要だそうです。 ペットホテルの活用法 誰かにお世話をお願いできない場合は? そんな時便利なのが、ペットホテル。かねてからのペットブームでずいぶんとその数を増やしています。 ホテル選びでのポイントは、施設や環境、ホテルのスタッフさんたちとの相性などを見てあげましょう。 「家につく」という言葉通り、環境に対する要求の大きなネコにとって、新しい環境が受け入れられるものかどうかはとても重要。下見をしてネコちゃんの反応をよくみるようにしましょう。
新年のご挨拶でご紹介したアルゼンチンでのキャンペーン「FIAT DOGS」をはじめ、様々な形で動物たちを支援するFIAT。今年のイチオシは、やはりなんといってもワンちゃんです。 そこで「fiat magazine CIAO!」では、愛犬との暮らしをより“ワン”ダフルにしていただくためのTIPSを、東京・田園調布で30年以上にわたりあらゆる動物たちをケアしてきた「動物のお医者さん」、アーク動物病院の増川洋史・薫院長先生に監修いただき、これからみなさまにシリーズでご紹介していきたいと思います。 クルマのエアコンって、ワンちゃんにイイの? やっぱりケージに入れてドライブした方がいいの? ドライブでの休憩はどれくらい必要なの? ワンちゃんとのドライブは楽しいのですが、さまざまな疑問や「言われてみれば…。」ということも結構多いかと思います。 ワンちゃんの個性をみる 「おとなしくシートに座っている子もいれば、落ち着かなくて鳴き出したり暴れたりする子もいます。もちろん犬種それぞれの特徴もあります。だから、本やネットで言われていることを鵜呑みにするのではなく、それぞれのワンちゃんの個性にあわせた環境づくりをすること、まずはそこからですね。」 冷え込みが続くこの季節、果たしてワンちゃんに服を着せる? それとも着せない方がいい? 「基本、ワンちゃんは寒さに強い生き物です。たとえば雪の上をずっと歩いても、凍傷にもなりません。でも、人との暮らしが長くなることで徐々にその特徴にも変化があらわれてきます。たとえば犬種によってはアンダーコート(地肌に近い部分の密度の濃い毛)がない、つまり冬毛に生え替わらない子もいるんですが、そういうタイプのワンちゃんには、寒い外へ出る少し前に服を着せるなどの注意が必要です。」 つまり正解はひとつではなく、ワンちゃんごとに合わせる必要があるようです。 クルマのエアコンが気になりますが、温度設定はどうすれば? 「あまり気にすることはないでしょうね。特に冬は問題ありません。でも夏場には注意が必要です。ワンちゃんは汗をかかない恒温動物、体温の調節は舌と肉球で行っています。寒さには強いと言いましたが、暑さにはめっぽう弱いんです。FIATだけではありませんが、欧州の車は、日本のクルマと違いエンジンをかけたままドアをロックできないので、冬ならともかく、夏はたとえ五分でも高温になる車内にワンちゃんを放置したままトイレに…。なんてことは絶対に避けなければなりません。最近では多目的トイレを設置しているSAがほとんどですので、ワンちゃんを連れて一緒に入ってあげてください。」 ケージ? それともハーネス? 車内の安全は? 「落ち着いた子ならハーネスでも問題ありませんが、落ち着かない子なら自分でハーネスを巻きつけてしまい、不意のブレーキなどで骨折なんていうようなケースもあります。やはりケージに入れるのがベストでしょうね。」 車内では思わぬことで怪我することも…。 「ワンちゃんの足は細いので、ちょっとした隙間に足を挟んで骨折したり、リアシートの足元に落ちて怪我をするなんてこともあるんです。空気で膨らますクッションで段差をなくしてフラットにしてあげたりするといいでしょう。」 なるほど、ワンちゃんに合わせたケアが大切なんですね。 「そうです。ワンちゃんは暮らしのパートナーですから、その子の個性を知ることは飼い主の義務だとも言えます。理解が深まれば、より親密な関係を築くことができますしね。」 ありがとうございます。もっとお聞きしたいこともあるので、これからもお話を聞かせてください。 アーク動物病院 東京都大田区田園調布2-20-10 http://www.ark-vet.com
ローズ一家のスローライフ スローフードという言葉が生まれたのはFIATの故郷であるピエモンテ州。ファーストフードの進出をきっかけに、もっと地元の食べ物や生活を見直そうという運動のキーワードだった。日本でもブームになり、それを実践するスローライフなる言葉も生まれたのはみなさんもご存知かもしれない。 さて今回は鎌倉でワンちゃん4匹とスローライフを楽しむ女性のお話。 安藤 愛さんは、つい最近まで大手広告代理店に勤めていた。得意の語学を活かしグローバル企業のブランディングを担当。海外相手の仕事は楽しいものだったが時差があるので勤務時間は不規則になりがちで、深夜早朝のやりとりが日常茶飯事。多忙を極める日々を送っていたとき、ミニチュアダックスフントのローズに出会う。 「ショップで抱いたときにはピンとこなかったんですが、床に置いたら私のまわりを走り回って懐くんです。その姿にキュンとしてしまって…。」 こうしてローズとの暮らしがはじまる。 生活にハリが生まれた。 しばらくするとローズの子供が欲しくなった。たくさんのワンちゃんに囲まれる生活に憧れたのは自然な流れに思えた。交配相手を見つけて、めでたく6匹の子犬が生まれた。最初は1匹を残すつもりが…。結局子供3匹とローズとの生活がはじまった。 ここまでは、愛犬家によくある話。 「ローズはなんでも食べてくれるので気がつかなかったのですが、ワンちゃんにも個性があるんですね。生まれた子供たちの中にはペットフードを食べたくない子がいたんです。いろいろ調べて、食べられるものを自分で作ればいいという結論にたどり着きました。」 研究熱心でとことん突き詰める性格は、ワンちゃんたちにとって食べやすい(食いつきがいい)だけでなく、身体にいいもの、安全なものを意識するようになる。 「ワンちゃんのために作るのではなく、自分の分まで一緒に作れば手間も時間も省けますから。」 もはや4匹はペットではなく家族だと強く自覚した瞬間だった。 そんな愛情のおかげで子犬たちはすくすくと育つ。しかし、当然ながら四六時中一緒にいられるわけではない。長期出張の際にはやはりペットホテルに頼らざるを得ない…。 それでも手作りのごはんを食べさせたかったから、業務用の真空パック機まで購入して冷凍保存したごはんをホテルに預けるようになった。 そうしているうちに、ペットホテルから他のワンちゃんたちのために、ごはんを作ってもらえないかと頼まれるようになった。 フードコーディネーターの資格を取るほど料理好きだった彼女は、ふたつ返事で引き受ける。似たような境遇のワンちゃんがいるならば、なんとかしたいと思い、材料費だけを受け取り、ほぼボランティアの形で提供したのだ。 SNSでローズたちとの生活を紹介すると、ペットホテルでの評判も手伝ってフォロワーは一気に1万を超した。それに着目した出版社がローズたちとの生活を一冊にまとめないかと言ってきたのだ。そして『おひとりさまとローズ一家』<主婦の友社刊>を2016年に上梓。ペンネームはObaba(おばば)。 気がつけばスローライフ そんな彼女の生活とくらしの価値観を変えたのは転居だった。当初はただ週末をローズたちと過ごせる海辺の家を探していた。そして広い庭のある鎌倉の一軒家を不動産屋に紹介される。 「最初、鎌倉は候補に挙がっていなかったんです。でも仲良くなった不動産会社の営業さんが、この子たちが走りまわることしか考えられない庭のある家を見つけたと連絡してくれたので(笑) もちろん一目で気に入りました。」 引っ越し後、しばらくは鎌倉から都内に通っていたが、ここでもっとローズたちとの時間を過ごしたいと思いはじめる。 実際に住んでみると、鎌倉は実に魅力に溢れる街だったということもある。たとえばレンバイと呼ばれる地元の農協が主催する朝市。 「新鮮で無農薬のものがあるんです。東京のレストランのシェフが仕入れに来るほどで味は確かですし。」 当然、ローズたちの食事にも、こういった野菜が使われるようになる。 一層ペットホテルでの評判も上がった。 「これを仕事にできればローズたちといつも一緒にいられるし、なにより同じ悩みを持つ飼い主さんの役に立てるのではないか…。」 そんな思いが頭をよぎった。 それからというもの、彼女はペットの食生活について、これまで以上に詳しく調べ、勉強するようになる。やがては自分が納得できる製品を量産できる業者選びにまでおよんだ。 「なるべく地元で採れた野菜を使い、自分が食べてもおいしいごはんを提供しよう。」 ペットたちの健康を考える他の飼い主さんの役に立てると思うとワクワクした。いや、自分が感じているワクワクを伝えたいと思った。 「運命に導かれたのかもしれません。言葉として知っていたスローライフが目の前にありました。いや、鎌倉という土地が目覚めさせてくれたのかも…。」 こうして彼女は生活のリズムをシフトダウンしはじめた。そして、会社を辞め夢の実現に奔走した。 もちろん勢いだけで仕事になるはずはない。安心感を持ってもらうためにペット食育准指導士の資格を取り、「Seaside Rose(シーサイド・ローズ)」という名でいよいよ2017年の4月からブランドをスタートさせた。 彼女が提供するのは「ペットフード」ではなく、一緒に楽しむ「ごはん」だ。出張で一緒にいられないときのものだけでなく、キャンプへ行ったとき、あるいは出かけてパートナーに「ごはん」の世話を頼まなければならないときにも役立つ。それは一緒であることを自覚できる幸せの提供だとも言える。 スローフードのコンセプトは、楽しく、朗らかに、そして健康的で元気に生きる。つまり、生活の足元をきちんとじっくりと見つめよう!ということ。 スローフード協会が選ぶ食べ物やワインやレストランなどは、いずれも価格やブランドに左右されない「本物」ばかり。 そんな国民たちの足として生み出された車、FIAT500にも同様のスローライフ精神が満ち溢れている。