おすすめスポット① 伝説を創ったプロダクトの数々
▲ADIデザインミュージアムの建物。元・鉄道馬車の車庫と電力会社の送電施設を活用したものです。
ファッションと並び、第二次世界大戦後のミラノが脚光を浴びるきっかけとなったのは、優秀なプロダクト・デザインです。毎年春に行われる国際家具見本市・通称ミラノサローネには、世界中から多くのバイヤーが訪れます。同時期に市内で開催されるデザインウィークには、300以上もの企業が新作を展示します。その期間、ミラノを訪れたデザイナーやジャーナリストたちによって、さまざまなディスカッションやトークショーを繰り広げられるのも毎年の光景です。
▲施設内部。1954年の賞創設以来の受賞作を紹介しています。
そうしたデザイン都市を象徴する施設が、2021年にオープンしました。その名は『ADIデザイン・ミュージアム』。1954年に創設され、今日でも世界的デザインアワードとして名高い『コンパッソ・ドーロ(黄金のコンパス)』の歴代受賞作が収蔵・展示されています。そこには戦後、建築や航空工学、美術といった異分野から集まった人々が、デザインに対する深い理解をもった企業の支援を受けながら、プロダクトに新たな息吹を吹き込んでいった軌跡を見ることができます。もちろん、デザイナーのジョルジェット・ジウジアーロによる初代『Panda』も。乗り物好きにも十分見応えがある内容です。
▲ジョルジェット・ジウジアーロ作の1980年初代『Panda』も。コンパッソ・ドーロ受賞作です。
*ADIデザイン・ミュージアムへのアクセス
地下鉄M5 Monumentale駅から徒歩約10分
もしくは地下鉄M2 Garibaldi FS駅から徒歩約15分
市電 2,4,12,14号線
バス 57,70,94号線
おすすめスポット② あのリキュールも“作品”だった
▲ガレリア・カンパリは2フロア構成。1階は同社の広告の歴史に、2階は歴代販促グッズなど、プロモーション展開の解説にあてられています。
チンザノと並びイタリアを代表するリキュール『カンパリ』。その始まりは創業者ガスパーレ・カンパリが1860年、ミラノ大聖堂前のカフェ・レストランで提供した、オリジナルブレンドのリキュールでした。
1932年には炭酸入りの『カンパリソーダ』を発売。今日まで続くそのボトルはイタリア未来派の画家、グラフィックデザイナーのフォルトゥナート・デペーロの構想がもとになっています。そこからもわかるように、カンパリは常に時代の先端を行くアーティストとの協業を続け、グラフィックデザインや広告美術の地位向上に大きな役割を果たしました。
▲レオネット・カッピエロによる1921年の広告ポスター。解説員のロベルト・ロルクアンド氏。
そうした企業文化の歩みを辿れるのが、ミラノの北セスト・サン・ジョヴァンニにある本社ミュージアム『ガレリア・カンパリ』です。見学のあと、ミラノのバールで飲み干すカンパリソーダは、より味わい深くなっていること請け合いです。
▲現在の新社屋(奥)は創業150年の2010年に完成。1904年に落成した旧本社棟の一部を保存しています。
*ガレリア・カンパリまでのアクセス
地下鉄M1号線 Sesto San Giovanni駅から徒歩5分
おすすめスポット③ クルマ好きがときを忘れてしまう本屋さん
▲『リブレリア・デッラウトモービレ』の店内。
ミラネーゼなら誰もが知る広場のひとつ、ピアッツァ・サンバビラからヴェネツィア通りを北上すると、やがてミラノ自動車クラブの館が現れます。その一角にある『リブレリア・デッラウトモービレ』は、自動車やモーターサイクルの専門書店です。自動車書籍の出版社として名高い『ジョルジョ・ナーダ』の直営店。同社のオリジナル出版物と、厳選した他社刊行物を合わせて1万タイトル以上を扱っています。惜しくも2020年に世を去ったジョルジョ・ナーダ氏の夫人・シルヴィアさんが今もコンシェルジュとして店に立っています。自動車好きにとって、まさにオアシス。できることなら寝袋を持ち込んで、ひと晩明かしたいと思う人は少なくないはずです。
▲ジョルジョ・ナーダによるフィアット関連書籍も多数。
*リブレリア・デッラウトモービレまでのアクセス
地下鉄M1号線 Palestro 駅すぐ
▲店を守るシルヴィア・ナーダさん。
▼INFO
① ADI Design Museum/ ADIデザイン・ミュージアム
https://www.adidesignmuseum.org/
②Galleria Campari/ガレリア・カンパリ
https://www.campari.com/galleria-campari/
③Libreria dell’automobile/リブレリア・デッラウトモービレ
https://www.libreriadellautomobile.it/il-negozio/
11月・12月のオリジナルカレンダーのイラストは、雪降る夜、ミラノ大聖堂やスフォルツァ城をバックにした2台の『500X(チンクエチェントエックス)』。この時期、『パネットーネ』を提げて家路を急ぐ人の姿が。近年日本のイタリアファンの間で知名度向上中のこの発酵菓子パン、実はミラノが発祥なのです。オフィスで、上司から部下に1年のねぎらいを込めて贈られる定番ドルチェでもあります。古い市電が奏でるガタゴトという響き、ブティックから流れるクリスマス・キャロル、屋台の焼き栗を炒る鍋の音……それらが重なり合って、大都会は新しい年へと時計の針を進めてゆきます。
▲旧イタリア王国の初代国王の名前を冠した『ヴィットリオ・エマヌエーレ2世のガレリア』。国家統一後の1867年に完成。以来いつの時代も、一流店が店を構えてきました。
Text:大矢アキオ Akio Lorenzo OYA
Photo/Coordinate:大矢麻里 Mari OYA
フィアット オリジナル 2023年カレンダー&壁紙ダウンロード
“イタリア各地をめぐるフィアット”がテーマの2023年カレンダー。11月・12月は、イタリア第2の都市ミラノに佇む2台の『500X』。このイラスト入りカレンダー(PC用 / スマートフォン用)はダウンロードが可能。また、イラストのみの壁紙もご用意しているので、ぜひダウンロードしてみてください!
ダウンロード方法はこちら
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