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#ピースウィンズ・ジャパン

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フィアットが大切にしているシェアの気持ち「Share with FIAT」

自分の幸せはもちろん、みんなの幸せを求める時代をつくっていきたい。フィアットは「Share with FIAT」を合言葉に様々なNPO法人と連携し、女性のエンパワーメントの向上や健康の促進、動物愛護、子供たちの教育環境の醸成、災害時の人道支援、そして若者の育成などの社会貢献活動を行なっています。これは国連の提唱するSDGs(持続可能な発展)に通じるアクションでもあります。ここではフィアットのパートナーであるNPO法人の2020年の活動を振り返ります。     アショカ・ジャパン 社会問題に取り組むチェンジメーカーを発掘しサポート   地球のみんなで社会問題を解決していく。そんな世界の実現を目指す社会起業家ネットワークASHOKA(アショカ)。いま世界では子どもの違法労働や、社会的弱者の差別、地球温暖化など、じつに様々な社会問題が生じています。複数の要因が複雑に絡み合ったこれらの問題の解決には、本質を探り出し、根本的に変革することが必要です。アショカではそうした取り組みを行う社会起業家を“アショカ・フェロー”として選出し、その取り組みが加速するようにサポートしています。     一方、世の中に次々に起こる社会問題に対し、その改善に取り組むチェンジメーカーの数は不足しているのが現状。そこでアショカでは、チェンジメーカーを育成する取り組みとして、12歳から20歳までの若者を対象に社会問題に取り組む人を支援する“アショカ・ユースベンチャー”を展開しています。同プログラムでは1年間の実験環境を通じて、彼ら・彼女らが向き合う社会の問題に、自らで解決策を見つけてアプローチする機会を提供しています。日本では2011年からアショカ・ジャパンとして活動を展開。2020年は新型コロナウイルス感染症という困難な事態が起こりましたが、アショカ・ジャパンではこの新たな問題に対する政府の対応に危機感を募らせ、不測の事態でも問題を見極めてアプローチできる人材の育成のため、ユースベンチャラーの数を増やす取り組みを強化。3年間で100人生み出すという、これまでの倍以上のペースに相当する野心的な目標を立ち上げました。   ユースベンチャラーの多くは他薦、すなわち積極的に発掘していかなければなりません。分野が特定されないなかで素質のある人材を見つけ出すのは至難のわざのようですが、そうしたなか人材発掘を進め、ユースベンチャーとして認定するかの可否を決めるパネル審査会を2ヶ月に1度ペースで実施。7月は2組、9月には3組、11月は2組を認定するなど、その数を着実に増やしています。このほか活動の認知拡大を図るアショカ・トークや、「社会を変える」をテーマとしたワークショップを学校で展開するなど、社会をより良くする活動に取り組む若者の発掘・支援や、若者が社会を変えるムーブメントを起こす活動に取り組んでいます。2021年も頻繁にパネル審査会を実施し、ユースベンチャラーを増やす取り組みを強化するなど、若者チェンジメーカーの育成に力を注いでいくとのこと。今後の活動に注目です。 ASHOKA JAPAN     ルーム・トゥ・リード・ジャパン 低所得国で暮らす子どもたちに学習の機会を 「子どもの教育が世界を変える」を理念に、南アジアやアフリカなどの低所得国で暮らす低学年の子どもたちに識字(読み書き)教育を提供する活動や、中高生の女の子に高校卒業までの道のりを支える女子教育プログラムを展開しているRoom To Read(ルーム・トゥ・リード)。識字教育については、教育者のトレーニングに始まり、現地語で書かれた絵本等の教材の開発および流通、図書館の開設まで、現地のスタッフが政府と共同で行っています。また女子教育プログラムでは、男女不平等が残る社会背景の環境下で、彼女たちが学園生活を送りやすくする手助けをし、自らの意思を持って人生の重要な決断をするスキルを身につけるサポートをしています。具体的には、授業とは別にライフスキルを学ぶ教育プログラムの提供や、メンターと呼ばれる女性によるサポートで学業やメンタル面のバックアップなどを行っています。     2020年はコロナウイルス感染症の影響により、ルーム・トゥ・リードが支援を行っている16カ国では軒並み学校閉鎖となるなど、学習環境に弊害がもたらされました。コロナ禍はオンライン化への切り替えが困難なインターネットアクセスが限られる地域では特に深刻な問題となり、失業者が増えれば経済的な困窮に追い込まれ、子どもたちの学習継続が危ぶまれます。そこでルーム・トゥ・リードでは急遽、ラジオやテレビを通じて読み聞かせの授業を行ったり、教材の郵送による配布や、保護者に子どもたちの学習の継続を呼び掛けたりするなどして、子どもたちの学習環境が失われてしまわないように努めています。また、無数の島々で構成されリモート環境が発展していたインドネシアで展開していた遠隔教育の設備をグローバルに解放し、世界各地の子どもがオンラインで児童書や教材を読めるようにする方策にも取り組んでいます。     日日本においては2020年末、コロナ禍においても子ども達が学び続けられる活動「Action for Education 2020 – IMAGINE みんなのアクションで子ども達に教育を!」を展開中。これはみんなの力を合わせ、クリスマスの贈りものにコロナ禍にある子ども達3,000名に教育というギフトを贈ろうという取り組みです。また、去る11月28日にオンラインイベントを開催し、これまでリアルイベントとして行っていた支援者への活動の報告や、支援を受ける子どもたちにとっても励みとなる番組の提供を行いました。オンラインイベントには、ルーム・トゥ・リード・ラオス女子教育プログラム卒業生で、現在日本語を勉強中の大学生からの日本語によるメッセージや、女子教育プログラムのメンターの方や、支援を受けているタンザニアの子どもたちからのメッセージを紹介するなど、ルーム・トゥ・リードの活動が詳しくわかる内容となっています。 ルーム・トゥ・リード・ジャパン     スマイリングホスピタルジャパン 病気の子どもたちが本物のアートに触れ、前向きな気持ちになるように   重い病気と闘う子どもたちに本物のアートと触れ、ワクワクしてもらいたい。そして前向きな気持ちで病気と闘ってもらいたい。そんな想いからマジシャンや音楽家、美術家などアーティストとともに病院を訪れ、子どもたちに本物のアートに親しんでもらう活動を行っているスマイリングホスピタルジャパン。全国の30の病院および14の施設に、年間で計500回以上訪問し、子どもたちの笑顔を引き出しています。しかし今年はコロナウイルス感染症の拡大により、病院への訪問が叶わなくなってしまいました。子どもたちはいま、両親との面会時間まで大幅に短くなってしまい、病室でほとんどの時間をひとりで過ごしながら、病気と闘っているのです。   こういう時期だからこそ、子どもたちに笑顔になってほしい。そうした思いからスマイリングホスピタルジャパンでは、訪問活動の代わりに、アーティストの方と協力して塗り絵や紙芝居セット、ステッカーといったアクティビティのプレゼントを行ったり、YouTubeの『スマイリングちゃんねる』で動画配信を行ったりしています。スマイリングちゃんねるでは、マジックや音楽遊び、実験など、子どもたちが観るだけでなく、一緒に手を動かして楽しめる動画を提供しています。すでにその数は計70作以上に!     スマイリングホスピタルジャパン代表理事の松本惠里さんは「病院にはいつ訪問できるようになるか見通しが立たない状況のなか、アクティビティの提供や動画配信を通じて、病院とも子どもたちともつながり続けることが大切だと思っています」と活動を続けていくことの重要性について話してくださいました。スマイリングホスピタルジャパンでは、寄付による支援のほか、ホームページやFacebookのシェアや、アーティストの動画編集のサポートなど様々なかたちで協力してくださる方を募集しています。また、スマイリングホスピタルジャパンをフィーチャーした本が2021年2月に英治出版から登場する予定も。ご興味のある方はぜひチェックしてみてください。 スマイリングホスピタルジャパン     ピースウィンズ・ジャパン 災害の緊急支援から復興まで幅広くサポート   自然災害や紛争、貧困などで生活の危機に瀕した人々を支援する国際NGO、ピースウィンズ・ジャパン。これまでに世界33の国や地域で活動を繰り広げ、数多くの人々に支援の手を差し伸べてきました。今年は新型コロナウイルス感染症の拡大や、各地で起こった自然災害への対応で古今東西、支援活動を繰り広げました。ピースウィンズ・ジャパンが運営する空飛ぶ捜索医療団ARROWS(アローズ)は、1月に中国・武漢へマスクなどの物資支援を開始したほか、長崎に停泊中のイタリア籍クルーズ船や、集団感染病院へ医療支援などを行い、コロナという見えない敵と対峙しました。このほか令和2年7月に日本を襲った豪雨への緊急支援、さらには世界各地での衛生啓発や緊急支援など、幅広い分野で活躍しています。   […]

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災害の緊急支援から復興まで。“早く、深く”被災地を支援。ピースウィンズ・ジャパンの活動とその思いを聞く。

Peace Winds Japan(ピースウィンズ・ジャパン)は、自然災害や紛争などにより、生活の危機にさらされた人々の支援や、殺処分の対象となった犬の保護など、さまざまな社会問題に取り組む特定非営利活動法人。1996年の設立以来、「必要な人々に必要な支援を」をモットーに、これまでに33の国と地域で支援活動を展開しています。今回はその第一線で活躍されているピースウィンズ・ジャパンの国内事業部次長の橋本笙子さん、国内事業部の西城幸江さん、コミュニケーション部の櫻井綾子さんにご登場いただき、それぞれの活動やその裏側の話をうかがいました。     まずピースウィンズ・ジャパンの活動で驚くのは、その活動規模の大きさ。災害支援では国内外と広範に展開し、被災直後の緊急支援から復興支援までを行っています。緊急支援については、ヘリコプターまでを配備し、緊急出動に備えています。最近では令和2年7月に熊本県と鹿児島県に大雨特別警報が発令された際に、医師や看護師、レスキュー隊など約30名と救助犬、ヘリ2機などからなる支援チームを現地に派遣し、河川が氾濫した球磨川川周辺の被災地支援を行いました。     また、新型コロナウイルス感染症への対応では、1月末時点で中国にスタッフを派遣し、国内に備蓄されていた医療資器材やマスク50万枚以上を武漢や上海などに届けたことに始まり、1-4月には国内の約1,300の医療・福祉・児童施設にマスク140万枚を配布。さらに長崎に停泊中のイタリア籍クルーズ船コスタ・アトランチカでコロナ感染が拡大した際には、長崎県からの要請を受け、医師・看護師を含むチームを現地に派遣しています。表立って報道されないことも多いですが様々な災害の現場でピースウィンズ・ジャパンの方々が活躍しています。     活動範囲の広さもさることながら、緊急支援に始まり、現地の復興・開発まで、長期に渡り、支援の手を差し伸べているのも、特筆したいポイント。とかく世間の目は次々に起こる新しい災害の方に行きがちですが、被災地の復旧・復興には相当な時間を要することもあります。その主たるものが東日本大震災。ピースウィンズ・ジャパンでは、緊急支援に始まり、今なお地域の復興支援を続けています。例えば宮城県南三陸町に地域の方々が交流できるコミュニティスペース「晴谷驛(ハレバレー)」を設置し、かごづくりなどの活動を通じて、地域の方が趣味ややりがいを見つけたり、そうした活動を通じて他の参加者の方と交流したりして心が晴れやかになるような環境づくりを行っています。なおフィアットもピースウィンズ・ジャパンの東北支援プロジェクトをサポートしています。     こうして様々な支援活動を“早く”、“深く”実行されているピースウィンズ・ジャパン。そうした最前線の裏側では人々がどのように動いているのか、うかがっていきます。     災害が起きたとき、現地に素早く救援チームを派遣されていますが、どの段階で支援を開始するのでしょうか? 橋本さん ピースウィンズ・ジャパンでは、関係団体と空飛ぶ捜索医療団「ARROWS(アローズ)」というプロジェクトを編成しています。空飛ぶ捜索医療団のメンバーたちは常時ネットワークで繋がっていて、災害が発生すると一斉に情報を共有します。被災規模が大きく、被災者がいる場合には、直ちに医師や災害救助犬など医療を中心としたレスキュー隊を派遣します。また台風の場合では、ある程度事前に予想ができますので災害接近の48-24時間ほど前からスタンバイし、現地の災害対策本部と連携して災害の状況を確認し、救援活動を開始します。災害の規模にもよりますが、初期の1週間から2週間くらいまではレスキュー隊の派遣が活動の中心となり、並行してスタッフを派遣し避難所の運営や物資支援を進めていきます。   災害では、時間の経過と共に活動内容が変化すると思いますが、その時々の状況に応じて支援の内容を変えていくのですか? 橋本さん そうです。緊急支援は子育てと同じで、災害の発生直後は0から100まで面倒を見るつもりで従事し、時間が経つにつれ、少しずつ手を離していきます。場合によっては、辛くても、被災された方々の背中を押してあげることも必要だと思っています。被災地の自立のために少しずつ背中を押しながら、我々は去っていかなければなりません。とはいえ、自助・共助・公助といっても、例えば高齢者の多い被災地では、自助や共助には限界がありますので、手を差し伸べることが必要だと思っています。     プロジェクトの終わりはどのように判断するのですか? 橋本さん 終わりの判断はもっとも難しいところですが、被災された方が元の生活を取り戻すために、軌道に乗るところまでは後押しを続けたいと思っています。2018年の西日本豪雨の支援はまだ続けていますし、東日本大震災の東北支援も続いています。海外でも紛争地域の現場などでは終わりが見えないことが多く、長いところでは10年以上活動を続けているところもあります。   スタッフの方々は、本当に立派なことをされていて敬服しますが、いち個人としての生活や人生設計もあるかと思います。そのあたりは両立できていらっしゃるのでしょうか。 橋本さん この業界は女性が多いので、結婚や出産などライフステージにより色々な転機があります。この仕事に就いているからできない、という職場であってはいけないと思っています。個人の生活も守られながら仕事ができる環境づくりは大切だと思っています。   西城さん 自分たちの心と体が健康でないと、人の支援を続けるのは難しいというのが根底にあると思います。緊急の状況で行く10日間と、切迫した状況が過ぎた後の10日間では被災者の気持ちはまったく違います。やはりある程度、大変さの波はありますね。     橋本さん 東日本大震災に対応しているときのことですが、震災から1ヶ月後の4月頃に自分が壊れていくのがわかりました。私自身、心が崩れていくのを感じたのです。幸いにも自分自身でわかったので軌道修正ができたのですが、当時は数々の修羅場をくぐり抜けてきた国際協力の団体のスタッフでさえ、精神的にバタバタと倒れていき、1年や2年復帰できないほどのダメージを負った人もいました。海外であれだけの経験を積んできたのにどうしたのだろうと思いましたが、その時思ったのは、海外の現場への対応は、当事者ではなかったということです。一方、東日本大震災では災害が当事者のこととして重くのしかかってくる。目の前で起こっていることや現地で聞く声がストレートに体に吸収されていきます。やることが目の前に無限にあり、やってもやっても不十分という状況の中で無力感を感じて、メンタルを崩していく人が多いと感じました。   そのようなときはどうするのですか? 橋本さん 私たちの組織の中には労働基準法で定められている範囲でメンタルを含めたケアをチームもありますが、極限の状況下ではそうした人たちのお世話になるというよりは、同じ職場のスタッフ同士のコミュニケーションだったり、仲間との信頼関係だったりが重要だと感じています。私は本部にいて、現場ではプロジェクトリーダーがひとりで活動することも多いのですが、被災者に対してだけでなく、現地のスタッフにも、“あなたは1人ではない”ということが感じることができるように、支え安心させてあげることが必要だと思っています。   西城さん 常に予算に余剰があるわけではありませんから、現場も限られた中で人員配置をしていかなければなりません。現場では災害に対する無力感と隣り合わせのなか、あれもこれもやらなければならなくなる。タフじゃないとやれないですし、家族もある程度タフじゃないと厳しいと感じるかもしれません。   先ほど予算のお話が出ましたが、活動資金は政府の援助がない場合は、企業や個人の方からの寄付金で成り立つものだと思います。櫻井さんは資金を集める側のお仕事を担当されていらっしゃいますが、具体的にどのような活動をされているか教えていただけますか? 櫻井さん 現場での支援活動が表の部分だとすると、私がいるのは裏側の部分。緊急事態が発生し、救援チームが出動するぞとなった時に、裏側ではその活動資金をどう集めるか、という動きが起こります。広報チームが寄付を集めるための広報活動を行い、私の属する支援者サービスチームは、支援者からの問合せに対する準備を行います。     寄付金を集めてプロジェクトを回す。大変なお仕事ですね。 櫻井さん […]