Pandaのデビュー40周年を記念して、オーナーの方々に集まっていただき「Panda愛を大いに語り合おう!」という名の座談会を開催しました。1980年に誕生した初代から2代目、そして現行モデルの3代目が大集合。どのような愛が語られたのか、その模様をお届けします。
座談会の会場は代官山T-SITEにあるカフェバー・ダイニングIVY PLACE。この場所は都会のど真ん中、代官山でありながらも120台もの駐車場が完備されているため、数々の車好きのオーナーが足しげく通う場所。朝9時半に駐車場に到着すると、すでに愛くるしい佇まいで歴代のPandaが並んでいました。並んでいるかわいい姿を見るだけで顔がほころび、ホッと心を和ませてくれる存在です。オーナーのみなさんもどこかそのPandaのフレンドリーさを身にまとっている雰囲気。
この日は、フィアット車の試乗会からスタート。用意された試乗車は500、500X Sport、そして2020年10月13日に登場した150台の限定モデルPanda Cross 4×4。Pandaはもちろん、500や500Xとのご対面に、参加者のみなさんは自然と笑みがこぼれている様子でした。
初代オーナー、2代目オーナーの方は「アイドリングストップがついていること自体が衝撃でした(笑) それもとてもスムーズでストップ後の操作が心地よかった」「Pandaらしさが引き継がれていて楽しかった」というコメントをはじめ、現行Pandaのオーナーの方々は「内外装の違いを発見して楽しかったです」「チンクもかわいくて浮気しそうになりました」などなど、新しい発見や走りの楽しさ、面白さを体感できた様子。
試乗会後はオープンテラスがついた開放的な空間でランチをとりながら座談会がスタート。モータージャーナリストの若林葉子さんを司会に迎え、Pandaオーナー6名に加え、FCAジャパンのマーケティング本部長であるティツィアナ・アランプレセとプロダクトマネージャーの生野逸臣を交えて、和やかなムードの中、座談会がはじまりました。
座談会のスタートは自己紹介と、Pandaとの出会い、Pandaオーナーになったきっかけを教えていただきました。
山口善之さん
愛車:初代Pandaセレクタ(1994年式)
「もともと車はデザイン重視。Pandaはその終着点ですね。新車から乗り続けて今に至りますが一生付き合う覚悟です。イタリア車、フィアットのこだわりや大衆ブランドというカテゴリーも好きになった理由。イタリア車のシンプルなデザイン、ガジェットな雰囲気、見た目のおもちゃ感。本当に味わい深い車だなと思います」
飯嶋ひろさん
愛車:Panda Easy(2019年式)
「私は2006年から乗っていた2代目Pandaから、昨年現行Pandaに乗り換えました。物心ついた頃から動物のパンダが好きで、社会人になってからは好きなパンダグッズを集めるのがライフワークでした。免許を取得して自分の車を選ぶ際に、車が好きな友人からPandaという車があることを聞き、実際に見に行ったら即決でした。完全なる一目ぼれです」
立迫謙一さん
愛車:2代目Panda(2007年式)
「実は家の駐車場の事情で長さは4m以内、子供が小さいから4ドアがいいなど条件に見合う車を探すことから始まります。いろんな制約がある中でぴったりと当てはまったのは2代目Pandaでした。もともと小型車が好きなこともありますが、僕にとって初めてのイタリア車、Pandaは全然飽きません。本当に楽しい車です」
榊原淑恵さん
愛車:初代Panda セレクタ(1994年式)
「道で見かけたのがきっかけでそれ以来どうしても乗りたいという気持ちと、今乗らないと一生乗れないかもしれないと思い探しました。最終的に今の愛車を見つけたのは出張先の大阪です。それほど長く乗るつもりはなかったのですがすっかりと魅了されてしまいました」
三浦直樹さん
愛車:Panda 4×4(2018年式)
「今の車が初Pandaです(笑) いつかはクラウン…じゃないですけど、いつかはPandaに乗ってみたいという思いがずっとありました。遡れば小さい頃から輸入車の図鑑をよく見ていて、そのときに初代Pandaを見てデザインに衝撃を受けたことを覚えています。実際に選ぶ段階では現行のPandaにしようと思っていたのですが、アウトドアが好きなので今のライフスタイルにとてもマッチしています」
嶋ノ内美由紀さん
愛車:2代目Panda プラス(2006年式)
「私自身は車のことは全然詳しくなく、いつも車選びは主人に任せしています。主人に次はこの車がいいよと言われるがまま、出会った車が2代目Pandaです。でも小さくてかわいくて、運転しやすく、個人的にもとても気に入っています。今日の座談会は、Pandaを愛するみなさんのお仲間に入れていただいて、とてもうれしいです」
若林:榊原さんは普段はあまり車には乗らないんですよね?
榊原:駅が近いので普段の移動は電車です。車は家から徒歩20分(都会の事情、駅近は駐車場の価格が高い)のところに駐車場があるのでPandaに会いに行くため駐車場に行っています(一同笑)。コロナ禍以前は車でスポーツジムに通っていたので(現在ジムは自粛中)、ジム終わりの帰り道に夜の道を走るのはとても心地よい時間でした。夏はエアコンが効かないので窓を全開にして走るのが楽しいんです。
山口:わかります、窓を全開に開けて走るのは気持ちがいいし、イタリア車に似合う。初代Pandaのセレクタは今、動いていること自体がアタリですからね(笑)。
榊原:本当にそうですね。私自身半年以上かけて探しました。大阪から二か月待ちでやっと納車というときに私の目の前でマフラーが落ちて、そのまま大阪へ戻るということも経験。
ティツィアナ:みなさんはどうやってパーツを探しているんですか?
山口:初代Pandaは、はオリジナルにこだわらなければワンオフで作ったり、その他の流用パーツで補ったりしています。外装パーツ等はイタリアにバックオーダーをかけて何カ月も待ち、やっと窓を留める部品が手に入るという感じですね。
飯嶋パンダリーノでパーツの受け渡しをよくしていますよね。私も現行Pandaに乗り換えたので、来年のパンダリーノに2代目Pandaのパーツを持って行く予定です。
立迫:初代Pandaはヘリテージのアイコン的な存在になっているからパーツはある意味充実していますね。でも2代目Pandaは15年以上経っていますがクラシックカーでもなくモダンでもなくちょうど狭間。
飯嶋わかります、私も最終的にはミッショントラブルで泣く泣く2代目Pandaとお別れして現行Pandaに乗り換えました。当初は100万円かけたら直りますか?と涙目で懇願していましたが。
立迫:初代Pandaなら100万円かけても直すかもしれないですけどね。
嶋ノ内:私の場合は主人にメンテナンスを任せているので私自身は何もやっていませんが、今のところ不自由はなく快適です。主人がお店の方と綿密にやりとりしていて、万が一出先で何かあったらこのお店に行くようにと言われています(笑)。
飯嶋 初代Pandaからスキップして現行Pandaに乗り換える人もいますので、年々2代目Pandaに乗る方は減る傾向で、絶滅危惧種的な立ち位置になってきています。
山口:現行Pandaから初代Pandaへ戻る人はいるんですけどね。
立迫:だから僕は壊れないことに重きを置いていて、定期的なオイル交換、ディアロジックオイル交換は1万kmごとに、タイミングベルトの交換、走行中は水温計のチェックなどマメに見ています。過去の旧車経験から学んだことですが、おかげで今のところトラブルはありませんね。
山口:僕は2代目Pandaに乗っている人をリスペクトしています。大事に乗ってもらいたいですね。
若林:こまめなメンテナスもある意味、こだわりですね。みなさんの車を見ているとこだわりを感じます。三浦さんもあえての鉄製ホイールを選んでいますね。
三浦:もともとついていたアルミホイールも気に入っていましたが“鉄チンホイール”へ交換したことで樹脂パーツと相まって、ワイルドな印象が加わり理想的なPandaになりました。Thuleキャリアも気に入っています。小さい車にキャリアの組み合わせが個人的にとても好きなんですね。以前は大きな車に乗っていたのですが万能な車は逆に物足りなくなる性分で、一筋縄にいかないといいますか、小さい車が頑張って走るスタイルが好きなんです。2気筒のツインエアエンジンと4輪駆動、そして6速マニュアルトランスミッションという唯一無二のパワートレインも含めて、Panda 4×4は私の所有欲を満たしてくれる車ですね。
嶋ノ内:主人がいろいろやってくれていることなのですが、ホイールを白に変えたり、シートカバーをかけたり、パンダのぬいぐるみやティッシュケースを置いたりしています。シートカバーは気に入っていますね。
立迫:シートカバーの色合いよいですよね、初代Panda思わせるというか。
嶋ノ内:はい、それを意識しています(笑)。
飯嶋私は現行Pandaを購入したと同時に、カッティングシートでラインを入れました。自作です。素人カスタムだけど一目見て私の車だとわかるところが気に入っています。
山口:その感覚、とてもよくわかります。最近よく思うのですが僕は車好きではないんですよね(笑)。Pandaが好き、それも“My Panda”が好き。フォグランプを埋め込んだり、バンハッチを取り付けたり、ラッピングで色を変えて見たりと、自分で考えて加工する過程や苦労も含めて楽しいです。ジウジアーロが生み出した名車ではありますが、僕流のモディファイをすることで“僕のPanda”になる。相棒であり、僕の分身ですね。
立迫:特別にこれといったものはありませんが、ホイールをアバルトの16インチに交換したらフェンダーとの隙間が気になったのでサスペンションも一式交換して車高を少し落としました。LEDヘッドライトを今風にしたり、ルーフレールをPanda アレッシィについていたものに交換したり、アバルトのエンブレムをつけるなど楽しんでいます。今後はシートをアバルト純正にして、マフラーを変えたいですね。アバルトにPandaのモデルを登場させてほしいですね(笑)。
榊原:私は、完全にノーマルです。とにかく初代Pandaのデザインが好き。見た目も内装も全て好きです。オシャレなのに、オシャレぶっていない、素朴な佇まいがすごくいいですね。
若林:ノーマルに乗り続けることもこだわりですよね。
若林:フィアットというと500をイメージする人が多いと思いますが、500ではなくPandaを選択する理由は何でしょうか。
山口:デザインは大きな魅力のひとつだと思います。僕が乗り始めた頃は、初代Pandaしか選択肢が無かった時代でしたが、初代からPandaというキャラクターは変わっていないなとずっと感じています。
ティツィアナ:現行のPandaのデザイナー、(ロベルト)ジョリートも、スクエアとサークルという形をとても大事にしていますね。
若林:不満は全くない?
三浦:全くないですね。Pandaにはドリンクホルダーがついているんですけど、細すぎて入らなかったり、リアガラスが手動という部分も普通なら欠点なのかもしれませんが、それさえも“Pandaだなぁ”と愛せる部分なんですよね(一同大きく頷く)。昨今、ユーティリティがあふれる便利な車や、自動運転を装備した車が登場していますが、車はやはり自分で手動だったりで操って楽しみたいですよね。
山口:自分が操作しているからこそ一緒に走っている感じがあるから、Pandaは楽しいですよね。
三浦:単なる移動手段なら電車でいいですもんね。
飯嶋私もPandaのシンプルなところがすごく好きです。それからPandaオーナーになる魅力は、1年に1回開催される“パンダリーノ”の存在も大きいと思います。このイベントでは多くのPandaオーナーと触れ合えるので、参加するとまたPandaで会いに行きたくなるんです。
榊原:わかります、私は初代Pandaが好き過ぎて2代目Pandaと現行Pandaは選択肢に入っていませんでしたが、パンダリーノで実際に見てから2代目と現行モデルにも愛情が芽生えました。どの世代も好きになりましたね。
立迫:普段は街中でそれほどは会えないPandaがパンダリーノの会場に近づくにつれどんどん増えていく。イベント会場だけでなく、道中も楽しいですよね。―――話したことはないですが、うちの近所にPandaオーナーが数台いるんですけど、停まっていないと手放したのかな?と心配になります。ちゃんといつもの定位置に停まっているのを確認するとほっとするというか(笑)。
一同:わかります!
山口:Pandaを選ぶ時点で、少し変わっているのかなと思います(一同笑) でもPandaに魅力を感じる感性が同じなので、パンダリーノをはじめ、こうやって今回の座談会のように集まっても、初対面から打ち解け合える雰囲気があります。自分なりのこだわりを持っていて、行動力を持っている人たちが多いように感じがしますね。
生野:すぐに仲良くなれる雰囲気があって、本当に良いコミュニティだなといつも思っています。
ティツィアナ:素晴らしいコニュニティですね。コミュニティの力は大切ですね! 残念ながら私はまだ行ったことがないのでぜひ参加してみたいです。最後に聞きたいことはありますか?
山口:Panda4は出ますか?(参加者みなさんが聞きたかった質問)
生野:昨年のパリショーで登場した車はPandaの後継車ではなく、姿形は全くわかりませんが、計画している…という話は耳にしています。
飯嶋私はこの先、Panda以外の車に乗ることは想像できないのでずっと乗り続けたいです。ですからずっとPandaは出していただきたいですね。生涯Pandaに添い遂げます!(一同笑)
<パンダリーノについて>
2008年から始まったパンダリーノは、Pandaオーナー同士の交流の場としてPandaに囲まれた休日をのんびりと過ごすことを目的に、オーナーの有志によって支えられているイベント。北海道から鹿児島まで全国からPandaが集います。まさにPandaオーナーのための大人の文化祭。「イベント参加については毎年募集しています。毎年、だいたい100台くらいは入れ替わるんですよね。今年はコロナ禍で中止となりましたがエントリーは314台ありました。これからもPandaの生存率をキープするために楽しいことを考えながら継続していけたらと思っています(実行委員会代表 山口さん談)」
Panda40周年を記念した特別サイトはコチラ
Text:鈴木珠美(officetama Inc.)
Photo:村上悦子(座談会・試乗会の写真)
写真のご提供:パンダリーノ実行委員会
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