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Nuova 500

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小さくて、偉大なクルマ!イタリア人に愛された『Topolino』がEVで帰ってきた

イタリア人にとって懐かしい名前のクルマが復活。フィアットが2023年7月4日に欧州で発表した小型のシティーコミューターEV(電気自動車)『Topolino』です。イタリア在住のジャーナリスト・大矢アキオ氏に、新『Topolino』の解説とともに、その偉大なルーツをひも解いていただきました。   ▲『Topolino Dolcevita(トポリーノ ドルチェヴィータ)』。オプションパーツのカタログには簡易シャワーも。   イタリア流・近距離モビリティ! この度、発表された新たな『Topolino(トポリーノ)』は、都市部や近距離移動を主な用途とした2人乗りのEV(電気自動車)です。全長×全幅×全高は2,535mm×1,400mm×1,530mm、そしてホイールベースは1,730mm。最高出力6kWhのモーターで前輪を駆動します。最高時速は45 km/hで、満充電からの航続可能距離(WMTCモード)は75kmです。 フィアットは、EVならではのカーボン(二酸化炭素)フットプリントやサウンド(騒音)フットプリントの削減、そしてコンパクトなサイズによるスペースフットプリントの削減という、都市で持続可能な自由を実現するためのすべてを備えている、と強調しています。   ▲ミラノ・スカラ座近くの風景を背に走る『Topolino』。フロントフェイスは1957年『Nuova 500(ヌォーヴァ チンクエチェント)』のイメージを継承しています。   控えめなパワーとスピードには理由が。欧州連合の『ライト・クアドリサイクル』という超小型車規格に準拠しているのです。このカテゴリーは、長年ヨーロッパで主に小さなメーカーが手掛けてきましたが、近年はいくつかの主要自動車ブランドが参入を試みています。超小型車扱いとなることで、『Topolino』もイタリアでは14歳から原付二輪免許で運転が可能です。   ▲おしゃれなインストルメントパネル。最小回転半径は3.6m。   ▲メーターパネルもミニマリズムを貫いています。   車型はクローズドボディと、『ドルチェヴィータ』と名付けられたオープンの2タイプ。『ドルチェヴィータ』はドアさえ持ちません。1960年代の『Nuova 500』や姉貴分である『600』をベースに、数々の外部製作者が手掛けたビーチカーのデザインが反映されています。   ▲クローズドボディ仕様のパノラミックルーフ。『Topolino』はモロッコもしくはポーランドで生産される予定です。   ▲『Topolino Dolcevita』   ▲『ドルチェヴィータ』は1960年代に一世を風靡したビーチカーを思い出させるドアレスのモデルです。   2つのボディタイプともカラーは『ヴェルデ・ヴィータ』の1色。ホイールデザイン、インテリアも1種類と、ラインアップでもミニマリズムが実践されています。   ▲イタリアの220ボルト2.3kW家庭用電源を使って、0%から満充電までの所要時間は約4時間です。   偉大な先代『Topolino』の歴史 “Topolino(トポリーノ)”とはイタリア語で“小ネズミ”を意味します。実はこの名前、1936年にデビューしたフィアットの小型車にも使用されていたのです。正式名は『500(チンクエチェント)』といいます。 ここで疑問を抱く方のために説明すると、実は“500”というネーミングは、この初代『500 Topolino』が最初でした。つまり、今日多くの人が思い描く1957年『500』より前に『500』は存在したのです。1957年『500』を呼ぶとき、あえて“新しい”を意味する“nuova”を加えて、『Nuova 500』とするのは、そのためです。 『500 Topolino』の開発に参画したダンテ・ジャコーザは、後年フィアット史上に残る名設計者となります。でも、実は彼がいたグループは、それまで乗用車をデザインしたことがありませんでした。おかげで、既成概念にとらわれず、シンプルなシャシー(車台)+全体の剛性に貢献するボディワークというアイデアを生むことができたのです。   ▲『500 Topolino』は1936年にデビューしました。   では、なぜ“小ネズミ”なるニックネームが付いたのか?答えは、そのデザインにあります。初期型である『500 Topolino A』および、それに続く『500 Topolino B』のラジエターグリルは、1930年代に流行した流線型を巧みに取り入れた形状でした。下に向かって三次元に絞られており、あたかも小ネズミの顔をイタリア人に連想させるデザインでした。2人乗りに割り切ったボディ形状も、すばしっこく走り回るネズミに似ていたことは想像に難くありません。   ▲『500 Topolino A』。後輪の後ろを覗くと、カンチレバー方式のため、板バネが後方まで繋がっていません。 […]

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チンクエチェント博物館 館長のフィアットへの想い|FIATオーナー紹介

愛知県名古屋市にある『チンクエチェント博物館』。館長の深津浩之(ふかつ・ひろゆき)さんは、『PUNTO』、『PUNTO EVO』と乗り継ぎ、現在は『500X』のオーナーです。チンクエチェント博物館 館長の深津さんのフィアット『500X』への想いについて、自動車ライター・嶋田智之さんがお話を伺いました。   気づいたら自分の趣味趣向がフィアット寄りに 日本にもフィアットのプロフェッショナルと呼べる方は何人かいらっしゃいますが、この方も間違いなくその内のひとり。世界でも数少ない『500』の私設ミュージアム『チンクエチェント博物館』の館長、深津浩之さんです。2001年のオープニングの頃から博物館の運営にたずさわり、以来、年に何度もイタリアへ渡って現地の新鮮な情報を仕入れてきたり、国内ではフィアットやイタリア車好きのためのイベントをプロデュースしたりと、フィアット好き、『500』好きにとって、何かと心強いアニキのような存在です。   ▲深津浩之さん   ▲チンクエチェント博物館   実は深津さんご自身も、20年以上、フィアットを所有し続けているオーナーさんです。今回は現在所有している『500X』を中心に、フィアットへの想いをうかがってみました。 まずは深津さんとフィアットの出逢いからたずねてみようと思います。 「実は昔からフィアットが大好きだったとか、『500』に憧れていたとか、そういうのじゃないんです(笑)。きっかけらしいきっかけは、この博物館の代表である伊藤精朗(いとう・せいろう)さんとの出逢いですね。22〜23年ほど前ですけど、当時、伊藤さんはクルマのスペシャルショップやクラブもやっていたし、僕もその頃は別のイタリア車に乗っていて、その集まりの中で知人に紹介してもらったんですよ。僕は当時、普通のサラリーマンだったんですけど、お付き合いしてきた中で伊藤さんに『博物館をいっしょにやろうよ』って誘われて、ここのスタッフになって今に至る、っていう感じです」       ということは、イタリア車はお好きだったんですね? 「そういうわけでもなかったんです(笑)。クルマはもちろん好きでしたよ。でもそれまで乗ってきたのは日本車1台にドイツ車3台。僕は昔から多趣味で、何が何でもクルマがいちばんというわけでもなかったし。こういう仕事をしているとそう思われがちなんですけど、僕は昔も今も、少しもマニアじゃないんですよ」 今のようにフィアットに詳しくなったり好きになったのには、どんな経緯があったんですか? 「以前、前の会社に在籍したまま、博物館の開設の手伝いをしていたんですよ。そうしたらある日、伊藤さんが『ちょっと乗ってみなよ』って『Nuova 500(ヌォーヴァ チンクエチェント)』を貸してくれて、乗って帰ることになったんです。乗ってみての最初の正直な印象は『何だコレ……?』でした(笑)。ものすごく遅いし、操作系もかなり丁寧にやらないと綺麗に動いてくれないし。1kmも走らないうちに、やっぱり返すっていおうかな、と思ったぐらい(笑)。でも、せっかく貸してくれたんだからせめて2〜3日は乗ってみよう、と思い直したんですね。それで次の日も会社に乗っていったりとかして、ちゃんと乗ってみたんです。そうしたら3日ぐらいでどんどん慣れてきて、慣れたらどんどん楽しくなってきちゃって、1週間経つ頃にはめちゃめちゃ面白いと感じるようになって、結局、伊藤さんにお願いして3週間ぐらい借りていました」     それがリアルなフィアットとの出会いだったんですね? 「そうですね。その後チンクエチェント博物館に転職することになったわけですけど、ここはもともとフィアットを好きな人たちが集まるところで、いろんな話をしたりクルマに触れさせてもらったり。博物館がオープンする前に伊藤さんといっしょにイタリアへ行って、フィアット本社でアーカイブを見せてもらったり、まだ昔の面影を残していたリンゴット(1923年から1982年に操業していた、屋上にテストコースを備えるフィアットの生産工場)に連れていってもらったり。いろいろな経験をさせてもらったんです。そんな中で、フィアットは単なる1メーカー、1ブランドじゃないんだな、って肌で感じるようになりました。フィアットって歴史も長いし、その歴史の中でイタリアという国のためにいろんなことをしてきているんですよね。ある意味、イタリアの象徴のような存在。それを実感するにつれて興味がどんどん湧いて、気づいたら自分の趣味趣向みたいなものがフィアット寄りになっていた、っていう感じです(笑)」     『PUNTO』、『PUNTO EVO』、その次が今の『500X』。 その流れで自家用車にもフィアットを選ぶようになったんですね? 「ファミリーカーを買い換えようっていうときに、自分はチンクエチェント博物館で働いているし、よし、フィアットにしよう、と。それで2代目『PUNTO(プント)』を買ったんです。イタリアで見てかっこいいと思ったので。どちらかといえば自分が乗るというよりは、妻がチャイルドシートをつけて乗っていたんですけどね。でも、それが自分の所有する初めてのフィアットでした。そこからは自家用車はほぼ全部フィアット。『PUNTO』のあとは『PUNTO EVO(プント エヴォ)』で、その次が今の『500X』です」   ▲『500X』   社用車として現行『Panda(パンダ)』にもお乗りですよね? 「まいにち乗っています。博物館のスタッフとして働きはじめた頃は、初代『Panda』に乗らせてもらっていました。途中で『チンクエチェント博物館のスタッフなんだから古い『500』に乗る方がいいよ』っていうことになって、『Nuova 500』に3年ぐらい、まいにち乗っていました。どちらもすごく楽しかったですね。『Nuova 500』は古いクルマだから大変な想いをしたこともあったけど、今ではいい想い出になっているんですよ。いろいろ勉強もさせてもらいました。今の『Panda』もすごく気に入っています」 ご自身で所有されてきたクルマはいかがでしたか? 「『PUNTO』はエンジンもしゅんしゅん回るし、小さいから走りが軽快だし、とってもフィアットらしいな、って思っていました。フィアットらしさって人それぞれなんでしょうけど、僕がイメージするフィアットだったんですよ。カタログ上のパワーは強力なわけではないんだけど、数値よりも明らかによく走るんですよね。ものすごく元気に走ってくれる。『PUNTO EVO』も同じようにフィアットらしくて気に入っていたんですけど、メーターが15万kmを越えて、もう乗り換える方がいいのかな、って考えたんですよ」 ▲『PUNTO EVO』 それで選んだのが今の『500X』ですね。なぜ『500X』を? 「そのときの候補が『500』『Panda』、それに『500X』の3択。その中で、『500』は妻が吹奏楽をやっていて道具一式を積み込むのが大変。『Panda』は僕が社用車で使っている。残された選択が『500X』だったんです。もちろんそれより前に試乗はしていて、よくできたクルマだってわかっていたので」 次のページ:【SUVだけどやっぱりフィアットだな、って感じます】 […]

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所有するだけで喜びを感じる500Cは私のおもちゃ|FIATオーナー紹介

栃木県宇都宮市でイタリアンレストランを営む池田俊一さんは、10年ほど前に『500C(チンクエチェントシー)』を購入し乗り続けています。さらにはお店の中に『500(チンクエチェント)』のパーツを集めてフロント周りのオブジェを作り上げてしまうほど愛しているご様子。そこで今回は池田さんに『500』の魅力について語っていただきました。   どうしてもツインエア エンジンが欲しい 初めて購入した軽自動車以降、気に入った欧州車を乗り継いできた池田さんは生粋のエンスージアストです。しかも、乗る以上に自ら手を入れてメンテナンスまで行う手先の器用さも持ち合わせています。ご自身も「クルマ好きというより、メカ好きなんでしょうね。長距離ドライブはあまり得意ではありませんし、それよりも自分でクルマをいじるのが好きなんです」とおっしゃいます。フィアットを最初に意識したのは『ローマの休日』に出てきた『トポリーノ』。その後『ルパン三世』を見て、そこに出てくるマニアックなクルマ達とともに、『Nuova 500(ヌォーヴァ チンクエチェント)』に惹かれていったそうです。   ▲池田俊一さん   そんな池田さんの目に留まったのが『500(チンクエチェント)』でした。「当然クルマが好きなので、新車が出るとチェックしていましたし、出た当初から『500』も知っていました。その後、ツインエア エンジンが発売されたのでこれは良いなと思ったのです」と池田さん。「もともとメカ好きなので、エンジンから伝わって来る振動やメカニカルノイズを聞きながら走らせることに魅力を感じていました」とのことでさっそくクルマを見に行ったそうです。 「そのときは4気筒とツインエア エンジンの2種類でしたが、どうしても2気筒のツインエア エンジンの方が欲しくて」と当時を振り返ります。さらに「何とパール ホワイトなんです。ほかの白とは違うボディカラーでこれも気に入りました」と池田さん。   ▲500C   デザインについても『Nuova 500』の雰囲気を感じさせていて「よくここまでできたなと思います。角度によって可愛らしさがありますよね。例えば女性が左の下から写真を撮ってほしいとかお気に入りの角度があるように、この『500』にも自分の好きなポイントがあります。例えばフロントではちょっとしたカーブやでっぱりがあって、そこからくる可愛さがありますよね」とのことでした。     そして、通常のルーフとオープントップの2種類のボディバリエーションはオープントップの『500C』を選択。池田さんによると「以前持っていたクルマのルーフがキャンバストップで、ルーフを開けるのが好きだったのです。サンルーフとは違いもっと解放感がありますが、かといってフルオープンではないところが良いんです。フルオープンは、格好は良いんですけど実用的にはちょっと厳しいですよね」と選択理由を話してくれました。     フルオープンの場合は幌などを畳む場所が必要となるので、荷室容量や後席スペースが犠牲になってしまうのです。『500C』を実際に乗ってみると「電動で開閉できるのはとても良いですね。走りながら安全に開閉できますから」と、とても気に入っているようでした。   好きなものに囲まれていたい いま『500C』は奥さまが通勤などにお使いですが、購入当時は奥さま用の日本車がありましたのでクルマが増える形でした。その頃も手元に複数台あったことから奥さまからは「何台持つの?全部を一度に運転してみてごらんなさい」とまでいわれたそう。池田さんは「はい、ごもっとも」と。それでも、諦めきれなかった池田さんは購入に踏み切りました。しかし、ちょうどいま経営されているお店を立ち上げて忙しくなった頃と重なり「1年ぐらいは乗らずにずっと屋根の下に置いておいたんです。ですので、1年半ぐらいで500km乗ったかな。そうしているうちに、家内が乗っていたクルマが古くなったので、それと入れ替えで『500C』に乗るようになったんです」といまに至る経緯を教えてくれました。   実は池田さんは、お店も本当はご自身の手で建てたかったそうです。しかし「家族に危ないなどと反対されてしまったので、自分でデザインを考えて、設計者に具現化して建ててもらいました。そんなこともあり、自分のほとんどの時間はお店のことでいっぱいでしたので、買ったのはいいですが、乗る時間がなくなってしまったのです。でも本当に欲しかったんですよ。乗るというよりも、所有したい、ツインエア エンジンを自分のものにしたかったんです」と熱い思いを語ります。その心境を池田さんは「ドライブするよりも、機械として、モノとして置いておきたいんですね。おもちゃを買ってもらったみたいなイメージです。ちらっとでも見えたら満足です」と楽しそうに話します。     『500C』というおもちゃを手に入れた池田さんは、それだけでは飽き足らず、お店にオブジェも作ります。 「そもそものきっかけは、バブル期には色々なクルマのフロント周りやリア周りだけがお店に飾られていたものです。そのイメージが頭の中にありました」そして「(お店は)一人ですべてをこなしているのでカウンター周りで精一杯なんです。そこで、以前テーブルとイスを置いていたところに好きな植木や、趣味のものを置き始め、やはりクルマ好きですからこのアイディアを思い立ちました」     ちょうどコロナ禍でお店を閉めていたこともあり、ネットオークションでコツコツパーツを集め、元々の手先の器用さもあり、一人で1年かからずに完成。 「溶接で組み立てて、後ろ側は木のフレームで組んであります。よく見るとタイヤも半分にしてくっついているんですよ」とその出来栄えは素人目にも素晴らしいものです。   ▲500のパーツを使って組み立てたフロントのオブジェ   「やはり好きなものに囲まれたいという基本的な欲求があるのです。だから『500C』も乗る時間がなくても買ったのです。そういう意味では自分の手が届くところに、見えるところに『500』(の顔)があるのは嬉しいです。もしお店をやっていなかったとしても、家の中に置くところさえあれば、多分置いていたと思います」と相当の思いが詰まっているようです。     池田さんの手元に『500C』が来て10年近くがたちましたが「全然古くなったなという感じはしませんね」と池田さん。実際に乗るとパドルシフトがお気に入りとのこと。「信号で減速の時に使ったりしています。マニュアルのクルマに多く乗って来たので、そういう操作が出来るのは面白いところですね」と乗っても満足そうなご様子です。   次ページ:【奥さまもお気に入り、『500C』のサンルーフ】 […]

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家族の歴史は500とともに|FIATオーナー紹介

鈴木さんご家族から“パンナちゃん”と呼ばれ愛され続けている『500 Panna(チンクエチェント パンナ)』。2014年に購入し、奥さまの佐和子(さわこ)さんのクルマとして活躍してきましたが、長女の万佑子(まゆこ)さんが免許を取得したのを機に一旦お譲りになるそうです。そして鈴木丈生(すずき・たけお)さんの想いは次女の桃子(ももこ)さんにも「このクルマに乗ってほしい」とのこと。そこには鈴木さんご家族のきずなが500 Pannaを通して見え隠れしていました。なお、奥さまは主にコメントでのご登場となります。   妻にも好きなクルマに乗ってほしい 鈴木さんは宇都宮市で建設業を営む傍ら、ヒストリックカー関連のイベントにも出場し、さらにはつい先日までクルマ好きが集まるミーティングを十年以上に渡って主宰してきたエンスージアスト(熱心なカーファン)。そんな鈴木家に『500 Panna(チンクエチェント パンナ)』がやってきた理由は、それまで奥さまが納得できるようなクルマがなかったからだそうです。   ▲鈴木丈生さん   「少し古めのスポーツハッチバックや大型のワゴン、そして軽自動車にも乗ってもらいましたが、色々物足りない点があったようです」と鈴木さん。どうやら、その選択の多くは鈴木さんが乗りたい、もしくはファミリーユース優先と思ったクルマだった模様。そこで改めて奥さまに気に入ってもらえる専用のクルマを考えられたそうです。 ちょうど相前後して「『NUOVA 500(ヌォーヴァ チンクエチェント)』をモチーフにした新しい500が出るという話を聞いていました。NUOVA 500も好きでしたので、興味はありました」そして『500(チンクエチェント)』が2008年に日本でデビュー。街で見かけるようになると「やっぱり可愛いなと思いましたし、フェミニンでお洒落なイメージもありますので、妻に乗ってもらいたいなとは思っていました」しかし、購入のタイミングが合わずしばらくは鈴木さんの心の中にその気持ちをしまっていたそうです。そして今回購入した限定車、500 Pannaが登場します。 「僕が好きなクルマばかり乗っていますから、罪滅ぼしの気持ちもあり、妻にも好きなものに乗ってもらった方がいいんじゃないかとずっと思ってはいたんですね。そこで、見に行ってこの色いいな、やっぱりいいなと」   ▲500 Panna   実はこのカラー、鈴木さんのヒストリックセダンと近いカラーだったのですが、それをディーラーの営業さんに指摘されるまで気づかなかったそうです。「そう言われるまで忘れていたぐらい、クルマに似合っていたんですね。なので、2日くらい考えて買うことにしました」 “Panna”とはイタリア語で“生クリーム”の意で、それをイメージしたかのような『ニューエイジクリーム』というボディカラーは薄いベージュのような印象です。「ちょうどクルマのレトロな雰囲気に、このベージュがぴったり合う感じです。普段乗っても変に目立ちませんし、おしゃれな感じに見えるでしょう」と、元々ベージュ好きな鈴木さんにとって、ぴったりなカラーだったようです。       この空間にいたくなるクルマ 一方、奥さまはどう思っていたのでしょう。今回も鈴木さんの乗りたいクルマだったのでは。 「そんなことはないですよ。もともと500は好きで頭の中にありました。やっぱりクルマの形や雰囲気から可愛いと感じるんですよね。デザイン性が高いと思います。特に500 Pannaは色が決め手です。あの形にこの色がもうドンピシャ。すごく可愛いですよね。実際に見に行ったら、内装も可愛いらしくて。そのうえシートが『Poltrona Frau(ポルトローナ・フラウ)』ですので『ああ、これは素敵!』と思って決めました」と、試乗してみる前にすでに心の中で購入を決めていたようです。奥さまは「この空間にいたいと思わせるクルマだったんです」とその時の感想を教えてくれました。     そのデザインについては長女の万佑子さんも「特に内装は結構シンプルで、最近のミニマリズム的な冷たさではなく、温かくて柔らかい感じがして、癒しがあって可愛いですね」とのこと。 次女の桃子さんは「クルマ全体が丸いのが良いですね。それとつぶらな瞳が可愛い」とお二人ともお気に入りのようです。   ▲長女の万佑子さん   ▲次女の桃子さん   そして、奥さまは手元にクルマが来て「ドアを開けてシートに座る時に、ちょっと気分が上がるんです。パンナちゃんって呼んでいるんですけど、パンナちゃんに今日乗ろうと思うと、気分がふっと上がるんです」と本当に楽しそう。 これまでのクルマたちとは違い、奥さま自身のお気に入りのクルマだということが伝わってきます。 実は家族用で奥様がメインに使う大型のミニバンもあるのですが「自分1人で何も考えずに出かけるときはパンナちゃんですね。お天気が良いときには、ルーフを開けると気持ちが良いでしょう。そういう時は積極的にパンナちゃんに乗ります」とのことです。 そこで奥さまに500 Pannaを手に入れてからライフスタイルは変わったかを聞いてみました。すると「楽しくなりました。子育てで疲れたりしていても、買い物は行かなければいけませんよね。そんな時、これまでは『あぁ、気が重いなぁ』と思っていましたが『あ、今日はパンナちゃんで行こう』と思うと、ちょっと元気が出る。『よし!』みたいな感じになりますね」とまさに元気の源のような存在です。   次ページ:【長女の万佑子さんに受け継がれる『500 Panna』】 […]

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子育て卒業夫婦のベストセレクト|FIATオーナー紹介

昔からクルマが大好きで、社会人になってモータースポーツに積極的に参加してきた原田さん。サーキット用、ご家族とのお出かけ用、そしてイベント参加用のヒストリックカーまでお持ちです。そして、二人のお子さまたちが独立するタイミングで『500 TWINAIR(チンクエチェント ツインエア)』を手に入れ、5年が経過。奥さまの毎日のお買い物やおでかけを中心にお二人でお出かけの足としても活躍しているそうです。モータースポーツやヒストリックカーなど、クルマにこだわりのある原田さんがなぜ500 TWINAIRを選ばれたのか。その魅力を奥さまとともにお伺いしました。なお、奥さまは今回お話のみでのご出演です。   感性に響くクルマが欲しい 複数台のクルマをお持ちで、用途に応じて使い分けられている原田さん。基本的に『500 TWINAIR(チンクエチェント ツインエア)』は奥さま用だとおっしゃいますが、「子供たちが独立して、二人で出かけたりする時は500 TWINAIRがメインですね。楽しいですし、1番乗っています。年間で1万キロほど走りますから、もう5万キロくらいになりました」といまお使いの状況を教えてくれました。     そもそも原田さんはダートトライアルという未舗装路を走ってタイムを競うモータースポーツに20年ほど参加されていたそうです。そのため、そういった競技車両に目が向いていて、フィアットもモータースポーツに参加している車両、例えば『A112アバルト』や、『124アバルトラリー』、『131アバルトラリー』などに興味を持っていたそうです。しかし、15年ほど前に引退。 「この先、サーキットで全開走行してコンマ何秒を競うには身体能力的に限界が来るだろうと思いました。60歳を過ぎて、次にどう楽しく過ごすかを考えていたときに、昔、ラリーをやっていた仲間たちがヒストリックカーでイベント運営やツーリング、サーキット走行会など今までにないカーライフを楽しんでいたんですよ。たまたま『クラシックカーフェスティバルin桐生』に行ったら、同級生が運営メンバーとして『NUOVA 500(ヌォーヴァ チンクエチェント)』で参加していて、そこからイベントに誘われたりしているうちにヒストリックカーに魅力を感じるようになりました」と原田さん。   ▲原田さん   そこでヒストリックカーを手に入れ、イベントなどに積極的に参加。さらに、元々自らメンテナンスを行うほど腕達者であることから、もう1台ヒストリックカーを手に入れ、現在自分の手でレストア(クルマをすべてばらして、必要なところを修理・修復する作業)をしているとのことです。 原田さんは、「最新のクルマにあまり興味がないんですよ。テクノロジーが進化しすぎちゃって、どこもいじるところがないじゃないですか。それが面白くないんですね。自ら手を入れることが出来て、そして感性に響く何かを持っているクルマじゃないと嫌なんです」と持論を展開してくれました。   ツインエアのサウンドに魅せられて 原田さんは、500 TWINAIRを買うに至るきっかけについて、「妻は使い勝手重視で軽自動車に乗っていたんですが、子供たちが巣立ったこともあり、これからは2人だけの生活になります。かなり走行距離も伸びていたこともあって、次に乗り換えるのは何が良いかなって妻と話をしていました。その頃にヒストリックカーのクラブの仲間たちが『500』を勧めてくれて、目がいくようになりました」と振り返ります。     しかし、あまたあるコンパクトカーのなかで、500の魅力とは何だったのでしょう。原田さんは、「クルマを選ぶ上で、僕の意見と妻の意見があるんですよね」と前置きして、「まず乗って楽しくなければいけないというのは基本コンセプトです。2人でどこかに行くときも、そして長距離を走るときも、いつでも楽しい。勧められた500以外にもいくつか見ましたが何かが違ったんです。例えばコンパクトで完成度も高くまとまっているのですが、何か感性を刺激するものがないのです。そこで500 TWINAIRを試乗してみようと、ディーラーに足を運びました。エンジンをかけると“ポコポコポコポコ”といいながらスタートしたんです。そのときに、可愛くて、気持ち良くて、デュアロジックを自分でコントロールしているという感覚や、乗りこなす楽しみをすぐに感じたんですね。なぜ500 TWINAIRだったのか、ですか? このエンジンはとても魅力的です。NUOVA 500の雰囲気もありますし、何よりも音が魅力的でしょう」とその時の思い出を楽しそうに語ります。   ▲500 TWINAIR   さて、奥さまは今回のクルマ選びについて、「基本的にクルマはデザイン重視ですし、輸入車とか日本車とかあまりこだわりはありませんでした。それ以前に日本車で乗りたいと思わせてくれるクルマがなかったのも事実です。そもそも夫のようにクルマにこだわりはありません。日常の足ですから、運転しやすくて、可愛らしいクルマだったら良いなと思っていました。そんな気持ちを察してか、夫が(500は)可愛いから良いじゃないといったんです。その“可愛い”が私の中でヒットしましたね。それとどこにでも止めやすい小さいクルマが良かったのです」とデザインとサイズが奥さまのお眼鏡にかなったようです。   ライフスタイルにピッタリ ここから500選びが始まります。ちょうど限定車がいくつか出たタイミングでしたが、そのいずれもが1.2のPOPをベースにしたもの。原田さんとしてはやはり「ポコポコ」というエンジン音が忘れられなかったようで、 500 TWINAIRの限定車が出ないかしばらく様子を見たそうです。すると、購入したイタリーが登場。早速ディーラーで展示車両を確認し、「革シートで、内装も黒でシックですし、カラーもパールホワイトなのでこれしかないと思い、即決しました」と気に入ったポイント等も含めて教えてくれました。     他にもお気に入りのところをたずねてみると、原田さんは、「TWINAIRとデュアロジックのメカニカル的なところですね。実際にクルマと会話をしながら乗れるところが一番のお気に入りです」 奥さまは、「前から見た感じのフォルムですね。特段ごてごてしているわけでもなく、だからといってのっぺりしているわけでもない、なんとも可愛いらしい感じが良いですね。内装も、レザーシートですし、色も落ち着いているので、ちょっと高級感があります。外見の可愛さがそのまま内装も可愛いのではなく、落ち着いた感じになっているのが魅力です」と話すと、原田さんも、「佇まいとか雰囲気も良いですね」と同意見の様子です。       毎日のお買い物やおでかけにお使いの奥さま。実際に走らせてみると、「駐車場が狭くても入っちゃいますし、スーパーにお買い物に行っても、どこにでも止められます。ちょっと運転が下手な私にはベストサイズです」と満足そう。「2人で乗るのに十分な大きさとコンパクトさがすごく私は気に入っていて、我が家のライフスタイルにみあったベストセレクトなクルマじゃないかと。おじさんとおばさんがこんな可愛らしいクルマに乗っているのも悪くはないと思います」と楽しそうです。     お二人で500に乗って年に何回か旅行にも行くとのこと。 「去年は結婚30年でしたので、二人で長野の白馬とか安曇野に行ってきました。そういう景色のきれいなところでポコポコいいながらのどかに走れたり、ワインディングでもストレスなく走ってくれるのでとても気持ちが良いですね」とモータースポーツ経験のある原田さんも十分満足そうです。   ▲写真協力:内田俊一 […]

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フィアットがいない生活は想像できない|FIATオーナー紹介

フィアットの『Panda』を愛する人々が集まるイベント『パンダリーノ』。その取材にお伺いした際、愛車の『Panda Cross 4×4(パンダ クロス フォーバイフォー)』の側でフレンチトーストを焼いていたお二人が今回お話を伺った岡部さんご夫妻です。これまでにフィアット車を何台も乗り継いでいるほか、いまも『Nuova 500(ヌォーヴァ チンクエチェント )』といっしょに暮らしているとのこと。そこで、岡部さんご夫婦に、歴代の愛車の話やフィアットの魅力をたっぷりと伺いました。   Nuova 500がはじめてのフィアット 「大学生の時に先輩から“俺はいつかこのクルマが欲しいんだ”とNuova 500の写真を見せてもらったのが、フィアットというメーカーやNuova 500を知ったきっかけでした」と最初の出会いを教えてくれた岡部さん。   ▲岡部さんご夫妻   そのときに、「僕も凄く欲しい!」と思ったそうです。岡部さんは、元々クルマ好きだったそうですが、その頃は国産の旧車に興味が向いていたとのこと。しかし、「これがきっかけで一気に興味がわきました。ワールド・カー・ガイド(ネコ・パブリッシング刊)のフィアットをすぐに買ってパラパラとめくってみたら、魅力的なクルマがいっぱい載っていて、アバルトもそこで知りました。それがフィアットは面白いと思った始まりです」と嬉しそうに思い出を語ります。そして岡部さんは、「その頃からNuova 500貯金として毎月1万円を貯め始めました。最終的に10年間かかりましたが、そのお金でNuova 500を買えたのです」 このクルマが岡部さんにとって初めてのフィアットになりました。   ▲Nuova 500(写真協力:岡部さん)   フィアットの魅力について、「デザインや走りなどクルマの本質に関わる部分がすごくしっかりと作られているところですね。特に著名なエンジニア、ダンテ・ジアコーサが作ったフィアットのクルマ達や、ジョルジェット・ジウジアーロがデザインした初代Pandaもそうですが、機能を突き詰めて考えた結果、あのデザインになったというクルマがフィアットには多いというところに、すごく惹かれました」と語る岡部さん。     その結果、日本車はもちろん、他のヨーロッパ車には目もくれずフィアット一筋。ワールド・カー・ガイドを毎日眺めながら、フィアット車のことを考えて過ごしていたそうです。 実は、Nuova 500の前に、もう1台購入を考えていたフィアット車があったそうです。「社会人になって普段使いのクルマとして、絶対にフィアットが良いと思って『フィアット リトモ アバルト130 TC』の購入を考えていました。コンパクトなハッチバックで“熱いエンジン”を搭載しているのが魅力でしたね。しかし、親に反対されて断念しました」 そこで、スポーティな走りも楽しめる日本車を手に入れ、そのクルマを持ちながら後にNuova 500も購入。そして、その日本車は13年ほど乗ったころからトラブルが相次いだため手放して、Nuova 500のみの生活になったとのこと。「妻といっしょに、Nuova 500でいろいろな場所へ出かけました。屋根のない駐車場に停めていたため、大雪でクルマが埋まってしまったという思い出もあります」 加えて、奥さまから面白いエピソードが。「ある時、土砂降りの中を迎えに来てくれたのですが、突然道を歩いてるおじさんに『これ、フィアットじゃないですか?』と話しかけられ『中を見せてくれ』といわれたことがありました」そして「珍しいクルマだから、どうしてもインテリアを見たいといきなりドアを開けられたよね(笑)」と岡部さんご夫婦は顔を見合わせながら楽しそう。     また、奥さまは、「インパネ周りがツルッとしているので、それにビックリしました。嫌だなという感じは全然なく、楽しい、可愛いと思いました。土砂降りの中で乗っても、ついつい笑っちゃうんです」とお二人ともNuova 500を本当に大好きな様子です。   2代目Pandaからはじまる、快適なフィアット生活 Nuova 500を所有していたものの、年式が古いため長距離でのお出かけはレンタカーを借りていたという岡部さんご夫婦。 「レンタカーを借りる度に、すごくガッカリしていました。こういうクルマに毎回乗るのであれば、やっぱりもう1台、フィアットで何か良いのはないかなと考え2代目『Panda(パンダ)』の中古車を買いました」 そこでも、フィアット車であるということは譲れなかったそうで、他ブランドのクルマのことは、まったく考えなかったそうです。   ▲500X(写真協力:岡部さん)   すでに、この2代目Pandaを手放しているという岡部さん。実は、そのことを後悔しているそうです。「サイズ感や、小さいのに5ドアであることなど、いまにして思うと貴重な存在でした」とのこと。 そのPandaを手放した後『500X(チンクエチェントエックス)』を購入。500Xの購入には、実は岡部さんの趣味が関係していました。「トレイルランニングや登山をするので、ちょうどSUVの四駆が欲しかったのです。そうした思いにピッタリなモデルがフィアットのラインナップに加わっていたことと、形が500に近いこともあり、ずっと欲しいと思っていました。ちょうど『Panda 4×4(パンダ […]