クルマ好きのお客さんのガレージハウスを設計するなど、建築士として活躍している近藤光一(こんどう・こういち)さん。普段乗りできる楽しいクルマとして『500C TwinAir(チンクエチェントシー ツインエア)』を購入された近藤さんに、フィアットを選ばれた理由、そして『500』の魅力について自動車ライター・嶋田智之さんがお話を伺いました。 『NUOVA 500』と同じオープントップ 今回登場していただく近藤光一さんは、ガレージハウスやビルトインガレージ住宅、店舗などを手掛ける建築士さん。趣味のフランス製クーペとハッチバック、イタリア製オープンスポーツカー、普段使いの日本製SUVと奥さま用のフランス製MPV、そして普段乗りもできる趣味のクルマとして2022年に『500C TwinAir(チンクエチェントシー ツインエア)』を増車したエンスージャストでもあります。 「僕は趣味のクルマの世界にはフランス車の方から入ってきているんです」とおっしゃる近藤さんが『500』のどんなところに惚れ込んでいるのか、お話を伺いました。 ▲近藤光一さん フランス車の世界から入った、とはどういう流れなんですか? 「最初のうちは日本車を2、3台乗り継いでいたんですけど、途中で何か虚しくなっちゃったんですね。だけど、たまたまうちの近所でフランス車のハッチバックを試乗したら、よく走るし乗り心地もいいし安い。そこからフランス車の世界に入ったんです。日本車を乗り継いでいたときには足はガチガチが偉い、街の中では信号での出だしが速ければいいみたいに、クルマの価値観が凝り固まっていた部分があったんですけど、そのクルマに乗ってからはどうでもよくなっちゃいました。すべての方程式をそこから組み直した感じです」 『500』との出逢いは? ▲近藤さんご自宅のガレージと『500C』 「実は、プロトタイプの『トレピウーノ』を見て興奮したタイプなんです(笑)。2004年に発表されたのを知って、早く出ろ、早く出ろ、って。デザインに惹かれて、欲しいと思ったんですね。僕はフランス車が好きな一方で、昔からクラシックなイタリア車に趣味で乗っていて、それが今持っているオープンカーなんです。イタリアやイタリアの文化、イタリアのクルマも大好きなんですよ。それで2007年の新型『500』デビューのタイミングに合わせてチンクエチェント博物館がイタリアツアーを企画してくれたので、僕も参加して『500』のインターナショナルミーティングにも行きました。実はそのとき、僕は新型『500』を買うつもりで行ってるんですよ。おつきあいさせていただいている博物館の伊藤精朗代表が誘ってくれたから、みんなで買いに行きましょう!って(笑)。そう言ったくせに、結局、15年間買わなくて……」 何か理由があったんですか? 「発表されたのは2007年でしたけど、クルマは2008年まで入ってこなかったじゃないですか。その間にいろんなクルマの誘惑があって、手元のクルマが増えちゃったんです。もうこれ以上は増やせないし、でもずっと気になっているし、っていう状態で15年が経っちゃったんですね」 15年の沈黙を破って『500』を購入することになった、そのきっかけは? 「コロナ渦と世界情勢の影響、ですね。ちょうど1年前の初夏、それらが原因で部品が入ってこなくなっちゃったんですよ。奥さんのクルマと古いオープンカー以外、あれもこもれもぜんぶ動かせなくなっちゃったんです。だから仕方なくエアコンもパワーステアリングもない、古いオープンカーを足に使っていたんですよ。真夏に(笑)。打ち合わせで現場にも行きたいしお客さんのところも行きたいんだけど、汗染みだらけの変な人が来たって思われたら嫌だなって考えていたら、友達がチンクエチェントのレンタカーがあることを教えてくれて、借りることにしたんです。そこで気がついたんですよ。僕は15年間、このクルマを買ってなかったって。結局3ヶ月借りて、秋に自分の『500C』を買いました。ツインエアにするか1.2ℓにするか迷いましたけどね」 『500C』を選んだのはなぜでしょう? 「最初の『NUOVA 500(ヌォーヴァ チンクエチェント)』のトップって、お尻の方まで開くんですよね。あのデザインこそが『500』だと思っていたんです。だから2009年の春先に『500C』が追加されたとき、それをモチーフにデザインしてくれたことが嬉しくて。ルーフの上の部分だけじゃなくてお尻の方までトップが降りてくる。これだよこれ!と思って、最初から『500C』を買うつもりでした」 ツインエアを選んだのは? 「1.2ℓの『500』のレンタカーに乗っているときに、高速道路の長い登り坂で個人的にトルク不足を感じたんです。僕なんかはデュアロジックでギアを落としてエンジンの回転を上げてしのぎますけど、奥さんは苦手みたい。それでショールームに行ってツインエアを試乗させてもらったら、やっぱり元気だなって感じたんです。トルクがありますよね。これなら大丈夫って確信しました。実際、僕の家のまわりも坂道が多いんですけど、力強さには不満はありませんよ」 次のページ:【一家に1台『500C』だな、って思う】
フィアットに心惹かれてから、1年間ほど“フィアットファン”として過ごしていたという波多野(はたの)あゆみさん。その後、『500』を購入にいたった経緯やどんなところに魅力を感じているかについて自動車ライター・嶋田智之さんがお話を伺いました。 少しずつ少しずつ“好き”が膨らんでいきました 「私、もともとはまったくクルマに興味がなかったんです。免許は取っていて、仕事に行くために必要だからクルマを買うことになったときも、安いし安全そうだからこれでいいか、っていう感じで何も考えずに決めていました。なのに、『500(チンクエチェント)』に出逢ってからガラッと変わっちゃいましたね(笑)」 そう笑うのは、波多野あゆみさん。数年前まではクルマに興味がなかったというのに、現在では6年前から愛車となっているカントリーポリタンイエローの『500』にずっと心を奪われ、クルマのことも大好きになった模様。いったいなぜそうなったのか、お話を伺ってみました。 あゆみさんは昨年の7月に結婚されたとのことですが、転機はのちの旦那さんの家に遊びに行ったときに訪れました。今から7年ほど前のことでした。 「彼の家でフィアットからのDMを見て、このオニギリみたいな形をしたかわいいクルマは何だろう?って思ったのがきっかけでした。ちょうど『500』がマイナーチェンジをして新しい顔になったよっていうお知らせで、ポップコーンをイメージした白の『500』がデザインされているDMでした。そこで気がついたんです。駐車場で彼のクルマの隣りにいつも停まっているクルマ、フィアットでしょ!って(笑)。それまでクルマに興味がなかったから、まったく気にしてなかったんですね。調べてみるとチャチャチャアズールカラーの『500』であることが分かって、それからすごく『500』を意識するようになって……」 ▲波多野あゆみさん そこで『500』いいな、って思っちゃったんですね? 「そうですね。お隣のチャチャチャアズールがすごくよかったんです。デザインと色と雰囲気の完璧なクルマがたまたま近所にいて、ハマってしまいました。私はもともとオタク気質があって(笑)。ハマったら自分がどうなるか知っていたので……」 ハマるとどうなるんですか? 「『500』が出ている雑誌や新聞を見つけたら全部買って、ちょっとでも載っているところがあったら切ってノートに貼って。ほんとハマるとやばいですよね(笑)。これはもし自分がフィアットに乗ったら大変なことになると思って、推しのことは“かわいい”“かわいい”って楽しむだけにしよう、それですませておこう、って思っていたんです。それはそれで楽しかった。1年くらいずっとファンしていて、その当時は今ほど『500』が周りで走っていなくて、出会うのがちょっと珍しい感じだったので、出かけたときにすれ違うたび彼と大騒ぎしていました」 なるほど。最初のうちは“かわいいな”と思っても、自分で乗ろうとは思ってなかったわけですね。なのに、なぜ購入する方向に……? 「少しずつ少しずつ“好き”が膨らんでしまって。私、下調べをいっぱいしていたんですよ。実際に乗っている人のブログとかを見たりして、壊れないかとか、どういう仕様なのかとか、ちゃんと走るのかとか。かわいいだけじゃやっていけないから、ちゃんとクルマとして安心して乗れるのかとか。そうしているうちに“キュン”ってする気持ちがどんどん大きくなって、いつからか自分が乗りたいって思うようになっちゃったんです。好きすぎて『500』の絵を練習しはじめたりとか。乗るからには描けなきゃ、って(笑)」 ハマったらどうなるか、の一端がわかった気がします(笑)。購入されるときはどう踏ん切りをつけていったんですか? 「買いたいという気持ちが出てきた頃からフィアット貯金をはじめました。働きはじめてまだ少しだったから貯金が少なくて、1年ぐらいして頭金が貯まった頃に勇気を出してショールームに行きました。最初はチャチャチャアズールが欲しかったんですけど、ぜんぜんなくて、だけどもう乗りたい気持ちが膨らんじゃっているから、1ヶ月もたたないうちに今のカントリーポリタンイエローの『500』に決めちゃいました。全般的に黄色のものは好きだったので」 ▲カントリーポリタンイエローカラーの『500』 最初に『500』を意識した瞬間からたった1年で、激変しましたね(笑)。購入するときに試乗もしたと思うんですけど、最初に『500』に乗ったときにはどんなふうに感じました? 「それまで普通のクルマにしか触れてこなかったので、最初はちょっと癖があってビックリしました。デュアロジックは初めてだったので。でも運転していて慣れていく感じがしたから、ちっとも嫌じゃなかったです。というか、何より乗っている時間が本当に楽しかった。ついに運転しちゃった!って緊張で手が震えちゃって。試乗のときには彼が後ろに乗っていたんですけど、そのときの様子を写真で撮られてました(笑)。彼も『乗った方がいいよ、そんなに好きなんだったら買った方がいいよ』って、押し押しでした。憧れていたクルマ、すれ違うたびに私を笑顔にさせてくれたクルマが、とうとう自分のものになるんだ、好きすぎるこの推しに私が乗ることになるんだ、って本当に嬉しい気持ちになりましたね」 次のページ:【お気に入りのカフェのドアを開けた瞬間の気持ち】
クルマ仲間と気軽に集まることの出来るイベント『新舞子サンデー』を主催したり、チンクエチェント博物館のイベントのお手伝いをしたりと、イベントのディレクターとして活躍される猪飼是尋(いかい・ただひろ)さん。イタリア車好きの猪飼さんの愛車『500』について、購入のきっかけや魅力などを自動車ライター・嶋田智之さんがお話を伺いました。 自分を穏やかにさせてくれる雰囲気が、本当に大好き 東海エリアのクルマ好きの間でよく知られている『新舞子サンデー』というイベントがあります。6月から8月を除く毎月第3日曜日に愛知県知多市の新舞子マリンパークで開催されているいわゆる“置き系”イベントで、毎回300台を越えるクルマたちが集まって楽しい時間を過ごします。 そのイベントを2010年にはじめ、現在もディレクターとして運営を取り仕切っているのが、今回登場していただいた猪飼是尋(いかい・ただひろ)さんです。その手腕を買われて、チンクエチェント博物館が主催する“ミラフィオーリ”や“トリコローレ”といった全国に広く知られるイベントのディレクターとしても活躍されています。 ▲猪飼是尋さん 猪飼さんはイタリア車好きとしても知られていて、その愛車の1台が『500(チンクエチェント)』。2010年に300台限定で販売された、ブルー ヴォラーレの『500 Azzurra(アッズーラ)』です。もともとは現在も並行して所有するイタリア・ミラノのブランドのクルマの愛好家でもあるのですが、同時に「これからの僕の人生の中で『500』というクルマを持たない時期はもうないだろうなって思っています」というほど、トリノのブランドの小さなクルマがお気に入りの様子。その理由を訊ねてみました。 まずは『500』を購入することになったきっかけを教えてください。 「実は最初、自分が買うべきクルマだとは思っていなかったんです。もちろんフィアットは好きだったし、試乗して欲しいと思ったこともあったんですけど、すでに趣味のクルマが別にありました。あと、何より高校生と中学生の娘3人がいる5人家族なので、家族全員で乗ることを考えたら『500』だとやっぱり小さいんですね。それで家族用に国産のハイブリッドカーも所有しているんですけど、1年半前に職場の移転で公共交通機関からクルマ通勤に切り替える必要が出てきて、どうせならイタリア車で通勤したいっていう気持ちが強くなり、『500』を購入することにしました」 ▲『500』 いいチャンスだったんですね。実際まいにち乗るようになってみて、いかがでしたか? 「こんな楽しいクルマ、なかなかないな、と。乗ってみて初めてわかる良さ、楽しさっていうのが、あふれるように伝わってくるクルマなんですよね。仕事では日々せわしくしているんですけど、『500』ってゆっくり走っても誰にも何も言われないし、自分のペースで走れるんですよ。ほかのクルマに乗るときとは、右足への力の入り方が変わるんです。『500』のいいところってそこで、それは買った当初も今も変わってないです」 たしかにそういうキャラクターの持ち主ではありますね。 「そうですね。この“キャラクター”っていうのがすごく大切で、そんなに急がなくてもいいよ、せかせか生きなくていいよ、って言われている感じがするんです。今までいろんなタイプのクルマに乗ってきて右レーンを走ることが多かったんですけど、『500』だと基本は左レーン。僕はどっちかというと少し早めに現地に着こうって思うタイプなんですけど、『500』に関してはゆっくり走った方が楽しいから、それを見越して早く出発するんです。不思議ですよね。すごく穏やかな気持ちにしてくれるクルマ。平和な空気感というか、自分を穏やかにさせてくれるこのクルマの雰囲気が、本当に大好きなんですよね」 『500』には意外とスポーティな一面もあるわけですが、そっちの方は……? 「がんばって走ると、たしかにそれはそれで楽しいです。ワインディングロードのようなところを走ると、気持ちよく曲がってくれますからね。『500』の1.2ℓのファイアエンジンは設計も古いし非力といえば非力なんだけど、よく回ってくれて楽しい。シーケンシャル操作でギアを変えながら回転を上まで引っ張っていくと、結構速い。普段はATモードで走っていますけど、そういう道に行ったときにはシーケンシャル操作で走りを楽しんだりしています。まったりと元気の両方が楽しめるのも『500』のいいところですね」 次のページ:【この先ずっと『500』と名のつくクルマに乗っていこうと思っています】
広告制作会社にお勤めの小島潤一(こじま・じゅんいち)さんにアートディレクターの目線で、13年間乗り続けている『500C』について語っていただきました。フィアットを選んだ理由やデザインの魅力について、自動車ライター・嶋田智之さんがお話を伺います。 昔から全般的にクラシカルなデザインのものが好き 今回ご登場いただく小島潤一さんは、日本でも有数の広告クリエイティブを手掛ける会社にお勤めの、アートディレクター。企業や商品、大型施設などのブランディングを取りまとめ、TVCMの企画からロゴ・パッケージ・空間まで多岐にわたる分野のデザインも手掛けてこられました。またプライベートでは1961年式の英国製ライトウェイトスポーツカーを長年所有しつづけてきたエンスージアストでもあります。 そしてもう1台の愛車が、2010年に50台限定で販売された、テックハウス グレーのボディに赤いソフトトップが組み合わせられた『500C VINTAGE(チンクエチェントシー ヴィンテージ)』。優れた審美眼や絶妙なバランス感覚、そして豊かな遊び心が要求されるお仕事につき、クルマ趣味の酸いも甘いも体験してきている小島さんが、新車で購入されてから13年間、なぜ『500』に乗り続けているのか、お話を伺いました。 ▲小島潤一さん 小島さんの車歴は、誰もが知っている英国製の小さな名車からはじまったのだそうです。 「19歳のときに買って、6年乗りました。でもエンジンを降ろすことになりお金がかかりそうだったので、フランス製の洒落た小型ハッチバックに乗り換えたんです。でも、しっくりこなくて、半年ぐらいで国産オープンスポーツカーに。すごくダイレクトで、レスポンスもよかったし、ここでオープンの魅力を知りました。まわりにはヒストリックスポーツカーに乗っている知り合いがたくさんいて、こういうブレーンがいれば古いクルマに乗っても平気かな、と思って今の1961年式の英国製オープンスポーツカーに乗り換えたんです。30年ぐらい前の話ですね」 ▲小島さんご自宅のガレージ そのクルマが持つ独特の世界観と、全身で楽しさを感じられるドライビングフィールに魅せられてしまった、ということなのでしょう。でも、驚いたことに小島さんはそれから20年ほど、その小さなスポーツカー1台で過ごしてこられたのだとか。その間に結婚もされ、奥さまも“クルマっていうのはこういう(長く乗る)ものだ”と思ってこられたのだそうです。にも関わらず、2010年に突然『500』を購入されたのはなぜなのか、やはり気になります。 「小さいクルマが好きだし、昔から全般的にクラシカルなデザインのものが好きだったから、古い『500』もすごく好きだったんです。以前、かつての名車をモダンにデザインしなおしたようなクルマがいろいろなメーカーから出たじゃないですか。その流れの中でフィアットからも『500』がデビューして、『これはやばいな』と思ったんです。普段使いのクルマの必要性を感じていたから。でも、なぜか踏み出せなかったんですよ。そのあと、アンテナを張っていたらテックハウス グレーに赤いソフトトップのモデルが出て、昔の『500』のルーフをパタパタって開けるのに似ていて、即、買っちゃったんです。ショールームですぐに売り切れちゃうと思うっていわれて、ほとんど一目惚れの衝動買いですね(笑)」 ▲『500C VINTAGE』 イタリアはデザインの国なんだな、と改めて思う ひとりのデザイナーとして、『500』のデザインをどうご覧になりますか? 「購入の決め手がデザインってくらい、かなりレベルが高いと感じますね。まったく隙がなく、旧型のコンセプトを継承しつつ、モダンにかわいくまとめている。昔の『500』もそうだけど、ヘッドライトのところからボディを1周する筋があって、そこから下がもっこりしている感じは今の『500』も受け継いでいる。日本車だったらこういうところにモールを入れて分けちゃうところなんでしょうけど、でも『500』はそこを面の構成による光の反射だけで表現している。そういうところが好きですね。内装が昔と同じボディ色のインストルメントパネルっていうのも、今のクルマではなかなかないじゃないですか。シートにあしらわれた白いパイピングとか、その洒落ている感じにも惹かれます。イタリアはデザインの国なんだな、と改めて思いますね」 オープンの『500C』を選んだのは、やっぱりオープンが好きだからですか? 「もちろんです。僕たちの仕事はここまでやれば“OK”っていうことがないから、平日は予想外に仕事の予定がみっちりになっちゃうんです。だから週末にオープンで走っていると、たとえ近所の買い物とかでも気持ちが開放されるので」 普段どんなふうに『500』に乗っているんですか? 「日頃は横浜の街乗りばっかりですね。月イチで開催されるマルシェに食材を買いにいって、そこでトートバッグいっぱいに買って帰ってきたり。『500C』って、そういうときの使い勝手は見た目以上にいいですよ。ハッチバックと比べると荷物の入るスペースが小さいと思っている人が多いですけど、実は開口部が狭いだけで容量はあまり変わらないんです。大きな荷物をドンと積むとかでなければ、積める量はほとんど同じなので不自由はないです」 『500』でどこかへ出掛けたりはしますか? 「年に5〜6回、三浦半島に行ったりはしますよ。母親の実家があって、幼い頃から馴染みがあるんです。昔からドライブは三浦半島ですね。家から1時間以内で行けるし、海もあるし丘もある。ヨットハーバーみたいのもいくつかあって、かなり開放感があるんですよ。あとゴールデンウィークと夏休みには、『500』で行ける範囲で旅行もします。いちばん遠くまで行ったのは京都の日本海側ですかね。あるときInstagramで琵琶湖の湖畔の“#あのベンチ”っていうのを見て、行ってみたいと思って。湖とそれを眺めるベンチと木とクルマをいっしょに写真を撮れる、撮影スポットなんです。そしたら、そこから京都の海沿いまでわりと近いことに気づいて。加えて、知多半島や岐阜にも行ったので、4日間で1,500キロくらい走りました。『500C』はロングドライブでもあんまり疲れないんですよ。それに、マニュアル操作でその気になってドライブすると結構元気よく走ってくれて、楽しいですよね」 次のページ:【代わりになるものが思い浮かばない】
10年間『500』に憧れ続け、現在は『500 Dolcevita』に母娘で乗るサチエさんと、エミナさん。親子ふたりで楽しんでいるというチンクエチェントライフについて、自動車ライター・嶋田智之さんがお話を伺いました。 10年間ずっと欲しかったクルマだったので、感動的でした 今回お話をお伺いするのは、2021年に即完売となった限定モデルの『500 Dolcevita(チンクエチェント ドルチェヴィータ)』を幸運にも手に入れることができたサチエさんと、免許取り立てのエミナさんです。 ▲サチエさん(左)、エミナさん(右) サチエさんは2009年頃に街で『500』と出逢い、ひと目惚れ。けれどその後は、10年以上も思いを募らせるばかりでした。 サチエさん「なんてかわいいクルマなんだろう!って衝撃を受けたんです。それからは街で『500』とすれ違うたびに『いいな。かわいいな。欲しいな』って、いつもクチにしていました。クルマに対してそんな気持ちになったこと、なかったんです。でも、日本車の販売店に勤めている友達にずっとお世話になってきたから、買い換えたいって言えなくて……」 エミナさん「母が『ああ、かわいい、やっぱりかわいい』って言っていた記憶はありますね(笑)。私もクルマのことは何も知らなかったけど、でも母がずっと『かわいい』って言っているクルマだっていうことはいつの間にか認識できていて、その後もずっとずっと『かわいい』って言い続けていたから、いつ買うんだろう?って思ってました(笑)」 転機が訪れたのは、サチエさんがフィアットの公式Instagramを見るようになってから。ある日、『500 Dolcevita』の写真を見て、胸が高鳴ったとおっしゃいます。 サチエさん「白いレザーシート!これだ!って思いました。好みにドンピシャだったんです。すでに『500』に乗っていた友達に相談したら、早くしないとなくなっちゃうよって言われて、でも意味がわからなくて(笑)。フィアットの限定車はすぐに売り切れちゃうこと、知らなかったんですよ」 ▲『500 Dolcevita』 サチエさん、エミナさんが一緒にショールームを訪ねると、残り1台で商談待ちが2組。ドキドキしながら待っていると、何と2組とも購入には至らず。商談の権利が巡ってきたそうです。 サチエさん「地方に単身赴任をしていた主人に17時頃に電話が繋がって、『あと1台しかなくて、しかも19時までに返事をしなくてはいけないの』と購入を懇願したら、『ずっと欲しかったんだもんね。いいよー』と言ってくれたんです。思わず泣きそうになりました」 『500』のどんなところに、そこまで惚れ込んだんですか? サチエさん「かわいいところに尽きますね。正面の顔が笑っているように見えるところとか、お尻がキュッてあがっているところとか。いや、全部ですね。ホワイトのボディカラーも赤いダブルのストライプも。クロームのエンジンフードのラインも、ホイールも、“500”ロゴの入ったサイドモールもリアゲートの“Dolcevita”のロゴも。それに、アイボリーを基調としたエレガントなインテリア!ポルトローナフラウ製の赤いパイピングがついた白いレザーシート、ナチュラルウッドのパネル、beatsのスピーカー。すべてがお気に入りです。ただ、私が購入したときにはすでに売り切れていた青と白のボーダー幌の『500C Dolcevita(チンクエチェントシー ドルチェヴィータ)』への憧れがあって、ガラスルーフのサンシェードやフィアットのバスケットを青と白のボーダーで装飾して楽しんでいます」 いざ『500』と暮らすことになって、初めて走らせたときにはどんな気持ちでしたか? サチエさん「ニヤニヤが止まりませんでした。エンジンをかけると“Dolcevita”の文字がモニターに浮かび上がるのですが、それだけでもううれしくて。ああ、私『500』を運転してる!って。10年間ずっと欲しかったクルマでしたから、感動的でしたね」 エミナさん「まわりから見たらあやしく思われそうなくらい、嬉しさのオーラがすごい感じでした」 毎日一緒に過ごしてみて、『500』はいかがですか? サチエさん「2年ちょっと経ちましたけど、毎日かわいいですね」 エミナさん「一緒に乗っていると、母はクルマから降りるときに必ず『ああ、今日もかわいい』って言うんです。たしかにかわいいけど、普通、そんなに毎日『かわいいかわいい』って言わないですよね(笑)」 エミナさんは免許を取ったばかりだそうですけれど、『500』を初めて運転したときはどんな気持ちでしたか? エミナさん「免許を取った次の日だったので、ちょっと緊張しました。ずっと助手席に乗っていたので感動はそんなにはなかったんですけど、でも、このかわいいクルマを運転しているんだ、気分が上がるな、って感じましたね。『500』を運転している友達はひとりもいないので、自分のクルマじゃないんですけど、特別な感じがしてちょっと嬉しいな、って思いました」 次のページ:【『500』は誰にでも愛されちゃうから】
“イタリア各地をめぐるフィアット”がテーマの『フィアット オリジナルカレンダー 2023』。2ヶ月ごとに、フィアットの各モデルがイタリアの6つの街をめぐるイラストが描かれています。5月と6月は、イタリア人のみならずヨーロッパ各国の人々にとっても憧れの地『VAL D’ORCIA(オルチャ渓谷)』です。本連載を執筆しているコラムニスト大矢アキオ氏は、渓谷の玄関口であるシエナ県をベースにして27年。在住者ならではの視点で、エリアの魅力をたっぷり紹介してもらいましょう。 なお、『フィアット オリジナルカレンダー 2023』はダウンロードが可能。方法は記事の最後に掲載しているので、ぜひチェックしてみてください! ▲サン・クイリコ・ドルチャとピエンツァを繋ぐ道沿い、歴史を1590年にさかのぼる『ヴィタレータの聖母礼拝堂』。羊飼いの前に現れたとされる聖母マリアを祀ったものです。 世界遺産にも登録されているオルチャ渓谷 オルチャ渓谷は、イタリア中部に位置するシエナ県の南部・主にオルチャ川流域を指します。面積は、東京23区(約627平方キロメートル)に近い610平方キロメートル。牧歌的な丘に糸杉が連なる風景と、ローマに至る巡礼ルート『フランチージェナ街道』は、長年にわたって芸術家たちのインスピレーションを刺激し続けました。2004年にはユネスコの世界遺産に指定され、さらに世界から注目されるようになりました。 ▲バーニョ・ヴィニョーニの中心にある『源泉の広場』。この地の温泉水は遠くエトルリア時代から人々に愛されています。15世紀後半、イタリアのルネサンス最盛期にメディチ家の当主であったロレンツォ・デ・メディチも通っていました。 ▲『Via dell’amore(愛の小径)』と名づけられた場所で。15世紀のローマ教皇ピウス2世が、故郷を理想都市にすべく改造を試みたのが、今日のピエンツァ村です。 最上級格付けであるDOCGワイン『ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ』、羊乳のチーズ『ペコリーノ』などグルメ垂涎の地としても知られています。 ▲高級ワイン『ブルネッロ・ディ・モンタルチーノ』を手掛けるワイナリーのひとつ、チャッチ・ピッコローミニ・ダラゴーナ。その歴史は17世紀末の修道院長による領地に始まります。 毎年初夏にはヒストリックカー・ラリー『ミッレ・ミリア』が、秋にはレトロ自転車走行会『エロイカ』がオルチャ渓谷をコースにするのも、数百年時計が止まったような自然と村が残っているからこそです。 ちなみに私の知人のフランス人やドイツ人は、毎年オルチャ渓谷でバカンスを過ごしたあと、途中の街に脇目もふらず国境まで帰っていきます。夢から醒めたくないといわんばかりに。それはこのエリアが、あまりに魅力的であるからに他なりません。 ▲その名も『糸杉の道』。“イタリアで最も美しい温泉地”と言われる小さな分離集落のバーニョ・ヴィニョーニとバーニ・ディ・サン・フィリッポを結ぶ州道2号線に現れます。 オルチャ渓谷を走るフィアットたち 今回もおすすめのスポット紹介の前に、オルチャ渓谷で見かけたフィアットたちの写真をご紹介します。 ▲トッレニエリで。春の丘を下る『500(チンクエチェント)』。 ▲ピエンツァ村を駆け抜ける2代目『Doblò Cargo(ドブロ カーゴ)』。ルネサンス建築と不思議と調和するデザインがイタリアン・ブランドらしいところです。 ▲サン・クィリコ・ドルチャのプレトリオ宮前を曲がる『500X(チンクエチェントエックス)』。この町は長年伝統的な自動車レース『ミッレミリア』の通過地点です。そのため、イタリアの伝説的ドライバー、タツィオ・ヌヴォラーリの像も建立されています。 ▲ピエンツァの細い路地からひょっこり姿を現した初代『Panda(パンダ)』。それも先代『500』に起源をもつ空冷2気筒エンジンの“30”型です。 ▲サン・クイリコ・ドルチャに11世紀から建つ『被昇天のマリア教会』で。初代『Panda 4×4』は、その走破性と強靭さから今も人気のモデルです。 次のページ:【オルチャ渓谷のおすすめスポットをご紹介】
自動車専門誌『ル・ボラン(LE VOLANT)』が、東京・世田谷の二子玉川ライズで2023年3月18日・19日に開催した『EV:LIFE FUTAKOTAMAGAWA』。フィアットは、国内デビュー1周年を迎える『500e』で参加。EVでは現在唯一、ルーフが全開する『500e OPEN』の展示から、『500e』の魅力が体感できる試乗体験会まで、多くの人々が最新の『500』に触れた模様を報告します。 EV唯一のカブリオレ仕様『500e OPEN』をご紹介 数多くのショップやレストラン、さらには映画館まで備える『二子玉川ライズ』。その中央を貫くガレリアと中央広場に、およそ15の国内外自動車メーカー&ブランドの“エレクトリックなクルマ”が一堂に会する『EV:LIFE FUTAKOTAMAGAWA』が開催されました。 本イベントを主催する自動車専門誌『ル・ボラン』は、環境意識の高まりに合わせて注目が集まりながらも、まだ少し距離があると思われがちなEV(電気自動車)をより身近に感じてもらうため、3年前から『EV:LIFE FUTAKOTAMAGAWA』を開催しています。 2023年の今年、フィアットは国内デビュー1周年を迎えるEV『500e(チンクエチェントイー)』とともに参加。思えば、週末のショッピングを楽しむ人々が行き交う中で、電気自動車だけでモーターショーが実現できるのは、新たな時代の到来という他にありません。 ▲『500e OPEN』 ここで、改めて『500e』をご紹介します。2022年4月5日に日本国内で発表されたコンパクトカーは、1957年の登場から環境に配慮し、小さい排気量、小さいサイズで開発された『Nuova 500』(愛称は、イタリア語で“500”を意味する“チンクエチェント”)の流れを汲む電気自動車です。現行の『500』とそっくりですが、EV化に伴ってすべてを一新。ボディも『500』の全長3,570㎜に対して60㎜長くなったものの、世界中で愛される『500』の可愛らしさは、新たなルックスで表現されました。 展示車両は、現在のEVで唯一ルーフが全開する『500e OPEN』。カブリオレ仕様は誰にとっても興味深かったようで、特に小さな子供たちから歓声が上がっていました。 特に女性に伝えたい『500e』の魅力 来場者の興味を引き続けたフィアット展示ブースでは、ノベルティグッズを提供するキャンペーンを実施。また、展示車両にフォーカスするコーナーでは、モータージャーナリストの竹岡圭氏と、フィアットブランドマネージャー、熊崎陽子氏による『500e』の紹介が行われました。 ▲キャンペーン参加者にプレゼントされたフィアットのノベルティグッズ ▲モータージャーナリスト 竹岡圭氏(左)と、フィアットブランドマネージャー 熊崎陽子氏(右) 「たくさんの方々に『500e』を気に入ってもらえたら」 こちらは、展示車両の紹介を終えた後、ミネラル グレーをまとった『500e OPEN』が常に誰かに触れられている姿を見守っていた熊崎氏の言葉です。 「二子玉川ライズがある世田谷の住宅街を、環境に優しい『500e』がきびきび走り回る姿をイメージしていただけるとうれしいですね。EVの場合、バッテリー切れが気になる方は少なくないと思いますが、航続距離は355㎞なので、『500e』が得意とする街中でのドライブを安心して楽しんでいただけます」 今回の展示車両に『500e OPEN』を選んだのは、次のような実績があるからだそうです。 「『500』にも『500C TWINAIR DOLCEVITA(チンクエチェントシー ツインエア ドルチェヴィータ)』というルーフが開くカブリオレモデルがありますが、ラインナップ全体では2割の支持率です。それが『500e』になると、カブリオレモデルの『500e OPEN』は5割の支持率となっています。私たちも予想しなかった結果ですが、EVであってもルーフが開く自由を求める方が少なくないのだなと実感しているところです」 『500e』の認知度向上に関して、熊崎氏からはもう一つ興味深い数字の話を聞きました。 「この可愛らしいデザインとコンパクトなボディサイズから、『500』は女性オーナー比率が5割に達しているんですね。ところが、まもなく発売1年を迎える『500e』は、男性オーナーが8割を超えています。もちろん、『500e』がお宅にあればご主人も奥様も運転されると思いますが、名義で調べていくとそのようなデータになります。この結果に鑑みると、女性はまだEVを遠巻きに見ていらっしゃるのではないかと。そこに近寄りがたい何かがあるなら、私たちは距離を詰めてもらえる努力を続けていきます。コンパクトで経済的なクルマであること。そしてまた『500e』は安全装備が充実していること。そうした情報は、このようなイベントや、4月から始まるデビュー1周年キャンペーンで、特に女性に伝えていきたいです」 次のページ:【EVである前に『500e』】
『500 TwinAir』を含め、さまざまなクルマを乗り継ぎ、現在は『500e』オーナーの服部美樹(はっとり・みき)さん。「次に乗るクルマは電気自動車と決めていた」という服部さんに、その理由や『500e』に感じている魅力について、自動車ライター・嶋田智之さんがお話を伺いました。 ガソリンで走るクルマとは違う、新しい乗り物として乗ってみたい 「私、クルマのこと、本当にうといんですよ。今回のお話をいただいてから『fiat magazine CIAO!』の記事をいろいろ拝見したんですけど、みなさんのようにお役に立てるかどうか……」 今回ご登場いただく『500e』のオーナー、服部美樹さんのお言葉です。とはいえ、最初の愛車は欧州車風味の国産ハッチバック、次は軽自動車のオープンスポーツカー、そして英国の小型車を新車で購入し、レストアや息子さんが乗っていた期間の9年間は『500 TwinAir』に乗り、2台を手放して昨年からは『500e』を愛車に、という車歴です。インタビュー取材に同行されていたご主人、桂三さんの手厚いサポートもあったようですが、それでも本当にクルマがお好きなのだということがはっきりわかります。 ▲服部桂三さん、美樹さん まずは最大の関心事、なぜ『500e』を選んだのかということから訊ねてみることにしました。 「次は電気自動車、って決めていたからです。フィアットの電気自動車が発表されたときに、絶対これにしようって思ったんですよ」 ▲『500e』 電気自動車は増えてきているとはいえ、まだ少数派。なぜ次は電気自動車に、って思われたのですか? 「私、ガソリンを自分で入れられないんですよ。昔はガソリンスタンドの人がやってくれたでしょ。今はセルフが多くなって、私が自分でできないから、主人が毎回入れに行ってくれていたんです。それがなんかちょっと申し訳ないなと思って……」 たしかにそういう方もいらっしゃるよな、入れられるけどちょっと怖いという方も含めて……と思っていたら、桂三さんが補足してくださいました。 「妻は昔、ガソリンをかぶっちゃったことがあるんですよ。それがトラウマになっているみたいで」 話を伺うと、タンクの構造を理解してないスタンドの店員がセルフ式に慣れていない美樹さんに入れ方をレクチャーし、それがもとでアクシデントに見舞われてしまった模様。出先でガソリンを浴びるなんて、さぞかしつらい体験だったことでしょう。 「なので、ずっと電気自動車を買おうって考えていて。フィアットから『500e』が発表されて、まだ日本に入ってきていなかったときから決めていました。ガソリンは怖くて入れられないけど、電気自動車は充電ソケットをカチッて挿すだけですから(笑)」 航続距離や充電環境の観点で抵抗感がある人もいるようですけれど、そういうのは……? 「なかったです。むしろガソリンで走るクルマとは違う、新しい乗り物として乗ってみたいな、と思っていました」 電気自動車だと『500e』のほかにも選択肢があったと思うんですが、なぜフィアットに? 「絶対に次は電気自動車にしたかったから、実は一度だけ別の電気自動車を試乗したことがあって、そのときにはこれはないなって思ったんです。ルックスも好きになれなかったし、走ってもあんまり楽しくないし、値段にも見合ってないし。いろいろと未来的だけど、なんだか落ち着かなくて。その後に『500e』が発表されて、これだって思ったんです。それから日本に入ってくるのをずっと待っていました。実車も見ないで注文しちゃったぐらいですから」 今までのクルマにはなかった運転の楽しさ 去年の10月に納車されたということですが、初めて『500e』に乗ってどんなことを感じましたか? 「楽しいな、って思いました。まず、加速が気持ちいいですね。『500 TwinAir』もよく走ってくれたけど、『500e』はもっといいです。信号が青になって発進するときに、ほかのクルマを置いて自分だけビューンって行けちゃうのは気持ちが良いな、って思いますね。クルマが軽々と走ってくれるんですよ。足元がちょっと硬い感じがするけど、それが不快というわけじゃなくて、曲がり方がしっかりしているように感じます。自分が操作して、こうなるだろうって思っているとおりに走ってくれますよね。長年乗った前のクルマは身体の一部みたいなところがありました。サイズも本当にコンパクトだったし、クルマがぜんぶ自分についてくる。『500e』にもそういうところがありますね。だから走っていておもしろいです。私は好きですよ」 「基本、小さくてキビキビ走るクルマが好きみたいです。これまでのクルマも全てそうだったから」 と、これは桂三さんによる補足。 「私、アクセルを踏んだらビューッっていけるクルマが好きなんです。でも、スピードは出さないんですよ。逆に自然とゆっくり走るようになっちゃって(笑)。最初の出だしがすごく気持ちいいからビューッっていくこともあるけど、そこからは法定速度で充分。普通のエンジンのクルマとは違うところがあって、例えば、アクセルを踏んだり戻したりっていうのが楽しい。普段はノーマルモードじゃなくてレンジモードで走っているんですけど、そのときのアクセルひとつでグーッと加速したり、グーッとスピードが落ちる感じがいいんですよね。レンジモードでは停止までいくので、狙ったところでピタリと停めるようにアクセルの戻し方を調整したり。そういうのがおもしろいんです。今までのクルマにはなかった運転の楽しさですよね。そういう電気自動車ならではの運転の楽しさ、みたいなのを味わっている時間があって、そっちに気持ちが向いているから、ぜんぜんゆっくりでいいんですよ。たまに、電気自動車はないなって言っている人もいますけど『500』は電気自動車になっても楽しい。乗る楽しさはものすごくあると思います」 普段『500e』にはどんなふうに乗ってらっしゃるんですか? 「乗りたいとき!(笑)。でも、本当に普通に乗っています。ショッピングモールの買い物とかに乗って行きますし、ちょっとお出かけするときや、趣味でやっていることで少し距離があるところまで走ったりと、普通の使い方ですね。通勤にも使っていますよ。でも、勤め先がすごく近いので、ぜんぜん距離が伸びないんです。家で100%まで充電して、100%のまま帰ってくることもあるくらい(笑)。もっと乗りたいんですけど、なかなか遠くまでいく用事がないんですよね」 次のページ:【『500e』は人に優しい運転をしたくなる】
“イタリア各地をめぐるフィアット”がテーマの『フィアット オリジナルカレンダー 2023』。2ヶ月ごとに、フィアットの各モデルが6つの街をめぐるイラストが描かれています。3月と4月に描かれているのは、イタリアの首都『ROMA(ローマ)』。今回も、イタリア在住のコラムニスト・大矢アキオ氏にローマの魅力をたっぷり伺いました。 なお、『フィアット オリジナルカレンダー 2023』はダウンロードが可能。ダウンロード方法は、記事の最後に掲載しているので、ぜひチェックしてみてください! ▲『フォロ・ロマーノ』は、2千年前の古代ローマの寺院&官庁街跡。いっぽう右側には1935年に完成した『ヴィットリオ・エマヌエレⅡ世記念堂』が。時空を超越した建築物が混在するのも、この街の魅力です。 観光スポット満載のイタリアの首都・ローマ 地域ごとに深い歴史・文化をもち、独特の魅力を放つ国イタリア。ゆえに目的地選びは悩むものです。そうしたなか、年間旅行客数が約3千万人と国内第1位を誇るのがローマです。そのローマで“トレヴィの泉”といえば、1960年の映画『甘い生活』でマルチェッロ・マストロヤンニとアニタ・エクバーグが水に入って戯れたシーンで有名です。「後ろ向きにコインを投げ入れると、ローマに帰って来ることができる」という伝説から、実際にやってみた方も多いのではないでしょうか。 ▲トレヴィの泉。現在の姿は18世紀前半に造られたバロック様式で、海神ネプチューンの像などが据えられています。 ただし、別の映画『ローマの休日』の名ロケシーンであるスペイン階段しかり、あまりの賑わいに圧倒されてしまった方も少なくないはず。そこで今回は、ある日トレヴィのおまじないが効いてローマを再訪するあなたのために、生粋のロマーニ(ローマっ子)や、首都という土地柄セレブリティたちに愛されてきた店を2つほどご紹介。いずれも当主は創業家の出身。知り合いが気軽に「コメ・スタイ(よう、元気か)」と声をかけて入ってくるのも、地元の店ならではの風景です。 そして、伝説の『Nuova 500(ヌォーヴァ チンクエチェント)』で巡るツアーをプロデュースしているローマ生まれの紳士も。彼がナビゲートするのは、イタリア人でも知らない場所ばかり。これを読めば「もうローマは知り尽くしたから」なんていう言葉は出てこないかも……。 早速、スポット紹介に移りたいところですが、その前にローマの街で見かけたフィアットたちの写真をお届けします。 ローマの街を走るフィアットたち ▲『パンテオン』の裏で。リストランテの前に佇む『500e(チンクエチェントイー)』。 ▲近年若者に人気のナイトスポットであるピニェート通りで。初代『Panda(パンダ)』がポップな雰囲気の壁面と似合っています。 ▲イタリア首相官邸である『キージ宮』近くで。ターヴォラ・カルダ(軽食堂)の前に路上駐車する『500X(チンクエチェントエックス)』。 ▲ローマが最も領土を拡大した時期の皇帝名にあやかった『トラヤヌスのフォルム』を見渡すエリアで。フィアットのマルチパーパスカー 二代目『Doblo(ドブロ)』。 ▲画家カラヴァッジョの連作がある『サン・ルイージ・ディ・フランチェージ教会』近くで。『500e』2台と脇を走り抜ける『Panda』。いつの時代もフィアットはローマの一風景です。 ▲夕刻、トラステヴェレ地区のリストランテで。アイキャッチ役を務めているのは第二次大戦後イタリアにおけるポピュラーカーである『500C』。『トポリーノC』というニックネームで親しまれています。 次のページ:【ローマのおすすめスポットをご紹介】