まるで絵に描いたような素敵なご家族のフィアットオーナーがいらっしゃるとお聞きし、東京は白金台のお住まいにうかがいました。 訪れてみると、お部屋にはイタリアのおしゃれ陶器、ジョヴァンニ・デシモーネの作品が随所に飾られていて、置いてある家具やお部屋の模様も、とても洗練された雰囲気。漆喰塗りを思わせるお部屋の壁も、イタリアらしさに溢れています。 旦那さまの小嶋聡さんは、イタリアンレストランのオーナー。奥さまの賀子さんは、イタリア料理を中心としたフードコーディネーター、モスワーク インストラクター、フラワーデザイナーと、幅広く活躍されています。 乗るならマニュアル車と決めていました ─ 奥さまは、以前イタリアにも住んでいらしたそうですが、向こうに行かれたキッカケから教えていただけますか? 大学の卒業旅行でヨーロッパに行き、イタリアに衝撃を受けたんです。ここは人間のあらゆる欲求を満たしてくれる場所だと(笑)。イタリアを行き来する生活がしたいという気持ちになりましたね。 最初のお仕事はCAだったんですけど、残念ながらその当時は私の会社にはイタリア行きのフライトがなく、4年働いてお金を貯めて、カフェとセレクトショップを兼ねた自分の店をオープンしました。26歳のときです。当時は買い付けで年に5回ぐらいイタリアに行っていましたね。 ─ 単身でイタリアを行き来されていたのですか? はい。いつも同じホテルに泊まり、行くたびに同じレストランに通っていたので、現地の方とも仲良くなれました。そこで当時はまだ日本では食べることのなかったカラスミのスパゲッティと出会い、“ボッタルガってなに?”みたいなところからお店の人に聞いてみると、日本だと企業秘密にされそうな料理の材料から作り方まで、ぜんぶ教えてくれちゃうんです。 しかも厨房では、コックさんがワインを飲みながら明るいノリで、“飲みながら作るから、ワインによく合う料理を作れるんだよ”なんて言いながら、本当においしい料理を簡単に振舞っているのです。イタリア料理の奥深さや、イタリアの気質みたいなものに触れて、ますますイタリアが好きになりましたね。その後、日本のお店はスタッフに任せて、1年間イタリアに料理の修業に行くことにもなりました。またオランダにモスワーク(モス=苔を用いた創作)を学びにも行きました。 ─ その後は海外で学んだことを日本に広めようと考えられたのですか? 結婚を意識する年齢になり、生活が変わっても続けられるやり方で、料理のお仕事をしたいと考えるようになりました。料理は好きだけど、自分より上手なシェフはごまんといる。そうしたなかでその方々にはないもの、男の人にはないもので勝負したい、と。そして自分の強みはなにかと考えて、よし、“生活の愉しみ”を提案しよう。イタリア流の楽しみ方、生活を豊かにしてくれるものをトータルでコーディネイトするコーディネーターを目指そう、と考えたのです。 イタリア料理を教えるときはもちろん、モスワークのお教室を行うときも、自分が体験したイタリアやヨーロッパの話を交えて、レッスンを受けていただく方にもイタリア好きになってもらえたらいいなと。そういう気持ちで取り組んでいます。 ─ 500(チンクエチェント)を購入するに至った経緯を教えてください。 500はイタリアにいたときから、路地を走る姿が愛らしいと思っていました。雰囲気がとてもかわいくて、おしゃれでいいですね。そしてもうひとつ大きな理由は、子どもが生まれ、家族で乗れるクルマが必要になったことです。それまでに乗っていたのはスポーツカーだったので、家族で乗れてチャイルドシートもしっかりつけられる500を気に入って購入しました。 以前に住んでいた住居は周辺の道が狭かったのですが、そこでも乗りやすかったです。この500 1.2 Sportはとても気に入っていて、購入してもう丸7年になります。 ─ どうしてマニュアル車の1.2 Sportを選ばれたのですか? じつはわたし、免許を取得してからマニュアル車にしか乗ったことがないんです。子どもの頃、3つ上の兄にスーパーカー消しゴムの遊び相手をさせられて、クルマの名前やらを覚えるようになり、以来ずっとクルマ好きです(笑)。国内A級ライセンスも持っていてサーキットの経験もあります。なので買うならマニュアル車と決めていて、そこは主人も同じ意見で1.2 Sportを選びました。 クルマは楽しむためにあるんです ─ 旦那さまは、さらにフィアット・バリッラも所有されているのですよね? ぼくが小さい頃から祖父も父もクルマ好きだったので、クルマは生活の道具というよりも、楽しむためのものとして捉える素地があったんです。それでミッレミリアに一緒に出ようとしていた友人の志を受け継ぐかたちで、フィアット・バリッラを手に入れることとなりました。実際に1935年のミッレミリアに出場したクルマそのもので、軽量化など特別な手が入れられた、当時の技術者の想いが込められた車両なんです。 ─ 500を購入されて、なにか生活が変わったことや楽しくなったことがあれば教えてください。
2018年も残すところあとわずか。今年も1年間、『fiat magazine CIAO!』をご愛読いただき、誠にありがとうございました。当サイトでは皆さまのライフスタイルをより鮮やかに彩れるよう、来年もフィアットやイタリアにまつわる幅広いコンテンツを皆さまに楽しくお届けしてまいりますのでぜひご期待ください。 さて、来たる2019年の干支は「亥」です。イノシシといえば、イタリア中部の古都フィレンツェにこんな像があることをご存じでしょうか……? 幸運を運ぶイノシシ像はフィレンツェの人気者 フィレンツェの中心地にある新市場の回廊(メルカート・ヌオーヴォのロッジャ)。革製品などフィレンツェの特産品の土産店が連なるこのショッピング・スポットに、ひときわ多くの人でにぎわう場所があります。 次から次へと人が吸い寄せられるように集まり、人だかりができているその場所の中心にあるのはイノシシ像! フィレンツェ市民からはポルチェッリーノ(子豚ちゃん)という愛称で親しまれているブロンズ製のイノシシ像には、ある「ご利益」があります。そのご利益とは、イノシシ像の鼻をなでると幸運が訪れるというもの。 フィレンツェ市民や世界中から訪れる多くの観光客によって毎日なでられるイノシシ像の鼻は、金色ピカピカに光り輝いています。ご利益にあやかりたいという思いは世界共通ですね。 さらに、このイノシシ像にはもうひとつ「運試し」のジンクスも。イノシシ像の舌の上にコインを置いて手を離し、コインが滑り落ちて下の土台の格子をすり抜けると願い事が叶うというもの。 逆にコインが格子に弾かれてしまった場合は・・・真逆の意味、つまりイノシシから「願い事は叶わないよ」と宣言されてしまうというシビアなものです。 格子の幅が広く簡単にコインが入りそうに見えますが、イノシシの口から格子まで少々離れていてコインが弾かれるケースも多く、見た目よりも案外難しいこの運試し。 ですから大人も子供も皆、コインを舌の上に置く際の表情は、真剣そのもの。なかなかスリリングな運試し、新年を占うのにぴったりではないでしょうか。ちなみに、コインは重い方が格子の中に入りやすいような傾斜になっているそうですよ。 フィレンツェのイノシシ像の歴史とは? 横座りの姿勢や表情がなんともユーモラスで愛嬌のあるイノシシ像には長い歴史があります。現在はウフィツィ美術館に収蔵されている古代ローマ像を、1600年代に活躍したフィレンツェの彫刻家ピエトロ・タッカがブロンズでリメイクした像で、現在ある新市場には少なくとも1640年頃から置かれていると言われています。 日本でもおなじみのデンマークの童話作家アンデルセンはフィレンツェを訪れた後、このイノシシ像にちなんだ作品『青銅のイノシシ』を書いています。また、人気映画『ハリーポッターと秘密の部屋』『ハリーポッターと死の秘宝、第二部』のいくつかのシーンでもイノシシ像が登場するので映画の中で探してみるのも面白いかもしれません。 現在、新市場にあるイノシシ像は実はレプリカで、オリジナルは2004年からフィレンツェのバルディーニ美術館内に展示されていますが、ご利益は同じようでイノシシ像は相変わらず大人気。その人気ぶりは本家イタリアにとどまらずフランスやベルギー、オーストラリアなどにもレプリカがあるほど(そしてなんと日本にも!)。 フィレンツェの人気観光スポットのポンテベッキオ、ウフィツィ美術館、ドゥオモなどからも徒歩数分の距離にあり、どこからでも訪れやすい場所にあるのも魅力なのでフィレンツェを訪れたら必ず訪れたいスポットです。 亥年の2019年、フィレンツェのイノシシ像でご利益にあやかってみてはいかがでしょうか。 幸運なあなたに、フィレンツェ旅行が当たるかも 「亥年に、イノシシ像で幸運をつかみたい」と思った方に、フィアットから耳よりのお知らせです。フィレンツェのイノシシ像にも会えるイタリア旅行が当たるプレゼントキャンペーンがスタート。ご応募は誰でもOK! 年末年始の運試しに、奮ってご応募ください。 応募の詳細はこちらでチェック イタリア旅行プレゼントキャンペーン 応募締切:2019年1月14日 では皆さま、良いお年をお迎えください。 Buon anno! text・photo:小林真子
近年、巷のイタリア料理店の充実ぶりには目を見張るものがあります。うれしいのはトラットリアとかオステリアと呼ばれる大衆店が増えたこと。いつでも気軽にイタリア料理が楽しめるようになりました。 これだけ定着したのは四季の味、素材の味を大切にする日本人の感性とイタリア人の感性が似ているのも原因のひとつかもしれません。 イタリアンと言えば、やっぱりパスタ。イタリアの定番であり、世界の定番。手軽に楽しめてオシャレで美味しい。そんなイタリアらしいパスタのレシピをご紹介していきます。 東京赤坂で本格的なトスカーナ料理が楽しめるトラットリアとして人気の「CITTINO(チッティーノ)」の捧(ささげ)シェフに、酷暑を乗り切る日本の夏にふさわしいパスタを教わりました。 夏といえばすぐに夏野菜というのが相場なのですが、今回ご紹介するのは「桃をつかった冷製のパスタ」。 はたしてどんな味なのでしょうか? 「イタリアでは野菜と果物の境目がユルいんです。夏には冷たいピーチティーが定番のイタリアなんですが、実は簡単な工夫でパスタと絶妙な組み合わせになります。冷製パスタにフルーツって、デザート的な? そう思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、ちょっと固定観念を一度捨ててもらえると良いかなと思います。」 にこやかに語る捧さんは、トスカーナ地方の複数の星付きレストランで修行した経歴の持ち主。季節の旬と素材の良さを活かすことが、日本とイタリアの料理に共通した部分だといいます。 <レシピ> パスタ(スパゲッティ1.4ミリ〜1.6ミリ)100グラム 桃(一個) 水煮トマト缶(2ホールくらい) プチトマト(彩り用〜適量) ミント(香り付け〜適量) ニンニク(少々) 生ハム(パルマ産がオススメ・スライスで二〜三枚) オリーブオイル バルセート(イタリアの白ワインのバルサミコ〜ワインビネガーで代用も可) 塩 コショウ 日本で夏の冷製パスタといえば細麺のカッペッリーニを想像しがちですが、いわゆるフツーのスパゲッティがオススメとのこと。ちょっと驚きました。 「もちろん地方によって好みは異なりますが、少なくとも私のいたトスカーナでは、カッペッリーニのような細麺はあまり食べられていないんです。日本人がお米の炊き方にこだわるように、イタリア人はパスタの食感を大切にします。噛んだときの食感と小麦そのものの味、そして具材の味とのコンビネーションを楽しむんです。今回のパスタには普通の太麺、スパゲッティが最適なんです。」 「麺の茹で上がりを待つ間に、具材を用意するだけなので、暑い夏で手数をかけずにさらっと作れるのも魅力です。家庭でも厨房は暑いですからね…。」 ちなみに今回の調理にかかる時間は、麺茹で時間を含めてたった10分ほど。 簡単なレシピですが、いろいろとコツがありますので、ぜひご参考まで。 おいしいコツ その1 プラス2分の茹で時間 「冷製パスタを作るコツは、パスタの袋に書いてある所要時間よりも2分多く茹でるのがオススメです。」 タイマーをセットして、パスタがお鍋に入ったら、いざ具材づくり! 用意した桃の半分を1センチ角に切り、ボウルの中でフォークで潰します。
文 : モータージャーナリスト・小川フミオ 建築、絵画、彫刻、オペラ、ファッションにはじまり、日常生活の中まで、イタリアが手がけるものは、気分を豊かにしてくれる。 食事やワインもそうだ。いま世界で最も創造的なシェフの一人といわれるマッシモ・ボットゥーラ氏の料理など典型かもしれない。 パスタ料理やリゾットをベースに、さまざまな物語を盛り込む。ガルダ湖畔で食べさせてくれたときは、リゾットの出汁をガルダ湖の魚でとり、最後に鼻先でガルダ湖畔名物のレモンをしゅっとひと吹き。 一見フツウのリゾットがガルダ湖をまるごと味わうような、奥の深い料理に変わった。ぼくはクルマでも同じような感動を味わうことがある。 イタリア人の“天才”ぶりがクルマの分野で発揮されるのがフィアットといっていいかもしれない。好例が現在欧州を中心に愛されている FIAT 500X(フィアット チンクエチェントエックス)である。 ちょっと背の高いSUV的なプロポーションで、4WDモデルも設定されているにもかかわらず、こけおどし的なゴツさがいっさいない。デザインモチーフは1957年のデビュー以来、愛されてきたNuova 500(ヌォーヴァチンクエチェント)。「ニューヨーク近代美術館」ではモダン美術の永久展示品にもなっている。共通するイメージをうまく取り入れつつ、現代的なデザイン要素を各所に盛り込んだ手法は手練れの業(わざ)だ。 ダッシュボードも60年代のイタリア車を彷彿させる車体色とカラーキー(色合わせ)された意匠で、これもひとことで言うと“いいかんじ”。 シートは「500X Pop Star」は、2 トーンの組み合わせを使ったソフトなファブリック。「Pop Star Plus」は大人っぽい革張り。これも選ぶ楽しみがある。選択肢が多いというのは、豊かなことである。それがわかっているのだ。 前輪駆動の軽快な「500X Pop Star」と「500X Pop Star Plus」は 1368cc の 4 気筒エンジンを搭載。インタークーラー付ターボチャージャーを組み合わせて、103kW(140 馬力)の最高出力と 230Nm もの最大トルクを持つ。さきに、スタイルの魅力について触れたが、しかしどうして、走りは活発だ。1750rpm で最大トルクを発生する設定なので、低回転域から力がたっぷりある。 オートマチック変速機のイージーさと、マニュアル変速機のダイレクトさを同時に持ったデュアルクラッチ変速機は、6 段のギア比を上手に振り分けて、もたついた感じを一瞬として感じさせることはない。運転の仕方に応じて、ゆったり気楽に走るのが好きなひとには早めのシフトアップで燃費にもいいクルーズ感覚を提供する。いっぽうスポーティな走りを好むひとには、つねに応答性のいい回転域をしっかりホールドして機敏な加速性を楽しませてくれるのだ。 脚まわりのセッティングも、峠道が多いイタリアをはじめとする欧州で愛されてきたフィアットだけある。いいかんじに引き締まっていて、ステアリングホイールを切ったときの車体の動きのよさが、高速走行時の気持ちよさとうまくバランスされていると感心する。コーナリングはロールを抑えた設定で、ステアリングホイールへの応答性がよく、車体の動きは完全にドライバーのコントロール下に。 カーブが連続する道ではひらりひらりと曲がっていけるのが快感だ。その感覚は「500X」 ならではだろう。信頼でき、かつ、楽しませてくれる。いいパートナーだなあと感じ入る。こうして人間とクルマとのあいだに濃密な関係を築けるのは、なかなか他メーカーにはない特長といえるかもしれない。荷物もたっぷり積めるこのクルマを手に入れたら、当然、旅行に行きたくなるだろう。1 週間のドライブもいいし、デイトリップも疲労感なくこなせるはずだ。 スマートフォンを接続して「Apple Car Play」 あるいは「Android Auto」を使えるのも、いつも好きなものと旅をするという喜びにひと役買っている。ドライブには欠かせない音楽は、スマートフォン内のコンテンツを聴くことができる。 ハンズフリーフォンの機能も備えているし、地図アプリを使った音声案内付きのナビゲーション機能も使える。タッチパネルでもいいし、スマートフォン上からもと、扱いやすい。スマートフォンの地図データを使うメリットは、つねに最新の地図情報がデータの書き換えをすることなく更新される点である。車載ナビゲーションシステムを使っているなら納得してくれるだろうか。 ※写真は Apple CarPlay の画面です。
イタリア生まれのFIAT。移動の道具だけでなく、街の一部としての役割も担うクルマとして愛されているのも特徴の一つ。 よく「オシャレ〜」といわれるイタリアの街並みですが、それは脇を固めるクルマたちという助演女優(男優?)たちのおかげであることにお気づきでしょうか? 日本と違い、自家用車であっても駐車場が住宅前の路上というケースが多い彼の国において(郊外以遠でないと戸建住宅は少ない)、いやがおうでも街の景観の一部を担う「クルマを選ぶ」という行為は、思いの外シビアなものです。 あまりに場違いなカラーなど選ぼうものの、町内における好感度はみるみる失墜します。 実はイタリア人は想像以上に衆目を気にします。ハデだ陽気だ自分勝手だなんていわれますが、日本人以上にシャイで周りに気を配っているのです。 さて、そんな彼らのクルマたちですが、日本のみなさんのようなピカピカな状態ではなく、適度に使い込まれてヤレていたり、見事に汚れていたりするんですが、それでもちょっとした看板やテントといった街並みのアイコンにあるときは溶け込み、あるときは見事なコントラストを見せてくれているのも、イタリアだなあと思わせる瞬間だったりします。 数百年を経た旧い建物の前でも、最新のゴージャスなショーウインドウの前でも、キリリとした存在感を放つのはイタリア車の最大の美徳の一つ。 排ガス規制などのせいで、かつてほど都市部の駐車に「自由」はなくなったものの、それでもいたるところにクルマが溢れていて、街とのアンサンブルを楽しむことができます。これが「オシャレ」を感じさせる理由なんでしょう。 さて、今度はちょっとイタリアを離れてフランスへ。 毎年2月にパリで行われる、欧州最大級の旧車イベント「RETROMOBILE」に出向いた際に出会ったFIATたちをご紹介します。 折しも、今年の日本同様、大変な寒波に見舞われた2月初頭のパリだったのですが、おかげでなかなか珍しい「雪のパリ」に佇むFIATたちと出会えました。 東京ほどではないにせよ、大変な交通量があるパリ。古く、入りくんだ路地も多い中、実はNuova500の時代から愛らしいデザインとサイズ感で、オシャレなパリジェンヌ、パリジャンに大人気。その流れは現行の500にも引き継がれています。 クルマが生活の一部になっている人たちに愛され続けるクルマ。それがFIAT。 日常に暮らす相棒として、国を問わず活躍している姿はなかなか素敵ではありませんか?
<聖地巡礼> ちょっと大げさにも聞こえる言葉が溢れる昨今ですが、まさにトリノのアウトモトレトロはFIATオーナーにとっての聖地といえるのかもしれません。 旧車のお祭りは、ある意味そのメーカーの持っているソコヂカラを見るには格好の舞台 です。その点FIATは創業100年を超える老舗なので、実に見ごたえたっぷりです。 Part1でもご紹介しましたが、欧州は空前のヴィンテージカーブーム。商品価値の向上とあわせて、クルマをレストアする環境も劇的に進化しました。 消耗品などはもちろん、実はとても大事なエンジンルームの主役の一つ、シャシープレートレプリカなどもたくさん売られています。こうしたコダワリは「走れば良い」から、大切にこれからも乗り続けるという決意の表れのようなものかもしれません。 そんなクルマ愛を支える人たちがオーナーズクラブ。 CLUB FIAT 500 TORINOのブースなのですが、なぜか1977,78,80年の世界ラリー選手権でFIATにマニュファクチャラーズタイトルをもたらした131アバルトラリー(公道用ホモロゲーションモデル)が。 売り物か?ときくと、「いや、自慢だ」と満面の笑顔で返されました。 会員100名、創立10年のクラブですが、500のクラブとしてスタートしつつも、いまではFIAT乗りならなんでもOKとのこと。自由なクラブです。 こちらは500や127などをベースにした、兄弟車アウトビアンキのオーナーズクラブ。会員数1,000名ほど。 写真右のA112は日本でも80年代大変な人気を呼び、鳥山明氏作の「Dr. SLUMP」に登場する則巻千兵衛博士の愛車としても有名です。 続いては、60年代後半にFIATが放った、ライトウェイトオープン「850スパイダー」のファンクラブ。スペシャルバージョン「Racer」が展示。激レアですが非売品。 その後継として登場した、70年代スーパーカーブームの流れを汲んだウェッジシェイプのX1/9(エックスワンナイン、イタリア名イクスウノノーヴェ)。日本では珍しい初期型。こちらには「売ります」のサインが…。 会場内にはもちろんX1/9のクラブが。現在85名の会員。みな楽しげにワイワイやってます。 マーケットに目を移すと…。 500のミニカーや歴史についての書籍たちが…。 いまやアートとしての価値が話題の、看板やポスターもそこかしこに溢れています。 旧い車には必須の資料類、購入の手引やマニュアル類も驚くほど充実。こうして次の世代にも旧車は引き継がれていくのです。 親子連れなど会場にはまさに老若男女が訪れ、ヨーロッパらしい「蚤の市」を肌で感じることができます。 ただ単にクルマを売ったり買ったりするのではなく、ちょっとしたコーディネートも見逃せないエッセンスです。 たとえば会場にはたくさんの500がいるのですが…。 キャリアに載せるレトロなバッグのセンスがオレンジのボディカラーと相まって、GOOD。 こちらは、1936年から55年まで生産された、500のご先祖様「トポリーノ」。
FIATのお膝元の街トリノでは、さまざまなFIATを見ることができます。 たとえば、タクシーもFIAT。日本では未発表ですが、500の派生モデルで、家族に優しいロングボディがイタリアで好評な500L。 旧FIATの工場リンゴット(LINGOTTO)をリノベーションしたホテルのロビーには、もちろんFIATとランチアのエンブレムやグッズが並んでいます。 同じ建物内には、イタリアが誇る名門トリノ工科大学があり、そのエントランスにはこんな個性的なプロトモデルが…。 市内中心部でも、特に日本でも根強い人気を誇る初代Pandaがまだまだ元気に駆け巡っています。 中には90年代後半にデビューした二代目600や2000年代の大ヒット作、グランデプントも、まだまだピカピカ。 そして現代の主役はやはり500。 全国的には明るい色が人気の500も、シックなトリノの街並みではダークカラーが良く映えます。 そもそもトリノという街は、ルネサンスやローマの影響よりも、バロック色が濃厚で、凛とした美しさと知性が感じられます。かの哲学者ゲーテが最期の土地として選んだ街としても有名。 アスファルトとは違う、雰囲気たっぷりの石畳。他のイタリアの都市とは異なり、極めて丁寧に整備され平坦さを保っているのは、北部イタリアが誇る自動車のメッカたるプライドか。路面電車との継ぎ目もキレイ。 街なかの信号待ちではご覧の通り。あっという間にFIATをはじめとするイタリア車に囲まれ、なんとも言えないホーム感を味わうことができます。 そんな街を見守ってきた美しきヨーロッパアルプス。必見の絶景です。 美しい街並みや山並みだけでなく、トリノといえばワインやチョコレート、コーヒーに各種トリュフなどのグルメ。そしてエジプト以外では最大のコレクションを誇るというエジプト博物館、街の最大の目玉であるイエス・キリストの聖骸布もある、歴史情緒たっぷりの街。 そしてなにより街なかを走り回るFIATを中心とした、多くのイタリア車や、自動車博物館まである楽しい街。 オーナーの方はもちろん、そうでない方も是非ともみなさん足を運んでみてはいかがでしょうか? つづく
トリノ、FIAT、蚤の市 いまから120年近くも前、1899年7月11日に創立されたFIATは、イタリア最古の自動車メーカー。ちなみに、この世に初めて「自動車=Automobile」という言葉が使われたのが同年1899年の1月のニューヨーク・タイムズ紙だといわれています。FIATが世界最古というわけではありませんが、自動車製造の黎明期に産声を上げた、数少ない歴史あるブランドであることに間違いはありません。 そんなイタリア(主に北中部)では、自動車関連のイベントは日常茶飯事。このいわゆる「蚤の市」的イベントは、真夏(7、8月)と真冬(12月、1月)を除けば、ほぼ毎週末、さまざまな規模や内容で各州、各都市、各市町村で行われており、週末の市民の楽しみとして長く愛されています。 トリノでの最大規模がこの「Automotoretro(アウトモトレトロ)」。今年で36回目を迎えるこのイベントは「自動車+バイク+レトロ」を意味するその名の通り、自動車やバイク、自転車などあらゆる車輪がついたもの、そしてその部品はもちろん、広告やノベルティといった関連商品からおもちゃに至るまで、様々な「旧いもの」が手に入る正真正銘の蚤の市なのです。 1923年に生まれたFIAT社の本社兼工場施設であったLINGOTTOの隣(昨年まではリンゴットの一部も使用していた)で開催されるお膝元どころか城内開催のような趣のイベントで、FIAT好きにはたまらないロケーションです。ちなみにこのリンゴット内には商業施設や映画館、ホテルなどもあるので会場までのアクセスも至便。そのロビーには同じトリノの名門、ランチアの旧車が展示されていたりと、ファンにはなかなかたまらない演出がなされています。 あくまでいち都市のローカルイベントでありながら、やはり多くのメーカーが林立していたトリノの引力のなせる技なのか、隣接するスイスやドイツ、フランスはもちろん、オランダやスペイン、ベルギーあたりからも高速をすっ飛ばしてやってくるファンたちも決して少なくない、人気のイベントとなっています。 ブームの裏に…。 FIATやアバルト、ランチアなど多くのイタリアの代表的メーカーや、ピニンファリーナやベルトーネといったイタリアを代表するカロッツェリアが立ち並んだトリノ。やはり本場ならではの「掘り出し物」や「お宝」が多いのもこのイベントの魅力です。 しかし、昨今の旧車ブームによって、多くのバイヤーがトリノに訪れるようになり、ここ数年では高額取引がなされる車両をはじめ、関連部品などの出展数も減少傾向。その煽りを受けてか、軒並み価格が高騰するという状況に見舞われています。 それでもやはりそこはトリノの底力とでも言うのでしょうか。進む高齢化に伴う「次世代へのバトンタッチ」は避けられず、ひょんなことで幻の名車や珍車が売りに出されることも少なくありません。そんな中にはワンオフ(別注・特注)やワンオーナーものがあったりしますので、旧車ファンとしてはやはり気が抜けません。 もうひとつの魅力は、オーナーズクラブの出展です。ここでは、まずお目にかかれないようなコンディションの名車や珍車にお目にかかるチャンスであり、また、ユーザー同士の交流や、情報交換ができるのも大きな魅力。これはSNS全盛となった今も変わらず続く伝統だといえます。 特にイタリアの自動車最大の魅力であるデザインは、紙面や画面で見るのと、間近に見たり触ったりするのとでは大違い。その圧倒的な存在感には、毎回ヤラれてしまいます。 長い歴史は、長く愛されてこそ生まれるものであり、そうした足跡や今も綿々と続く流れのようなものを感じさせてくれるのが、こうした特定ジャンルの蚤の市の魅力。 次回は「アウトモトレトロ」をもっと深掘りしていきたいと思います。
現在のイタリアの首都といえばローマ。 ではローマの前の首都はと聞かれると、わたしたち日本人は「?」となってしまうでしょう。 実はFIATの本拠地であるトリノこそ、今から150年ほど前、19世紀におきたイタリア統一運動の主力であったサヴォイア家の本拠。その後彼らが首都に定めた街だったのです。 「山の麓」を意味するピエモンテ州の州都トリノは、北に雄大なアルプスを構える美しい街。碁盤の目のような近代的な区画整理や、均整の取れた建物が溢れ、オリーブやブドウ畑、地中海といった典型的なイタリアの風景とはまた違う、きりりとした魅力溢れる美しき古都。 そんなかつての首都とともに栄えたのが、その名も「トリノ・イタリア自動車工業」であるわれらがFIAT。 1899年創立、以後「陸に海に空にFIATあり」というスローガンとともに、自動車以外にも鉄道、船舶、航空機などを製造し、文字通りイタリアを支える役割を担ってきました。 次号からは、そんなトリノで2月1日から行われたイベント「AUTOMOTORETRO(アウトモトレトロ)」の模様、現地のオーナーズクラブの情報、街中で活躍する新旧さまざまなFIATたちをお届けしたいと思います。お楽しみに! つづく